愉快な邪眼は月輪を越えて異世界に飛ぶ   作:きりがる

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第八話 邪眼が動くと世界も動く

 

 

 

 

 

 

 新しくなった巣に入った俺たちだが、それを歓迎するかのように、そして喜んでいるかのように木が少しだけ震えて、抑えられていた光量が部屋を照らすほどまで明るくなる。

 

 ぶっちゃけ変化の術を使えるようになった今でさえたまにしか変化しない俺には広すぎるな。三匹…というか小さい俺達にこれは飛び回れて駆け回れるくらいまで広い。

 

 そんな綺麗になった住処を見ている俺に、フィアが羽を引っ張って話しかけてくる。

 

「空那、あの光の宝玉…多分、神器」

『あん? 神器だと? っつーと、なんだ? あの宝石はこの樹に適合しちまったってのか?』

「多分そう」

「えー…樹が神器持つなんて初めて聞いたにゃ」

 

 俺達が住み続けてたから、やっぱりこの樹もおかしくなってたのかね? 流石にいろんな力を吸い過ぎたのだろう。不思議なものだな…でもなんでこんな部屋?

 

 いや、神器だから何があってもおかしくないんだろうけどよ。気になんだろ?

 

 ということで仙術で意思を感じ取ってみることに。じんわりと浸透する俺の気が樹の生命力やら気に溶け込んで意思を伝えてくる。俺、植物と話ができるんじゃない?

 

 なになに…俺が住み始めてから少しずつ力をつけてきたこの樹は、ついには意思を持ち始めたと。で、そんなときに神器が無造作に俺たちによって放り込まれ、なんやかんやで適合したと。

 

 こんな自分にしてくれた俺。ついでに残り二名の役に立ちたいと思って頑張った結果、此処を基本にこの山を神器で支配し、根を伝って活性化。あとは部屋を作ってこの樹自身もいろいろできるようになったらしい。

 

 ………めっちゃいい子じゃないですかー。

 

 つまりはこの樹を基本に山全体が神器所有者になってると。でもあくまでここまで強い意志があるのはこの樹だし、神器があるのはここだから中心部ね。

 

 慌てて結界を張ろうと思ったが、どうやらこの樹が既に神器発動当時に張ったらしいのでバレてないっぽい。なんとなんとの、俺達の技術を受け継いでいるというな。

 

 この大樹…強い!(確信)

 

 まあ戦うことなんてあるのかという感じだが…まあいい住居になったと喜んでおこうじゃねえか。

 

 それにしても綺麗な住処になったものだ………やっほい! 全部樹で出来た綺麗な巣だー! 俺の家ーッ!

 

 気分上々↑↑でバサバサと飛び回る。ちょっと隣に何かあったのか、バシリと吹き飛ばしてしまったが気にしない方向で。なぜなら気分が上々だからな! 

 

 喉が渇いていたので水の気配と音がするところに行ってみたら、なんか樹の上から水が流れ落ちてきてんだけど、どうなってんのこれ? お前、水樹だっけか?

 

 落ちてくる所に水が溜まる窪みがあったので飲んでみる。これが本当の美味しい水ってやつか! 疲れが消し飛んで体が軽くなったんだけど! 

 

 しかも美味いと言うな。ジュースより断然この樹の水だわ。これ売ったら絶対に高いだろう…回復薬になるやも知れん。現代に現れた水界の超新星! とか言われたりして。

 

『ミネルヴァお兄ちゃんの上機嫌を感知して登場! ついでに銃入手なう』

『ッ!? いきなりどうした林檎ちゃん!? 銃入手って何?』

『ちょっとストーカーがうざかったからこっそり撃退したら銃持ってたの。それをネコババ、今に至る』

『ストーカーだと? おいおい、林檎のところも物騒だな』

『あ、おじさん来てたのね』

『おっさん、来たのか。それよりも林檎ちゃんは死体の処理をちゃんとしましょうねー』

『殺してないから! で、此処で相談…気絶した男をどうするか。いい案を募る!』

 

 ここは俺達の腕の見せどころ……!! 安価じゃないけど任せろ!

 

 ついでにもうはしゃぐのは止めて休憩しよう。世界一周旅行から帰ってきて直ぐの出来事だからあいつらも疲れてるだろうし。

 

『黒歌、ふらふらして疲れてんだろ? もう休め』

「ええ、それもそうね……一緒に寝て?」

『仕方ねぇな…寝床寝床…ほら、入れ』

「あ、我も」

 

 二人まとめて寝床に寝転がして翼で包むようにしてやると、直ぐに寝息を立てて寝始めた。これでよし。

 

『たでーま』

『お兄ちゃん、いきなり反応しなくなったけど、どうしたのよ?』

『ちょっと連れを寝かせてた。で、案だけど……まずは全裸にして縛るのは普通だろjk。次おっさんな!』

『おっと、俺の番か。そうだな…そこまでしたらとりあえず次は何か着せてみるか。靴下、ネクタイ、褌ときて…』

『サングラス! 腹巻き! 軍手! 鉢巻といこうじゃねえか!』

『ここまで来たら最後にやることはわかっているな? 勿論、人目のつく所に放置して…』

『二度と表を歩けなくなるくらい辱めるのね! 生きてるのも嫌になるくらい辱めてやる! 汚いけど我慢だね!』

『ちゃんと軍手してマスク付けてしろよー。…はぁ、やれやれ、俺もすっかりミネルヴァに染まっちまったな』

『(`・∀・´)エッヘン!!』

『威張るな威張るな。にしても今はメイドの奴は来ねぇのな』

『そうだな…メイドさんは俺の癒やし、愛する心のメイドさんなのに』

『お前、メイド好き過ぎんだろ…向こうも向こうでお前のことそれなりに好きそうだからいいんじゃね?』

『長年のコミュニケーションがなせる技』

『うんしょ…うんしょ……』

 

 林檎ちゃんが頑張ってるな。なんか可愛らしくうんしょとか言いながら作業してる所に鼻血が止まらない…! 

 

 お、どうやらおっさんも林檎ちゃんの天然さに萌え殺されているようだ。ティッシュが少ねぇ…おーい、換えは何処だ―!とか叫んでるけど、チャット内でも叫んでるから。

 

 あと黒歌、尻尾首に巻き付けてくんなよ絞まるから死んじゃうから加減して!? なんとか緩めて首だけぬけ出すと、尻尾は体にしゅるりと巻き付いてきた。まあ、体ならいいか。

 

『できた…! 二人共、出来たよ! 今から人気の多い場所…う~ん、金閣テンプルとかに捨ててくるね』

『何それっぽく言ってんだよ。せめてスカイツリーの天辺に捨てて来なさい!』

『吊るすんですねわかります。じゃねえよ、何危ねえことさせてんだ!? 林檎の奴がそんなことできるわけ……』

『おk、吊るしてくるから!』

『行くのかよ!! そこは拒否れよ!』

『大丈夫大丈夫。ちょっと裏ワザ使うから問題ないもん。ミネルヴァお兄ちゃんの言うことだからそこにするよー』

『お前ってやつは…ミネルヴァの言うこと聞き過ぎだろ』

『ミネルヴァお兄ちゃんは私の心。とりあえず何でも言うことを聞く忠犬でありたいと思ってました!』

『うん? 過去形なのか? 林檎ちゃん』

『もうなってるからね! チャットでの一挙一動が全部可愛く思えて…普通に振る舞ってるけど悶え死にそうだから。うぅ…思う存分甘えて甘やかしたい…!!!』

『駄目だこりゃ。立派なミネルヴァ廃だぜ…』

『林檎ちゃん…立派になって…お兄さん、嬉しいよ』

『おいこら元凶! そりゃ子供の頃からお前みたいなインパクトあり過ぎのやつが居りゃ影響も受けるわな!』

『ミネルヴァお兄ちゃんは大切な物を奪っていきました。貴女(私)の心です………えへへっ///』

『それ言いたかっただけだろ、つか自分で言って照れんな。ティッシュ無くなりそうだぜ…』

『奇遇だな、俺も心の鼻血を拭くティッシュが無くなりそうだ』

 

 とりあえず、林檎ちゃんは汚物をスカイツリーに吊るしてくるらしい。お疲れ様だぜ。出来ることなら俺もそれを見たかった…! おっさんは見てくるんだとよ。既に林檎ちゃんは帰宅済みでバレてないらしい。いや、捕まってないらしい。

 

 ま、そんなヘマはしないよな。後おっさん笑いすぎィ…!! 俺も見たかったーッ!!

 

『安心して、ちゃんと写真に撮ってるからいつか会えたときに見せてあげるよ!』

『さっすが林檎ちゃん! 抜かりねえ!』

『ハハハハッ! こりゃ明日の新聞とニュースは確実だな! ネットが荒れそうだぜ!!』

 

 マジでか…それほどまでだなんて! これは明日街に行ってどこかのテレビで見てくるしかねえな。

 

『お疲れ様です。何のお話をされていたのですか?』

『乙~。ちょっと林檎がストーカー撃退してな』

『お疲れ様メイドさん! 色々恥ずかしい格好してスカイツリーに吊るしてきたんだよ!』

『メイドさんお疲れ! 最近入ってこないから寂しかったよ…俺はその声を待ってたぜやっふい!』

『そうなのですか、私も後から見てみますね。それとミネルヴァ様、お久しぶりです。私も貴方様のお声が聞けて嬉しいです』

 

 そう言ってくれてから小さな微笑みの声が聞こえてくる。

 

 どうやら最近忙しくてチャットに来てなかったから三人で心配してたんだが、元気そうでよかったよかった! これで風邪とか言われたら全力で探しだして看病しに行く所存である。

 

 生前?は一人暮らししてたから家事スキルはそこそこ高いから問題無いぜ! 今は頭がパーだけど医者だったから対処法もわかるしな。

 

 ………誰が頭がパーの馬鹿野郎だ!

 

『そう言えば最近、ちょっとした旅行に行っててさー』

『へ~、旅行か。いいじゃねえか、何処に行ったんだよ』

『それがさ、エジプトに行ってきたんだけど面白いことがあったんだ』

『ほうほう、なにかななにかな!』

『うむ、実はな…エジプトと言ったらピラミッドじゃないか。だから俺と連れはピラミッドに無断で侵入したんだよ』

『無断侵入!? なにしてるんですか!?』

『何って…不法侵入無断侵入。夜中にちょっと入らせてもらって……穴開けてきた』

『『『穴開けてきたぁ!?』』』

 

 いや、なんか地下から強い気配がしたからフィアに魔法で穴掘ってもらって落ちてみたんだよな。

 

『なんやかんやで地下444メートルまで掘ったんだが…そしたらよ、なんとそこには馬鹿でかい部屋があったんだよ! しかもそこには金銀財宝が盛り沢山!』

『ちょ、おま、マジで何してんだ!? 数百メートル掘るお前も凄えけど、掘ろうと思ったお前らの頭が何より凄いわ!』

『金銀財宝!? 宝石とか沢山なの!?』

『おう、その通りだぜ林檎ちゃん! 勿論発見した俺たちが根こそぎパクっゲフン! …貰って行ったんだがな。拾ったんだから俺のものだよな?』

『なんだ、拾ったんならしょうがねえな』

『拾ったのなら問題ありませんね』

『落ちてたものは拾った人のものだよね』

 

 俺が言うのも何だけど、こいつらも相当頭がおかしいと思うのは俺だけだろうか? 昔は林檎ちゃん以外は常識人だったはずなんだけど…二人も染まったか。

 

 メイドさんが俺に染まる…なんか良い響きじゃないか?

 

『さらにそこには宝物だけではなく信じられないものが眠っていた………』

『わくわく♪』

『何が眠ってたんでしょうか…』

『ファラオも吃驚の物だ! ぶっちゃけクフ王が埋めたのかは不明だけど、埋めた本人が吃驚っておかしいよな』

『そこでそんな話はいいからさっさと続……』

『おじさんは黙ってて! お兄ちゃんが話してるでしょ!!!!』

『ウィッス……』

 

 やだ、林檎ちゃんが怖い。おっさん縮こまっちゃったよ。

 

『ミネルヴァ様、邪魔が入りましたけど続きをどうぞ』

『メイドまで邪魔とか言ってきた…まあ気になるけどよ』

 

 続きね、続き。何だったかな……

 

『ああ、そうそう、眠っていたものだったんだけど、金銀財宝に埋もれるように一つの棺が力強い気配を放っていたんだがな? その中に面白いものが入ってたんだよ』

『躊躇いなく開けるミネルヴァに拍手三回』

『それがお兄ちゃんクオリティ』

『ミネルヴァ様の勇気に乾杯』

『そこにまず入っていたのが、パンドラの箱よろしく絶望という名の呪いで、それが俺たちに襲いかかってきたのだ』

『呪い!? 大丈夫なの!?』

『無事なのですか!? 身体を呪いに犯されているなんてことになったら、私は………!!』

『落ち着け、お前ら! 今こうして話しているということは大丈夫だったんだろうよ…大丈夫だったんだよな? 大丈夫って言え! 駄目なら俺が何をしても治してやる!』

『いや、大丈夫だから、連れが呪い弾いたから。こう、ペシッて』

『『ほっ……』』

『良かったぜ…呪いを弾くってどんな連れだよ……』

『あー…あれだ、土産で狩ったなんか気持ち悪い人型をした呪いを防ぐアイテムみたいなのが役に立ったんだよ。伝承では魔王の呪いも弾くとかなんとか…』

『何その土産凄えんだけど!? 俺も欲しい!』

『安心しろ、三人分狩ってある!』

『やったー! 愛してるよお兄ちゃん!』

『ミネルヴァ様…有難うございます。嬉しくて涙が出そうです』

『いつか渡すね!』

 

 ちなみに狩ったというのは誤字にあらず。あの店のおっちゃんは強かった……あれは戦士に違いない!

 

 まずは俺が空から奇襲を掛け、その好きに黒歌が呪いの人形…じゃねえ、呪いを弾く人形をごっそりパクる。

 俺が奇襲するのは上手く行ったんだが、なんとおっちゃんは俺の奇襲を防ぎながら黒歌の奇襲も防ぎやがったのだ! 

 

 横に置いてあった棒を巧みに操り、俺の足を弾き、黒歌を迫らないように高速で振る。この応酬だけで避ける身体捌きはかなる鍛えられたと言っても良い…強かった、ああ、強かったさ!

 

 結局はフィアがこっそり獲ってきたから狩れたものを…もう戦いたくねえぜ。

 

『勿論それだけじゃない。拾ってきた金銀財宝もプレゼントしちゃうからね! いくら沢山あるからってこれをあげるのは三人だけだよ! あ、べ、別に三人が好きとかじゃなくって沢山あったから処分に困ってただけなんだから! か、勘違いしないでよね!!///』

『『『( ゚∀゚)・∵. グハッ!!』』』

『男のツンデレとか誰得ぅ…って、どうしたお前ら!?』

『ミネルヴァのツンデレとか俺得ぅ……輸血用意、完了…輸血を開始する。輸血完了まで、凡そ五分……四分五八秒…』

『おっさん!?』

『あ、やばい…私イッちゃった……公園のトイレなのに』

『それやばいだろ!? 誰も居ないよな!? 居ないって言ってくれぇ!!』

『ちょっとお暇を頂きたく…ええ、大丈夫です、この血はあれです、愛です…前かがみ? ちょっと何言ってるのかわかんないです。失礼致します』

『メイドさん、声だけじゃなくってこっちでも言ってるから! というかお前さん主の前で血を噴出したのか!? 何してんの!?』

『メイドさん('A`)人('A`)ナカーマ』

『はい、林檎様( ´∀`)人(´∀` )ナカーマ』

 

 あれ、この二人何の仲間なのか気になってきたけど、それよりおっさんが何してんのか気になんだけど!

 

 何輸血って…ティッシュだけじゃなくって輸血パックも用意してたのかよ! 用意周到だなおい!

 

 お前は何処のムッツリーニだと凄く言いたいが……そんなんだから結婚できないんだよ。

 

『そ、それでだな…なんだっけ…あぁ、棺の中に入っていたものなんだが、それはミイラだったんだよ』

『ふぅ…落ち着いてきたぜ。って、棺の中がミイラだと? 在り来りじゃねえか』

『速攻で家に帰ったよー。ミイラってあのミイラ?』

『もしかして人型じゃなかったとか?』

『いや、人型だったぜ? ただミイラの骨が凄いものらしくてな…なんか人型なのに龍骨とか言うらしくて、砕いて煎じて飲めば龍に。加工すれば最強の武具。身に付けていたら力の源。連れ曰く、龍が人化したまま死んで弔われた結果がこれらしい』

『まじかよ…そんなのがあったとか……』

『龍なんて居るんだなー。ただの幻想かと思ったら昔は居たんだな…割と身近に不思議生物居るんじゃねーの?』

『そ、そうかもな…』

『そうだったら面白いね……』

『ゆ、夢が膨らむじゃありませんか。え、ええ、きっと色々居ますよ……』

『だろーな。まぁ、悪魔が居るんだから不思議じゃねえよなー。あ、悪魔とか実際に居るらしいぜ。嘘じゃないから』

 

 なんか無言になったけど、信じてないってパターン? 実は此処で話してないだけで頭の中ではこいつキチガイじゃねぇの?とか考えてるだろうか。

 

 もしそうなら泣くけど。ドン引きするくらい泣きわめきますけど、構いませんねッ!

 

 は、早めに話を戻そう。

 

『で、でだ、その骨も使い道ないけど拾ってその傍らにあった角とか鱗とか爪や牙を拾ったんだけど……頭の横に置いてあったものが問題のものだったんだよ』

『ふ~~…まあ此処で話してる時点で普通じゃねえか…………で、なんなんだよ』

『うわ、おっさんにキチガイ扱いされた。鬱だ、死のう……』

『―――おじさん何言ってくれちゃってんの? あ゛ぁ゛? 余程死にたいらしいね、いいよ私が殺してあげる。どうやって死にたい? 惨殺?銃殺?撲殺?圧殺絞殺呪殺刺殺毒殺焼殺爆殺…なんでもいいよ、好きなのを選んで』

『少し、OHANASIをしましょうか……遺言は書きましたか? トイレは済ませましたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備は、OK?』

『ひぃっ!? お、落ち着け! そういう意味で言ったんじゃねえ! 頼むから正気に戻ってくれミネルヴァなにか言ってくれよ頼゛む゛か゛ら゛さ゛ぁぁぁぁッ!』

『何ちょっと藤○竜也みたいに言ってんだよ似てねえよ。二人共落ち着け、冗談だからよ。な?』

『だよね! ミネルヴァ廃のおじさんがそんな事言うわけないよね! もう吃驚しちゃったじゃない』

『私は信じてましたよ、はい。おじ様がミネルヴァ様にそのようなことを心から言うなんてことはないですものね。冗談に決まってます』

『女って怖いと思った瞬間120%…』

『限界突破してるじゃねえか』

 

 どんだけ怖かったんだよ。そしてお前らはどんだけ俺の事好きなの? 嬉しいけどね! そんなお前らが俺も大好きだ!

 

『今お兄ちゃんのデレを感じた!』

『なんで感じ取れんの!? 怖いわ!』

『余裕です』

『この数年で影響を受けた俺達には余裕だぜ』

『なにそれ怖い…は、入ってたものなんだけどな? なんか小さなナイフみたいなものだったんだが…なんつーか、ナイフみたいでナイフじゃなかったんだよな』

『ん~? ナイフだけどナイフじゃない?』

『おう。そのナイフを連れが咥えた瞬間、そのナイフが独りでに浮いて胸に刺さったんだよ』

『刺さったのですか!? というか連れがナイフ咥えたってどういう状況ですか…持つのではなくて?』

『ああ、咥えた。そしたら連れが不思議な力を使えるようになったのさ』

『不思議な力…(まさか神器じゃねえだろうな?)』

 

 いやぁ、ぶっちゃけ神器だけど三人に話して信じてもらえるかはわからないから話さないけど。魔法を使える一般人だったら知らないだろうし。

 

 念話の魔法くらい初歩中の初歩だからどこかで切っ掛けがあれば覚えるでしょ。

 

『なんか想像したものを創造できるらしい。凄いよな、色んな物を創造できるんだぞ? 不思議チックだけど』

『不思議系なのね』

『不思議系ですか』

『不思議系なんだな』

『不思議系だ。この世界に存在するものと被るものは創造出来ない。何か一手間奇抜な想像による不思議を付け足さなければならない。キャベツに足が生えて走り回るとか。ちなみにキャベツは食えます』

『食べれるんだ……食べたくないね!』

『速攻燃やした』

『燃やしたのかよ!? つか、作ったのか!』

 

 部屋の中をおっさんの足を生やしたキャベツが走り回ったのはホラーを越えてた。フィアが上に乗ってたけど、俺は何も見なかったかのように気を炎に変換して燃やした!

 

 あんなのもずっと置いとけるか! 黒歌も黒歌で変なもの想像しやがって! 

 

 あ、神器に適合したのは黒歌だった。色々面白いものが作れるようになったぜ。

 

『そうしたらもう一人の小さな連れも一緒に燃えちまってさ―。頭がチリチリになって出てきてやがんの。わはは!』

『燃やしたミネルヴァお兄ちゃんがいつも通り過ぎて安心したよ』

『燃やされた連れが出てきたことに疑問を持とうぜ……いや、些細な問題か』

『火炎放射器でも使ったのでしょうか。さぞかし愉快な頭になっていたことでしょう』

 

 アフロってたよ、メイドさん。

 フィアが髪を一撫ですれば元通りになってた。アイロンも吃驚の大変身だ。

 

『まあそんなこんなでバレることなく逃げ帰ったわけなんだが、穴埋めるの忘れちまったんだよな。テレビでもつけてみ? ニュースで大騒ぎになってんじゃね?』

『今からつけてみるね! ―――うわぉ、一晩で444メートルどうやって掘ったのか、そこには何があったのかとか凄い議論されてるよ』

『マジだ…なんで棺だけ残してきたんだよ。そのせいで中に居たのが生き返って地上に出たんじゃねえのかとか言われてんぞ』

『貴方は馬鹿ですか? あ、馬鹿でしたね。ご主人sゲフン! ミネルヴァ様がそのような重い物を持ったまま上がれるわけないじゃないですか』

『今とんでもないことが聞こえた気がしたんだが……まあいい、確かにそうだよな。棺担いでロープなんて登れやしねえか』

『いや、普通に棺とか要らなくね? 粗大ごみでしょ』

『『『異議なし!』』』

 

 マジでテレビでニュースになってたらしい。羽とかは落としてないから大丈夫だと思うけど、キャベツの滓は落ちてるかもな! 

 

 解析された時の反応が楽しみだ。意外! それはただのキャベツ! とか。

 

 まあ何はともあれ、この話は終わりだがまだまだ他の雑談は続くのだ。俺達のこれに終わりはないといえる。誰か用事がある時を切っ掛けに終わるくらいか?

 

 なんか割と疲れてるし、今回は寝落ちしそうだな~。前回寝落ちしたときに何やらメイドさんについて寝言を言ってたらしいけど、今回はなにもないといいぜ。

 

 メイドさんがまともに喋れなくなるくらいのこと暴露してたらしいし…何喋ってんだよ俺のバカ! 寝言で口説くってどんだけ!?

 

『あ、そう言えば友人にちょっとした仕返しをしたいんだけど、何かいい案はないかな? お兄ちゃん!』

『名指しかよ』

『その案件、俺が最良の一手を討つ! …………昼休みとかに下剤でも盛ればいいんじゃね?』

『割と単純な上に外道じゃないですか!』

『もしくは携帯の着信音をAV女優の喘ぎ声とかにして授業中鳴らすようにするとか。帰りに玄関上の階で待機して虫やらスライムやら汚物パイやゲテモノパイを落とすのとか定番じゃん』

『相手は女だからウホッな兄貴とかレスリングとかの声にしよっと! 全部するね!』

『逃げてー! 仕返しされる子超逃げて―!』

『不登校待ったなしのバッドエンドルートをマッハで一直線に駆け抜けてますよそれ!』

 

 こんな具合に話が終わらないんだよな。この話題もかなり面白かったけどな。

 

 

 

 




きっとこれから神器を受け入れちゃった黒猫が色んな場面をミネルヴァと荒らしてくれるはず…多分ね! 
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