文書能力が欲しい´д` ;
1話
「…ぬう…………」
目を閉じても分かるほどの眩しいばかりの光と照り付ける程の熱気より目が醒める。
「………此処は……一体…」
起きたばかりの脳を回転させ今の現状を把握仕様にも不可思議過ぎる光景に戸惑いを隠せなかった、ケンシロウと対峙した時の傷は無くなり戦う前の姿に戻っていた…それよりも…目の前に広がる光景は、世紀末の砂漠の荒野とはかけ離れた白い砂浜、青く澄んだ美しき大海、核の炎に包まれてから見る事のない青々と茂る木々。どれも懐かしく忘れていた物であった。
「…………此処が天……いや、…まあよい」
世紀末覇者拳王はあの場で生き尽くした。ならば今此処にいるのは自分なのか?…否間違いなく自分自身である。ならば此処は目指していた天であるのか……考えても分からん。
一つだけ理解出来た事がある。
俺 は ま だ 生 き て い る っ ! !
あの場で世紀末覇者拳王は死んだ。
今此処にいるのは唯…北斗神拳伝承者に選ばれる事の無かった男……考えても分からんなら考える必要などない。
別に此処が何処なのであろうが構いはしない。それこそ目指していた天だろうが何処だろうが……しかし……
「……此処は一体どこだ?……分からぬ…」
眼下に広がるの大海原を見渡し足を止めた。
何事にも例外は存在する、この世にたった一つ残された……故郷である修羅の国へと繋がる死の海。しかしこの場からは懐かしさは一切感じる事が出来ない。
考えれば考える程おかしい…目の前に広がる美しき蒼の大海、瑞々しい木々おまけに空気もうまい…此処は別の世界では無いのか…。
「…ともかく寝床をさがすか」
ただ今は闇雲に砂浜を彷徨う事しか許されなかった。
◇◆◇◆
「ぬ!…」
数十分間砂浜を歩き続け、初めて人工物らしきものが見えてきた、コンクリート製のかなり大きな施設が海に隣接する様に建てられている…しかし、建物の一部は焼け落ち砲弾の痕が痛々しく残り壁の中身が見えてしまっている。
「…まあよい。これで状況を分かる者が居ればよいが」
可能性は低い、人間が生活していると言うとは思えぬ程外装はボロボロであり何方かと言えば廃墟に近い。
さほど期待はしていないが雨風を防げるだけで御の字であった為迷わず施設へと向かっていった。
◇◆◇◆
破壊された門と道、こびり付いた血痕…まだ放棄されて時間が然程経っていないのだろうか…施設自体はそれ程古い物ではない、狭い門を潜り抜け扉を開けると中は埃が溜まっているだけで瓦礫に埋もれている訳では無かった、しかし人が住んでいると言う生活感は全く感じ取る事が出来なかった。
「…………………」
無言で施設内を散策するラオウ、出来ることなら場所を特定できる資料、それと僅かでも残されていれば有難い食料を探していた。
「…ん?」
一つの部屋の前で足を止めた、此処だけ埃の様子が違う…何よりも人の気配が…もしや。
扉を開くと目の前にはボロボロの巫女服の様な奇抜なデザインの服を着、長い黒髪の一人の傷だらけの女が存在していた。
「あっ……あぁぁ」
女は明らかに部屋に入ってきたラオウに怯えていた。
「…突然邪魔をした事は謝罪する、少し聞きたい事があるのだがよいか」
「こないで!!」
「ぬ!?」
「こないで…………こないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでこないでーーーーーーーーーーー!!!!」
「………………………」
入って来たラオウを見て、突然壊れたレコードの様にこないでと言い発狂し手を頭を守る様に抱えしゃがみ込んでしまった女にラオウもただ黙って見ている他出来ずにいた。
瞳に光は無く、所々白い肌に痛々しい生傷が目立つ…明らかに普通では無い。
もはや落ち着くのを待つしか無かった。
「いや…いやぁっ!……やめてください……榛名は…榛名は……殴らないで下さい…ぶたないで下さい…」
「…悲しき女よ」
この女…恐らく恐怖により心は壊されてしまっている…かつて自らが恐怖により心を支配した様に…違いがあるとするならラオウは女子供には決して手をかけていないそれだけだ…しかし……ラオウの内に秘める心は奮い立っていた。
「…胸糞が悪い……女に手を掛けるなど……ん」
部屋奥から二つの小さな気配が近づいてくる……今にも消えそうな気が……
「榛名………大丈夫ですよ……私が守りますから…ね…」
「あっ……あうあ…」
奥からは青い軍服に小さな帽子を被り金の長い髪をした美しき女と、幼い栗色の髪の少女である。
黒髪の女同様奥から出てきた二人の女も極上とも言える容姿だ…あの世紀末の世界であるならば何ヶ月分の食料を出しても安い程の…しかしそれ以上に痛々しい傷が目に止まる。
特に金の髪の女は酷い、足を引きずり身体中包帯だらけである。
金の髪の女は覆い被さる様に黒髪の女を抱き締め頭を撫で落ち着かせ始めた、まるで我が子を抱き締め慈しむ様に。
「あうぁ……あぁあお……」
幼い少女も手を取りまるで 泣かないで とも言う様に宥めている。
……この少女もしや声が出せないのか……
◇◆◇◆
「…ありがとうございます愛宕さん……雷ちゃん……」
大分落ち着きを取りも出した榛名と呼ばれる女は涙を拭い二人に謝罪した。
「大丈夫ですよ榛名…」
「あぅ…」
「それで……貴方はどちら様でしょうか?何故こんな所に危険な解放されていない海域の無人島に人間がいるんですか?」
愛宕と呼ばれた女は振り向きラオウの方へと向き質問した……明らかに警戒し敵意のある瞳を向けて。
「…我が名はラオウ。それよりも聞きたい事があるのだがよいか」
「質問しているのは私ですが」
…仕方あるまい。とは言えさて…どうしたものか……
「…分からぬ…気が付けば海岸線沿いでオッ倒れていたわ」
回答に不満行かなかったのか愛宕は警戒レベルを更に上げた。
「貴方…ふざけているんですか」
「…ふざけてなど無いのだが……まあよい。それよりもうぬ……もしや声を出す事が出来ぬのか?」
取り付く島もない……有りの侭の事を言ったが別に信じてもらう必要など無かった故会話を終わらせ、雷と呼ばれる少女に顔を向けた。
「!…あぁぁ…う」
「…確かにこの子は声を出す事が出来ません、しかし貴方には関係ないです」
愛宕の言葉に耳を向けず、雷の後頭部に手を当てた。
「あぁぁ……あう」
……この小さな瞳は今まで何を見てきたのだろうか……ケンシロウと対峙する迄は他人の事など思いもしなかっただろう自分に苦笑いすら込み上げてくる。
「案ずるな、うぬも心配するでない。少しの間大人しくしておれ」
いきなり自分の後頭部に手を当てられた事に雷は後ろに下がってしまったが、ラオウの表情を見て下がる足を止めた。
ラオウの表情は微笑み優しく澄んだ目で雷を見つめてそして
「ふんっ!」
ピシーーーン
「………一体何を」
呆然と見ている事しか愛宕は許されなかった。
「……まじないをしただけだ。あとはうぬ次第……心の叫びが声を呼び起こす」
一体どうしたと言うのだ……本当に自分らしくない。
だが……まあよい。
「…信じられません、触っただけで声が出せる様になるなど。同情するのなら止めてください……貴方は分からないでしょう……この子が……私たちが……どんな辛い思いを…して来たのか……」
愛宕の瞳には大粒の涙が溜まっていた……それだけで嫌でも理解出来る、どれ程の地獄を見てきたのか……
ドゴーン!!
思考していると突如激しい爆発音が施設中に轟いた、一体何が……
備え付けられていた欠けている花瓶は地面に叩きつけられ音を立てて割れてしまい、椅子などの埃を被っていた家具なども倒れている。
「っ!……まさか深海棲艦!?またですか。……愛宕さん……雷ちゃん。此処にいて下さい、私が……榛名…行きます!」
震える手を握りしめ先程まで震えていた榛名は部屋を飛び出した。
……深海棲艦?聞き覚えがない言葉にラオウは違和感を覚える。
「榛名!……駄目よ……死にに行くつもりなの…」
「!…………」
そして覚悟を決めたかの様に雷は顔を上げて榛名の跡を追いかけて行った……一度だけ振り向きラオウの顔を目に焼き付けて。
「雷ちゃん!?……貴方まで……うっ…うう。殺されると分かっているの……」
……理解が出来ずラオウは困惑せざるを得ない。
「…おい。一体何が……説明しろ…殺されるだと?」
「………いや……一人にしないで……」
ラオウの言葉は響かず、愛宕の目に光は無くただひたすら涙を流し泣き崩れてしまった。
「仕方あるまい……ふん!」
「!………………」
「秘孔の一つ定神を押した、少し眠っておれ……さて深海棲艦とは一体……実際に見てみるか」
眠ってしまった愛宕を丁重にソファーの上に寝かせ、ラオウは二人が向かった先……音が大きく響く方向を目指し走り出した。
◇◆◇◆
施設内を駆け抜け音の方向を目指すと裏の浜辺に出る事が出来た、浜辺から距離にしておおよそ1キロ程の水平線の彼方から砲弾が飛び交う様な爆音が轟く。
「…実に奇妙な光景であるな」
水平線に浮かんでいるのは見たこともない禍々しいオーラを放ち戦艦の様な砲台を装備している人間とはかけ離れている女が二人と奇妙奇天烈な魚の化け物が数匹…そして
「っぅ……そんな……」
同じく先程は装着していなかった砲台を装備し、戦っている榛名と雷……両者とも砲台は深海棲艦と呼ばれる敵との戦いでひしゃげ、殆どガラクタに近くなってしまい顔色は絶望に染まっている。
しかしラオウには関係のない事だ。力こそ正義…あの世紀末の荒野の世界で南斗のKINGはそう言った。……違いない、例え女だろうが力がない自分を恨むべき……だが
「……ふん、このラオウにもまだ人間臭さが残っていたとは」
面白くない……そんな感想が一に出てきた。
理不尽な暴力が心も体も蝕まれる女を見て心が…体が揺さぶられる。
ケンシロウと対峙し愛と哀しみを知り何かが変化しようとしている。……天を目指していた頃に比べ付き物でも堕ちたのだろうか。
「フッ、深海棲艦とやら…貴様らはこのラオウが相手をしてくれるわ!!」
不敵に笑い水平線の彼方へとラオウは飛び立った。
ラオウの口調が掴めない…ラオウぽいかな……
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