もしSKYRIMの世界にはくのんと紅茶が召喚されてしまったら   作:ヤステル

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ベセスダ様のゲームは大好物です。
結構やりこみましたが、スカイリム以外データ消えました……orz


オープニング③ ―岸波白野の本―

   *

 

 わたしがその本を見つけたのは、丁度中東を離れて、西アジアから欧州へ入ろうとしていた頃だった。

 旧ユーゴスラビアはスロベニア。かつて大きな民族紛争があり、分裂した国のうちの一つだ。

 そこには、国立の大学図書館がつい最近まで西欧財閥の管理課にあり、最近の反抗活動でようやく奪還したものだった。

 わたしも慣れないながらも、丁度そこで小競り合いをしている中東勢に加わって戦闘に参加した。不思議と戦いにおいては、特に何も動じることはなかったが――。

 

「やれやれ――。まだまだ君は甘いな。教えたことを半分も身に着けていないじゃないか。そんなんじゃ、到底オレからは解放されないぞ」

 

  ……これである。

 わたしの後ろで、スナイパーライフルを抱えながら腕を組んでいる男――□□□が皮肉交じりに言ってきた。

 わたしは、頬を膨らませ、むすっとした顔をして□□□の方へ顔を向ける。

 □□□は、わたしの顔を見て反応するように語る。

 

「文句があるような顔だな。いいか。前にも言ったが、オレは君の面倒を見るように言われている。君を一人前の魔術師にするように言われているのだから、いくら才能がなかろうと、その才能のなさは君の努力でカバーするしかない。……言っていることは分かるか?」

 

 それはもう耳にたこができるくらい聞いた。言っていることは最もだ。だが、それでもやっぱり言葉を選んでほしいと思うのはわたしの間違いだろうか?

 

「言葉を選ぶ? オレはこれでも優しく言っているつもりだぞ」

 

 □□□は、当たり前のように言うが、絶対違う、とわたしは強く否定した。

 だっていくらコールドスリープで長い間寝ていたとしても、わたしはまだ花の女子高生ですよ? ――昔の言葉に言い換えるなら、「JK」ですよ? そんなか弱い女子高生に、スパルタ方式で鍛えられてるんですよ? 昔ならこれは、体罰ですよ? これはもう許されざることではありませんか?

 わたしが、心の中で不満をぶつける。□□□は、わたしを見透かしたように溜息を吐いて言った。

 ……やめて、その憐れむような目。なんか腹が立ってくる。

 

「君はまだ分かっていないようだが、現在は大きな戦争下ではないが、それでも小競り合いとはいえ戦いが起こっているのは分かるだろう? 言うなれば、命の危険と隣り合わせの現場に君は居合わせているんだ。なのに、君は『まだ若いのだからそんなにきつく言わないでくれ』と言わんばかりの顔をしている」

 

もしかして、本当に心が聞こえているのだろうか、と疑問に思ってくる。

 はいはい。わたしはどうせたるんでますよ、と反抗した。

 

「それだ。その顔だ」

 

□□□は、わたしの反抗もろくに耳に入れてくれないようだ。

 

「それだからオレは、半年間君の面倒を見るというノルマが達成されないんだ。代金分はもう働いたというのに、それでもオレの仕事は終わっていない。分かるか? もう八か月も経ってるんだぞ? これ以上、タダ働きをされるのはいい加減迷惑になってるんだ。頼むから最低限学んで、独り立ちしてほしいものだね。オレは君の召使いでも親でもないんだぞ」

 

□□□は、そう言って、歩き出す。

 

 

 ――ふいにノイズが入る。

 

 

 確かにその通りだとも思う。半年間でわたしを一人前の魔術師にすると言って、来てくれたのだから、その期待には応えたい。

 だけど、半人前のわたしにすぐに一人前になれというのは、ほとんど無理な話ではないだろうか?

 魔力は、人並み以下のもので、今の魔術師たちには劣る――尖兵にもなりえない三等兵以下の使えない兵士。そんなわたしを半年という短い期間でどう一人前に出来るのだろうか。昔の熱血先生だってそんなことは、絶対に不可能だ。

 後はわたしの努力とガッツ次第と言ってくれたが……それでも限度はある。わたしとて、無限の体力を持っているわけじゃない。中東の暑さに耐えうる身体をまだ持ち合わせていない。欧州の寒さに耐えうる身体も持ち合わせていない。諦めの悪さや精神力の強さを持ってしても、それらをカバー出来るほど、物語の主人公じみてもいないのだ。

 

「……どうした? 早く行くぞ。占拠されていた場所を取り返したんだ。早く中を見ようじゃないか」

 

□□□はそう言ってわたしに手を差し出す。

 

「もたもたしている暇はないぞ。奪取した地点は素早く自陣になるように整える。そうすれば敵が残していってしまった情報がより多く手に入る。以前君に教えたな」

 

うん、分かっています、と言ってわたしは□□□の手を取った。

 わたしは□□□の後を追うように進んでいく。

 半人前だ、親じゃないんだぞ、とわたしに厳しく注意するのに、結局□□□はわたしを優しく労わってくれるのだ。

 分かっているのだ。これが甘えだということくらいは。

 一緒になって八か月――□□□にとっては半年間の教官と教え子という契約の間柄だろうが、わたしにはそれ以上の何かを感じていた。

 それが何なのかは分からない。

 たった八か月なのか、もう八か月なのか……。そうだ。まだ、八か月しか経っていない。

 たった八か月の間柄だというのに、どうしてこんなにも複雑な思いをしているのだろうか。八か月前に出会うまで、一度たりとて接点なんてなかったはずなのに。

 

 

 ――またノイズ。

 

 

 わたしの中にある何かが蓋をしているような感覚だ。

 何かが溢れかえりそうなそんな感覚。沸騰して吹きこぼれそうな鍋に蓋をしているようなそんな感覚だ。

 一体何なのだろう。

 胸の奥で、どうにも釈然としない、苦しい感覚だ。

 だが、その答えはまだ分からない。

 急がなくては。また□□□に怒られる。

 

 

 

 図書館内は当然だが閑散としていた。

 だが、それ以前に、ついさっきまで小競り合いをしていたとは思えないほど綺麗なものだった。

 本棚に収納されている無数の書物は無傷で、大事に仕舞われていた。

 

「中々あっぱれだな。西欧財閥もこういったことはきちんとするのは実に有難い」

 

□□□は、辺りを見回しながらそう言った。

 ていうか、敵に感心してしまっていいのだろうか? 一応敵なのでは? と、□□□に声をかけた。

 

「ん? ああ、まあそうなんだが。こういったものは大体1900年から2000年代前半の書物だからな。研究書も多数あるが、過去の記録を本にしてまとめているものも多くある。日本で言うなれば『大日本史料』がそれだな。こういった過去の遺産は出来れば無傷のまま保護しておきたいのさ。さっきのような小競り合いは、これらを消し去るには充分すぎるほど危険なものだからね」

 

へー、とわたしは感心する。

 □□□もそんなことも考えていたんだな、と言った。なんだかんだ言って結構細かい。

 

「無論だ。さっきの戦闘を見ていなかったのか? 敵を拠点から離しつつ攻略していったのは、これらを守るためだぞ」

 

あれ、そうだったっけ? と素で返す。

 そう言うと□□□は、はあ、とまたため息を吐いた。今度は、情けないと言わんばかりの顔で。

 

「君は……、まあいい。君に小言を言うのは、馬の耳に念仏を覚えさせるよりも面倒くさいことだからな。これからゆっくり覚えていくといいさ」

 

さあ、行くぞ、と□□□は近くの本棚の巡りに行った。

 わたしは、その後をつけていく。やっぱり□□□はいい人だ。皮肉は少し腹立たしいが、嫌な気分にはならなくなっていた。

 ……あれ? さっきしれっと皮肉よりも酷いこと言われなかった? わたしのこと動物以下ってさりげなく言ってなかった?

 思考を巡らせたが、気のせいだ、と思うことにした。うん。気のせいだ、間違いない。何故だか分からないけど、右手の甲を抑えて、□□□に命令したくなるという謎の衝動が抑えられないけど、何もなかったことにしよう。

 

 本棚には、わたしが読めない言語で書かれた書物しか置いてなかった。中には英語のものが混じっているが、専門的すぎて完全に理解するには至らなかった。

 頭を抱えて悩むわたしを尻目に、□□□は、ペラペラと本をめくっていく。

 流し読みをしているのか、速読なのかは分からなかったが、それでも理解せずに読んでいるとは思えなかった。真剣に目で文字を追っていた。

 表紙を見るに、英語ではない。スロベニアの言語だろうか?

 わたしは□□□に尋ねた。

 

「これか? 別に物語や小説の類ではない。セルビア語で書かれているあるジャーナリストの手記だな」

 

手記と聞いても、文字が読めないからどう反応していいか分からない。

 というより□□□は、他言語も出来るんだね。全く知らなかった。

 わたしは、何故か上から目線で皮肉るように言った。

 だが、□□□は全く動じずに答えた。

 

「別に出来るほどじゃない。この仕事柄、海外を巡ることが多いから、その国の言語を覚えることは必須事項だった。まあ、通訳がいればそんなこともないんだが、毎日聞いていれば、誰でも段々と覚えてくるようになるものだよ」

 

そんなものなのだろうか、と□□□の話を聞いて少しだけ不思議に思った。

 そりゃ、会話出来るくらいなら間違いないだろうけど……でもその生活をしていて、本を、しかも今読んでいるような手記を読めるくらいにまでに至ることが出来るのだろうか。

 ……多分どころか、普通じゃ無理だ。文法から熟語まで最低限覚えないと出来っこない。

 ……うん。多分、□□□は陰で努力するタイプなんだろう。テスト前に、俺、テスト勉強してねーよ。やべーよ。って言ってるくせに、いい点を取るタイプだ。

 ……それはそうと、その本はそんなに面白い物なのか、少しだけ興味を持った。

 

「面白いかどうかは個人の判断だが……少なくとも、興味深いとは言えるな」

 

 □□□は、そう言いながらページをめくるのを止めた。

 興味深い、か。一体どこが興味深いのか気になった。

 

「これはボスニア出身のサッカー選手の体験だ。九十年代のボスニア内戦は、旧ユーゴスラビア内戦の中でも過激だったものの一つだ。女子供問わずに虐殺していった地獄の戦いだった。それでも、地下の隠れ家で隠れながら、小さな窓から照らす日の光だけを頼りにボールを蹴っていた少年がいたという話だ」

 

 なるほど、とわたしは頷く。

 □□□が、わたしにその手記を手渡してきた。読めはしないが、その少年が心に響く。

 劣悪な環境の中でも希望を失っていない……何だか心にくるものがあった。諦めない……何だか共感できる。

 ちなみにその先は? と質問すると、どうやらその少年は無事にプロ選手となって欧州、そしてボスニア代表の中心選手とまでになったそうだ。

 わたしは、手記を□□□に返した。□□□は再びぺージをめくりはじめた。

 何だが、わたしも何か探したい気分になった。自分のレベルで読めるものでもいいから、何か得るものが欲しい――そう思った。

 タイトルだけではなく、表紙でも気になったものを手に取っていく。

 だけど、あまりよく分からない。

 何か……英語でも何でもいいから、わたしにでも読めるものがないだろうか。

 そう言って指で本の背を指でなぞっていく。

 すると、一つだけ――。

 

 

『The Way Of Your Future』

 

 

 あなたの未来への道――そう書かれた英語の本を見つけた。

 物語のようにも、筆者の告白本にも読み取れるタイトルにわたしは何だが惹かれてしまった。

 これならわたしにでも読めそうだ……そう思って本を開いた。

 

 

 まるで純白のドレスのようにまっさらで真っ白。美しいほどに白かった。

 

 

 読むも何も、文字すら書かれていない真っ白な本だった。

 え? 何なの? もしかして、外国の文字を読むことが出来ないわたしには白紙の本を読むことをお勧めするってことなの? これって完全に馬鹿にされている? と、ふとそんな負の考えが頭を巡っていた。

 いけない。これを□□□に見られたら、何を言われるか分かったものじゃない。

 きっと、

 

 

『いいじゃないか。今の君にふさわしい本だ。これを教訓に君に何が足りないのか考えてみるといい』

 

 

 ――なんて皮肉を言ってくるに違いない!

 だったらさっさとこの本を元に戻して何食わぬ顔して戻ろう。そして、さっさと拠点を味方に任せてさっさとここから立ち去ろう。

 わたしはそう思い、本を戻そうとすると、

 

「何かいい本を見つけたのかい?」

 

 背後から□□□の声が聞こえた。

 わたしは驚いて背中を震わせた。鳥肌が服にまとわりついているのが分かる。あまりの驚嘆ぶりにわたしは、□□□に顔を向けることに恐怖と恥辱を覚えていた。

 わたしは恐る恐る振り向く。そこには、少しだけ嬉しそうな□□□がいた。

 

「どうだ? 何かいい本でも見つけたか?」

 

 □□□は聞いてくる。

 いい本? ああ、いや。特には……。

 わたしがそう答えると、不思議そうに指をさした。

 

「そうか? それにしては、左手に本を持っているが……?」

 

わたしははっと、気が付いた。あまりに唐突だった所為で、本を地面に落とした。

 落としたぞ、と□□□は本を手に取った。そして、おもむろに本を開いた。

 ああ……終わった……。□□□に馬鹿にされる。そして、わたしはもう社会で役に立てない子になるんだ……。

 わたしがそう思っていると、□□□は微笑みながら返した。

 

「君はいい本を手に取ったな。まさかこういうところでこれがあるとは思わなかったよ」

 

 返してくれた本をわたしはそのまま受け取る。あまりに予想外だった所為か、わたしの思考が追い付いていない。

 

「ん? どうした。何を驚いているんだ?」

 

 □□□が疑問に思ってわたしに聞いてきた。

 いや、あの……それを見て何にも思わなかったんですか?

 

「何をって……何をだ?」

 

 いや……だって……白紙の本ですよ? まさか何も読めないわたしが白紙の本を読んで満足するような人だとは思ってない?

 わたしがそう言うと、□□□はまたいつものように溜息をついた。

 

「君は何か勘違いをしているようだ」

 

 勘違い……? と言ってわたしは首を傾げた。

 

「これは読むための本ではなく、『創る』ための本だ。正式名称は『白い本』という」 

 

 創る……ための本? それは一体どういうものなのか?

 

「自由帳やノートといった類とは違う。自分による自分のための自分だけの本を『創る』ための本だ。そこに書き込むことは何だっていい。物語だろうが詩だろうが、メモや日記だろうが何だっていい。一番重要なのはその本を自分色に染めることが大事なんだ」

 

 自分色……わたしは、ふと過去の自分を思い返す。

 昔……とはいえ、コールドスリープで長い間眠っていたわたしには、自分の時間がまだほとんどない。そんなわたしには、あまりに不向きな本のように思える。

 だが、□□□は、そんなことはない、と言って返してくれた。

 

「過去だけが君ではないだろう? これからの未来だって。今の君を形成する上で重要な要素だ。自分色に本を染めるというのは、言わば、自分自身の人生そのものを本の形にして残すということだ」

 

 □□□は、優しくわたしに諭す。何だが妙に説得力のある言葉遣いに思わず、陶酔しそうになった。

 

「君はフィリップ・K・ディックという作家を知っているか?」

 

 唐突に□□□が聞いてきた。だが、生憎わたしは知らなかった。

 

「まあ無理もない。20世紀の有名なSF作家だ。『ブレードランナー』や『トータル・リコール』、『マイノリティ・リポート』など、名を言えば誰もが聞いたことのある有名な作品を書いた。ドラマや映画化もされた。万人には、映像作品の方が印象が強いだろう。彼が書いた作品の中に『調節班』という物語がある。映画では『アジャストメント』というタイトルで放映されてね」

 

 □□□は、流暢に話す。どうやら、思い入れがありそうな感じだ。

 □□□はあらすじを説明し始めた。

 

「調節班とは、生きている人間の人生を調節するのを仕事としている。人間一人の人生は全て一冊の本に綴られていて、それらは巨大な図書館で大勢の調節班とその最高責任者が管理している。本に綴られた人生は必ず起こるように設定されていて、それに逸脱した行為をすれば調節班が動いて、本に綴られた出来事になるように調節する――そんな話だ」

 

 それは、まるで……人間の一生は全て決まっているということを意味しているように聞こえた。

 

「そうだ。人生は――未来は決まっているのがこの物語の根底だ。運命の選択と呼ばれたものは実はなくて、どれを選択しても、本に綴られた確定された未来に続くようになっている……まさに管理された未来だ。今の西欧財閥が目指す世界のようなものだ」

 

 だが、と□□□は言う。

 

「だからこそ主人公は、その確定された未来を覆すために動いた。自分のとった選択を調節班に認めさせるために……その主人公こそが、正にオレたちだとは思わないか?」

 □□□は、わたしに優しく言った。

 物語は読んだことはないが、不思議とうん、と頷きたくなった。

 

「自分色に染めるとはそういうことだ。誰にも縛られず、決めさせることもさせずに、自分の思い通りの色を付ける。もし人生が一冊の本であったとしても、すでに出来事が決まっているのでは張り合いがない。白紙から、自分で自分の人生を紡いでいくのも悪いことではない――そう思わないかね?」

 

 そうだろう。きっとそうなのだろう。□□□の言っていることは、よく分かる。

 わたしは本を開く。白紙だが、そこからわたしの思い浮かべる世界が広がっていく――そうか。これがそうなんだ、と。

 それは神と天使に導かれた昔の人々のようではなく、神と天使に見守られ、自分自身で選択することを許してくれた世界――それこそが現在(いま)の世界なんだ。その世界のように、人は無限で偉大な存在なのかもしれない。

 この本は、わたしだ。

 そして、これからのわたしの人生だ。

 本を撫でながら、わたしはそう思った。

 

 

 その時だった。

 本から文字が浮かび上がったのは。

 

 

  Tol los viilut. Hin tey los ni oblaan.

 

 

 浮かび上がる謎の言語。英語ではない。アルファベットを使っているが、全く身に覚えがない言語だった。

  わたしはそれに飲み込まれるような衝動を覚えた。

 

 

  Daar los gein do tey ko hin laas. Vir pogaan drey hi koraav fahraal do lein? Gein? Ziin? Uv zos. Nii los ni vahzah. Hi lost wah koraav vahzen do lein. Hi peluth yun uzgrolein tey. Daar los hin malur do hin laas. Hi fen koraav ahrk fraan ko hin miin, hon hin honiir, ahrk komaan hin hah. Ahrk siiv tir hin aluntiid. Fos dreh hi laan wah dreh. Nu, vos mii bo. tey los gon. Pruzah gluus faal Hun. Zu'u hind hi pah pruzaan.

 

 

 文字が現れた瞬間――世界が物凄い速度で進んでいった。

 周囲が引っ張られて線になり、それらが吸い込まれるように流れていく。

 わたし自身は、何も動いていない。世界が――世界だけが進んでいた。

 □□□が遠ざかっていく。声をかけても、それは届かない。

 何だ、何が起こったんだ、と状況を把握しようにも世界はその理解を許してはくれなかった。

 そして、わたしはふわりと宙へ浮き……。

 大きな海の底へ沈んでいった。

 




オリジナルの解釈がある故、許していただきたいで候
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