ぼっちな俺はとある理由で田舎で暮らす。   作:ちゃんぽんハット

13 / 16
遅くなってすみません!

今回は、放課後陽乃先生のお勉強会のために生徒会室へ迎えところからです!

それではどうぞ。


田舎暮しその13

「ほーら八幡、はやくしないと置いてくぞ?」

 

「いや、もうすぐそこじゃねえかよ」

 

ぶんぶんと右手を振ってくる陽乃に嘆息して、俺は少しだけ歩みを速めた。

ほどなくして追いつくと、陽乃はニコニコと楽しそうな笑みを浮かべながら、目の前の扉に手をかける。

 

「ではでは、楽しいお勉強会といきましょー♪」

 

「……はあ、帰りたい」

 

これから二人きりで行われる勉強会に心底嫌そうな態度を示す俺にはガン無視で、生徒会室の扉はガラリと開けられた。

 

すると陽乃は首を少し傾け、やや驚いたような声をあげた。

 

「ほよよ?」

 

お前はどこの無敵ロボット少女だよ。

と、突っ込んでは見たものの、一体何事だろうと気になり中を覗いてみようとした。

しかし、それよりも先に生徒会の中から声がかけられる。

 

「ちょー陽乃、ちゃんとノックしろって何回言えばわかるし」

 

その不機嫌な声音は、女性のものだった。

そして俺は、その声に聞き覚えがあった。

もしやと思ってその姿を見ると、やはり、今朝山で遭遇したヤンキー女だった。

 

なんでこいつがここに?

そんな俺の疑問はよそに、陽乃はヤンキー女に話しかける。

 

「なーんだ、優美子ちゃんいたんだ」

 

優美子ちゃん……下の名前で呼ぶ辺り、それなりに深い仲らしい。

うーむ、ますます疑問が深まっていく。

 

「なに、いたらマズイわけ?」

 

「全然!今日から勉強期間だから、来ないんじゃないのかなーって思ってただけ♪」

 

「別に。教室だとうっさいし、家帰ってもやんないからここに来ただけだし」

 

「ほうほう……ということは、ここは勉強に集中できるくらい居心地のいいところなんだね?」

 

「なんでそうな……はあ、もうそれでいいわ」

 

楽しそうな陽乃とは対照的にめんどくさそう、というかどこか諦めの混じった様子のヤンキー女。

あれ?仲はそんなに良くないのか?

全く、こいつらの関係性とは一体……

てか俺完全に空気だな。

まあ大丈夫大丈夫。いつものことだし。慣れたわ(笑)

……別に辛くなんかないぞ?

 

するとようやく後ろの存在に気が付いたのか、ヤンキー女がこっちに声をかけてきた。

 

「後ろにいるあんたは……あれ?」

 

「ああ、優美子ちゃん、紹介するね♪彼は……」

 

「朝のキモい不審者じゃん」

 

「…………」

 

しばらく訪れる沈黙。

陽乃は目をパチクリとし、言葉を発したヤンキー女は警戒した目付きで俺を睨み、俺はその視線にたじろいでいた。

 

「……っぷ、あははははははははは!」

 

静寂を破ったのは、爆笑だった。

それは言わずもがな、陽乃のである。

 

「ふ、ふふ、キモいは、まだしも、ふ、は、ふふ、不審者とか、八幡、ふふ、あははは!」

 

「おい、キモイはまだしもってどういうことだ」

 

「あは、はははははははは!」

 

「てか笑いすぎだ!!」

 

「ったく陽乃、うっさいんだけど?」

 

俺とヤンキー女の不満の声が飛ぶが、それからもしばらく陽乃の笑い声が生徒会室に響き渡るのであった。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

「で、結局そいつは何なの?」

 

陽乃の笑い声が止むと、ヤンキー女はそう尋ねてきた。

誰なの?ではなく、何なの?というところに多少の腹立たしさは感じるが、まあ仕方がない。

俺だって自分が人なのかよくわかってないし。

いや、じゃあ何なんだよ俺って……本当になんなんだろう?

 

軽く思考の迷路に迷い混んだ俺はさておき、その質問には陽乃が答える。

 

「彼の名前は比企谷八幡。転校生で私と同じ2年生だよ!」

 

「転校生……あー、そういえばそんなこと言ってた気するわ」

 

どうやら朝のことは多少覚えていたらしく、納得顔のヤンキー女。

てかあんなに勇気だして答えたのにほぼ忘れかけとか……

この女なかなかにムカつくでおじゃる!

 

そんでもってお前は誰なんだよ。

朝もわからなかったし、さすがにそろそろ知りたいのだが……

 

「ああ、紹介するね!この子は1年生の三浦優美子ちゃん!うちの生徒会長だよ!」

 

唐突に教えてくれる陽乃。

 

「いやだからな?ナチュラルに……は?……生徒会長?」

 

当たり前のように俺の心の声を聞いている陽乃に文句を言おうとしたのだが、それ以上に気になったことがあった。

 

「…………生徒、会、長?……こいつが?」

 

「そだよ?」

 

「いや、だって、会長は陽乃じゃないのか?」

 

「ふっふっふ、いつから私が生徒会長だと錯覚していた?」

 

「なん、だと!?」

 

どや顔で答える陽乃。

彼女の言葉を受け、軽く混乱しながらも昼休みの会話を思い出してみる。

 

……確かに一言も言ってない。

俺が勝手に推測しただけで、陽乃は俺の頭の回転の早さを誉めはしたものの、自分は生徒会長だとは一言も言っていなかったのだ。

ということはつまり……

 

「……本当にこいつが生徒会長なのか?」

 

「そうだって言ってるじゃん♪」

 

「けどこんな見るからにヤンキーみたいなやつが……」

 

「ああ?何か言った?」

 

「…………いえ、何も」

 

ヤンキー女、もとい三浦に睨まれてスゴスゴと引き下がる。

なにこいつ、超怖いんですけど。

軽くチビりそうです。

戸部的に言うと、っべーヤベぇ。

 

しかしだ、こいつが生徒会長だと言われても簡単に納得はできない。

大きな理由は二つある。

ひとつは、三浦の外見だ。

 

「なあ……生徒会長で金髪って、いいのか?」

 

今にも回転し始めそうな縦巻きロールの金髪。

おおよそ、公立の高校生の、ましてや生徒会長の頭髪としては不適切であるに違いないこれが、果たして教師たちに許されるのだろうか?

 

「別に?一回も注意されたことないし、大丈夫っしょ」

 

毛先を弄りながら、どうでもよさそうに答える三浦。

おいおい何だよその適当な答え。

だがなぜ注意されないのだろうか?

 

「優美子ちゃん、1年生の中でも成績優秀だし素行も割りといい方だから、先生たちも多目に見てるんだよね」

 

陽乃がそう補足説明をしてくれるが、それにしても納得がいかない。

別に髪を染めてる事自体に疑問はない。

戸部とかだって染めてたし、公立の総武高校にも髪を染めてるやつはいた。

しかし、さすがに生徒会長ともなるとそんなやつはいないはずだ。

田舎の高校は、案外そういうところはユルいのだろうか?

そう考えていた俺の耳元に、陽乃がそっと口を近づけた。

 

「実のところを言うと、優美子ちゃんのおじいちゃんが地元の怖い人たちの組長でね。しかも優美子ちゃんを溺愛してるの。だから先生たちも怖くて何も言えないんだよね……」

 

「ああ……そういうことか」

 

今のでしっかりと納得がいった。

そして三浦の外見に関しては、一切触れないようにしようと心に誓った。

縦巻きロール金髪も、着崩した制服も、ネイルされたツメも、超オシャレっす!!

惚れ惚れしそうでやんす!!

戸部的に言うと、っべーヤべぇ。……俺の脳内戸部の語彙力もかなりヤバイな。

 

とりあえず、これで外見については問題ないとしよう。

だがもうひとつ、どうしても気になることがある。

 

「じゃあよ、何で1年なのに会長してるんだ?」

 

普通生徒会長というのは、2年生がするものだ。

そして、その2年生が3年になってある程度したら、次の2年生に引き継ぐ。それが一般的だ。

当然1年生がするということもありはするのだろう。

白皇学園のヒナちゃんもそうだし。

だがそれは、その1年生にかなりのヤル気とカリスマ性があってこそできることだ。

三浦の場合カリスマ性はあるにしても、おそらくヤル気はないだろう。

まあ俺が三浦から受けた印象からの推測に過ぎないのだが、多分合ってる。

そのせいで、こいつが生徒会長だと納得できないのだ。

 

「別に、あーしだってやりたくてやってるわけじゃないし」

 

そっぽを向きながら、少し言いにくそうにする三浦。

やはり、ヤル気はあまりないようだ。

とすると一体なぜ……

 

「そこの女にそそのかされて、たまたまやってるだけだし……」

 

チラッと陽乃に目線をやり、またそっぽを向く。

すると陽乃は、えーっと、わざとらしく声を挙げてニヤニヤ顔になった。

 

「私は無理にやってとは言ってないよ?ただ会長になれば葉山先輩とお近づきに……」

 

「ちょちょ、陽乃!?それは言うなって!やめろし!全然そんなじゃないし!」

 

陽乃の言葉を遮って、顔を真っ赤にしながら手をブンブンと振る三浦。

あー、なるほどそういうことか。

大方陽乃に、生徒会長になればその葉山先輩と仲良くなれるとか言われてホイホイ生徒会長になったのだろう。

あらやだあーしさん、意外に一途な乙女なのね。少し見直したわさ。

 

先程からツンケンしていた三浦の可愛らしい一面を垣間見て、ふっと優しい顔になってしまう。

年下のこういうのは見ていて微笑ましい。

すると、俺の微笑みを見て三浦も恥ずかしくなったのか、

 

「何笑ってんのヒキオ?キモすぎるんですけど?」

 

と、照れ隠しを……いや違うなこれ。

照れ隠しとかじゃなくて、本当に嫌そうな顔してる。

三浦はもうちょっと悪意を隠すべきですね。

でないと八幡のハートがブレイクしちゃうから。

てかヒキオってなんだよ、そのあだ名は(笑)ってより(涙)だぞ。

 

しかし、三浦の攻撃はこれでは終わらない。

 

『マジこいつキモいんですけど。てかキモい』

 

パリンッ!!

俺の心が割れる音が聞こえた。

おいブレイクしてんじゃねえか。

てか俺のハートガラス製かよ。弱すぎだろ。

 

唐突に聞こえてきた心の声に、少し動揺する。

 

くそっ、教室では誰の心の声も聞こえて来なかったのに……やっぱり気は抜けないな。

改めて気を引き締め直す。

 

「あ、忘れてた……まあ優美子ちゃんのは大丈夫か。あとはいろはちゃんも……」

 

ふと、陽乃が何やらぶつぶつ言ってるのが気になったが、よく聞こえなかったし無視することにする。

どうせまたろくな事考えてないだろうしな。

 

さて、まあ何はともあれ三浦が1年生で生徒会長ということに納得がいった。

というか誰が生徒会長だろうと、俺には関係ないしな。

陽乃も生徒会長ではないわけだし。

まあ部屋は使わせてもらうのだが。

とりあえずこいつを敵に回さないようにすればそれでいいだろう。

 

そう結論付けようとしたその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何言ってるの八幡?今日から八幡も生徒会の一員だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……………………はぁ?」」

 

 

 

俺と三浦の声が重なった。

そしてそれと同時に、生徒会室の扉がガラリと引かれた。

 

 

 

「おつかれさまで~す☆」

 

 

 

陽乃の発言と新たな人物の参入により、俺が付けようとした結論は、大きく変わることになるのだった。

 

 




……勉強してねえな、こいつら。

というわけで、あーしさんはまさかの1年生に!!
その他のキャラもがくねんが変わったり結構しますのでお楽しみに!

さて、八幡が生徒会の一員とは一体……
そして、新たな来訪者とは一体……

次回をお楽しみに!
更新は相変わらずゆっくりですが、お付き合い願います!

それでは今日はこの辺で。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。