ディメンションW 荊の回収屋   作:ユーベル

4 / 4
日陰街

旧市街地。

通称『日陰街』。

化石燃料時代の名残であるこの場所は、今や不法入国者やならず者共の巣窟と化していた。

無論、アウトローだけでなくホームレスや何らかの理由で移り住んだ人々が暮らしている。

 

―旧市街地 廃墟ビル―

 

「ギャッハッハッハッハ、まあ見ろよコイツを」

 

そう言ってテーブルの上に置かれたのは電動式の水鉄砲だった。

それを見た構成員の反応は当たり前のものだった。

 

「…………ただの水鉄砲じゃない、電動の」

「オウ!」

「コレがまさかオレ達の切り札とか言うんじゃねぇよな、ジョニー!」

「ヴァーカ!そのまさかよ。正にコレがオレ達の決戦兵器だ!」

 

落胆の大きい構成員を無視してジョニーは話を続ける。

 

「いいか!強化されたポンプ!大容量タンク!正に無敵!」

 

そしてポケットから徐に取り出した()()を見せ付ける。

 

「そして!ついに手に入れた不正コイル!コイツを使えばな」

 

不正コイル。

次元の表層からではなく表層の深い所からエネルギーを取り出す危険な代物。

 

此処で一つ説明しておこう。

コイルには4種類と例外的なモノが存在する。

まずは四種類の方からだ。

 

最初期に造られたコイル。

『βコイル』。

ソレ意外の呼び名は『マイクロゲート』若しくは『MG』。

現在の名称は『ナンバーズ』。

次元Wの深淵、未知の領域から膨大かつ強大なエネルギーを取り出し、暴走時には島一つを巻き込むほどの被害を出す場合がある。

全てで300個ほど造られたとされているが、世界に60基あるタワーが完成した直後に大半は回収された。

 

現在民間に出回っている正規のコイル。

世界に60基あるタワーの監視のもと表層の薄皮の部分から安定したエネルギーを取り出している。

犯罪に使用すると即座に停止される。

 

軍用に造られた高出力のコイル。

最初から軍事使用目的で表層の中間地点からエネルギーを取り出す事が出来る。

戦場では、規制がどうのこうの言っている間に人が死ぬため、躊躇いもなく攻撃できるよう、一部のリミッターが外されている。

 

違法なほどエネルギーを取り出す事が出来る不正コイル。

次元の表層の最深部、あるいは深層の上部から膨大なエネルギーを取り出す事が出来る。

リミッターが一切かかっていない為、暴走する危険性が高い。

 

共通事項として、稼働時は青く光り、寿命がくると紫に光り、暴走し始めると赤く光り出す。

 

次に例外的なコイルを説明しておこう。

と言っても、教えるのは1つだけだがね。

『Wiil'oコイル』。

リアは『種』と呼んでいる。

製作時期は『ナンバーズ』とほぼ一緒。

次元Wの深淵から取り出したエネルギーにWill'o―「意思を持った電気信号」―を取り込んだ特殊なもの。

用途は先に紹介したコイルと何ら変わりはない。

暴走する危険性は無く、その上、タワーの監視下に入っていない。

 

リアはもう一つ『棺』と呼んでいるモノがあるが…………まあ、コレは何時か話すとしよう。

 

さて、話は戻る。

 

不正コイルの存在を知った彼等は目の色を変えた。

 

「本物か?」

「つーか最初にソレを見せろよ!」

「それよりも、よく手に入ったな」

「高い買い物だったぜぇ。見ろ!×印付けなきゃ正規モンと見分けも付かねえ。ひと粒300万の輝き」

 

そう言ってケースから一つ取り出し、水鉄砲に装着した。

そして、その銃口を部屋の角に置いてあるウォーターサーバーに向けた。

 

「コレが…制限(リミッター)が一切掛かって無い…コイルの本当の力‼」

 

たった一発撃っただけでサーバーのタンクは吹っ飛んでしまった。

しかも、殺しをしたところで、一切証拠は残らない。

何せ、弾は水なのだから。

その事にジョニー達は沸き上がり、意気揚々に談笑を再開するのであった。

梁の上に二人の男女が居ることに気が付かないまま…………。

 

sidキョーマ

 

ひい、ふう、みいの……全部で12か………。

 

「ゴロツキの癖によく集めたねぇ。感心するは」

 

ああ。

だが、無駄な投資になっちまうがな。

さっさと終わらせるぜ。

 

「っ、待った。誰か来た」

 

!?

 

「エバリー・ウォン。担いでるのは…女?」

 

人攫いか?

 

「多分……ん?」

 

どうした?

 

「いや、なんでもない。」

 

はぁ。

そうか。

やれやれだ。

 

――ヒュッ ドスッ――

 

「誰だ!」

 

勘違いするなよ?

その女はオレ達の仕事とは全くの無関係だ。

オレは回収屋だ。

怪我しねえ内にその不正コイル、大人しく差し出せ、小僧(ガキ)共。

 

「舐めんじゃねぇ!」

 

――ヒュッ ザクザクッ――

 

「痛ええええぇぇぇぇ!」

「ジャストミート♪」

 

ナイスだ。

さて、ソイツは元々オマエらの手に負えるシロモノじゃねえんだ。

オマエらみたいなバカの自由にさせないために、ニューテスラがキツイ縛りを掛けてんだろうが。

 

「そうそう。用法要領を守って使いましょう♪さもないと…………()()()()()()()()()?」

「う…うるせえ!野郎共!さっさと出てこい!コイツらを生かして帰すんじゃねえぞ!」

 

話を聞くような連中じゃねえか。

なら、腕ずくで奪うまでだ!

 

「オッケー♪壁と床の染み経由でブタ箱に突っ込んでやる!」

 

out

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。