旧市街地。
通称『日陰街』。
化石燃料時代の名残であるこの場所は、今や不法入国者やならず者共の巣窟と化していた。
無論、アウトローだけでなくホームレスや何らかの理由で移り住んだ人々が暮らしている。
―旧市街地 廃墟ビル―
「ギャッハッハッハッハ、まあ見ろよコイツを」
そう言ってテーブルの上に置かれたのは電動式の水鉄砲だった。
それを見た構成員の反応は当たり前のものだった。
「…………ただの水鉄砲じゃない、電動の」
「オウ!」
「コレがまさかオレ達の切り札とか言うんじゃねぇよな、ジョニー!」
「ヴァーカ!そのまさかよ。正にコレがオレ達の決戦兵器だ!」
落胆の大きい構成員を無視してジョニーは話を続ける。
「いいか!強化されたポンプ!大容量タンク!正に無敵!」
そしてポケットから徐に取り出した
「そして!ついに手に入れた不正コイル!コイツを使えばな」
不正コイル。
次元の表層からではなく表層の深い所からエネルギーを取り出す危険な代物。
此処で一つ説明しておこう。
コイルには4種類と例外的なモノが存在する。
まずは四種類の方からだ。
最初期に造られたコイル。
『βコイル』。
ソレ意外の呼び名は『マイクロゲート』若しくは『MG』。
現在の名称は『ナンバーズ』。
次元Wの深淵、未知の領域から膨大かつ強大なエネルギーを取り出し、暴走時には島一つを巻き込むほどの被害を出す場合がある。
全てで300個ほど造られたとされているが、世界に60基あるタワーが完成した直後に大半は回収された。
現在民間に出回っている正規のコイル。
世界に60基あるタワーの監視のもと表層の薄皮の部分から安定したエネルギーを取り出している。
犯罪に使用すると即座に停止される。
軍用に造られた高出力のコイル。
最初から軍事使用目的で表層の中間地点からエネルギーを取り出す事が出来る。
戦場では、規制がどうのこうの言っている間に人が死ぬため、躊躇いもなく攻撃できるよう、一部のリミッターが外されている。
違法なほどエネルギーを取り出す事が出来る不正コイル。
次元の表層の最深部、あるいは深層の上部から膨大なエネルギーを取り出す事が出来る。
リミッターが一切かかっていない為、暴走する危険性が高い。
共通事項として、稼働時は青く光り、寿命がくると紫に光り、暴走し始めると赤く光り出す。
次に例外的なコイルを説明しておこう。
と言っても、教えるのは1つだけだがね。
『Wiil'oコイル』。
リアは『種』と呼んでいる。
製作時期は『ナンバーズ』とほぼ一緒。
次元Wの深淵から取り出したエネルギーにWill'o―「意思を持った電気信号」―を取り込んだ特殊なもの。
用途は先に紹介したコイルと何ら変わりはない。
暴走する危険性は無く、その上、タワーの監視下に入っていない。
リアはもう一つ『棺』と呼んでいるモノがあるが…………まあ、コレは何時か話すとしよう。
さて、話は戻る。
不正コイルの存在を知った彼等は目の色を変えた。
「本物か?」
「つーか最初にソレを見せろよ!」
「それよりも、よく手に入ったな」
「高い買い物だったぜぇ。見ろ!×印付けなきゃ正規モンと見分けも付かねえ。ひと粒300万の輝き」
そう言ってケースから一つ取り出し、水鉄砲に装着した。
そして、その銃口を部屋の角に置いてあるウォーターサーバーに向けた。
「コレが…
たった一発撃っただけでサーバーのタンクは吹っ飛んでしまった。
しかも、殺しをしたところで、一切証拠は残らない。
何せ、弾は水なのだから。
その事にジョニー達は沸き上がり、意気揚々に談笑を再開するのであった。
梁の上に二人の男女が居ることに気が付かないまま…………。
sidキョーマ
ひい、ふう、みいの……全部で12か………。
「ゴロツキの癖によく集めたねぇ。感心するは」
ああ。
だが、無駄な投資になっちまうがな。
さっさと終わらせるぜ。
「っ、待った。誰か来た」
!?
「エバリー・ウォン。担いでるのは…女?」
人攫いか?
「多分……ん?」
どうした?
「いや、なんでもない。」
はぁ。
そうか。
やれやれだ。
――ヒュッ ドスッ――
「誰だ!」
勘違いするなよ?
その女はオレ達の仕事とは全くの無関係だ。
オレは回収屋だ。
怪我しねえ内にその不正コイル、大人しく差し出せ、
「舐めんじゃねぇ!」
――ヒュッ ザクザクッ――
「痛ええええぇぇぇぇ!」
「ジャストミート♪」
ナイスだ。
さて、ソイツは元々オマエらの手に負えるシロモノじゃねえんだ。
オマエらみたいなバカの自由にさせないために、ニューテスラがキツイ縛りを掛けてんだろうが。
「そうそう。用法要領を守って使いましょう♪さもないと…………
「う…うるせえ!野郎共!さっさと出てこい!コイツらを生かして帰すんじゃねえぞ!」
話を聞くような連中じゃねえか。
なら、腕ずくで奪うまでだ!
「オッケー♪壁と床の染み経由でブタ箱に突っ込んでやる!」
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