色々あったけど主人公じゃない主人公の話。

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主人公じゃないですから

 

 むかしから、僕は本が好きだった。

 本に書かれた物語が好きで、読むという作業が好きで、物語の世界観や空気を読書で感じて没頭することが好きだった。

 

 紙とインクの匂いが好きで、休み時間には図書室へ行った。

 長時間滞在することで椅子や机をひとつ占領することが申し訳なく思って、本が並ぶ棚の奥にある一角で読むことが多くなった。それが原因で「図書室に座敷わらしが出る」なんて噂が囁かれるようになったのには苦笑するしかなかった。

 

 休みの日には、図書館へ行った。

 勉強をする大学生が多いなか、やっぱり僕が没頭するのは読書で、閉館するまでの長時間をそれに費やしていることが多い。ただ、僕がまだ居るのに館を閉めようとするのは、原因が僕だと知っていてもやめて欲しい。

 

 幼い頃から、僕は人より影が薄かった。産まれて間もない赤子の頃、両親はよく僕を見失ったらしい。

 はいはいを始めて、動くようになってからは目を離すと本当に何処へ行ったのか解らなくなって、僕が声を上げるまで見つからなかったという。

 

 幼稚園の庭で一人静かに遊んでいると、遊びの時間が終わっても声をかけるのを忘れられていた。

 ふと気がつけば周囲には誰もいなくて、保育士さんの探す声で状況を把握した。

 

 小学校の給食当番で、僕の番は来たことがない。

 抜き打ちの荷物検査でも順番を飛ばされる。

 声をかけると驚かれて、何時からいたのかと問われた。

 逆に何も言わずに立っていれば、まるで僕なんか見えていないように皆は接する。

 

 子どもの僕には、そんな経験がとても怖くて。

 いつか自分は誰にも気づかれなくなってしまって、本当に消えてしまうような。そして僕が消えたことを誰にも気づかれることが無いような、そんな恐怖。

 子どもであった僕の、むかしむかしに有ったトラウマ。

 

 忘れられるのではないかと、人と関わることが怖かった。それならばいっそ、はじめから一人で居たほうがいいと思って、更に僕は本の世界へと傾倒していた。

 

 けれど、やはりずっと思っていたんだ。

 

 ……僕は、ここに居るよって。ずっとそこに居るのに、どうして皆気づいてくれないのだろう。

 誰も気づいてくれないことは解っているのに、意地になって僕は声をあげずに沈黙する。……気づいて。誰か。だれか、誰でもいい、ダレでもいいから、僕に気づいて。

 

 自分から主張すればいいのに、誰かに気づいてほしいのだと意固地になった。

 

 

 

 それは、ずっとずっとむかしの事だ。

 僕がまだ、僕であることを知らなかった幼い頃の記憶。

 

 

 

   ▼

 

 

 

 ……はい、そうですね。これが僕の幼い頃の話です。

 君に会うよりずっと前の。

 

 沈黙しないで下さいよ、僕だって反応しづらいじゃないですか。

 え、僕の話のせいだって? 話せといったのは君ですよ。

 だから僕は嫌だって言ったのに…。

 

 だから、取り敢えずバスケに話をずらそうとするのはやめて下さい。僕はバスケに興味はありませんし、やりたいとも思いません。中学の時、授業でも僕の下手さは知っているでしょう。

 ……僕は黒子テツヤではありますが僕では無いのでやりません。

 意味が解らない? むしろ意味が解ったら問題ですよ、僕も君が怖くなるので解らないままでいて下さい。

 

 何だかんだで、僕も感謝していますよ。

 君と出会ったこと。

 

 君は、僕を見つけてくれました。

 今もこうやって僕と話して、僕がここに居ることを知っていてくれる。

 それで充分なんですよ。これ以上は望まない。

 

 ……それとこれとは別じゃないですか、これは嫌です、見せません。

 ケチとか言わないで下さい。僕だってまだまだ勉強中なんですから、今の段階で誰かにこれを読まれるのは恥ずかしいですよ。

 

 いつか……僕も自分で満足できるものが書けたら、君にもお見せします。

 その時には君なりの正直な評価を貰えると僕も嬉しいです。

 

 取り敢えず君は、自分の趣味に人を巻き込むのを止めたほうがいいと思います。

 バスケ部でも仲がいいという緑間君を振り回したりしているんじゃないですか? 昔馴染みの僕としては彼に少し申し訳ないです。

 え、むしろ振り回されてる? ……偶には良いんじゃないですか。今度緑間君に会ったら感謝の意を伝えておこうと思います。それにしても君を振り回せる人が居たんですね、意外でした。バスケ部も悪くないのかもしれません。

 

 ……だから僕は入らないって言ってるじゃないですか。

 僕は僕のことで忙しいんです、こうしている今も君のせいで時間が削られていると言ったって良い。

 

 ありがとうございます。そうやって君が僕のことを買っていてくれるのは光栄です、丁重にお断りさせて頂きます。

 

 あ、明日提出の課題は問題が少し面倒なので早めに取り掛かったほうが良いと思います。僕はもう帰りますのでまた明日。

 君も部活頑張って下さい高尾君。

 

 






 拝読感謝ですっ、お暇つぶしには……なっていたら良いなぁ。

 解釈はまぁ、うん、あれですよ。
 彼は黒子君であって主人公ではありません、これしか無いですね。
 ……原作?
 きっとあれですよね、原作の修正が入って、この黒子の代わりが出来ているに違いない。それが他の転生者だったりして、なんか色々起こって、結局バスケに興味ないこの黒子も巻き込まれるのかな。

 それでは皆様、お目汚しではありましたが、ありがとうございましたっ!

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