無銘 another number ~クウガ編~ 作:ジュンチェ
原作:仮面ライダー
タグ:残酷な描写 クロスオーバー 平成ライダー 仮面ライダー 昭和ライダー 仮面ライダークウガ 小野寺ユウスケ 仮面ライダーディケイド 仮面ライダー3号 感想募集 オリジナルライダー コラボ募集予定 試作
※前回の無銘シリーズの続きの単発です。これのリアクションを見て企画を実行するか決めたいと思います。
※時系列は前後してます。
仮面ライダークウガ……小野寺ユウスケは仲間である仮面ライダーディケイドの旅の一区切りに自らの世界へ帰郷し、己に与えられし物語を全うしていた……。
多くの人々と出逢い、別れ……
グロンギたちとの果てない戦い……
……そして、ついに自力でライジングアルティメットを完全制御に成功した彼は宿敵であるン・ダクバ・ゼバを撃破に成功する。自身もアークルに手痛いダメージを受けてしまったが、これで奴等のゲゲルで人々が涙を流すことはない。
……そのはずだった…。
小野寺ユウスケ…今、彼は荒野にビートチェイサー2000を走らせていた…。彼の友が一端、別れる時にメンテ不足のカートチェイサーを改造してくれたもので、出力といい段違いなものである。猛々しくエンジンを唸らせる漆黒と金の車体を操る主は荒野を荒波に乗るように駆けている…。
「…ッ!」
アクセルを踏み鳴らし、崖を飛び越えて着地するとユウスケはヘルメットを取り外して周囲を見渡す。…といっても、辺りは青空に一面の荒野だが……
さて、もう運転を半日以上してきたのでクタクタな彼は背負っていた、重い荷物を枕に乾いた土へと寝転ぶ。
「たく……本当にここであってんのかよ?」
溜め息が思わずでてしまうのは無理もない……今、彼はグロンギの残党狩りの最中なのだから。自分の戦いはまだ完全には終わってはいない…。ディケイドと共に旅をしている間も僅かながらグロンギは確かに猛威をふるっていた。そして、ン・ダクバ・ゼバの復活まで許してしまったのである。クウガの世界には他のライダーはいない……もしかしたら、誕生しないこともないかもしれないが、それをアテにはできない。だからこそ、再び仲間たちと並行世界の旅へと赴く前に全てのグロンギを倒す必要があった…。
それに……
「……ショッカー…か。」
まさか、自分の世界にもあるなんて夢にも思わなかったが警察組織のとある協力者よりチラホラと流されてきた嫌な意味でお馴染みの単語…世界征服を目論む悪の秘密結社。連なる大ショッカーとスーパーショッカーは戦ったこともあり、特に前者はユウスケにとって因縁が深い。恐らく、これらの残党がクウガの世界に逃げ込んで再起をはかっているのだろう……そして、手始めにクウガやグロンギのアマダムの研究をしているというのだから見過ごせない。
「……で、荒野をさ迷い3日。収穫は無しか…」
しかし、いくら情報を辿って活動をしてもグロンギの痕跡の1つ見つかりはしない。協力者から地図を渡されて指示された範囲を周回しているのだが、たまに廃墟があるくらい……
「でも、義景さんが読みを外すわけも無いしなぁ…。まあ、そのうち見つかるか。まず休もう。」
まず、悩んだところでどうしようもないし休むことが先決とリュックを枕にうたた寝をはじめたユウスケ。太陽が照ってくれてるおかげで毛布はいらない……あっという間に睡魔が彼の意識の大半を充たしはじめた頃……
『…クゥ…ガァ!』
上空から睨む蝙蝠のようなシルエットが1つ。尖った耳…翼膜……人に近くて人ならざる存在がギチリと鋭い牙を鳴らして突然、急降下をしかけてくる!
「!」
その時、ユウスケも空を切る異様な音を察し、その場を飛び退くとリュックが粉砕されて黒い影が彼の前にシュタッと舞い降りた。あのシルエット…まさに蝙蝠人間!忘れられない姿…!
「3号!」
未確認生命体3号……ズ・ゴオマ・グ。グロンギが現れはじめた頃かつユウスケがクウガになったばかりのあたりで確認された個体。故に、クウガの4号と番号の近い呼び名をされている。コイツは厄介な飛行能力持ちで、割りと戦いを昔から幾度となく繰り返してきた相手だが奴の翼で後一歩で逃がしてしまったことが多い。
……決して、グロンギの身内で散々な扱いを受けて出番が減ったわけではないはず。
『…クウガァ!ギギギギ!!』
「そういえば、まだお前倒してなかったよな……ん?」
すると、クウガはあることに気がつく…。ゴオマの左の首筋にキラリと光る金色……よく見れば鷲のエンブレムがそこに!
「あれは……やっぱり、ショッカーがいたのは本当だったってわけか!」
どうやら、ゴオマはン・ダクバ・ゼバが倒された後にショッカーの軍門下に下ったらしい。つまり、他の残党グロンギもゴオマのようにショッカーへと摂取された可能性もありえる。つまり、情報に間違いが無かったというわけ……戦う理由が充分である。
「変身!!」
すぐさま、ユウスケはアークルを出現させて赤の戦士、『仮面ライダークウガ マイティフォーム』へと変身。鋭い爪で襲いかかるゴオマを受け止め、ゴロゴロと転がると腹を蹴飛ばして距離をとる。
『…シャァ!!』
「はっ!」
そこから、容赦はしない。拳を一撃!二撃!距離を詰めて反撃の隙を与えさせはしない。すでに、多くの戦いを経てきた彼はゴオマごとき手間取ることもなかった。そうしているうち、ゴオマも分が悪くなっていることを感じ腕の翼を拡げて空へと飛び立った。
「逃がすか!」
最初の頃のユウスケなら、ここで追撃を諦めていただろう。しかし、今のクウガは違うのだ。諦めない。地を踏み締め、足に電撃を集中させて跳躍すると、右足を突き出して必殺のマイティキック。
「おりゃぁぁ!」
それは背を向けるゴオマに吸い込まれるように……
ーーズドドドドドドドドドドドドド!!!!!!
『グゥエエエ!?!?』
「!」
当たらなかった。当たる直前に轟音と共に割り込んだ弾丸の嵐がゴオマを蜂の巣にし、巻き込まれかけたクウガは慌ててバランスをとって着地した。
一体、何者なのか?この世界で自分以外のグロンギとまっとうに戦える存在などいないはずなのに……
「……な、なんだ?」
「……お前がクウガだな?」
不意に……まるで、背後からの北風のように『彼女』は現れた。2門のガトリングガンが突き出す漆黒の愛車『ネクストトライサイクロン』をバックに……漆黒かつ青のラインが入ったライダーが……
(1号……いや、違う。でも、もっと似てる『誰か』を知っているような……)
最初、シルエットからクウガは先輩のライダーを思い出した。でも、あまりにも彼女は近未来的で機械的な容貌で…生物らしさがない。そして、誰か…
……まるで、仮××イダー×号…あの男……く××響い××みたいな…
(!?……なんだ!?)
あれ?自分は何を考えていた…?全く知らないはずの誰かを思い出しかけていた……ような気がした。存在しない誰かを頭で描きだそうとしていた……ような気がしていた。
おかしい。何故、あの出逢ったことのない漆黒のライダーに懐かしさを感じるのだ?
「…私は『仮面ライダーツヴァイズ』……ショッカーは私が潰した。グロンギの生き残りはもういない。」
なら、味方か?
いいや、違うだろう。こんな澄んだ女性の声でも剥き出しの殺気をぶつけてこないだろう。
「…俺に何の用だ?」
「お前は笑顔をまもる戦士だと言ったな……ならば、私の笑顔のために死んでくれるか?」
「!」
瞬間、ツヴァイズは容赦なくクウガに拳を撃ちつけようと跳躍。反射でクウガは飛び退くも、彼のいた地面は土埃と亀裂で悲鳴をあげ冷や汗をかく。
本気だ。本気で彼女は自分を殺しにきている…!
「くそっ!なんで俺を狙う!?同じ仮面ライダーだろ!」
「だからだ。お前を倒さなくてはならない……お前はあの人を忘れた罪の系譜だ。」
途中、組みついて真意を問うも答えの意味は解らない。解らないはず……
どうも、頭が気持ち悪い。ツヴァイズと呼ばれるこのライダーは徐々にクウガから士気を削りだすと共に徐々に彼を追い込んでいきつつあった。
「ぐっ!?」
鋭い蹴り、拳……抜き身の銘刀を振るうが如き一撃一撃が深紅のボディにダメージを蓄積していく…。速い……そして、重い。バランス系のマイティフォームだが、平均したステータスに尖った性能を持つ相手にはめっぽう相性が悪い。ツヴァイズはまさにこのパターンであり、特に速さで上回られば反撃は許されないものになる。
「クソッ!」
それでも、このまま倒されるわけにはいかないと蹴りをガードで防いだクウガ。傷だらけのボディに鞭打ち、拳を突き出すとツヴァイズを一発。距離を離して、荒い息で再び構えをとりなおす。すると、ツヴァイズはサッと胸元を払い姿勢を低くするとジャンプ……
「…ライダーキック。」
クルリと円を描くと左足を突き出してライダーキックを繰り出した。同時にクウガも対抗してマイティキックを放つ!
「うおおりゃアア!!!!」
「ふん!」
……喰らいあう両者の必殺の技。拮抗すること、実に数秒!
「うわあああ!?!?」
破れたのはクウガ。彼は地面にゴロゴロと転がったが、すかさず受け身で立ち上がりアークルに手をかける。もう、ただのマイティでは歯がたたない…あの力を使わなければ……
「超変し……うっ!?」
しかし、突然に腹部へ走る激しい痛み。力を引き出そうとするのを拒絶するように、アマダムが反応して主の言うことをきかない。
一方で、ツヴァイズはネクストトライサイクロンにライダーキックのノックバックした勢いで乗り込み、ハンドルを握る。そして、クウガを撥ねとばさんとアクセルを踏み込み突撃。これは咄嗟に横っ飛びでかわされたがもう一度、しかけるためにドリフトで反転して土煙をあげる!
「…ちぃぃっ!?」
ならば、こちらもとクウガはビートチェイサーに跨がりゴウラムを召喚。クワガタの影が2つに分離…ビートチェイサーに合体。雄々しき大顎を突き出して、こちらもネクストトライサイクロンへと立ち向かう!
「うおおおおお!!!!!!!!」
ゴウラムの重厚で硬い装甲なら弾幕にもある程度な耐えられる。激しいネクストトライサイクロンからの銃撃を浴びながらクウガは進む…!
そして……
ーーバァン!!
「!」
衝突する直前、ネクストトライサイクロンは側面からの白い影に弾きとばされてクウガも思わずハンドルをきってしまった。一体、今度はなんだ!?これ以上、招かねざる乱入者など御免こうむるのだが……
…しかし、今度の乱入者はまたしても『車』。そして、鏡写しにしたようによく似ている…ツヴァイズに全てが。ただ、こちらは一昔の…言うなれば昭和風にしたような存在。黄色いスカーフに…白い車体の赤いライン。こちらが1号に近い意匠…でも、だからこそ見覚えがある…いや、元々『彼』を知っていたような気が……
「………!?」
く……は……きょ…ろう……仮面ラ×ダー××…
視界のピントがあった途端にクウガの脳裏に走る頭痛と知るはずのない彼の情報の断片。懐かしさ…そう呼ぶにはあまりに歪な感覚が苦しめる。そんなクウガを見ずとも、庇うように立ちはだかった彼はツヴァイズを見据える。
「…君は…麗夜なのか?」
「…」
彼女に答は無い。ただ、彼の言葉に聞き入るようにじっとしていると…『もう少し』と呟いてネクストトライサイクロンへと乗り込み、その場をアクセル全開で去っていく。クウガはどうやら諦めたようだが、明らかにこのままで過ぎてよい空気でらない。クウガはすぐに、目の前に現れて自分を救った仮面ライダーに問うた…。
「あんた、一体……」
「仮面ライダー3号……君が私を思い出していないということはまだ止められるということだ。はやく、ディケイドの元へ急げ……手遅れになる前に。」
「おい、それどういう……!?」
「私は彼女を追う。急げ…」
仮面ライダー3号……あれ、確かそれにあたるのはV3だったような。そんな疑問をなげかけられる前に彼は愛車のトライサイクロンに乗り込み、去っていってしまった。
さて、それで取り残されてしまったクウガ。まあ、ショッカーも潰されたらしいしこんな場所で長居する必要もない…気になる要件も増えたし、通りすがりの偏屈な友人なら何か知っている可能性も高いだろう。続いて彼もその場をビートチェイサーをとばして後にした……のだが……
「…ふむ。順調だな……」
廃墟の影からニヤニヤとみていた人影。研究者のように白衣を着て、手に握るのは目玉のようなアイテム…これを玩びながら男はポケットにこれを腹部のゴーストドライバーへと装填。そして……
【コッチヲミロォォ!!コッチヲミロォォ!!!…】
変身。
【カイガン!キラー!!英雄!喝采!アイアム・ゴースト!!】
白いトレーナーのような何かが被さり、彼は猫耳と猫目の仮面をつけた純白と紫のライダーとなった。明らかに仮面ライダーゴーストに準ずるライダーであるが、とても正義の系譜とは思えない。
……3号、ツヴァイズ…更に現れた謎のライダー…
…本郷猛計画
再び、ライダーの歴史を揺るがす戦いが幕を開けようとしていた。
オールライダーコラボ企画
~3号を受け継ぐ者~(仮)
To be continued……
今回の様子をみてコラボ募集をするか決めようと思います。
前回の無銘とその後書きもみてほしいですが、一応、念のために書いておきます。まだやるかわかりません。意見等はメッセージへ。作品の感想は感想欄へお願いします。
では、感想おまちしてます。