Operation Racoon City. Scenes U.B.C.S 作:オールドタイプ
The U.B.C.S. members Breach the HIVE.
27days 17:30
「これで前に進むしかなくなったな」
落盤に巻き込まれたエレベーターを見て諦めたように首を横に振る。
落盤が起きたのはエレベーター付近のみであり、死体の山が広がるエレベーターホールは健在。ひび割れ等は見当たらず今のところ崩落する危険性はなさそうである。
積み重なる死体の傷口は、どれも自然に出来たものではない。かといって感染者や既存のB.O.Wとも思えない。もっと大きな別のナニか。
「コイツらが起き上がる前に安全な場所を見つけた方が良さそうだな」
現状で死体が動き出す素振りはないが、これまでの活動において死体の再活動には個人差があることは、既に判明している。
自分達が目撃した限りでは少なくとも死後3時間以内には成り果てた姿のモノになっていた。ここにある死体は血液の完全な凝固状態からしてそれ以上の時間が経っている。
「ルート案内は任せる」
今は収まっている地盤の崩落も、いつ再開されるかわからない。後戻り出来なくなった以上この場に留まる理由もない。
「内部の構造が情報通りなら、素直に下に進んでいけば地下プラットホームまでたどり着ける」
「それにしたってこの死体の山一体何なんだ? 自然に集まったわけがないよな?」
「まるで何かのエサ場だ」
墓場ではなくエサ場と表現されるエレベーターホール。無造作に積み重ねられた死体の見方によっては確かにエサ場。食料の保存庫である。
「それに関しては未知の領域だ。既存のB.O.Wに死体を一ヶ所に集める性質を持った個体はいない。偶発的な二次災害だろう」
時折U.B.C.S.内でも二次災害については幾つかの報告例があった。その場所その地域に生息する生物が何らかの形で感染し、大きな被害をもたらしてきた。
B.O.Wの一体、リッカーがそれに近い。元々は感染者の突然変異体。当時のアンブレラも予期していないことであり、リッカー発生当初は、研究が確立されるまで猛威を振るった。
しかし、二次災害が後々の研究に貢献していたのも事実。
リッカーを人為的に造り出す動きを見せたほか、植物にも作用することを掴んだアンブレラが、他の生物と植物を融合させたという話も聞きしに及んでいる。
「この崩落も恐らく自然に起きたものではない。一体どんな個体かは知らないが、ソイツの仕業だろう」
一連のことをUNKNOWN個体の仕業であると結論付ける彼。その顔は他の隊員達のような生理的反応もなく、心理的にはとても落ち着いている。
「随分と落ち着いているな」
他の隊員からすればこのような異常事態に、なに一つ揺るぐことのない彼は少しは異常に見えるのだろう。
どれだけ訓練されていても、精神的ショックや動揺等は必ず出てくる。一握りの特殊部隊員も例外ではない。彼らはそこから這い上がる逆境や、踏ん張る力が一般兵士よりあるだけである。技能もそうだが、精神面が常軌を逸脱しているのが特殊部隊に求められる素養なのだ。
そういった意味では、生き残っていながら自分を保ち続けている彼らもその領域に達していると言える。
「監視員をやっていればこういった事態に遭遇することはよくある」
U.B.C.S.設立当初から所属する古株の彼は、何度もこう言ったことに遭遇しているのだろう。未知の存在への対処が彼をここまでのものにした。
「だからといって慢心しているわけじゃない。こっからは常識が更に通用しなくなる。ソイツらを退けるには、自分の知識技能は勿論だが、臨機応変の対応が必要以上に求められる。今日までの経験なんて宛にならないぐらいにな」
それが出来るからといって生き残れる訳でもない。現に彼は部隊をネメシスに全滅させられている。出来ることをやったからといってそれが全て最良の結果に繋がるとは限らない。
「この扉を越えた先からは頭を真っ白に、一度リセットしないといけないってことだな」
エレベーターホールの奥、ハイヴ内部に繋がる金属製の扉の前で立ち止まる一同。
ハイヴ内部に突入する前に一同はACEリポートをし、装備に異常がないかを調べ、弾薬を均等に再分配する。
「開けるぞ......」
扉は電子ロック式になっており、彼がコードを入力していく。
金属製にしてはやけに軽い音と共に扉が開かれる。
開かれた扉に対して、ハイローポジションをとるなどして一同は警戒体勢をとる。
扉の先は会社の一室を思わせるような、デスクトップが幾つも設置されている部屋になっていた。どうやら、数ある研究内の職場における事務室的な場所のようだ。
書類や椅子や机といったものが転倒しているが、それ以外を除き比較的部屋の状態そのものは良好のようだ。
血糊や死体等も見当たらない。
ここで安心しきって殺られた者達も数多く、自分達も仲間がそうなったことを、その目で確かめてきたこともあり、室内に突入後彼らは隅々まで室内を検索した。
人が入れなさそうな隙間から引き出しや冷蔵庫の中身まで何から何を。
「セーフティエリアとして設定出来そうだ」
隈無く検索が終了したことで一同は部屋の中心に集まった。
「ここを一先ず拠点としよう」
室内に突入した際、最後尾の者が扉が閉まるのを確認したのち、電子ロックを銃床部で何度も殴打し、向こうから扉が万が一開くことのないように処置をした。
「これがハイヴの地図だ」
彼が部屋にあったハイヴの全体図を床に広げる。
「ここが俺達のいる現在地。各層ごとに別れており、それぞれLevel1~5になっている。下に行くに連れて研究内容の機密性が上がっているようだ。このLevel1フロアは全体的にハイヴ全体的の事務処理を担っているみたいだな」
Level1 Office&Security area.
Level2 Storage area.
Level3 Experiment areaⅠ.
Level4 Experiment areaⅡ.
Level5 Experiment areaⅢ.
このように分けられているハイヴの内部。逆三角形のような内部構造であり、各層ごとの詳細は表記されてある通り。それぞれ10を越える部屋がある。
下に降りるには道が1つしかない一本道となっている。
「ここからツーブロック先の部屋から下に降りれるわけだな」
「目的のプラットホームは最下層なのか?」
「あぁ、平時では各層での研究成果を運び出す役割をしている。表では人目につくためらしい」
地下研究所で製作されたものは最重要機密であり、人目につくのは避けたいアンブレラ側の計らいのようだ。何かにつけてアンブレラの不祥事を掴もうとする輩が後を立たないため。
急成長した企業には何かと黒い噂等が絶えない。そういったものを食い物とする記者も大勢おり、アンブレラも例外ではなかった。ライバル企業等からの産業スパイも危険だ。
「ただ、1つ面倒な事がある」
「何だ?」
「下に降りる為の道はエスカレーターのようになっているらしいのだが、そこに行くためにはパスコードがいる」
「雇い主からの情報があるだろ?」
「ハイヴの機密性を保持するためコードは毎日数時間起きに更新される。そのコードも指定された部屋のみでしか手に入らず、コードの入力は各部屋から送信しなければならないようだ」
このような設備は今に始まったことではなく、アンブレラの息の掛かる各施設においても同様の面倒な仕様が取り組まれている。
「毎日出勤するのも一苦労なんだな」
「それだけ外部に漏らしたくないことがあるのだろう」
機密面ではそれなりに気を張り巡らしているアンブレラだが、どこかその方向がおかしい気がするのは恐らく間違ってはいないであろう。
「何人かに別れて別行動をとるか?」
8人とキリの良い人数であるため、余りが出ることはない。
「部屋の数も多い。二人一組を四つに分けてそれぞれ各部屋の捜索に当たろう」
安全性よりもスピードを求め、二人一組に分かれる隊員達。
「警備室に丁度人数分の無線もあった。何かあれば各自無線で報せろ」
チョッキのモールに無線を引っ掛け感度確認を行った後、各バディは別々の部屋に繋がる扉へと向かった。
「ここまで来たんだ誰1人欠けることなく脱出しようぜ」
「パスコードを入力したら直ぐにこの場に戻って来るんだ」
あと一息。誰もが脱出が手の届く範囲になったことに喜ぶ。しかし、焦りは禁物。脱出が目の前になったことで心に焦りが生じる可能性がある。
焦りは綻びを生み、綻びは死となる。
深呼吸をし、心を落ち着かせる。体はホットに頭はクールに。
「よし、散開!」
一斉に別々の部屋の進んでいく隊員達。果たして何人が生きこることができるのだろうか......
U.B.C.S生存者20名。死者100名。
ちょっと短めです。
ここからはゲーム視点のような一人称メインで行こうかと思います。
アウトブレイクのキャラがU.B.C.S.になったようなイメージです。ただ、モブとかはバディ以外いなかったり。
前書きは本編バイオのような表記を意識したのですが、英語全く出来ないから言い回しとか何も出来ない。ただ単語並べただけです。