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五月一一日に起きたリニアレールの暴走及び、レリック事件とイレギュラーたる黄金聖衣持ちとの戦闘、これらは速やかに収められている。
冥界で黄金聖闘士の会合――
こまっしゃくれた子供に過ぎなかった羅嬉が、美しく成長した大人の女性として接して久しいのだけど、そんな彼女と久方振りに夜の閨で過ごせたのは愉しい一時だと云えたので良かったが……
それは扨置き、次のイベントに向けて動く手筈を整える。
「それで、今回の要件は?」
「はい、古代遺失物が地球へ持ち込まれてしまった様です」
「矢張り……か」
「若しかしたらそれも判っていた事でしたか?」
「一応な」
とはいえ、アニメでは無くサウンドステージ01というドラマCDでの噺、ユート自身は余り覚えていないけど確か御風呂回が有った気が?
〔それで、ユートさんにはこの件をお願いする出来るでしょうか?〕
「地球での法律上、時空管理局は頼れんからな」
〔はい〕
ユートの【聖域】は地球連邦の提携組織だから問題無く地球に入り、魔法なり何なり使って闘う事も許可が下りているけれど、異次元人の組織である時空管理局にはそんな許可は絶対下りない。
一応、時空管理局を組織した功労者にはユートの名前が挙がってはいるが、地球への勝手な出入りを許可させる心算は一切合切無かった。
何せ地球連邦の設立にもユートは関わってる、そしてどちらを優先するかと云えば地球連邦だ。
実際にユートがよく知る時空管理局の人間は、管理局の設立された黎明期に活躍した伝説の三提督と呼ばれる三人のみ、他の連中は死んだか引退をしたかをしているから知り合いなどは居ない。
主にミゼット・クローベル本局統幕議長、レオネ・フィール法務顧問相談役、ラルゴ・キール武装隊栄誉元帥の三人のみと云う事である。
後は、比較的に新しい知り合いで一番の年嵩なのはファーン・コラード三佐やレジアス・ゲイズ中将達、後はレティ・ロウラン提督やゲンヤ・ナカジマ三佐がそんな連中に当たるのだろうけど。
時空管理局内の、可成り居る局員を鑑みれば少ない知り合いである。
ミゼット・クローベルもファーン・コラードも一時的な閨相手をした事もあるが、【閃姫】契約していた訳では無いから老いているけど。
「それじゃ、此方は動く」
〔お願います〕
ユートの言葉にカリム・グラシアは一礼した。
モニターが切れて、ユートは振り返るとはやてに対し指示を飛ばす。
「はやて、【聖域】ミッドチルダ支部の出陣だ」
「了解や!」
地球に持ち込まれた古代遺失物、それはユートが覚えている限り新人だけでも封印作業が出来る程度の危険度、故に旅行気分で行けるのだ。
用事を終えたので、ユートはモニタールームから外へと出た。
「ユート!」
金髪ロングヘアなお姉さん、フェイト・テスタロッサが右手を挙げて振りつつ声を掛けてくる。
「フェイトか」
「地球に行くんだよね?」
次のイベントとしての概容は聴かされていた。
「そうなるな」
「私達も行くのかな?」
「ああ、第一小隊と第二小隊を連れていくから、小隊長であるなのはとフェイトにも行って貰う。第三小隊と地球に大きな関わりの無い連中は残念ながら留守居役を頼む事になるな。はやて達も連れて行くし、ヴォルケンズも必要だろうからな」
概ねはサウンドステージ01の時のメンバーで、他は何かイレギュラーが起きた為のお留守番だ。
ヘリは要らないので、第三小隊のヴァイスは留守居役を仰せつかる。
転移陣を使って一旦、専用の次元港に移動をしてから今度は次元航行艦に乗り込んで先ず向かうのは、ルーテシア・アルピーノとメガーヌ・アルピーノが暮らしている元無人世界のカルナージ。
このカルナージ、昔は確かに無人世界だったのだろうが、現在はアシュリアーナ真皇国の人間が入植をしていて普通に有人世界だった。
「ルーちゃんとは久し振りに会うんだよね~」
「そうよね」
ニコニコなキャロと、それに頷いたティアナ。
第三小隊のヴァイスとルーテシアではあるが、普段のこの小隊の所属はヴァイスだけである。
アルピーノ母娘は現在はカルナージ在住だが、犯罪者では無く無人世界への島流しでは無い。
二人は好きでカルナージへと住んでいるのだ。
正確にはユートに言われた事で、ジェイル・スカリエッティや黄金聖衣持ちや最高評議会連中、詰まりはルーテシアやメガーヌを追いそうな者共へ目眩ましの為に謂わば二人を隠したのである。
「それじゃ、カルナージに向けて出発しようか」
『『『はいっ!』』』
次元港への転移を、そして次元航行艦に乗ると僅か小一時間でカルナージへと到着をしていた。
「ようこそお出でませ、【聖域】ミッドチルダ支部の皆様方!」
「ユートさん、いらっしゃいませ」
二人が歓迎をしてくれている。
「今日は頼むよ」
「うん、確り準備してるわよ」
嬉しそうなルーテシア、メガーヌも笑顔を浮かべて頷いていた。
本日はホテル・アルピーノに宿泊をしてから、明日の朝一番に地球の次元港へ向かう事になる。
ホテル・アルピーノは創業してから約四年で、初期投資はユートが当たり前の様に出資をした。
メガーヌの為、更にルーテシアの為に惜しみ無く資産を出したのだ。
スバルとギンガの母親のクイントとは違って、メガーヌ・アルピーノは未亡人だから独身者だった事もあってか、ユートは彼女とは一夜のみならず何日も閨に連れ込み、その肢体を貪っていた。
其処までヤればメガーヌからしても情が湧く、まな板の上の鯛みたいだったのが自分から求めていく様に成り、一年も過ぎればちょっとした愛情にまで気持ちが育つのも当然の流れだった様だ。
死に別れた夫がどんな人物かは知らないけど、ひょっとしたら割りと碌でなしだったのかも?
ホテル・アルピーノにチェックインしてから、【聖域】ミッドチルダ支部の面々は中居さんから部屋へと案内され、原典とは違ってエリオ・モンディアルが居ないのでユートは唯一の男だったからか、他のメンバーと違い個室へと案内された。
料理長がオーナーと云えるユートが宿泊だと知って、どうやら原材料も可成りの上物を用意した上で自慢の腕前を揮ってくれたらしい。
「
「ホント、美味しい!」
ユートのお褒めの言葉に、スバルも同意した。
「何しろユートさんが連れて来た料理人だもの。私なんて毎日が美味しい御飯なんだからね!」
ビクトリーしながらルーテシアが自慢そうだ。
「フフ、どうやらアシュリアーナ真皇国の人材派遣は上手くマッチしているみたいで良かったよ」
出資者として初期費用を出しただけでは無く、仲居や料理人など必要不可欠な人材も派遣した。
それにだ、カルナージに赤ん坊なルーテシアを連れて渡ったメガーヌの為、数体の茶々号を派遣して子守りも任せられる様にしている。
茶々号と云うのは即ち、再誕世界での超 鈴音と葉加瀬聡美が開発したガイノイドの事で、しかも昔のプロトタイプと云える茶々丸とは躰躯が異なっており、生身の人間の肉体に近いモノにて構成されている。
茶々号は人間に出来る事は大概が可能な造りをしている為に、妊娠や出産以外は基本的にその全てが可能に成っていた。
尚、食事は摂れても全てを完全にエネルギー化してしまって、彼女らは排泄する必要性が無い。
変な性癖な人には刺さらないかも知れないが。
仲居さんや料理長やフロントなどに関しては、人間のスタッフを雇用しているけどアシスタントとして茶々号は大活躍、ルーテシアも赤ん坊の頃から面倒を見てくれたアルピーノ茶々零号に今も懐き、『お姉ちゃん』みたいに思っているとか。
エリオ・モンディアルは居ない、然し原典となる【Vivid】でのルーテシアとキャロと同じくらい二人の仲は良好、竜と蟲で系統は違えど召喚師という同じスキル持ちという事も矢っ張り大きい。
また、二人は未だに一〇歳という子供である事をアドバンテージに、気になる男性に子供らしく甘えるなんてムーヴをかましており、キャロとしては恥ずかしそうだけどルーテシアとコンビを組んで、幼い肢体をユートにくっ付けているのだ。
夕飯後は腹ごなしにアスレチックで運動して、温泉で汗と疲労を心地好く流してから就寝する。
地球行きの次元航行艦にはメガーヌとルーテシアも乗り込み、ホテル・アルピーノは茶々号達やホテルスタッフが回してくれるであろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「いらっしゃい、みんな。久し振りに集まるね」
「すずかさん!」
すずかからの言葉にティアナが即反応をした。
「ティアナ、スバル、キャロ、ギンガ、ルーテシアも久し振り。アンタ達の歓迎会は準備完了よ」
ニコリと笑うアリサ、原典では大学生バージョンで髪の毛を切って短くしていたが、この世界線でのアリサは長く伸ばしてポニテである。
このポニテはすずかも同じくだ。
というより、基本的に髪を長く伸ばしている者はポニーテールに結わい付けているくらいだ。
理由はユーキ、彼女がポニーテールにしている目的がユートの為だからであり、それを知った彼女達は挙って髪を伸ばしてポニーテールに。
フェチでは? と思われるくらいにはユートがポニーテールを無意識に好んでいると云う事だ。
だから、【ハイスクールD×D】の世界に於ける姫島朱乃にしても、本来ならユートは距離を置く心算だったのに絆された理由が早い話、彼女がポニーテールだったから距離を置けなかった為。
果てしなく、
サーチャーの使用は基本的に禁じられている、然しながら特殊な任務に当たり【聖域】の人間は許可が下りており、教皇であるユートが隊員に対して命令を下したならば使用をする事が出来る。
今回は、高町なのはがロストロギア捜索の名目でサーチャーを海鳴市内の一帯へとばら撒いた。
「さ、後は結果を
「それで、すずかさん!」
「ティ、ティアちゃんの圧が凄いんですけど」
皆で訓練タイム、ミッドチルダ支部組が渡航をして以降の久し振りな時間、月村すずかが与えられたデバイス――スノーホワイトは基本形態だとブーストデバイス、詰まりキャロやルーテシアの物と同様にグローブ型をしているが、セカンドモードでは銃型に変形をする。
その所為か、シンパシーを感じたティアナに懐かれていた。
アリサ・バニングスのデバイス――フレイムアイズは基本形態が剣型、セカンドモードに成ると弓型へと変換をされる訳だが、流石にレヴァンティンみたいな連結刃への変換まではされない。
二人のデバイスには聖衣収納機能も追加され、腕輪や腕時計は既に使っていなかったりする。
訓練後は夕飯タイム、今宵はバーベキューだ。
すずかやアリサが用意してくれた御高い肉と、新鮮な野菜などを思い思いに串へと刺して焼く。
といっても、矢張りスバルとギンガのお腹へとまるでブラックホールの如く吸い込まれるけど。
然し食べるという事ならユートも負けてない、何故ならユートは七つの大罪な“暴食”も持つ。
ユートを含んだ三人が居れば食材は余るまい。
「んんっ、美味しい!」
「本当よね」
スバルとギンガの食べっぷりは、知っていても呆然となるレベルだ。
「優斗も良い食べっぷりなのよね、はいこれも食べなさいよ!」
「ああ、有り難うアリサ」
健啖家なユートにアリサが肉を焼いてくれる、尤もすずかとなのはとフェイトも焼いてくれた。
「ユート、ユート! これも凄く美味しいよ!」
「アリシアもか……」
アリシア・テスタロッサ、フェイトの戸籍上での双子の姉。
正確にはフェイトの遺伝子元だ。
プロジェクトFという、Dr.ジェイル・スカリエッティの造り上げた人造魔導師というクローンの技術、それによりプレシア・テスタロッサが娘たるアリシアの遺伝子を基に造ったのがフェイト。
プレシア・テスタロッサとフェイトの仲は御世辞にも良く無かったが、ユートが死んでしまっていたアリシアを甦生させた事を切っ掛けにして、二人の仲はアリシアを仲介役に改善が成された。
甦生の事があって、アリシアもユートに懐きまくっているからフェイトと姉妹丼が出来る上に、プレシアと親子丼をも叶うのである。
現在のアリシアは【聖域】地球のギリシア本部、其処で魔羯宮を預かる
聖衣は女性の身体の線を確りと魅せてくれる、その右手首に銀色に輝く腕輪が着けられていた。
腕輪に黄金の宝玉が填め込まれ、この宝玉には山羊座の星の
一〇年前は見習いで、鋼鉄聖衣の
バーベキューの真っ只中、サーチャーから反応が有ったから新人達とすずかとアリサが動く事になって、
封印自体はすずかとアリサが追い込みを掛け、スバルとティアナとギンガによる攻撃で動きを止めてしまい、最終的にキャロによる封印作業によって完了させてしまい、ロストロギアをストレージ内へと仕舞う。
さて解散といった処で……
「危ない!」
キャロが気付いて全員を留めた。
「え? 何なのよ、いったい!」
「ど、道路が!?」
ティアナとスバルが叫ぶ。
アスファルトには、何故か大きな亀裂が縦一文字に入っていた。
「誰ですか!?」
「すずかたんキタァァァァッ!」
「はぁ?」
その攻撃の発生地点に佇むのは、綺羅びやかな黄金に耀く全身鎧を身に着けている男であった。
その男のマスク部分には二本の捻れた角が生えており、肩パーツにも角らしき突起が生えていて右手の掌を真っ直ぐに伸ばしている。
この場に居た女性陣が総じて思った事とは……
『『『気持ち悪っ!』』』
この一言に尽きたのだと云う。
「な、何よアイツ。すずかを『たん』付けとか」
顔を顰めっ面にしながらアリサが酷評をした。
「アイツ、あのハルデバランとかいうのと似ている鎧だわ!」
「って事は、黄金聖衣持ち!」
ティアナは確りとハルデバランを視ていたから判る様で、牡牛座とはまた違う黄金聖衣にユートの敵だと即判断を下している。
アリサも睨んだ。
「拙いですよ! 少なくともアイツらは私達では敵わないです!」
当然、ティアナは脅威をよく知っているのだ。
スバルもキャロもハルデバランの脅威は理解もしており、一発で気絶をさせられた訳だから当然ながら脅威であると理解をしている。
「私に任せてよ!」
「アリシアちゃん!」
颯爽登場したアリシア、彼女の事を諸手を挙げての大歓迎なすずか。
「フェイトたんか!」
「私はアリシアだよ」
「なっ!? ど、どうして生きているんだよ!」
「失礼だね、君は。私はちゃんと生きているよ」
山羊座の黄金聖衣持ちはアリシアの死を確信していたらしく、失礼千万な事を言い放って来たのをアリシアはジト目をしながら言う。
「俺は黄金聖闘士――
「ドレミファ?」
「それを言うなぁぁぁっ!」
何と無く“エルシド”っぽい名前だったけれど、何故か音階みたいな名前を付けられていた様だ。
というより、相生呂子と相生璃亜や御手洗史伽だったりハルデバランだったりと、ニャル子的には面白可笑しく名前を付ける画策だった。
山羊座の黄金聖衣持ちソラシドも【聖闘士星矢LC】に於ける、山羊座のエルシドから音階っぽい名前を付けられてしまったのだろう。
いと哀れな。
「山羊座……ね~。カプリコーン、フルセット!」
「――は?」
銀色に輝く腕輪、それに填まった黄金の宝玉、その宝玉には山羊座の星の列びが描かれている。
アリシアの頭上へと山羊座が浮かび上がると、それは黄金に耀く山羊を象ったオブジェに変化。
「な、なにぃっ!?」
カシャーンッ! 甲高くて軽快な金属音と共に山羊座のオブジェが分解され、アリシアの両脚、両腕、腰部、胸部、両肩に装着されていく。
最後にアリシアの頭部にマスクが装着された。
「【聖域】地球連邦国家ギリシア本部に所属!
「ば、莫迦な!?」
アリシアの聖衣と名乗りに驚愕するソラシド。
「何故、アリシアたんが山羊座の黄金聖衣を?」
「
グサァァッ!
毒舌極まりない科白が矢の如く突き刺さった。
「こうなりゃ、アリシアたんを打ちのめしてでもすずかたんを奪ってやんよ! 喰らえ、この俺様のエクスカリバーをよっ!」
然しその速度は黄金聖闘士と名乗るには遅い。
「おっそ!」
軽く躱すとアリシアは右腕を振り被った。
「
「なっ!? ギャァァァァァァァァァァッッ!」
吹き飛ぶソラシド。
アリシアの聖剣抜刃は抑々、山羊座のシュラも教えた技に当たる。
「私の師匠のシュラ様に比べたら、貴方の技は雲泥の差なんだよね」
「うぐっ、シュラ……だと?」
勿論だが、ソラシドも黄金聖衣を選んだからには【聖闘士星矢】は識ってるし、山羊座を選んでシュラの名前を識らないなんて有り得ない。
それでも【魔法少女リリカルなのは】の世界だと思い込み、実はそれなりに世界観が重なっている混淆世界と気付かないソラシドからしたなら、まさかのシュラという名前に驚愕しか無かった。
黄金聖衣持ちは修業をしていた訳では無くて、組織――ゾディアックの連中は殆んどがそれだ。
アリシアはセブンセンシズにこそ目覚めているが小宇宙の量が足りない、ソラシドは小宇宙の量はそれなりだがセブンセンシズに目覚めてない、それが故にどちらもどうしても黄金聖闘士未満であったと云う。
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