何もできない僕の物語   作:必殺うぐいす餅

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またまた文字数が少ないです、申し訳ない・・・


第10話

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「大地よ、固き枷となり敵を捕らえよ」

突如リリアさんの声が響き、魔王の足を土が覆う。

それに呼応するかのように全員が一斉に動き出す。

「神よ!その御名において邪悪を払い打ち据えよ!」

「おぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!」

リプトさんの詠唱と共に発生した光の柱にフーガさんが斬りかかる。

 

だがフーガさんの剣のみがレオンさんのときと同じようにそれ、そのまま大地を粉砕する。

その影から突如レオンさんが魔王に横から剣を振るう。

 

キュインと聞いたこともない音でレオンさんの剣が停止する。

光の柱が晴れ、そこには間違いなく魔王がいる。剣はそのわずか手前で停止してる。今度は弾かれていない!

「ふむ、弾かれんか」

魔王が腕を持ち上げた。その動きを阻害するように次々と魔法を編んでゆく。

「させない。風よ暴風となり弾き飛ばせ」

竜巻のような暴風が魔王を取り囲みみんなが一気に距離を取る。

その暴風の中、動けないだろう魔王に向けてさらに魔法の追撃が入る。

レオンさんが剣を縦に構え詠唱を始める。

「神に仇なす者に鉄槌を!契約の力を発せ!ゴッドブレス!!」

暴風を光の玉が囲み中心へと収縮していく。

そのまま魔王一人分程の大きさに収縮し、爆ぜた。

「やったか!?」

「この程度じゃ無理だろ、だがダメージは・・・」

フーガさんが言葉を切る。

光が一気に拡散しやっと僕にも視界が戻ってくる。

その先には普通に、まるで何事もなかったかのように佇む魔王の姿。

体に傷どころか服に汚れ一つ付いていない。

圧倒的な力の差を、格の違いを見せ付けられていた。

「魔王様、必要とあらばこの私めが」

横で傍観していたオーストが前に出ようとする。

魔王がその動きを手で制した。

「よい、どうやらこの程度で消耗しているらしい。死に物狂いで力を奮いこの程度か」

皆それぞれの武器を構え油断なく魔王を睨みつけている。

「・・・つまらん、これが今の勇者か」

それだけ言うと魔王はマントを翻し後ろを向いた。

「引くぞオースト、このまま滅ぼしたとて暇つぶしにもならん」

魔王の前に黒い渦のような物が現れそこに歩き出す。

「せっかく我が蘇ったのだ、今しばらくの猶予をやろう。今代の勇者よ次はもっと楽しませよ」

それだけ言い放ちオーストを引き連れ渦の中に入っていってしまった。

 

 

僕は渦に消える魔王を見て危機は去ったと安堵した。安堵してしまった。

そしてすぐに安堵してしまった自分が情けなくて、悔しくて怒りと後悔が沸いた。

 

あいつは町を滅ぼした、いつも優しかった町の人も、友達も・・・両親も。

あいつはすべてを奪っていったんだ。

その場でうずくまり、泣いた。

現実感なんてない、オラドゥールは壊滅したとはいえ多くの人が避難した。崩れていてもまだ町だったものが残ってた。

でもここには何もない。頼もしかった城壁も、広く立派だった通りも、その両側にあった綺麗な家々も、そこに住んでいた人たちも。

全てが分け隔てなく荒野になってしまっている。

そのことが悔しくて、僕は何もできなくて、そしてそれが全部夢なんじゃないかと逃避しようとするの僕自身がひどく惨めで。

ただ泣くことしかできない。僕は何かに包まれた。

泣き腫らした目の隅に写る黒い服が、服の端にかかった銀の髪が震えている。

「ごめん・・・なさい。私は、一番いい選択をしたと思ってた。でも一番つらい選択だった・・・本当に・・・ごめんなさい」

ひどく震え、嗚咽に近い声で。きっと彼女の精一杯が籠められてるのがわかる声。

「今は、泣かなきゃだめ。今はわからなくても、その涙が大切な人を送る力になるから」

僕は彼女に縋り付いて、声を上げて泣いた。

僕の上で彼女も泣いてくれている。横からも泣き声が聞こえる。

 

皆、泣いてくれている。

涙の理由は皆違うかもしれない。

守れなかった不甲斐なさか、魔王に歯が立たなかった自分への怒りか。

ただそこに少しでも町の人を送る涙が含まれているなら、彼らの涙ならきっと・・・神の御許へいく強い力になると。

 

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