何もできない僕の物語   作:必殺うぐいす餅

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第16話

宿舎に戻った僕たちは寝ていたフーガさんを叩き起こし(リプトさんが)買った家具を運んでもらった。

家具の配置を終えひと段落といったお昼過ぎ、レオンさんが帰ってきた。

「ただいま、皆そろってるかい?」

「はい、さっき僕の家具を運んでもらったところですから皆いると思いますよ」

「そうか、なら皆を居間に呼んでくれるかい?僕も荷物をおろしたらすぐに居間に行くよ」

 

 

 

皆が居間に集まり真剣な顔をしている、前にはレオンさんが立っている。

「皆、謁見の予定が決まったから連絡しておくよ。少し急で悪いんだけど今日の夜、日没後すぐだ。同時に旅の支度も整えておいてほしい」

場が少しざわめき、皆顔を見合わせていた。

「うん、皆が驚くのも仕方ないと思う。今までこんなに早い謁見はなかったからね。とりあえず協力者・・・というか随行者としてヨアン君を陛下に紹介するからリプトはすぐにヨアンを連れて礼服を仕立ててきてくれ」

「はい、わかりました。それと、旅支度というのは?」

リプトさんはいつもと違うとても真剣な顔をしている。

「それもこれから説明するよ、陛下は今回の魔王復活をとても重く受け止めている。すでに二つの都市が落とされたんだ、それはまぁ当然だろう。そしてまだ暫定ではあるが僕らを先遣隊として派遣するらしい、いつ出発になるかはまだ分からないからね、とりあえず簡単な準備だけはしておこうといったところだよ」

レオンさんはそこまで一気にしゃべりあぁ、そうだ。ついでにと言った。

「これもまた暫定ではあるけど僕に勇者の称号が授与されるらしい、皆は勇者のパーティーということになる。これは可能なら魔王を倒してきてほしいということだろうね」

レオンさんが勇者・・・そういえば勇者の血筋と言っていたなぁとぼんやり思っているとさらにレオンさんの声が続く。

「とりあえず皆は今言ったように動いてくれ。陛下に謁見するんだ、礼服を忘れるなよ?では、解散!」

最後にそう茶化しレオンさんは二階へと上がっていってしまった。

 

 

 

「さて、ヨアン君、さっき帰ってきたところで疲れてるでしょうけど急ぎで仕立て屋さんに行かないと。着いてきてくれますか?」

リプトさんが優しく僕の肩をつかむ。当たり前だ、国宝陛下に謁見するのにこの普段着のわけにはいかない。

「はい、もちろんですよ。むしろご迷惑おかけします」

僕がもっと準備して旅立てていればよかったのだけど残念なことに今は何も持っていないし王都のお店も詳しくない、現状ついていくしかないのだ。

そのまま僕とリプトさんは急ぎ足で仕立て屋へと向かいフーガさんとリリアは準備を整えるといって部屋へ戻って行ってしまった。

 

 

 

夕刻、もうすぐで沈む陽が赤々と燃えている。そんな赤い陽に照らされ新品の礼服に身を包む僕と着慣れた感じの、でもいつもと違うとても豪華で洗練された服を着ている面々が並んでいた。

「んじゃ、行きますか。そろそろ城には入っておかないと陛下がうるさいからな」

豪奢な礼服をわずかに着崩し、服にあまりあわない天に向かってまっすぐ伸びる髪を撫でつけながらフーガさんが言う。

すごく・・・見た目だけならすごくかっこいいのにそのぶっきらぼうなしゃべり方がいろいろ台無しなフーガさん。

「フーガは残念顔だから」

いつも通りの無表情の中、普段のゴスロリよりもフリルが多く、すごく可愛らしい恰好をしたリリアが僕の心を読んだかのようにフーガさんをいじる。

「あらあら、これでもフーガのことを見ている方は結構いるんですよ?なんて言ったかしら・・・ワイルド?とかなんとか・・・」

「だからリプトよぉ・・・これでもとか言うんじゃねえよ!あとその見てる人とかっての後で紹介してくれな!」

フーガさんがうなだれた後すぐに笑顔を浮かべるよくわからない行動をしながら親指を立てる。

さて、皆のフーガさんいじりもひと段落するしそろそろ。

「さぁ皆、あんまりのんびりしていると陛下を待たせてしまう。城へ向かおう」

予想通りのレオンさんの言葉に強く頷きお城へとむかって歩き出した。

 

 

 

お城へ着くとすぐにレオンさんが番兵に名乗りを上げ控室へと通された。

さすがは謁見者用の控室、調度品一つとってもものすごく価値のありそうなもので構成されていた。

そんな中で僕は一人、ものすごい緊張感を隠せずにいた。

きょろきょろと周りを見回しては下を向き、無意味に手を組んでみたり、自分でも緊張しているのがわかるほどだった。

そんな僕の横に座るリリアがそっと僕に手を重ねてきた。

「ヨアン、別にそんなに緊張しなくていい。陛下は優しいお方、あの豚の時と違う、聞かれたときは素直に答えればいい」

そんなリリアに同調するようにリラックスしきり、足を組んで座っていたフーガさんもこちらに目を向ける。

「俺が言うのもなんだが・・・陛下は寛大な方だ、俺みたいな中途半端な礼法でも許してくれる。ただ、ものすごく嘘を嫌う方だからな。中途半端な礼法でもいい、聞かれたことには素直に答えろ。いいな?」

「はい、素直に・・・ですね。頑張ります!」

「よし、その意気だ!豚の時に失敗してるからな、次はミスるんじゃねえぞ?」

そういってにっかりといい笑顔を浮かべてくる。ほんと、いい人だなと心の中で感謝を述べる。

 

 

 

部屋の和んだ空気の中、ノックの音とともに兵士が謁見の準備が整ったと短く告げ消えていった。

皆真剣な顔をして、部屋を出る。僕もそれに倣いついていく。

とうとう、国王陛下との謁見が始まる。

 




なんとか書けました・・・
前回同様、今回もちょっと急いで書いてしまったために整合性が取れなかったり誤字脱字等が予想されます、何かあればご報告お願いいたします。

また少々事情があり来週はお休みをさせていただく予定です。
お待ちいただいてる皆様には申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。
(まぁ仕事の合間などで書ききれればあげますが・・・少々難しそうですので・・・)
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