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「第一騎士団所属、騎士レオン様御一行!御入来!」
そんな兵士の声とともに目の前の大きな扉が重厚な、だがよどみのない音で開く。
白く、とても綺麗な空間で床に敷かれた道のような赤いマットが良く映えている。
マットの両サイドには等間隔に兵士が並び立っている。
その奥に、一段高い場所に置かれた椅子に、おそらく王様だろう人が座っている。
そんな荘厳な雰囲気の中、レオンさんが先頭を歩いていく。胸を張り前を見据えて。
王様の前、階段の様になっている段の前でレオンさんたちが一斉にひざまずき、片腕を胸に当て礼の姿勢をとった。
僕もすぐにそれに倣い姿勢を整える。
「国王陛下に置かれましては、ご健勝とのことで何よりに存じます」
レオンさんの発言のすぐ後に低く、だけどよく響く声が聞こえた。
「うむ。レオンよ、よく戻った」
「は!これも国王陛下の御威光の賜物にございます」
この人が国王陛下、この国で一番偉い人か・・・そっと顔をあげようとしたところでそっとフーガさんに横腹を小突かれた。
「建前や口上は良い、どうやら己の好奇心に勝てぬ者もいるらしい。顔を上げよ」
そう言われ青ざめる、僕は、また迷惑をかけてしまった。自分のちっぽけな好奇心のせいで。
「申し訳ありません、市井に暮らすもの故に礼儀作法を」
すぐにフォローに入ってくれたレオンさんだが王様が手を振り遮ってしまう。
「よい。少年よ、名は何と言う」
すぐに地面に当たるほどに頭を下げる。
「も、申し訳ありませんでした!その・・・」
「よい、構わぬよ。少年よ、顔を上げ名を教えてはくれぬか?」
すぐに顔を上げ王様の顔を見る、少し疲れたようなその顔には僅かに、本当にわずかにだが笑みが浮かんでいるように見える。
「も、申し訳ありません。フラングに住んでいました、ヨアンと申します」
「そうか、フラングからか・・・ヨアンよ、余を見てどう思った」
いきなりの問いかけに僕は焦り、混乱してしまった。
「え、いや、その。威厳のある方だなと・・・少し、顔色が悪いなって・・・あ!いやその、御顔の色が優れないと!」
とんでもないことを言ってしまったと手をわたわたと動かしすぐに敬語?に言い直す。あぁ・・・なんでこんなことを!
「貴様!陛下に向かって!!」
王様の隣に立っている小太りの、偉そうな人に怒鳴られ兵士に槍を向けられてしまう。
「申し訳ありません陛下!この者は・・・」
「よい、臣を通さぬ民の意見は貴重なものだ。そうか、余が疲れて見えるか」
真っすぐに僕の目を見て問いかけられる。まるで心の奥底まで見通される様な目で。
「は、はい。その、僕・・・私みたいな下賤の生まれにはわからない苦労があるのだろうと・・・」
王様がふと目元を緩め、僅かだが優しそうな顔をした。
「よく見ておる。それにフラング陥落は余の決断の遅さが招いたこと。糾弾してもよいところを体調の心配か。お主は優しい子なのだろうな」
「陛下、フラングのことは致し方なく!」
王様が隣に立っている偉そうな人の発言に緩めた目元を引き締める。
「大臣よ、余はこのヨアンという少年と話している。口を挟むでない」
偉そうな人(大臣さん?)はすぐに頭を垂れ一歩後ろへと下がる。
「この心優しき少年なら問題はなかろう。レオンお前の旅の随行者として認めよう。良き人材を見つけたな」
「は!お褒めにあずかり光栄にございます!」
「ヨアンよ、旅は過酷、時に死線を潜ることもあろう。それでもレオンたちを支えてくれるか?」
「はい!お任せ・・・謹んで拝命いたします!」
それを聞くと王様は立ち上がり僕たちの頭の上に杖を振りかざした。
「第一騎士団特殊兵装小隊隊長、騎士レオンよ、そなたをサザランド王ゲルハルト・ヴァレヒトの名において勇者と認定する!これよりは魔王討伐特別部隊を名乗るといい。フーガ、リリア、リプト、ヨアンよ。これに従い勇者の旅を支えよ」
「は!身命を賭し任務を果たしてまいります!」
レオンさんの力強い声とともに全員で首を垂れる。
王様は僕のほうを見てニヤリと笑った。
「余はこれで下がろう、民にあまり心配をかけるわけにはいくまい、今宵は休息をとる。大臣よ支援等の話は任せる」
そういうとマントを翻し椅子より奥にある扉の奥に行ってしまった。
「オホン!ではまず支度金を・・・」
そこから大臣さんから支度金や関の通行証を受け取り、手続きなどを終え僕たちの宿舎へと戻った。
その帰り道、僕はまたフーガさんからお叱りを受けた。
「なぁヨアン。お前豚の時もやらかしたよな、ん?」
「あ!いや・・・その」
「お前は商人として頑張るといったからにはキチントやれ、そう言ったはずだ」
「ご・・・ごめんなさい!」
「しかたない、聞かれたことに素直に答えろといったのは私達。フーガもそう言ったはず」
間髪入れずにリリアがフォローを入れてくれる。
「ん・・・そうだな、確かに言った。そしてきちんと礼法ができてなくていいといったのも俺だな・・・」
レオンさんがフーガさんを見てにやりと笑う。
「フーガ、今回はお前の負けだな。それに陛下はあれで楽しまれていたよ、結果よければすべてよしさ」
「くっそ!仕方ねえ、今回は言ったことを翻しそうになった俺が悪い、すまん、ヨアン」
そう言って僕に向かって頭を下げてくる。
「いや、やめてくださいよ!僕が悪かったのは事実ですから!」
頭を下げるフーガさんに手を振りなだめようとする。
「頭の箒が刺さるから頭を下げるなって、ヨアンが」
そしてリリアからの茶々が入る。
「なんだと!つか箒っていうんじゃねぇ!天を衝くこの髪は俺の・・・」
そのまま、フーガさんの髪への熱い思いを聞きながら、宿舎へと帰ってきた。
ナイスミドルって書くの難しいなぁ・・・
かっこよくて威厳のあるナイスミドルな王様が書きたかったけど・・・なんかおじいちゃんなイメージが・・・
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