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宿舎へ帰り着くとすぐに会議が始まった。
「さて、旅に出ることが決まったといってもまだ帰り着いたばかりだ。揃えなきゃいけないものもたくさんある」
レオンさんがそう話し出した。
「とりあえず、明日は本格的に旅の支度を整えようと思う。出発は明後日くらいかな。皆はそれでいいかい?」
「あの、レオンさん。僕、長旅はしたことが無くて・・・なんとなくの想像はできるんですけど、必要なものとかよくわからないんですが」
僕の発言を聞きフーガさんが顎を撫でながら発言する。
「ぁ~、確かに。生半可な知識で準備してもなぁ・・・絶対にどっか足りなくなってくるだろ・・・どうするよ」
レオンさんとフーガさんが少し悩んだ感じになる。迷惑をかけている自覚はある。だけど、今の僕には知識も経験も足りない、ここで意地を張って取り返しのつかない状況にするわけにはいかない。すでに何度も失敗しているんだ、ここでしっかりと学びたい。僕はそう思った。
「なら、ヨアン君は私とリリアがついていきますよ。自分たちの準備も含めて一緒に回りましょう」
そしてすぐにリプトさんがフォローに回ってくれた。
「すみません、またご迷惑をおかけしますけどよろしくお願いします」
「いいのよ、誰にでも初めてはあるし知らないこともあるの。無理をせず頼れるところでは頼っていいの」
リプトさんが情けなく頼りない僕に優しい言葉をかけてくれる。
「ただし、ここできっちり旅に必要なものや知識を教えていくからね?ここでは頼られてあげるけど、旅の道中では私たちもヨアン君のこと頼りにしちゃうからね」
そういうとリプトさんは茶目っ気たっぷりにウインクしてくる。
「はい!勉強させてもらいます、よろしくお願いします!」
そう言い頭を下げる、たくさん学び、経験をしてきっとこの人たちに頼ってもらえるような男になろうと決意をする。
「よし、ではヨアンの旅支度はリプトに任せるよ、よろしく頼む」
僕とリプトさんはレオンさんの言葉にしっかり頷く
「はい、任されました」
「私もいる。スルーは良くない」
そう素早く突っ込みを入れるリリアにフーガさんが笑う。
「おいおい、リリアはいつもリプトに任せっきりじゃねぇか。大丈夫か?」
リリアって案外ずぼらなのかなとリリアのほうを見る。
「別に・・・いつも頼ってるわけじゃない、リプトのほうがうまいからやってもらってるだけ」
「それを任せっきりと言うんじゃ・・・」
ものすごい目つきで睨まれた、言わないほうが良かったかな・・・
「そんなこと言うなら、私は手伝わない」
ちょっと言い過ぎたか、拗ねさせてしまった。
「まぁまぁ、そういわないで?今回は今までで一番の長旅になりそうだから、リリアにもたくさん手伝ってもらわないと困っちゃうわ」
すぐにフォローしようとしたが先にリプトさんにフォローされてしまう。
「はぁ・・・もういい。準備は明日、私は寝る」
そう言って二回へと上がって行ってしまった。
行ってしまってから気付いたがリリアとは同室なんだった・・・後で気まずくなるかな・・・
表情に出てしまっていたのかリプトさんに優しく頭を撫でられる。
「大丈夫よ、このくらいで怒る子じゃないから。ほら、明日も早いからヨアン君ももう寝なさいね」
「はい、えと、僕も部屋に行きますね。おやすみなさい」
きちんと挨拶を済ませて、僕も部屋へと向かう。
「はい、おやすみなさい」
「おう、おやすみ」
「疲れを残さないようにね、おやすみ」
部屋へ入るともう火が落ちていた。
扉を閉め、真っ暗な部屋の中ベッドに向かって歩き出す。
「ヨアンは上の段、下に入ってきたら大声を出す」
下に入るって・・・!リリアと添い寝なんかしたら絶対に眠れなくなる。
「下って・・・入らないよ!ちゃんとはしご昇るから!」
「ならいい、もう寝たほうがいい」
「う、うん。おやすみ」
そういい梯子を昇る。
昇りかけて、足を滑らせた。
「うわ、あぶな!」
咄嗟に梯子をつかむがバランスを崩して布団に倒れこんでしまう。
そして目の前には・・・リリアの可愛らしく、綺麗な顔があった。
心なしか甘い、いい香りがする。
「ぁ・・・えっと・・・」
暗闇の中にあっても綺麗に輝いて見えるリリアの眼を見つめてしまう。
「入ってこないでって言った。大声出すとも言った」
目の前にリリアが真っすぐに僕を見ながらそう言った。
「ご・・・!ごめん!わざとじゃ・・・」
「すぐに出ないと怒る」
僕は慌ててベッドから出ようとするが転んだ時に布団が絡んでしまったのか妙に動きづらい。
バタンと大きな音を立て、部屋のドアが開いた。
「おい、大きな音がしたが大丈夫か!?」
外から明かりが漏れ扉の所にフーガさんレオンさん、リプトさんの三人がいるのが見えた。
「あ~・・・すまん、邪魔だったか」
「えっと・・・ヨアン君、いきなり夜這いは・・・その、ほら、明日も早いし」
「あぁ・・・何事もなかったのならいいんだ、僕らは退散しようか・・・」
三人がものすごい勘違いをしている。僕は何とか誤解を解こうと必死になる。
「違いますって!梯子から落ちちゃって、それで布団が絡まって!」
「いや、きちんと合意の上なら・・・」
フーガさんがそう言うのと同時に僕のすぐ横からも声が上がる。
「違う、変な勘違いはしないで」
そしてすぐに頬に衝撃を感じる。
「変態、とっとと上に行って」
僕はそっとベッドから離れ上の段へと上がっていく。
「ぁ~・・・ご愁傷さま?」
「あらあら・・・」
「ヨアン君、きちんと合意をとってから・・・」
ドアのほうから何か聞こえるがよく耳に入らなかった。
「おやすみなさい」
短くそれだけ言って僕は頭から布団をかぶった。