何もできない僕の物語   作:必殺うぐいす餅

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第5話

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僕たちは崩れ、未だ燃えている町の中心を目指して歩いていく。

まだ魔物が残っているかもしれないと、慎重に。

「思ったより遺体が多いな・・・単に逃げ遅れただけか・・・?」

傭兵さんは慎重に進みながら何かを考えてるみたいだ。

「傭兵さん、何かわかったんですか?」

「すまん、考え事は後だな・・・今は一刻も早くフラングと連絡をとらないとな」

そう言い、先頭に立って進んでいく。

僕も静かに後に続いた。

 

 

すぐ先、僕たちの前に大きな交差点があった。

「身を隠す場所が無い、魔物がいたらアウトだな・・・」

「走り抜けるぞ、いけるか坊主?」

僕は小さくうなずく。

「いくぞ。3・2・1・・・走れ!」

傭兵さんの後ろに続いて走る。

道の半ば、馬車の残骸の横を通り過ぎた時、傭兵さんが大きく横に吹き飛んだ。

 

 

「ケケケ、おもちゃはっけ~ん」

鳥のような羽の生えた人型の、傭兵さんより少しだけ大きな魔物がいた。

にんまりと、嘴のような口元を歪め吹き飛ばした傭兵さんのほうを見ている。

「グ・・・くそが!!」

傭兵さんが吹き飛ばされ、転がりながらすぐに体制を整え魔物と剣を交える。

「行け坊主!役所まで一気に走れ!!」

「あ・・・あぁ・・・」

僕は目の前の光景が信じられず、走れない。

「クソ・・・すぐに倒して追いつく!いいから走れよ!」

「俺を倒すぅ?無理だろ!どの道どっちも逃~がさ~ない」

口元に笑みを浮かべたまま、楽しそうな口調で僕たちを追い詰めていく。

その顔に、そして恐怖から腰を抜かしその場に座り込んでしまう。

「なんで・・・なんで動けないんだ!僕・・・は・・・」

「ギャハハ!腰抜かしてちびってやんの!このおもちゃ!」

そんな僕の様子を魔物があざ笑う。

「余裕こいてんじゃねぇぞ!クソ魔物がよぉ!!」

傭兵さんが襲い掛かるが片手で軽く捌かれている。

「弱ぇなぁ、ニンゲンってみんなこんな弱いのかぁ?」

袈裟切り、切り上げ薙ぎ払う、目で追うのがやっとなレベルの攻撃を魔物は余裕で捌いて行く。

「そだなぁ、暇だし自ッ己紹介!お前らおもちゃが言う中級とかいう魔物のまとめ役!シャタール様だぁ!」

そういいながら傭兵さんを蹴り飛ばす。

「ぐあっ!くそが・・・くそがくそが!!俺だって・・・元騎士だ!お前ごとき・・・すぐに・・・」

言いかけて、傭兵さんが、魔物に斬られた。

「お前さぁ・・・飽きたわ。次のおもちゃもあるしもういらね」

それだけ言うと魔物は腰に手を当て冷たく傭兵さんを見下ろした。

「傭兵さん・・・?傭兵さん!」

傭兵さんにすがりつき、怪我を見る。

肩口から脇にかけて傷が走っている。

「傭兵さん!しっかりして・・・傭兵さん!」

縋りつき泣いている僕を見て小さく何とか聞こえる声で言った。

「にげ・・・ろ・・・」

こんなひどい怪我で、こんな状況でも、傭兵さんは僕を気遣ってくれる。

だけど、無理だった。何も出来なかった。

僕は後ろから頭をつかまれ、持ち上げられる。

「なんだ!ちったぁ面白いこと言えるじゃねぇかよ!この状況で逃げるとか・・・おもしれぇ」

痛い・・・痛い痛い痛い痛い・・・痛い!

「あぁぐ・・・あぁぁぁぁあぁあ!!!」

「ほらほら、もっと鳴けよぉ。そしたらどっかの誰かが助けてくれるかもなぁ」

僕の頭を万力のような力で掴んだまま、左右に揺らされる。

「あぁ、ぐ・・・たす・・け・・・タスケテ・・・」

誰か・・・誰か!

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