-----
僕たちは崩れ、未だ燃えている町の中心を目指して歩いていく。
まだ魔物が残っているかもしれないと、慎重に。
「思ったより遺体が多いな・・・単に逃げ遅れただけか・・・?」
傭兵さんは慎重に進みながら何かを考えてるみたいだ。
「傭兵さん、何かわかったんですか?」
「すまん、考え事は後だな・・・今は一刻も早くフラングと連絡をとらないとな」
そう言い、先頭に立って進んでいく。
僕も静かに後に続いた。
すぐ先、僕たちの前に大きな交差点があった。
「身を隠す場所が無い、魔物がいたらアウトだな・・・」
「走り抜けるぞ、いけるか坊主?」
僕は小さくうなずく。
「いくぞ。3・2・1・・・走れ!」
傭兵さんの後ろに続いて走る。
道の半ば、馬車の残骸の横を通り過ぎた時、傭兵さんが大きく横に吹き飛んだ。
「ケケケ、おもちゃはっけ~ん」
鳥のような羽の生えた人型の、傭兵さんより少しだけ大きな魔物がいた。
にんまりと、嘴のような口元を歪め吹き飛ばした傭兵さんのほうを見ている。
「グ・・・くそが!!」
傭兵さんが吹き飛ばされ、転がりながらすぐに体制を整え魔物と剣を交える。
「行け坊主!役所まで一気に走れ!!」
「あ・・・あぁ・・・」
僕は目の前の光景が信じられず、走れない。
「クソ・・・すぐに倒して追いつく!いいから走れよ!」
「俺を倒すぅ?無理だろ!どの道どっちも逃~がさ~ない」
口元に笑みを浮かべたまま、楽しそうな口調で僕たちを追い詰めていく。
その顔に、そして恐怖から腰を抜かしその場に座り込んでしまう。
「なんで・・・なんで動けないんだ!僕・・・は・・・」
「ギャハハ!腰抜かしてちびってやんの!このおもちゃ!」
そんな僕の様子を魔物があざ笑う。
「余裕こいてんじゃねぇぞ!クソ魔物がよぉ!!」
傭兵さんが襲い掛かるが片手で軽く捌かれている。
「弱ぇなぁ、ニンゲンってみんなこんな弱いのかぁ?」
袈裟切り、切り上げ薙ぎ払う、目で追うのがやっとなレベルの攻撃を魔物は余裕で捌いて行く。
「そだなぁ、暇だし自ッ己紹介!お前らおもちゃが言う中級とかいう魔物のまとめ役!シャタール様だぁ!」
そういいながら傭兵さんを蹴り飛ばす。
「ぐあっ!くそが・・・くそがくそが!!俺だって・・・元騎士だ!お前ごとき・・・すぐに・・・」
言いかけて、傭兵さんが、魔物に斬られた。
「お前さぁ・・・飽きたわ。次のおもちゃもあるしもういらね」
それだけ言うと魔物は腰に手を当て冷たく傭兵さんを見下ろした。
「傭兵さん・・・?傭兵さん!」
傭兵さんにすがりつき、怪我を見る。
肩口から脇にかけて傷が走っている。
「傭兵さん!しっかりして・・・傭兵さん!」
縋りつき泣いている僕を見て小さく何とか聞こえる声で言った。
「にげ・・・ろ・・・」
こんなひどい怪我で、こんな状況でも、傭兵さんは僕を気遣ってくれる。
だけど、無理だった。何も出来なかった。
僕は後ろから頭をつかまれ、持ち上げられる。
「なんだ!ちったぁ面白いこと言えるじゃねぇかよ!この状況で逃げるとか・・・おもしれぇ」
痛い・・・痛い痛い痛い痛い・・・痛い!
「あぁぐ・・・あぁぁぁぁあぁあ!!!」
「ほらほら、もっと鳴けよぉ。そしたらどっかの誰かが助けてくれるかもなぁ」
僕の頭を万力のような力で掴んだまま、左右に揺らされる。
「あぁ、ぐ・・・たす・・け・・・タスケテ・・・」
誰か・・・誰か!