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「ほ~らほら、もっと良い声で鳴かないと頭潰しちゃうよ~?」
ミシミシと頭が音を立てている気がする、それほどの力で頭を締め付けられる。
「あ・・・が・・・だれか・・・たすけてぇ・・・」
魔物は僕が死なないように絶妙に力を加減し、苦しめて楽しんでいる。
「だんだん元気が無くなって来たな・・・そろそろ新しいのさがすかなぁ」
「やめ・・・ろ・・・やめてくれぇ・・・!」
倒れ伏し血だらけの傭兵さんが力の無い声で叫ぶ。
「お願いだ・・・誰か、助けてくれぇぇぇぇ!」
「ギャハハハ!壊れたかと思ったらまだ良い声出るじゃ~ん!」
そんな傭兵さんの必死な叫びも魔物のおもちゃにしかならないのか・・・
そんな絶望の中。
「呼ん・・・だ?」
静かで、可愛らしく、でもよく通る女の子の声が聞こえた。
「ぁ?なんだ?」
僕を片手で持ちながら、魔物がふりかえる。
力が緩み僕もそちらを見る。
まるで精巧な銀細工のように光り輝く銀の髪に透き通るような白い肌。その肌を映えさせる黒いフリルのついた服。
僕より少し小さいくらいのとても可愛らしい少女が、立っていた。
「クヒ・・・クヒヒャヒャヒャ!おじょうちゃ~ん、わざわざ俺様のおもちゃになりに来たのかな~?」
魔物はニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべている
「助けてって・・・聞こえたから・・・助けに来た」
その少女は鈴を鳴らすような綺麗な声で、たどたどしくそう言った。
僕たちを、助けに?こんな女の子が?
「ぁ・・・だめだ・・・逃げ・・・て!」
僕達の・・・僕のせいでこの女の子が死ぬ。そんなのは・・・絶対駄目だ!
「おもちゃはちょっと黙ってろよぉ!」
魔物が僕を投げ飛ばし少女に詰め寄る。
「お前もさぁ・・・あぁなるんだよぉ」
魔物は声もなく見上げている少女に楽しそうに声をかけている。。
「あぐぁ!あ・・・あが・・・」
女の子に逃げて欲しい、だけどそんな気持ちと裏腹に僕の喉はうめき声しか出してくれない。
そんな情けない僕のほうを見て、微かにだが可愛らしい笑顔を見せてくれた。
「だいじょうぶだよ、すぐ助けてあげるから」
それだけ言うと綺麗な笑顔を消し、眼前の魔物をにらみつけた。
「くっふふ・・・ヒャヒャヒャ!どんだけ俺様を楽しませてくれんだぁ?」
魔物がそのまま少女に手を伸ばし・・・吹き飛んだ。
「ちょっと・・・まってて。すぐ、くるはず」
何処から取り出したのか、少女のからだより大きな杖を魔物に向けた。
「轟け、雷鳴。眼前の敵を撃ち滅ぼせ」
その言葉と共にすさまじい轟音が響いた。
ドゴォォォォォォ!!
そして僕達の眼前を眩い光が覆いつくした。
「グギャァァァァァァ!!!」
光が晴れようやく視力が戻った僕達の目にところどころが焦げた魔物が映った。
「キサマラ・・・おもちゃ如きが・・・いてぇじゃねぇかよォォォォ!!!」
魔物が激昂し襲い掛かってくるが少女の眼前に突如光の壁が発生し魔物の攻撃を止める。
「なんだ・・・コレハヨォォォォォォ!!!」
その時僕らの後ろから声が聞こえてきた。
「まったく・・・リリアはいつも無茶をして・・・」
優しい女性の声だ。
「動かないで。大丈夫ですよ、すぐに治します」
視線を向けた先には茶色い髪の綺麗な女性がいた。
「慈悲の光よ、彼の傷を癒したまえ」
暖かい、優しい光が僕と傭兵さんを包みすさまじい速さで傷を治していく。
「何でお前らが・・・何でこんなところにいる!」
顔をもたげ傭兵さんがその人に問いかけた。
「救援要請から急いだんですけど・・・間に合わなくてすみません」
「それもあるが!前衛もなしに・・・」
その言葉にかぶせるように若い男の声が聞こえた。
「前衛もちゃんといるぜマルコ!まぁ、あの程度の相手じゃリリア一人で十分だろうけど」
青に統一した鎧にマントを纏った好青年がいた。
「救援がてめぇかよ・・・レオン」
傭兵さんがその青年に軽い調子で答える。
「え、あのマルコって傭兵さんのこと?というかお知り合いですか?」
混乱してきた、傭兵さんはこの魔法士様達と知り合い?というか傭兵さんの名前マルコっていうのかぁ・・・
「あぁ、そういや名乗ってなったな。俺はマルコってんだ、よろしくな」
「あ、はい。僕はヨアンって言います、今更ですけどよろし・・・って向こうの女の子は!?」
わけのわからないことばかりで混乱していたが女のこのことを思い出し目を向ける・・・が。
信じられない光景が飛び込んできた。