亡霊、彼の地にて斯く祟れり   作:餓龍

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っしゃおらぁ!
続きだぁ!

寒河江椛 さま、Track.58 さま、誤字報告ありがとうございます!
馬骨オービット さま、とても勉強になりました!


かなり様々なイベントカットしております。
後書きにて簡単に説明しておりますー。


解放と破壊と(伊丹の)絶望

 

  辿る。

 

 我が神に縋り、祈りを捧げ、悪魔を滅せよと説いた彼は腐敗した血肉を吐き続けていた。

 

  辿る。

 

 全てを捧げた献身を持って来世の喜びを得るはずの彼女は、狭間にて死を失った。

 

  辿る。

 

 己が得るはずのモノを奪われたと断じ、取り返そうとした彼は全ての皮膚を永遠に失った。

 

  辿る。

 

 自らが属する組織のために。 それ以外を持たぬ彼等は輪廻の輪に還った。

 

  辿る。

 

 我らが領域を広げるため、障害を除こうとした彼等は境界を失い溶け落ちた。

 

  辿る。

 

 他者の阻害を悦び、自らを高めることをしない彼等は先へ歩む力を失った。

 

  辿る。

 

 地を疾り、風を巡り、水を辿る流れ()を己とし。

 

  辿る。

 

 想念を紡ぎ、概念を織り上げ、権能を仕立て。

 

  辿る。

 

 彼等と共に、我等と共に、我等が子等のために。

 

  辿り、巡り、結ぶ。

 

 ここに、『歪み』は解き放たれた。

 

 

 

 

 

 ハイジャックした小型飛行機を用いた『門』への自爆特攻テロは、周囲を覆う鉄筋コンクリート製のシェルターによる防護もむなしく『門』の一部破損と、警備等を行っていた人々から多数の死傷者を生み出してしまった。

 さらに事態の収拾を図るべく行動を開始する自衛隊へ、火のついた火炎瓶が投げ込まれる。

 逃げまどう民間人の中から、武装を隠し持っていた者達が現れると自衛隊へと攻撃を開始。

 小型飛行機にまだ多く残っていた燃料や、特地へ輸送する為に一時的に集荷していた物資が燃え上がり。

 

 その瞬間、地球と特地双方において『空間そのものが大きく振動する』現象が発生した。

 

 距離、高度、大地にふれていようといまいと、飛行中の航空機の中でさえも。

 あらゆる物理要素を無視して世界が、空間が揺れたのだ。

 さらに、その直後に世界各地で様々な異常現象が発生。 世界は混乱の渦へと叩き込まれたのである。

 そしてその中心である『門』の周囲では、瞬間的に自身の手すら見えない濃霧が発生。 直後に消失し、『門』周辺は静寂に包まれた。

 そこに残っていたのは呆然とする自衛隊員に民間人。 そして周囲一帯から火の手の消えた、元『門』であった崩壊した石塊だった。

 

 

 

 

 

『……で、結局『門』の大規模な再開通はないってことでいいんだな? 伊丹』

「あぁ、相当お冠みたいでさ。 世界を渡る術は人の手には早すぎるってことなんだろうなぁ」

 

 

 元は『門』のあった地に敷かれた特地における八眼童の本社、その本殿にて。

 宮司服姿の伊丹は、地球にいる嘉手納と携帯電話で報告を行っていた。

 

 『門』が完全に閉ざされたことで特地と地球の間では、八眼童の社内限定での距離と世界の違いを無視した無線通信以外の全てが閉ざされていた。

 本来ならば段階的に『門』による双方の世界の結びつきを切断し、世界そのものに蓄積された『歪み』を解消するはずだった。 のだが地球側の問題により『門』が破壊され。

 蓄積された歪みは双方の世界に様々な影響をもたらした。

 地球全体を襲う震度6弱程度の地震、短期間に湧き起こった濃霧や豪雨に突風等の異常気象、磁場の乱れとそれによる局地的かつ短時間な太陽風の地表への到達、その他様々な異常現象(奇跡や怪異)の発生。

 しかしそれらによる社会全体への打撃は不思議と拡大することはなく。

 世界の時間の流れの違いや、地球・特地間の無線通信の確立等は八眼童によって保証され。

 『門』破壊の際に発生した様々な異常現象も、双方の世界における神霊妖仏の加護を受けた人々は(・・・・・・・・・)大きな影響を受けていなかった。

 双方の世界は様々な不安要素を抱えつつも、つかの間の平和へと向かっている。

 

 

そっち(地球)こっち(特地)で建設中の『海峡門』だっけ? そいつが完成すればイージス艦で世界間を行き来できるようになるんだから、もうひと頑張りだと思うんだけどねー」

『簡単にいってくれるぜ、現時点でも日本国内は大混乱だっつぅのによぉ。 あれかい? こみけとやらには八眼様のお力でいかせてもらえるからかい?』

「えへへ、バレた? 宮司の特権ってやつさ」

 

 

 駒門の疲れ切った声に、伊丹は締まりのない顔で返す。

 報道やテレビ関係、政界に財界を初めとした各種業界において、様々な不祥事や内部事情の暴露、辞職や自殺に他殺に不審死が相次いだことによって日本国内は大混乱に陥っていた。

 他国も、というより世界中の国々でも似たような現状であり。 自国内に手一杯で、他国にまで手を出す余裕はないので表面上は国家間の平和は維持されている。

 当然、各種大規模イベントなど当面は難しいわけで。

 

 

『あん? こみけとかのドージンイベントは当面中止じゃないのかい?』

「え?」

『ん?』

 

 

 伊丹はスマホを通話状態にしたまま同人系サイトをひらき、トップに掲載されているお知らせを読んで。

 

 

「こっ、『今年のコミケ開催中止のお知らせ』ぇぇえええ!!??」

 

 

 絶望に満ちた絶叫をあげるのだった。





門破壊によるモンスターハザードは八眼童により阻止。
その代わり、異常現象(と神秘現象)が割り増しです。

門の破壊により日本の利益を損なわせ、更に自衛隊と八眼童を特地に隔離、あわよくば日本の民意を煽って自国の都合のいいように!!
……と企んでいた某国の工作員さんたちはみんな門破壊の際の混乱で『転校』しました。
特地にも潜り込んでいましたが、お仕事頑張ると大変な目にあう(しかも本国に連絡取れず帰ることもできない)ので……ね?

ディアボはアルヌスに潜伏したまま、某国工作員に協力取り付けはしたけどそこまでです。

特地での戦闘は順調に推移し、イタリカでの戦闘も原作よりピニャが有利に。
門破壊の影響で発生した地震、その直後に飛来する『戦乙女』にて決着である。
ハリョの総攻撃も、イタリカに潜入できてなかったので原作よりはるかに簡単に鎮圧された。
ゾルザルもボウロその他も原作通り。
テューレは生きてます。

自衛隊は原作と違い、全隊帰れませんでした。
なので、特地残留戦力が原作と比べとんでもないことになってます。
八眼童による世界間移動が可能になるまで、ですが。

本当、こういうのは本編で書くべきなんですよ……。
書けなかった自分が悔しい……。

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