大本営第二特務課の日常   作:zero-45

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 人の趣味嗜好と言う者は其々あり、同じ傾向があったとしても全く同質の者と言うのは皆無と言って良い、そしてそれの幾らかは他人から理解されず異質と見做される時もあるが、そう断じる者も他者から見れば理解されにい性質の者であるという二面性を持つ、そんな事情は国が違えば更に理解の及ばない物に変化する、まるで掛け違えたボタンの様に互いの認識をずらしてゆく。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


2017/05/19
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きましたorione様、有難う御座います、大変助かりました。


大坂鎮守府お泊り会 -金色(こんじき)の山脈-

 花見から続く宵の口、日が落ちる前から始められた宴は既に轟沈者を続出させ、その者達を収容する為に大広間の半分程は現在布団が敷き詰められている。

 

 布団から覗く面々はウルフヘッドだのトラッ○ーだののアニモー系に始まり、果てはサンソー・ギョラーイやズイウン等の物体系迄様々なパジャマっぽい何かがズラッと並ぶ魔境と化している。

 

 そして残された一部のザルな者や酒を嗜まない者達が大広間の半分に移動して其々ガールズトークに華を咲かせている中、ある一角だけは異様な雰囲気を醸し出していた。

 

 宴会が終息に向う中、屋外での会場が片付けられ全員が屋内へ入った訳だが、バーベQを仕切っていた米艦を中心とした海外勢が少し大きめの折り畳みテーブルに集い、人生初である日本の文化、花見に触れた感想を述べながらアフターカーニバルという名の座談会を開催中。

 

 そのやたらと金色率が高い色合いと、標高が高いプルンプルンした山脈に囲まれながら、何故かそこへ引っ立てられている髭眼帯は物凄く怪訝な表情で周りの連峰を眺めていた。

 

 

「ん? どうしたAdmiral、何やら浮かない顔をしているが」

 

「あー……そう見える? やっぱそう見えちゃったりする?」

 

 

 真顔で心配の言葉を掛けてくるドイツ産のオッパイその1であるグラーフは、極自然に髭眼帯の横に陣取って例のBlueなポーションを片手に海外艦の集い(仮)に参加していた。

 

 

「まぁこれだけの美女に囲まれれば幾ら艦娘に耐性のあるAdmiralでもやっぱソワソワしちゃうかもね、フフンいいのよもっと褒めても」

 

「いやビス子君その……うん何と言うか、うん」

 

「う~ん、ビスマルク姉さまは相変わらずだなぁ」

 

 

 ドイツの大きな暁ことビスマルクは手にした謎炭酸を飲みつつセクシーポーズを取り、その横ではプリケツが苦笑いというドイツ艦が並んで右翼を固めている、そんなゲルマン産の艦娘達は後は寝るだけとあって其々パジャマを着用して卓に着いていた、例の明石セレクション製"海の生き物シリーズ"というブツを着込んで。

 

 

 つまり、現在髭眼帯の右翼を固めるのはクリオネ三人集という絵面(えづら)であった。

 

 

 そのブツはドイツで流行っているのかグラ子の布教の結果かが生み出した結果がそんな三人集となってしまったのかは不明だが、現実のクリオネをややデフォルメ気味に再現しているそれは、半透過素材の為びっみょーに透けており、中身はモロ見えしないという工夫が施されたビジュアルであったが、体のシルエットがバッチリ見えてしまうというある意味であざとい作りのアダルティな着ぐるみになっていた、が、そもそもクリオネという生物を模した物体であった為に珍妙さが際立ちその辺りのセクシーさは全て台無し状態になっていた。

 

 ハハハと吉野は乾いた笑いで視線を逸らせば正面には白くてモコモコした鳥類的な何かがちらちらとこちらを観察しつつ顔を赤くしている、恐らくそれは白鳥か何かを模したブツだろうと予想は付くが、実際それは本人に聞かねば正体は判らない、またしてもそんな珍妙な造詣のバードに声を掛けて良いものかどうかと髭眼帯は思案し、黙って正面を見つつ鳥類からの言葉を待つ事にした。

 

 

「SwanはEnglandの国鳥ですから……」

 

「あーそうなんだぁ、てかその、ウォースパイト君……恥ずかしいなら無理しなくても」

 

「いえ、郷に入っては郷に従えという諺もありますし……」

 

「いや君メイド服の時も同じ事言ってなかった? マジで無理しなくていいからね?」

 

「Admiralは私にこの調和を乱せと?」

 

「だから何で君いっつもその辺り変な意地張ってるの!? マジで無理しないで!?」

 

「わわわ私とて大英帝国の誇りを背負う身! この程度の事など造作もありません!」

 

「着ぐるみ着るのがどうして大英帝国の誇りに繋がるのか提督理解出来ないんですけど!?」

 

 

 初対面の時に交わした会話を彷彿するやり取りに首を傾げるが、良く考えるとこの英国が誇る大戦艦とは色々忙しく、顔合わせが初対面の時以来であった為、この時の吉野的にはウォースパイト=メイド服→スワンというビジュアルイメージしか無いという致命的な状態になっていた。

 

 そんな恥ずかしさでクネクネしているスワンから更に左翼に目を移すと、今度は最後に着任した米国艦、風神と雷神がシッダウンしていた。

 

 こちらもある程度可愛さを意識したのかややデフォルメされた造詣であったが、一体何に拘っているのだろうか、其々には太鼓やらふわふわした布的なアレらが装備され、細部には匠の拘りが垣間見える仕上がりとなっていた。

 

 

「あ~そっちかぁ……そっち系でキタかぁ、アレだ、君達は"一番"とか"萌え"とか書いてるTシャツにジャパニズムを感じる系かぁ……そっかぁ……」

 

「ピ○チューよ!」

 

「何かものくっそ誤解してるぅ!? それ雷神だから! 雷様であってポケ○ンじゃないよ!?」

 

 

 微妙にズレた認識のアイオワはカミナリ様の着ぐるみを着て物凄くいい笑顔のまま、例の親指が人差し指と中指の間から出る系のサムズアップで髭眼帯に答える。

 

 そんなHAHAHAと陽気なアイオワの横では何故か物凄く真面目な相の風神サラトガという対比、それは微動だにせずじっと髭眼帯を凝視していた。

 

 

「あの……サラ君?」

 

「提督……違うんです、サラはこんなパジャマを着るつもりは無かったんです……」

 

「あ……ああうん、何と言うかアレだ、うん、サラ君はアイオワ君に押し切られた感じなのかな?」

 

「はい、PX(酒保)で購入する時アカシがアイオワの着てるパジャマとコレはセットだと薦めて来て……それで」

 

「確かに風神雷神はセットみたいなモンだけど……うん……何と言うか……うん……」

 

「Oh my god……サラ的にはクノイーチが良かったのですが……」

 

「あ、やっぱどっちにしてもそっち系なんだ……」

 

 

 どっちにしても感性がズレている、髭眼帯はそう言いたかったが真面目に落ち込むオッパイ空母を見ると妙に言葉が掛け辛い雰囲気がそこにあった。

 

 かくして新規参入した海外勢に囲まれた卓は海の生き物に鳥類、そして架空の神様的な何かいうバラバラで纏まりの無い着ぐるみフェス状態で幕を開ける事となったのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「それにしてもハナーミってば楽しいPartyだったわネ、お陰でFriendが沢山できたし」

 

「アイオワはずっとサラが焼いてたステーキを横で摘みながらビール飲んでただけでしょ? まったく……良くあれだけ飲んで酔わないわね?」

 

Beer(ビール)なんて水みたいな物デショ? ビスマルクこそBeerの国の人なのに何で飲まないノ?」

 

「何それドイツに変な誤解抱いてない? 別にBier(ビール)なんて飲まなくても他に美味しい飲み物があるからいいのよ、それに酔っちゃうと色々勿体無いじゃない、折角の花見なんだし」

 

「って言うかさっきからビスマルクの飲んでるのナニ?」

 

「これ? ああSpezi(シュペッツィ)よ?」

 

「ビスマルクねえさま、Spezi(シュペッツィ)Deutsch(ドイツ)でしかやらない飲み方だからちゃんと説明しなきゃ判んないと思うなぁ」

 

「あらそうなの?」

 

 

 ビス子はプリケツの言葉を聞くと、何故か得意気に濁った炭酸らしき液体の入ったジョッキを突き出し、その飲み物の解説をしだした。

 

 

 元々ドイツは炭酸飲料を頻繁に口にする国であり、果汁系飲料に絞れば世界三指に入る程の年間消費量を誇る。

 

 そしてその飲み方も割りと独特であり、アルコールや炭酸水で割るというスタンダードな飲み方もあれば、水でフルーツジュースを割ったりもする、そしてビールやワイン等もジュースで割ったり、炭酸水で割る事もある。

 

 ビスマルクの言うSpezi(シュペッツィ)という飲み物は決まった物の事を指すと言うより定義的な意味合いが強く、何と何を混ぜたらという決まりは割りとあやふやな部分があるが、概ね果汁系飲料を炭酸系飲料で割った物をSpezi(シュペッツィ)、水で割った物をChorle(ショーレ)、ビールを割った物はRadler(ラドラー)と呼びドイツではどれも愛飲されていた。

 

 

「これはオレンジジュースをコーラで割ったSpezi(シュペッツィ)ね、フルーティで口当たりがいいから美味しいわよ?」

 

「あらColaで作るdrinkなの? それじゃサラもやってみようかしら」

 

 

 風神さまのオッパイは半分炭酸飲料が残ったジョッキにトクトクとオレンジジュースに注ぎ、中身をマドラーでクルクルとかき混ぜて一口飲んでみるが、どうもテイストがお気に召さなかったらしく少し微妙な表情をする、首を傾げつつ二度三度と飲んでみるがどうも今一形容のし難い味の様で表情が困った状態になっていた。

 

 

「……ごめんなさいビスマルク、ちょっとこれサラには微妙な気がして……」

 

「え? そうなの? ん~コーラとオレンジジュースの割合がおかしいんじゃないの?」

 

「あ……いやビスマルク君それは……」

 

 

 髭眼帯がサラの作ったドリンクの違和感に関して説明しようとしたが、ビスマルクはその言葉を待たずにジョッキをサラから受け取り口に含む。

 

 

 口中で弾ける炭酸の感触、舌に甘みを感じた瞬間突き抜ける様に刺激が鼻の粘膜を襲い食道から空気を逆流させる。

 

 更にそこから妙にオレンジの微妙なフルーティさが立ち上り畳み掛ける様にまた刺激がそれらを蹂躙していく。

 

 

「ゴフッ!? ゲホッゲホッ!? な……なにコレ……サラコレ……何混ぜた……の?」

 

「え? Colaだけど?」

 

 

 風神さまがスッと差し出す赤いメタリック炭酸飲料の缶、そこには大きく『A&W』の文字が主張している。

 

 

 ルートビア。

 

 

 それは米国で飲まれているポピュラーな炭酸飲料の一つ、メーカー毎にレシピが違う為味わいが微妙に変ってくるが、概ねそれらに含まれる自然由来の成分により刺激を伴う香りを持つテイスティングが特徴の毒飲料。

 

 飲み物としては余り日本人に馴染みのない系の刺激臭故、このブツは世の消費者からは『飲む湿布』と称され、ドクターペッパーと並び『コーラから派生した二大劇物』として扱われている。

 

 良くドクペもルートビアもご家庭の薬箱にINしていてもおかしくないドラッグ系炭酸と揶揄される事もあるが、ドクペは栄養ドリンク系特有の何とも言えないエグみが特長なのに対し、ルートビアは湿布系なのでインパクトは後者の方が数段上である。

 

 正に静のドクペ、動のルートビアという表現がされる飲料が二大アメリカンメジャー毒飲料と言えるだろう。

 

 因みに米国でColaと称される物は多岐に渡り、ドクペもルートビアも広義的に解釈すればColaである、巷ではコーラの事をCokeと称すると勘違いされがちであるがあれはコカ・コーラを指す商品名であり、ペプシだとPepsiという形でメジャー系はメーカー名で称される、そしてそれ以外のコーラー系飲料又は略称される時は概ねColaと呼ばれるのが一般的である。

 

 そんな湿布炭酸がオレンジ果汁と奇跡のコラボを果たしてしまえば、常飲している風神オッパイでさえ首を捻ってしまう味わいを感じるブツに化学変化してしまい、それを一般人が飲んだとすればサロンパスを浸したオレンジジュースINコーラというブツと感じてしまっても仕方が無いだろう。

 

 ファミレスでヤンチャした時にやってしまった系の"ドリンクバーでボタン全部押し飲料"の方がまだ飲める、それがSpezi(シュペッツィ) in the root beerである。

 

 

「む、大丈夫かビスマルク」

 

 

 むせ返るビス子の背中をさすりつつグラ子が自分のジョッキを片手に身を乗り出す。

 

 そこにチャポチャポしているのは例のポーション、刺激という面ではソフトではあるがそれもまた毒と言われる飲料、彼女達の故郷、ドイツに流れる悠久の(かわ)ドナウの如き深い青を(たた)える罪深き液体。

 

 普通ならそんな毒々しい色合いの液体は進んで飲む事は無いだろう、しかし湿布炭酸にヤられむせていた上にグイグイとグラ子がジョッキを押し付け中身を流し込んだ為にビス子の口中は嫌が応でも大惨事となった。

 

 それを言葉で表現するなら不健康な薬物摂取状態、ビス子の心境を例えるなら正にお母さんに騙されたお子様が粉薬を飲んだ後の状態である。

 

 そんなポーションに近い顔色で口を手で押さえながらプルプルしているビス子を横目に、隣ではウォースパイトが"Bloody hell……Bloody hell"と繰り返し呟きカタカタと震えるという地獄が展開されるというパツキン率が高い花園があった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「そう言えば提督」

 

「ん? 何かな?」

 

 

 酒も飲んでいないのに轟沈してしまったビス子はオフトゥンに安置され、プリケツが看病するという形で卓から脱落、現在は顔に縦線を浮かべた英国の大戦艦(スワン)とクリオネのグラ子、そして風神オッパイに雷神オッパイ。

 

 他に着任した海外勢の内イタ艦のポーラは前哨戦で既に酔い潰れ、リベッチオに至っては20時を回った時点で真面目艦の朝潮と共に夢の世界に旅立っている状態であった為今回の地獄には不参加となっている。

 

 

「まだサラ達はここに着任して日が浅いので言い難いのですけど……」

 

 

 何だかモジモジしている風神オッパイに首を傾げる髭眼帯に対し、隣の勘違いピ○チュウもといアイオワがジョッキをゴトンと卓に置いてジト目で睨んでいる。

 

 

「Hey Admiral. me達がここに来てもう三日目なんだケド、どーしてまだEngagement ringをくれないノ? ネェ?」

 

「あーうん? て言うかうん? 確か君達は既にカッコカリの申請ってしてたんじゃないの?」

 

「チッガーウのっ! System ringじゃなくてEngagement ringの方! アカシに頼んだらそっちはAdmiralの許可が無いと加工してくれないって!」

 

「……え? そっちなの?」

 

 

 現在カッコカリというシステムは妖精さんの技術により生み出された装備を身に付け、決まった儀式行う事で艦娘の限界練度の上限を開放をするという形で運用されていた。

 

 その装備となる指輪は飾り気の無いシンプルな形状のシルバーリングとして軍では配布されていたが、ここ大坂鎮守府では明石の余計なお世話と商魂が発揮され、加工と装飾がされたオリジナルリングが作られる、それはシステム的なカッコカリでは無く文字通り"特別な意味合い"を望んだ者にだけ注文が可能であり、高価な対価と髭眼帯の認証と引き換えに作られるカッコカリ機能も有しつつも、其々同じ物は存在しない世界で唯一のデザインを施した文字通り特別な指輪であった。

 

 そしてそのカッコカリ用指輪はここ大坂鎮守府では通常の配布品をSystem ring、特別の意味が含まれる物をEngagement ringと呼んで区別し、練度が上がれば提督に対する意思がどうあれ、誰でも気兼ねなくカッコカリが出来る様配慮がなされていた。

 

 

「て言うか君達……まだ会ったばかりだってのに"あっちの指輪"欲しいって何で?」

 

「カッコイイからよ!」

 

「カッコイイからぁ? なぁにそれぇ?」

 

 

 予想外な斜め上の答えを口にするアイオワはジト目で口を△にしてビシリと指を刺す、その方向には何故か勝ち誇った顔でクリオネのグラ子が左の薬指に嵌めている指輪をヒラヒラさせてピ○チュウおっぱいの事を煽っていた。

 

 その指輪を指刺しつつ何かを確認する様にアイオワを髭眼帯が見ると、コクコクと盛大に雷神様が首を縦に振るという訳の判らない光景。

 

 はぁぁと盛大に溜息を付いた吉野はこんこんとその指輪の意味を説いて理解を求める様試みたが、一応話を聞いて納得したのか、アイオワはとても良い笑顔で髭眼帯に自分の答えを返した。

 

 

「ダイジョーブ! その辺りは習うより慣れろヨ! Admiral!」

 

「妙に生々しい例えしながらそのサムズアップは止めなさいっ!」

 

 

 例のアイオワ式サムズアップに頭を抱え隣の風神オッパイを見ると、こちらはこちらで何故か顔を赤らめクネクネしているというおかしな風景。

 

 何と言うかアイオワもそうだがこっちはこっちで碌な事になっていないのではと危惧してしまう絵面(えづら)がそこに見えていた。

 

 

「サラトガ君……君は何でアッチの指輪が欲しいの?」

 

「それは……夢だったからです」

 

「夢ぇ?」

 

「はい、いつかこう……白馬に乗った王子様がサラの事を迎えに来てくれるという未来、艦娘では在り得ない夢と思いつつも憧れていたのですが、カッコカリが普通に実装されているJapanに行けるという募集があり、更にその異動先である大坂鎮守府ではSystemでは無くちゃんとしたMarriage(結婚)として扱ってくれるという事実、これはもう神様がずっと頑張ってきたサラに与えてくれた贈り物では無いかと思ったのです、ですから提督にはサラ的に関しての遠慮は要りませんと言いますかどうぞご遠慮なく! え? いいえマッチョメンじゃなくても全然OKです、むしろ最近StatesでのMANGA界に於けるトレンドはシャープなBodyの殿方が受けています、むしろ責めと受けならサラ的には受けの方が好物です!」

 

「受け!? 提督受けなの!? て言う提督が受けなら責めは誰になるのそれ!?」

 

「それは……例えばMr唐沢とか?」

 

「それすっごい狭い層を狙ったカップリングと言うか特殊過ぎない君!? ねぇっ!? て言うかそれが何でカッコカリに繋がるのか提督理解出来ないんだけど!」

 

「え、男性の好みを聞かれたと思ったので……」

 

 

 白馬に乗って迎えに来る王子様が受け属性のヒョロ助という壊滅的に想像の及ばない特殊な人物であったという事実に、眉間に皺を寄せて首を捻る髭眼帯、その視界にはモジモジとするスワンなウォースパイトが見える。

 

 

「んっと一応確認しておくけど、ウォースパイト君はSystem ringの方でいいんだよね?」

 

 

 彼女は流されやすいという印象は受けるが、基本的に常識枠と判断する吉野であったが、米艦二人にこの件を聞いておいてウォースパイトには聞かないというのは色んな意味で失礼だと思ったので、話題を逸らすついでにこのカッコカリの話を確認の為振ってみる事にした。

 

 

「……い、いえ……私もEngagement ringを所望致します」

 

「……ナンデ?」

 

「いえ、郷に入っては郷に従えという諺もありますし……」

 

「いやそこは従っちゃダメでしょ君!? 何でそこで流されるの!? もっと良く考えて!?」

 

「Admiralは私にこの調和を乱せと?」

 

「全然調和してないから! 無理に周りに合わせる事無いからね白鳥さん!?」

 

「わわわ私とて大英帝国の誇りを背負う身! この程度の事など造作もありません!」

 

「この程度ってどの程度なの!? ねえっ!?」

 

 

 

 こうして周りが気遣い海外艦だけを髭眼帯の周りに集結させた結果、色んな意味で闇を垣間見たり予想以上に斜め上の思考をしていたりというオッパイ達の事を知ってしまったという飲みの卓は、この後深海勢に吉野が拉致される迄混迷を深め、後にその狂言染みた言葉が彼女達の偽らぬ本音だったと後で嫌という程周りは知る事になるのだった。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 また、拙作に於ける裏の話、今後の展開等はこっそりと活動報告に記載しております、お暇な方はそちらも見て頂けたらと思います。


それではどうか宜しくお願い致します。

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