大本営第二特務課の日常   作:zero-45

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 前回までのあらすじ

 全ての始まりと呪いを内包する泊地地下封印区画、そこにある非道と言われた一端が垣間見えた日。

 そして長門型海防艦抜錨。


 それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。


2018/05/23
 誤字脱字修正反映致しました。
 ご指摘頂きましたリア10爆発46様、坂下郁様、対艦ヘリ骸龍様、MWKURAYUKI様、Jason様、K2様、有難う御座います、大変助かりました。


Sim泊地 【⑥】 -戦力拡充計画準備編-

 執務机の前には三人のくちくかんが立ち並び、其々の後ろにはイラッとする系のドヤ顔を湛える者達+αの姿がある。

 

 髭眼帯は今期一番クラスの怪訝な表情を隠そうともせず、その者達を凝視していた。

 

 

「んぉぉ~ 畳もいいけど床直も中々ぁ~」

 

「ほらほら鈴谷、司令官の仕事の邪魔になるだろ、畳ゾーンにいくよ」

 

 

 執務机の脇では座敷鈴谷がグダ~と寝そべっていたが、響が気を利かせてモップ的なロッドでつんつんしながら畳エリアまで鈴谷を転がしていく。

 

 相変わらずパンツ丸見えという痴態がパターンペターンと転がるアレなカオスにすら目を向ける余裕が無い程、髭眼帯的には目の前の光景はアレな物となっていた。

 

 

「……えっと色々聞きたい事はあるんだけど、先ず何故矢矧さんがここに居るのかの理由をお聞きしても?」

 

「え、あぁ今朝クエゼリンからの定期便に便乗してきたんだけど」

 

「いや移動手段の事を問い質している訳ではなく、どうして大本営情報室の副室長である貴女がこんな果ての泊地に居るのかって事を聞きたいのですが……」

 

「え、ああそっち?」

 

「それ以外に何があるって言うんですか……って、何ですこれ?」

 

 

 怪訝な表情の髭眼帯に矢矧はスカートに手を突っ込んでゴツいジュラルミンケースを取り出し、そこから一枚の紙をペロンと取り出すと髭眼帯へスイッと差し出した。

 

 おさらいの為に言っておくと、矢矧がスカートから取り出した鍵付きのゴツイ金属製のジュラルミンケースは40cm×30cm程の大きさがあり、スカートという秘密の花園へ隠蔽するのは不可能なサイズと言えるが、艦娘には彼女達しか理解が及ばぬ不思議収納が存在する為その辺りに突っ込みを入れてはいけないのである。

 

 

「えっと……これって連絡のあった子達の受領書ですか? って事はもうここに着いてるんです?」

 

「あ、ごめんなさい、それあの子達が到着した時用のヤツで……えっと、どこにしまってあったかしら……」

 

 

 引き続き怪訝な表情のままの髭眼帯の前では、大本営情報室副室長の阿賀野型三番艦がごそごそと何やら体をまさぐっていた。

 

 そして「あっそうそう取り出しやすいようにここへ入れてたんだったわ」と言いながら胸元へ手を突っ込むと、ズルリとA4サイズのバインダーに挟まった書類を取り出して、それを髭眼帯へスタイリッシュにシャーしてきた。

 

 

 重ねて言うが、彼女達艦娘には質量保存の法則が適用されない不思議収納を其々持ってはいるが、その収納位置や量は其々違っていたりするのでどこから何を取り出すかというのは一概に決まっている訳では無い。

 

 だが概ねスカートの中や胸元というのはスタンダードとされており、大抵の者はそこから色々なブツを取り出したりする。

 

 因みに時雨は後ろ襟からポン刀をズルリとするし、武蔵は酒のツマミを大量に眼鏡のフレームへ収納しているが、それは割りと特殊な例と言えるかも知れないと言うかどうでもいい。

 

 

 再び矢矧から手渡された一枚の書類。

 

 

─────────

 

海軍軍令部情報室副室長阿賀野型三番艦 矢矧

 

 

 

任海軍西蘭泊地艦隊

 

 

 

平成三十年五月五日

 

 

 

軍令部総長 大隅巌

 

─────────

 

 

 いつかどこかで見た、軍令部総長の書名と捺印がされた異動指令書である。

 

 内容を確認した髭眼帯は無言で視線を目の前の矢矧へ投げるが、視線の意味に含まれる意味を知ってか知らずか、矢矧は笑顔のまま首を傾けニコニコとしたままという無言の場がそこにはあった。

 

 

「えっと、異動指令書って……自分何も伺ってないんですが」

 

「そうなの? 私も突然言い渡されたもんだから急いで準備して出てきたんだけど」

 

「いやいや、情報部の副室長が異動って、むっちゃ間諜(スパイ)の匂いがプンプンするんですが」

 

「あーうん、私が貴方の立場だったら同じ事考えるわね、ただ今回は本当に何も言い含められて無いし、異動命令も正規の手続きを経て発布された物よ? 何なら能代姉さんの命を掛けてもいいわ」

 

「いやそこで自分の姉妹の命を賭けるってどうなの!?」

 

 

 相変わらず笑顔のまま矢矧は発布された指令の正当性を口にするが、一応彼女は軍の表側の防諜を総括する部署の実質頭を張っている者である、何の裏もなくその艦娘を軍が無償で譲渡するなんて事は考え難い。

 

 因みにこの矢矧、大本営にあった例の一番ドックで建造された艦だが、西蘭泊地職場環境保全課の能代とは本当の意味で姉妹の関係にある。

 

 が、先に建造されたのはこの矢矧だった、故に艦の縛りで言えば能代が阿賀野型二番艦と言う事で姉となっているが、関係的には先に建造された矢矧の方が姉というややこしい姉妹関係が二人の間にはあった。

 

 

「冗談抜きにして私はただここへ異動しろって言われただけなの、それってつまり軍から貴方へ譲渡されたって理解はちゃんとしてここに居るんだけど」

 

「……なんで突然そうなっちゃってるんですかね」

 

「と言うか、この異動は大将からは「餞別だと伝えておけ」って言われてるわよ」

 

「餞別……ですか」

 

「そう、餞別、ね」

 

 

 予定としては、大本営からは四隻の艦娘が西蘭へ譲渡される事になっているが、それは政治取り引きという形で決定された物であり、有体に言ってしまうと軍の意向はそれらには含まれていないと言えるだろう。

 

 それを前提に、矢矧が言った『餞別』という言葉に吉野は思い当たる物があった。

 

 

 今や膨大な戦力を保有する事になった西蘭泊地、表向きはそういうイメージが先行しているが、実の部分を言えば吉野を筆頭に情報という物を武器とする者が多く居る特殊な拠点であった。

 

 だが内地を遠く離れ、また深海棲艦上位個体の縄張りに拠点を構えるという事は安全性が格段に増した反面、多方面への繋がりという部分に於いては物理的に薄くなった部分も多い。

 

 情報を得る為に築いた(つて)も直接接触できる位置にあってこそという部分も多く、南半球の外れに居を構えた今は情報を仕入れる手段が限られてしまうという事になってしまっていた。

 

 

 情報戦に重きを置く吉野にとって拠点移動を最終手段としていた理由の一つには、この情報収集の困難さが含まれていたとも言える。

 

 

 そんな現状に、大本営情報室の副艦である矢矧の譲渡。

 

 確かに彼女には独自の(つて)があり、軍の中核に所属していたという立場は、吉野とは違って公の部分に繋がる(つて)が多い。

 

 言い換えれば官民問わず裏側を中心に枝葉を広げていた吉野は、大坂鎮守府という場でしか最大の効力を発揮しない(つて)しか持っておらず、逆に矢矧はそういった小回りが効かない反面、立場的に政府筋や各国の諜報機関に強いパイプを持つ者と言えるだろう。

 

 

 戦力譲渡という物よりも、吉野という男が最も必要とする物、矢矧という艦娘を今譲渡するという事は、彼女が本来持つ価値の数倍の効力を発揮し、この上ない「貸し」という物を吉野に作る事になる。

 

 

 矢矧が言った「餞別」という言葉は、間諜として送られてきた訳ではなく、大隅という自分の事を熟知した男が軍と西蘭泊地との関係に打ってきた楔なのだと理解した吉野は深い溜息を吐いた。

 

 

「今あきつ丸や川内って実務の中核は「例の後始末」の為に今も内地に残っているのよね?」

 

「ですねぇ、彼女達は現在池田さんとこの部隊と連携して掃除に参加してる状態にありますよ」

 

「ならあの子達が帰ってくる前に、特務課の整備や諸々の形を整えておこうと思うのだけど? その前に……」

 

 

 腰に手を当て、口角の端を少し釣り上げた矢矧はそこまで言うと、目を細めて髭眼帯を見る。

 

 それを受けて何かを察したのか、吉野は短く溜息を吐くと、ゴホンとわざとらしい咳払いを一つ、居住いを正して前を向く。

 

 

「……自分がこの西蘭泊地司令長官の吉野三郎だ、矢矧()、我々は貴官の着任を歓迎する」

 

「はっ、阿賀野型三番艦 矢矧、粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)軍務に邁進する覚悟であります、何卒ご指導頂きます様お願い致します、提督(・・)

 

 

 こうして元上官からの政治的取り引きという形で、嘗ては自身の教官であった軽巡洋艦を迎える事となった髭眼帯は答礼しつつも苦い相を表に滲ませるのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 矢矧というイレギュラーが着任し、着任の儀式を済ませた後早々にも退室していった提督執務室。

 

 髭眼帯の前には相変わらず三人のくちくかんと、その後ろに立つ者達の姿が未だあったりした。

 

 

 腕を組み、盛大なドヤ顔でポージングする陽炎、何を考えているのか判らないがじっと髭眼帯を見る霰、何故か上下セパレーツと言うかビキニタイプになっちゃってるメイド服を着用しプルプルするおっぱい風もとい浦風。

 

 その者達の後ろには神通さんにメロン子、そして例のバーニングラブのポーズでドヤ顔の金剛という布陣。

 

 明らかに一部ヤバい雰囲気がゆんゆんする絵面(えづら)に髭眼帯は再び怪訝な表情を表に貼り付け、其々が恐らく言ってくるだろう何かに身構えていた。

 

 

「司令、今日も会えた! しっかり改修した新しい陽炎よ! いっきましょう」

 

「うん陽炎君昨日振り……てかなんか今日はムッチャハイテンションだねぇ」

 

「そりゃそうよ、ねね? 司令私を見て何か気付かない?」

 

「え、何かってえっと……うん、今日はちょっと装いが違うって言うか、手袋が黒くなったと言うか、昨日より明らかに髪の量が増したと言うか」

 

「なんでそっちなの!? て言うか改二になったのよ! か・い・に!」

 

「あー、うんそう言えば一昨日改装許可出した覚えがあるよ、そっかぁ……改二になったのかぁ、おめでとう」

 

 

 フンスと胸を張る陽炎型一番艦から視線を隣の霰に移す。

 

 話の流れ的に今目の前に居並ぶくちくかん達は、上位改装を終えた報告に来ているのだと髭眼帯は理解した。

 

 

「……んちゃ」

 

「モロ言ってるぅ!? それ否定する辺りを含めての流れがネタじゃなかったの霰君!?」

 

「司令官にはインパクト重視で臨めって聞いたから……」

 

 

 朝潮型の不思議枠が発した言葉に髭眼帯は彼女の後ろに立つメロン子をギロリと睨むが、当の本人は何故か笑顔でサムズアップという、其々の間には温度差と言うか埋められない溝が深く横たわっていた。

 

 

「なぁ提督さん……」

 

「あ……ああうん、浦風君も……確か丁改とかいう改装をしたんだっけ? てかそれが……改装後の制服な訳?」

 

「そがぁな訳なかろ! 金剛姉さんからここじゃぁ上位改装したら……こがぁな服を着のぉちゃぁならんって聞いたけぇしゃぁなく着てるだけじゃ!」

 

 

 おっぱい風もとい浦風の言葉に髭眼帯は彼女の後ろに立つ紅茶戦艦を見るが、何故か彼女は例のバーニングラブポーズのままニッコニッコニー状態で髭眼帯を見ていた。

 

 上位改装後は問答無用できわどいメイド服というブツを着用しなければならない、そんな狂った軍規などは常識的に考えればある筈がない。

 

 しかしここは西蘭泊地である、以前は例の鹿島シスターズ型のコスを強要されたという過去がおっぱい風もとい浦風にはあり、しかも鎮守府の重鎮であるフレンチクルーラーの長に言われれば、そうなのかと従うしか無かったというアレな事情がおっぱい風もとい浦風にはあった。

 

 金剛型シスターズが着るメイド服、それは榛名がデザインした上下セパレーツと言うかビキニタイプのミニスカというアレなメイド服である。

 

 そんなブツを着て、一部くちくかんにあるまじき部位を隠す様に腕に抱いてプルプルするおっぱい風もとい浦風の睨む視線に耐えられず、髭眼帯はプイッと横を向いてしまうのであった。

 

 

「この神通、陽炎が更なる高みへ至る為にという言葉に打たれ、全身全霊を尽して全てを仕込みました」

 

「え……神通君が全身全霊て……仕込んじゃったの?」

 

「はい、流石に雷撃特化という訳にはいきませんでしたが、それでも必要と思った物は全て伝えたつもりです」

 

 

 少し誇らしげに胸を張る神通さんの言葉を聞き髭眼帯は思った。

 

 神通さんは雷撃特化という狂った戦い方をすると共に、あの例の金剛型三番艦とタメを張れる程には格闘に通じたガチ勢ではなかったかと。

 

 そして今「必要と思った物は全て伝えた」という事は、もしやそういう技能を仕込んじゃったりしているのかとプルプルしつつ陽炎を見た。

 

 すると何故か彼女は徐に左のグローブを外し、スイッと手の甲を髭眼帯へ見せ付ける。

 

 そこには以前あった銀色のSystem ringではなく、細かい彫金が施され、小さなルビーが埋め込まれたEngagement ringが薬指に嵌っているのが見えた。

 

 

「……why?」

 

「改二に至る錬度は元々あったんだけど、それを受ける前にこのままで一つ上に上がってもいいのかって悩んじゃって……神通さんに相談して、ちょっと鍛え直して貰ったの」

 

 

 ラバウルでもそれなりに活躍し、第二特務課へ異動してきてからも第一線で活躍してきた陽炎。

 

 技量も錬度も問題無く改二として至る物は備わっていたが、いざ上位の改装という物を目の前にした彼女は、果たしてこのままでもいいのかという自問自答をする事になる。

 

 以前より規模が拡大し、後輩を多く持つ立場になった、誰かに従うというよりは、誰かを任されるという事が多くなった。

 

 言い換えれば今は自身の事だけを考えていれば良いという立場では無い、改二という性能の底上げを前に、今までと同じではなく、それ以上の何かを備えなければいけないのではないか。

 

 そう思った陽炎は嘗ての上官であり、自身に戦いのイロハを仕込んでくれた神通に相談し、改めて己を鍛える事にしたのだという。

 

 そして相談を受けた神通は、髭眼帯が懸念する偏った戦い方を指導する事はなく、陽炎が得意とする機動重視の戦い方をより効率的に行える方向で能力を伸ばすよう鍛え直し、同時に上に立つ者には必要と考える「心の芯」という部分を強くする事に心血を注いだ。

 

 結果、戦い方は変化せず、しかしより動きは洗練され、更には連携という部分を強く意識して戦うというスタイルを陽炎は身に付けた。

 

 

 当然意識改革と呼べる物を施された彼女は、何故か提督LOVE勢である神通さんからそっち系の意識改革も施されてしまった。

 

 元々不知火や時雨に遠慮という物があり、少なからず自覚していた淡い気持ちを抑えていたという彼女であったが、改二に至る為に色々吹っ切ったついでにその辺りも面倒だからと吹っ切ってしまい、結果としてここにめでたく自重しないLOVEがまた一人誕生してしまったのであった。

 

 

「ま、そんな訳でこれからも宜しくね、し・れ・い」

 

 

 ひらひらと手を動かしEngagement ringを見せ付ける彼女と、凄くやりきったいい笑顔の神通さんに乾いた笑いで答え、髭眼帯はプルプルして隣の朝潮型九番艦へ視線を移す。

 

 相変わらず表情から感情が読めず、トレードマークである帽子を小脇に抱えたままじっと髭眼帯を見る不思議ちゃん。

 

 その視線に何か言いたい事はあるのだろうかと髭眼帯は首を傾げてみるが、それを見た霰も何故か無言で首をこてんと傾げる。

 

 

「えっとその……霰君?」

 

「司令官……」

 

「え、なに?」

 

「改二になったら褒美を貰えるって……聞いたんだけど」

 

「え……褒美ぃ?」

 

「ん、夕張に……そういうリストを書いて渡しておけばいいって聞いて……これ」

 

 

 スススと執務机の前まで来た霰は、スイッと一枚のメモ用紙を差し出してきた。

 

 

─────────

 

【欲しい物リスト】

 

・最新型シアターシステムとブルーレイプレイヤー

・ロボ格納専用工廠

・車とバイク

・新型高温高圧缶か加速装置

・ガンスミス工房

・甘味

 

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 メモに書かれた内容は、何故か筆跡の違う欲望が書かれたアレな物になっていた。

 

 と言うか上三つは明らかにメロン子の希望なのは丸判りで、次いでぜかまし、そして山風、更に一番下は恐らくあの妖精さん達のリクエストという内容で、肝心の本人の希望が書かれてないというアレな内容であった。

 

 

「……いやこの車とかバイクって何で欲しいの?」

 

「ロボの素体」

 

 

 霰の言葉に髭眼帯はにっこりすると、徐にスッと席を立ち、流れるようにメロン子のタイツとパンツを下ろして生尻ペシペシを実行した後、時雨に命じてお白洲(しらす)(枯山水の真ん中)で正座の刑に処される事になった。

 

 そんなプルプルしてメロン子が正座をしているのが見える執務室では、深い溜息を吐いた髭眼帯が最後の一人、口を△にしたままジト目で睨むおっぱい風もとい浦風に対する事にした。

 

 

「えっと浦風君、一応言っておくけど提督はそういうコスを誰かに強要する事はしていません」

 

「でもテートクはこういう衣装に一家言を持つのは間違いないネー」

 

「そこのデース! 歪んだ提督のイメージを不特定多数の人に流布するのはやめてッ!」

 

「他のモンに聞いても同じ事言っとったんじゃが……」

 

「いやいやいや、提督はそんな性癖は無いと言うか、君達の自主性に任せていたらそうなってたと言うか」

 

 

 プルプルするおっぱい風に同じくプルプルしつつ説明をする髭眼帯。

 

 そんな執務机の脇の壁がパターンと回転し、同時にいつか聞いた事のあるポッシブル的なテーマがどこからともなく流れ、そこからザッシザッシと数人の艦娘が現れる。

 

 

 先頭から金剛型の次女ヒエー、次いで三女の武蔵殺し、最後尾に四女ネキ。

 

 其々おっぱい風と同じ意匠のキワドイメイド服を纏った、正に狂ったジェッ〇ストリームアタック的なナニカがデースの処まで到達すると、ヒエーが胸元からズルリと布が付いたフラフープ的な輪っかを取り出し、金剛の足元にスイッとセットする。

 

 その輪の中にデースがINすると、左右に居たヒエーとネキが輪っかを持ち上げ、金剛の姿は布に隠れた状態になる。

 

 

 無言になり、怪訝な表情で見る者達の中心で榛名がスススとそこへ近寄り、胸からズルリと引っ張り出したステッキを大袈裟に構え、ワンツースリーと言ってコンコンコンと輪の部分を叩く。

 

 

 その瞬間ヒエーとネキが手を離し、ストンと布ごと輪っかが床に落ちる。

 

 丁度ポッシブルのテーマが終わる瞬間現れた金剛は、何故か盛大なポージングを取りつつ、ビキニタイプメイド服に早着替えを済ませていた。

 

 

 それをビジュアル的に説明すると、数名の怪訝な表情になった者と髭眼帯が凝視している向こうでは、金剛型の次女から四女がポッシブルのテーマと共に珍妙なイリュージョンをビキニメイド服で行った後ドヤ顔でキメ、その中心にはポージングする長女がキワドイメイド服でポージング、更にはその前でおっぱい風がおっぱいを隠すように腕でガードしつつ口を△にしたまま髭眼帯をジト目で睨みつつおっぱいと共にプルプルし、そこから見える枯山水では不自然に尻を突き出したメロン子が正座しつつプルプルするという、筆舌に尽くし難い混沌としたワールドが垣間見えていた。

 

 

 こうして色んな意味でプルプルが重なってしまった執務室(+お白洲)ではカオスが渦巻く事になり、まだ午前の執務が始まったばかりという時間にも関わらず、髭眼帯を赤疲労に追い込むという事態が発生してしまうのであった。

 

 

 




 誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。

 ただ言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。

 それではどうか宜しくお願い致します。

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