なので連続投稿その①です、その②に続きますゆぇ。
それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。
2018/11/25
誤字脱字修正反映致しました。
ご指摘頂きました水上 風月様、リア10爆発46様、rigu様、有難う御座います、大変助かりました。
「本艦より十時方向約百六十海里付近にて電探に感、艦種、数不明、これより精査に入ります」
「詳細はこっちで確認するかも、不知火ちゃんはそのまま広域監視をお願い」
十月某日、スリランカにて補給を受けた西蘭泊地所属艦娘母艦
第二警戒態勢のまま二日を掛け予てより予定していた会敵ポイントに至り、全周囲警戒に入る。
時刻は
夜間でも艦載機の離発着が可能な深海棲艦にしてみれば暗い内に仕掛ける方が有利の筈であったが、事前に西蘭と通じていたからか、それとも偶然なのか、周囲警戒をしていた不知火が敵機と思われる反応を拾ったのはそういう時間帯になってからの事であった。
「……わざわざ有視界偵察が可能な時間に仕掛けてきたのか、それとも偶然か、どちらにしてもあちらはもう艦載機の展開は終えているだろうし、微妙にウチとしては後手に回るいやらしい形の会敵となってしまうな」
「敵機見ゆ! 位置北緯8°23'46.7" 東経64°22'10.2"に艦戦タイプ……数は七十程、かも!」
「艦戦のみか、はっ、攻撃はせず初手で制空権を抑えてこっちにプレッシャーを掛けようという算段か、おい朝潮」
『はい、こちらは北側の監視に集中しています、感があれば即お知らせしますので』
「頼んだ、Admiralの見立てが間違ってないなら敵はインド洋から本隊をぶつけつつ、
船渠棲姫との裏取引にて決まっていたのは会敵する海域位置と、其々轟沈艦を出さない程度に海戦を行うという事、そして最後に其々がどの方角に退避し、
そこには戦力の縛りもなければ、どういう流れで戦うか等の縛りは一切含まれてはいない。
この内容で吉野が注視した点は、あくまで轟沈艦が出ないという最悪を回避しただけで詳細が詰められていないという部分。
つまり、最悪が無いという以外は普通の海戦になるだろうという予想で動かねば、ある意味西蘭艦隊は壊滅しないだけで好き放題に嬲られるという結果に至るという答えに至っていた。
加えて船渠棲姫側が約束を
全ての事情を鑑み、船渠棲姫側の最適解を模索すれば
・戦力の損耗を少なく抑え、無傷の艦をある程度以上戦闘域から
・そして以後も続くだろう西蘭側との関係は、より優位な立場に立つ事を見越した戦闘結果をこの海戦で残す事
他にも細々とした思惑はあるだろうが、取り敢えずこの二点は重視してくると吉野は読んでいた。
今まで謎とされていた相手の思考を読み、迷いもなく作戦を立案した吉野に対し周りが作戦の根拠を聞いた際、返って来た答えが「自分ならそうする、そして船渠棲姫からは自分と同じ匂いがするからまぁ……"裏取引で取り決めた範囲を逸脱しない状態の本気"を行使してくるだろう」と聞き、それまで深海棲艦との裏取引に懐疑的だった周りの者達はなる程と納得した上で今作戦を実行するに至っている。
『轟沈艦を出さない以外は何でもあり、ウチは母艦という限られた戦力しか連れて来れない不利と、母艦という戦略的拠点を背負う状態、となれば……』
「自重もせず後ろから殴りに来る、か」
『より少ない戦力で効果的な結果を出すとなれば、奇襲が単純かつ効率がいいし、そういう状況を成立させようとするとすれば、まぁそうするのが妥当かなぁと』
「敵艦見ゆ! 水上打撃部隊二、水雷戦隊一、空母機動艦隊一の四艦隊……艦種詳細はデータリンクするかも!」
「……なる程、正面から四艦隊、現状ウチの母艦運用可能な最大数ときっちり同じ数だな、この状態で別方向から攻められるとなると対応不能になると」
『ソナーに感! 本艦四時方向深海棲艦
「陸側から水の中をギリギリの距離まで移動しての奇襲、これでAdmiralが予想した通りの形になったな」
『その為に母艦の哨戒シフトへ対潜が強い朝潮君を据えたからね、それじゃ南から来る本隊とおぼしき艦隊へは予定通り
漸く肉眼で水平線が確認可能となったアラビア海。
裏取引というギリギリの枷が掛かった潰し合いが開始された。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
艦娘が母艦から
それはある意味致命的な弱点を晒す瞬間でもある。
母艦から出撃する際は瞬間的であろうと速度は零状態であり、軍で運用する多くの母艦では艦娘をタラップや出撃ハッチより発艦させる為、この時は否応なしに被弾するリスクが跳ね上がる。
それを回避する手段は幾らか存在するが、艦の構造と、発艦後の加速、そして陣形の形成という点を考慮した場合、ベターはあってもベストな方法が存在しないのが母艦からの抜錨と言えるだろう。
極端な言い方をすれば海戦とは敵発見から会敵までの時間が彼女達にとってある意味ボーダーラインであり、予想外の遭遇戦で緊急出撃をするとなれば、艦娘達は先ず海に出た瞬間が最初の危機になると言えた。
『さて、今回も割と君達には無茶な状態で戦って貰う事になるが……この辺りはもう今更だったりするかな?』
苦笑いを浮かべる六人の艦娘達は、
『さて現状の確認だけど、現在我が艦は左舷方向よりインド洋から進発してきた敵四艦隊と、右舷パキスタン方面より出現した一艦隊によって挟み撃ちの形となっている』
回転灯が赤く瞬く薄暗い空間が、ハッチが展開する事で差し込む朝日に侵食されていく。
『これに対し深海勢で構成される二艦隊及び金剛君を旗艦とする防衛艦隊、計三艦隊は南側敵本隊へ向け既に展開済みであり、君達にはこれから出撃して貰って北側奇襲艦隊を押さえて貰う事となる』
鈍い振動と鉄が噛み合う音と共に水が浸水し、波が彼女達の足元を叩く。
『偵察により北側に出現した艦隊は一艦隊、編成は戦艦級を筆頭に重巡二、雷巡一、正規空母一、軽空母一という事が確認されている』
母艦の中に在りつつも海に立つ、これが新造母艦
『艦種詳細はデータリンクに上げているので各自参照して貰うとして、君達が対応する艦隊の旗艦は軍のデータベースにない戦艦級である事が現在確認されている』
浸水した部分では当然艦娘達は主機の推進力で進み外へ出ないといけない、それは僅かな距離であったとしても
『恐らくだがその正体不明の戦艦級は事前情報にあった欧州水姫と思われる、つまり鹵獲対象という事になるね』
「と言う事は
『まぁ出来レースだから轟沈の危険性はない……と思いたいけど、基本的な流れは"命大事に"という事で宜しく』
伝えられた敵数は六体、それはこちらと同じ数と言えど、そこに姫級が入る事で単純な戦力比は二倍相当となる。
しかも全体的な戦力上昇ではなく、姫級が一艦隊相当の戦力と計上される為、相手取る時は敵艦隊の中にもう一艦隊分の戦力がある形での戦いを繰り広げるという事になってしまう。
通常軍では姫鬼を含む艦隊を相手取る際は、例え数が一艦隊のみであろうと上位個体が存在する場合はそれに対して一艦隊、他の個体へ対応する為の一艦隊、つまり連合艦隊であたるべしというのがセオリーとなっている。
しかしそれに対する西蘭泊地艦隊は一艦隊。
旗艦 大和
副艦 加賀
以下榛名、時雨、陽炎、雪風
全て艦娘で編成した一艦隊。
その内駆逐艦が半数を占め、姫を含む艦隊に対するには打撃力に於いて心許ないと謂わざるを得ない編成である。
「久し振りの前線だと思ったらいきなりの無茶振り、これは後で特別にご褒美をねだってもいいって事なのかしら?」
『自分のポケットマネーで賄える範囲でなら報奨は出しても構わないかな、ただし損害が軽微であった場合に限る……って事でどうかな?』
「そう、判ったわ……完封すればいいのね、ふふっ、とても気分が高揚します」
本来なら絶望とも言える戦力比。
それを前にして尚彼女達は飄々としていた。
何故なら既に彼女達はこの程度の鉄火場は幾度も経験しており、姫級という相手を鹵獲した実績も持っている。
唯一大和だけは
事前の通達が終了すると共に出撃ドックの水位が限界値に達する。
同時に赤を振り撒いていた回転灯が青色に切り替わり、時雨と雪風を先頭にした複縦陣が抜錨する。
盾となる戦艦が前に出ず、防御に難のある駆逐艦を先頭とした複縦陣で抜錨するのはこの艦特有の事情が絡む。
零からの加速に於いて、大型艦の主機による急加速は初速が出難く水流の乱れが著しい。
この為水深の浅い艦内では後発の小型艦の抜錨を妨げない為に抜錨は駆逐艦から行いう必要がある。
故に
「駆逐艦時雨……出撃するね」
こうして彼女達は母艦より抜錨し、今まで人類が対した事のない姫級を相手取った鹵獲ミッションをスタートさせるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
見渡す空は赤を散りばめた掃射が瞬き、
有視界距離に収まる狭い範囲には、深海棲艦が三十六、艦娘が六、計四十二隻という膨大な戦力が集中した海戦が繰り広げられていた。
船渠棲姫が投入した艦隊は其々姫級を筆頭にした水上打撃部隊が二と水雷戦隊が一、そして空母機動艦隊が一。
対するは
最後に金剛を旗艦とした比叡、霧島、赤城、五十鈴、
数の上ではインド洋から攻めてきた船渠棲姫側艦隊が一艦隊分多いが、それを相手取る西蘭泊地の深海勢は姫鬼のみの艦隊とあり、手数で劣る分を個々の能力で受け止めるという形で戦いを拮抗状態に持ち込んでいた。
「ウチも大概な編成だけど、あっちも殆どを
「殆ど色付きとか、ねぇ
「それは相手の出方次第かしら? 今のとこ派手な事になってないけど……状況次第では全部平らげちゃってもいいかも知れないわね」
「のう
「こっちとしては全部真正面から受けるつもりだったんだけど? なのに一艦隊はこっちを無視して後ろに行っちゃうし、正直舐められている感じがしてムカつくのよね」
先に出現した敵四艦隊の内三艦隊は
そして残る一艦隊、レ級flagshipを旗艦とし、
艦種だけなら
しかし小型艦を含むといっても金剛達の方へ向った艦は全てflagship。
例えば一番小型の艦である
そんな数段階上に換算される戦力を正しく水上打撃部隊として編成し、しかも旗艦がレ級で固めるとなれば、普通なら艦娘で編成する一艦隊のみでは防衛すら難しいと言えるだろう。
つまり現状で言えば防衛に回る艦娘には質であたり、深海勢に対しては数で押し込める、そんな形で船渠棲姫側は攻めてきた事になる。
差しあたっては深海棲艦対深海棲艦、それは空を埋め尽くす艦載機も異形の物同士がぶつかり合う事で直視での識別は困難となって防空を担っている
そして半包囲という限られた空間で行う砲撃戦は、四艦隊が密集して入り乱れ、四方八方を
力によってねじ伏せ、押し込むという事ができなくなった
「っ……鬱陶しいわね」
味方の艦載機に紛れ込む様に飛翔していた敵機の内何機かが直上から爆弾を投下して、また群れへ紛れていく。
本来なら
砲撃に関しては
「まだ余裕を持って立ち回れてるけど、こう上下から間断なく攻められるとジリ貧なのは否めn……嗚呼、空はあんなに青いのに」
「ハッ……姉さまが現実逃避モードに!? 帰ってきて姉さまぁ!」
「むぅ、いかんの、これは
「チッ……まさか相手を沈められないって縛りがこんな結果になるなんてね」
恐らく本気で対していれば多少の被害はあっても叩ける戦力比なのは間違いない。
だが相手を轟沈させてはいけないという縛りは逆に西蘭艦隊の最大戦力が釘付けになってしまうという状態を作り出す。
そしてこの状態は、"もし相手が途中で約束を反故した場合"普通に遭遇した時よりも被害が増大する形となってしまっていた。
「どうやら相手の狙いはこちらの母艦へ一当て、若しくは轟沈を狙うといった処でしょうか」
「ン~……事前の話を聞いた限りでは敵の目的はこちらの殲滅じゃない気がシマスけどネ、でも抜けてきた相手は
艦載機からの"目"を使って戦場を広く俯瞰しつつ戦況を口にする赤城に金剛は涼しい顔をし、まるで他人事のようにニッコリと笑う。
防衛に就く彼女達の位置は
陣形としては金剛を先頭にやや下がった位置で右に霧島、左に比叡という
「どちらにしても
「ohこれは責任重大ネ、それじゃ比叡、霧島」
「はい」
「いつでもどうぞ」
問い掛けに間髪入れず応答が聞こえ、金剛型の長女は口角を少し上げたまま、両手を組んで前を見る。
睨む先には漸く有視界距離に捉えた異形の姿があり、そのどれもこれもは海の色に溶け込めない赤や黄色が密集していた。
「Yes!私
・誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。
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