で、執筆は調子のよい頃合を見計らってやっておりますが、やはり色々アレコレ話を詰め込むと長文になり更新期間が開いてしまい、読み手様側の内容把握がおかしくなってしまうのではと。
ので文字数を抑え、更新頻度を上げようかという事で暫く一話5,000字前後でいこうかと思います。
暫く様子見して今までの文字数のが良いというご意見が御座いましたらまたその辺りを調整しようかと思っておりますので、ご意見が御座いましたらご一報下さいませ。
2019/04/14
誤字脱字修正反映致しました。
ご指摘頂きました柱島低督様、水上 風月様、zinkun様、_if_様、指蛇様、リア10爆発46様、MWKURAYUKI様、有難う御座います、大変助かりました。
「えーそれでは、第五十八回、提督出張随伴艦選出会議を執り行いたいと思います」
西蘭泊地
執務机の前に設えられた長いテーブルには現在秘書艦である四人と各課代表が座り、超真面目な相でとある協議を行っていた。
各課代表、と言ってもそれは平時の代表ではなく、艦隊本部代表は大和、特務課代表は榛名、事務方からは古鷹、給糧課からは伊良湖、深海勢は
「今回はいつもと違い荒事が発生しないとの予想であるので、個の戦闘力は考慮しなくとも良いという条件の下、公正平等な選出を期して次回提督の出張に随伴する艦を決定する、と、いう趣旨での会議という事で皆さん宜しいでしょうか?」
恐らく本日の議長であろう大和が卓に着く者達へ確認の意味を込めた言葉を発し、参加者達もそれに対し超真面目な相で首を一回縦に振る。
そんな卓の上座にある、ちょっと豪華な革張りチェアーに足枷で拘束されシッダウンしている髭眼帯は、プルプルしつつ静かに挙手をしていた。
「……なんでしょう提督?」
「えーっと大和君、この会議はどういう趣旨で何のために開催されているのかの確認をしても? てかなんでしょうって言葉は提督の方が言いたのですが」
場の視線を一身に受け、プルプル度を一段増しつつ髭眼帯はこのイミフな会議の趣旨と、何故自分が椅子に強制シッダウンさせられつつ参加させられているのかという謎を、恐らく今日の議長であろう大和に問い掛ける。
「趣旨ですか? それは今申し上げた通り次回提督の出張に随伴する者を選出する為の会議になりますが」
「え、次回の出張てメルボルンでやる艦娘の受け渡しの件だよね? それって時雨君と矢矧君で決定してると思うんですが……」
「そうですね、護衛は
「え……しかし?」
「提督がいつもどこかへ行くとなると大抵随伴は固定メンバーが決まっています、またそうでない者が随伴する場合は大抵出撃が絡んだものですから随伴艦の数が多い」
「大和さんが言うように、提督がお出掛けする際はメンバーがほぼ固定で、その他の者達はほぼお留守番という事が常態化しています、これは正直極一部の人達から不公平ではないかと、そういう苦情と言うか、切実な訴えが常々秘書課や事務方に上がってきていまして」
超真面目な相の大和の言葉を継ぐ形で古鷹が説明を続けつつ、胸元からズルリと分厚い紙束を取り出し、それをスイッと髭眼帯の前に差し出した。
古鷹が見せたそれは内容的に色々欲望ダダ漏れと言うか、それ他人が見てしまってもいいの? 的な赤裸々に綴られた一部艦達からの要望書的なアレであった。
「今までは泊地の内政に注力する意味で其々余裕が無い状態にありましたが、最近はそれも安定に向かっています。つまり軍務自体にやや余裕が生まれてきた昨今、其々はプライベートという物に関心を寄せる余裕が生まれつつあります」
「えー……と、つまり? 君達は何を言いたい訳?」
「ぶっちゃけると特定の子達だけがいつも提督とお出掛けするのはズルイ。と、そういう事で慰安も兼ねて、随時メンバーの内一人はLOVE勢を随伴させてはという事で、戦闘行為が絡まない案件でならと艦隊本部は極少数の者を出張に参加させる許可を出しました」
軍務に関わる行動にズルイとか、LOVE勢を随伴とか一体何を言っているのかという気持ちでプルプルする髭眼帯を置いてけぼりにして、説明は終わったとばかりに会議は再び進行しようとする。
「……えっと結局、今回の会議って次回の出張で時雨君と矢矧君以外の誰かを追加で随伴させる、そのメンツを決める会議って事でイインデショウカ……」
「はい、そうなります」
「この会議に参加してる人が、対象な訳?」
「各課では折衝と言うか予めして貰った
何がどういう折衝が行われ、制したのかは敢えて聞くと色々ヤバいと感じた髭眼帯は、大和の言う"LOVE勢の随伴"というある意味不吉な単語も心の隅に追いやってから、改めて卓に着くメンバーを確認する。
参加している課には給糧課や工廠課もある事から、予選を通過後の本選というこの会議の決は恐らく腕ずくではないのだろうと思いつつも、一部の参加者に違和感を覚え、その疑問を口にした。
「てか、伊良湖君も今回参加してるんだ……」
「はい、ついでに」
「あー……うん、ついでかぁ、まぁその辺りいつものと言うかほんとブレないね君」
「本来なら間宮さんか鳳翔さんが参加予定だったのですが、生憎とお二人はダブルノックアウトという結果に伴い、代表選抜はノーコンテストとなりまして」
「は!? ダブルノックアウトってナニ!?」
「それはそれは激しい攻防が繰り広げられましたが、まさかあの秘奥義と封印技がぶつかるとは……今思い出しても鳥肌が立つ思いです」
「ナニソノ奥義とか封印って!? 一体給糧課で何があったの!?」
「それは……腐っても元祖と鬼人、流石に厨房では全殺しモードを発現する事は色々マズいという事で8/10殺しというレギュレーションに……ただ結果としてお二人とも暫くは提督のお相手が難しい状態になってしまったので、埋め合わせの人身御供として私が選ばれてしまいました」
「それムッチャ聞き捨てならない荒事になってない!? てか8/10殺しって物騒にも程があるデショ! 寧ろ埋め合わせで提督へ人身御供って何をどう御供しちゃうつもりなの君たち!?」
髭眼帯の突っ込みにフゥと軽くため息を吐いた伊良湖は、おもむろに席を立ち髭眼帯の脇へしずしずと近寄ってくる。
そして何故かちょっと豪華な革張りのチェアー脇まで来ると、そのままクルリと一回回ってみせた。
前から見た感じではいつも彼女が着ている、和装っぽいミニスカワンピに割烹着的なエプロンという姿。しかし回ったお陰で見えた後姿は肩の辺りからVの字に大きく布地が切れ込み、そこがはだけないよう紐を渡して固定する事でなんとか着衣の形を保つというハレンチスタイル。
しかもVの頂点部分は臀部にまで及んでおり、ローライズ的なショーツを装着しているのだろう頂点部分は半ケツ状態を晒すという極限のオープンバックがそこにあった。
「あ、それってもしかして明石酒保のオートクチュール?」
「流石時雨さん、これは本来間宮さんが装備する筈だったミニスカオープンバックV2アサルトバスターなのですが、今回は参加できないという事で涙を飲んで私に託したのです。給糧課の者として恥ずかしくないようにと……」
「それ別な意味で恥ずかしい装備だと思うのは提督の気のせいじゃない筈なんだけど、寧ろV2アサルトバスターって名称的に色々アウトなんじゃないかなとか思ったりしたり……」
「因みに鳳翔さんが装着予定だったダブルXディバイダーは流石に私が装備するには色々とレベルが高過ぎましたので、今回はこちらを装備していく事になりました」
「ダブルXディバイダーってナニ……」
「それはですね、フロントとバックの布が其々X型に分割されており……」
「ああうん、OK、了解、よーく判ったからもうその辺りの話題は取り敢えず止めておこうか、うん、そうしよう」
プルプルを停止した髭眼帯は取り敢えず待ったという形で右掌を前に出し、左手で眉根をモミモミしながらヤバい域に到達しそうな話題を強引にぶった切った。
それで一応のやり取りが終了したのだろうと判断した、恐らく今日の議長だろう大和はパチンと指を鳴らすと親潮がうんしょっと言いつつ制服の下に手を突っ込み、ズルリと大きなホワイトボードを引っ張り出した。
毎度補足はしているので詳細は割愛するが、彼女達艦娘には彼女達にしかつかえない独自の収納が存在している。それは色々と物理的法則を無視した作用をリアル世界へ及ぼすが、深く考えてはいけない、寧ろ考えるだけ無駄なのだ。
そしてデンと据えられたホワイトボードに大和がカキカキと何かを書き出した後、場の全員を見渡しながら無言でベシベシをホワイトボードを叩いた。
大和がホワイトボードに書いた内容を見た髭眼帯は怪訝な表情で首を傾げ書かれている物の意味を咀嚼する。そんな無言の中、事務方代表の古鷹がスイッと挙手し、大和が「どうぞ」と発言を促す。
「今回随伴枠は一人という事ですので、夜の随伴艦は特に話し合わなくともいいんじゃないかなと思うんですけど」
「それについてですが、元々随伴が決まっている時雨ちゃんも夜戦参加の意向を示してますし、矢矧も同じく夜の随伴はやぶさかではないと言っておりますので」
夜間の随伴艦って何を言っているのだろうと嫌な予感メーターをピコンピコンさせつつ髭眼帯は怪訝な相を更に深めていく。
そして場は何やら徐々に緊張の度合いが増していき、卓に着く者達は何故かどんどん前屈みで話し合いにのめり込んでいくというカオス。
「提督の能力的には以前複数の夜間随伴艦を伴う事が可能とお聞きしたのですが、それが本当なら今回の随伴が三名である以上、わざわざ会議に掛けなくともいいんじゃないでしょうか」
「甘いわね古鷹」
古鷹の言葉で収まり掛けた場に、チッチッチッと人差し指を立ててフリフリする耳年魔防空棲姫がカットインする。
「確かに随伴艦が三人という事ならテイトクの能力的に夜戦の指揮は可能かも知れないわね、しかし事はそれだけに収まらないわ。夜戦という行為は様々な手段や結果を伴うものだけど、やるなら当然結果はS勝利、しかも完全勝利を狙うべきよ。暁の水平線に必ず勝利を刻む為には漠然と戦いに望むだけではなく、先ずはT字有利を確実にモノにし、そこから連撃、カットインに持ち込むという流れは必須だとは思わない? それには
「確かに……言われてみれば」
「しかし
「大和、貴女それでも元大本営第一艦隊旗艦? 誰でも最初は初めてなのよ、ヤらなければいつまでたっても事は進まない、でもただ無策に戦場へ飛び込めばD敗北なんて可能性もあるかも知れない」
「!? その為の……艦隊編成」
「……今できる備えをするのは当然、そんな大事の前に、こんなチマチマした会議なんてしてていいのかしら?」
そして何故か話をハブにされた髭眼帯は、ちょっと豪華な革張りチェアーに足枷で固定させられシッダウンのまま放置されてしまう。
場は怪訝な表情の髭眼帯を残したまま、柱時計から聞こえるコッチコッチという音だけが支配する場になってしまうと思われた。
が、パターンと執務机裏の回転隠し扉が開き、中から中間棲姫を乗せたネオアーム〇トロングサイクロンジェットアームストロング砲をカラカラと引っ張る
こうして様々な準備と段取りを経て決定した出張に随伴する三人目の艦を加え、髭眼帯はオーストラリアのメルボルンへ赴くのであった。
・誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。
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