全部縄張り図が悪いんや、メンドクサイ。でもないと書いてる本人すらチンプンカンプンなので仕方なく。
はい、今回は文字だけじゃ説明がつかなかったので、現状とか諸々の地図添付しています。
ついでに西蘭泊地と言うか東方方面軍の縄張り的なのをここに。
【挿絵表示】
それでは何かご意見ご質問があればお気軽にどうぞ。
2021/09/28
誤字脱字修正反映致しました。
ご指摘頂きました頭が高いオジギ草様、酔誤郎様、リア10爆発46様、水上 風月様有難う御座います、大変助かりました。
軽巡級の深海棲艦が
左眼のみで周囲を睨み、敵が見えなくとも戦闘状態を維持する。
トラック泊地艦隊総旗艦の木曾は、副官の伊勢へハンドサインで周囲警戒の指示を飛ばしつつ、基地司令長官である羽田安二郎へ戦闘終了の報告を入れ、事後の指示を仰ぐ。
現在吉野達の派閥に組み入れられたトラック泊地は、以前鷹派の麾下にあった。
だが、鷹派所属のとある部隊による内部監査により司令長官及び当時艦隊総旗艦であった艦娘が居なくなり、また泊地機能の一部喪失という緊急事態が発生した為、急遽軍令部の直接差配による整備と人員調整が行われた。
ただ、軍部も当時艦隊本部を発端とする事変が大本営で起こっていた事から十分な支援ができず、結果として吉野達が施設や人員の本格支援を行う事になり、最終的に拠点の運営も任される事になった。
この時トラック泊地の艦娘を取り纏めていたのが古参の木曾であり、新任としてトラック入りした羽田の秘書艦としてサポートすると共に、艦隊総旗艦としてそのまま就くという経緯をもって、トラック泊地は基地機能を取り戻した。
本来基地と呼ばれる規模以上の拠点では、慣習的に戦艦、若しくは正規空母が艦隊総旗艦を勤める。
これは大規模作戦の際、艦隊総旗艦が拠点より抜錨する艦隊の総旗艦を勤める、つまり第一艦隊旗艦も兼任するのが、有事の際速やかに戦闘態勢を取れる形であるからだ。しかし派閥のトップである吉野自身が変則的な艦隊運営をしているのを始め、戦闘面を受け持つ輪島も秘書艦に千歳という軽空母を据えるなど、
「現状での命令変更は無し、まぁ想定よりも敵影が少ないって言うか、殆ど
「数って事なら三分の一も居ないわね、それに上位個体が一体も確認されてないわ。西蘭艦隊からの広範囲索敵の報告次第だけど、難易度的には前回の作戦で来た時とは比べ物にならないわね……一体これは、どうなってるのかしらねぇ」
戦闘終了後陣形を組み直し、母艦の速力信号灯の青が長点灯した後2回点滅するのを確認した千歳は、訝しみつつも第二艦隊から全艦隊へ戦闘終了後の指示を飛ばした。
「全艦艦列が整い次第報告を、以後予定通り
輪島が率いる攻略艦隊は、ハワイ諸島から西へ約六百五十海里。位置的には丁度真西に位置する。
ここで吉野が広範囲の索敵を実施したのには複数の事情がある。
先ずこの作戦に至った最大の理由は、現在西蘭泊地で保護している中間棲姫の取り扱いにあった。
彼女はこれまで自身のテリトリーに流入してきた元艦娘の
だが直接の指揮下に置く深海棲艦に限れば、上位個体の数が
原初の者といえど麾下に置ける戦力は無限ではない。そして支配する者が上位であればある程麾下に置ける数を圧迫する。その辺りは恐らく北方棲姫と中間棲姫は同じ程の能力を持つ筈だが、北方棲姫は北極海という環境を利用し、上位個体の殆どを休眠状態にしておく事でその辺りの負担を軽減しているという。
この話を聞いた吉野は
現在
吉野が持ち掛けた話の答えは、条件次第では可能であるという返答であった。
元々テリトリーに存在する深海棲艦は移動しない。そこで生まれた存在は、死してもまた同じテリトリーで
だが、艦娘の前世を持つ上位個体達はこの法則に当てはまらず、原初の者がテリトリーを移せば、麾下に置かれた上位個体、つまり一定以上の知性を持つ深海棲艦も原初の者と行動を共にする。
そして原初の者が支配するテリトリーは、本来彼女達が奪い、奪われして変動するが、時を経て其々が支配する海域が定まり、安定した今ではそうそう支配海域の変動というものは起こらないという。
逆に言えば、
この話し合いを経て、現在中間棲姫は南極大陸の三分の二を支配する為に出向き、麾下に置く上位個体をそのテリトリーへ呼び寄せている。
そして
原初の者達のテリトリーを獲る条件は、双方が納得するか、戦って奪う事。そして切り取るテリトリーへ原初の者本人が向かい、そこに麾下の者を連れて行き支配させる事の二つ。
つまり今回
「『
「了解、それじゃ予定通り私達はミッドウェーに直行、当該諸島に橋頭保を築きつつ周辺海域の制海権を奪取する準備に掛かるわ」
「じゃぁ西蘭艦隊はハワイに向かった後、そのまま別行動って事でいいんだな」
「そうね、泊地棲姫のテリトリーを拡張するのと、ハワイ独立政府との折衝。後は
「世の中にゃ色んなヤツが居るって事さ。俺も色々と訳ありを経験してなきゃ千歳の姉さんみたいな事思ってたんだろうけどな」
相変わらず微妙な表情で命令を実行するおっぱい軽空母に、隻眼の軽巡は苦笑で返した。
嘗て艦隊本部主導で行われた計画が生み出した産物。生身の人間が艦娘と戦うという様を見て、更にその人物と直接関わった事のある木曾はその人物の事を思い出しつつ、「まぁ突飛って意味なら、
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「後方海域支配率六十パーセント、退路は確保できてます」
妙高の報告と共に、メインスクリーンに映る海図の一部が薄い赤から黄色へと変化する。
太平洋エリアだけで言えば、南太平洋の半分が
※現状の支配海域状況
そこから更に北へ進み、フォックス諸島まで支配海域を伸ばせば北方棲姫の支配海域と接続される形となり、そのまま西側を制圧するとなれば
先ず支配海域が広大になり過ぎて展開する戦力が足りない。一応南極大陸に休眠させている上位個体を連れてくれば事足りるが、その場合、中間棲姫と同じく"支配力のキャパ"が足りず暴走状態に陥ってしまう。
この為計画ではライン諸島からホノルル周辺を経由して、北はフォックス諸島までの海域を線状に支配し、東側、アメリカ大陸沿岸周辺を支配する原初の者、深海鶴棲姫との防衛線とする。
その防衛線の西側についてだが、そちらは
※今作戦が達成された場合の支配海域予想図
「ハワイからの返答はどんな感じ?」
「議会を開いてからでないと返答は出来ないとの事でしたが、ホノコハウ・スモール・ボート港への入港許可が出ているという事は、こちらの提案は通るんじゃないかと思いますけど」
「一応
「ねぇ提督、それでもハワイ側が米国に復帰したいって言ったらどうするの?」
時雨の言葉に吉野は「ふむ」とだけ答え、幾つか予想していたパターンの一つを口にする。
「今のハワイ独立政府は艦娘が居ない頃の日本と同じと言えるね。情報は遮断され、住民が減ったお蔭で今の資源でも生きてこれた。だけど現在米国がハワイに至ろうとしても制海権は繋がっていない、ウチは一応接触できてるけど、この海は現在中間棲姫さんの縄張りで、これからは
「でも、提督にお願いすればそこはなんとかなるんじゃないかな?」
「基本的にウチはハワイ政府が求めるなら物資の供給はするけど、防衛戦力を投入する予定はないよ。元々
だが、米国がハワイを再び自国の州として組み込んだ場合、恐らく彼女の庇護は解かれるだろう。
そうなった場合、
「もし防衛線がミッドウェー辺りまでになれば、米国は自国の戦力を投入してハワイの防衛に当たらなければならない。そしてハワイの人達だけじゃなく、防衛戦力を維持する為にそれなり以上の物資を本国から運ばなければならない。もしそうなった場合、兵站線はどういう形になるか、時雨君はどう思う?」
「えーっと、大西洋からインド洋に渡って、そこから日本へ……あれ? 日本からハワイには制海圏がない?」
「そそそ、あくまでそうなった場合、防衛線はミッドウェーまで。しかもそのラインは
「そうなると……アラスカから南下して運ぶしかない?」
「うん、米国の西側一帯は深海鶴棲姫の支配海域だから、グルッと北に回ってアラスカから出て、そのまま南下しないといけないけど……そこもまぁ、恐らく深海鶴棲姫の支配海域になるだろうね」
現状、
そして
「んでウチとしては委託されてもいいように、国に縛られない弾薬関係が生産可能って事も公表した訳だし、そうなった場合戦力は向こう持ち、資源や弾薬は買って下さいよって話になる訳だ」
「そんな事になったとしたら、恐らく米国は国民を全て内地に引き揚げて、ハワイ諸島は放棄するんじゃないでしょうか」
「だねぇ、一時的にじゃなくて、恒久的に維持費と戦力を捻出しなくちゃなんないけど、そうまでして維持する価値はハワイにはないだろうし」
「……周りを
「嫌らしいって、時雨君、あの海域は世界中から逃げてきた元艦娘の深海棲艦の受け皿だよ? ああでもしないと北極も南極も受け入れ限界越えちゃうからね、是が非でも今回の作戦は成功させないとダメなんだよ」
北方棲姫の支配下にある北極圏。
人類側では艦娘の数が頭打ちという限界を迎えていたが、深海棲艦側でも増え続ける"元艦娘の上位個体"の為に原初の者達の受け入れキャパに限界が迫るという問題を抱えている。
「どちらにとっても一番いいのは、お互い戦わない事だ。しかし人類と深海棲艦の関係性を考慮すれば、今のままでは不可能なのは間違いない。それにこれ以上人類の支配海域が広がれば、以前
吉野が今作戦で目指すのは、中間棲姫の縄張りを整理し、彼女の暴走を止める事。そして
『どうせアンタの事だから、表立ってあれだけのテリトリーを取り込んだら人間側からも深海棲艦からも敵視されるからって事で、あそこに呼び込んだ娘達に自治させといて、裏じゃこっそり時間を掛けて懐柔していくつもりなんじゃないの?』
叢雲の突っ込む声がコンソールから聞こえると、図星だったのだろう吉野の口からは乾いた笑いが漏れ、視線が泳ぐ。
確かに世界的な規模で考えれば、人類と深海棲艦は付かず離れずの距離で争うのが丁度良いと吉野は思っていた。しかしバランスを取るとしても規模が規模だけに個が世界を相手にそれを成すのは不可能と謂わざるを得ない。
辿り着いた答えは、結局綱渡り状態で奔走するよりも、武力で押さえる方が確実で安全なのだという事。
何も世界全てを敵に回す必要はない。幾つもに別れ、対立する諸勢力の内、最大戦力の一つを抑える力があれば事足りる。
後は全ての勢力と同時に対する事がないよう調整をしていけば、結果的に滅びに向かう未来を回避できると吉野は思っている。
嘗ては支配海域全てに上位個体を首魁として置き、人類対深海棲艦を拮抗させる事を目指した。だがそれは原初の者という更なる上位の存在が居たのと、結局吉野が人類側から支配者として目される危険が浮上したため諦めた。
だがそれでも諦めない髭の眼帯は、表と裏を使い分け、深海側と人類側、双方に食い込みつつも、どちらも騙すという姑息で、それでも壮大な計画をぶち上げた。
その姑息で壮大な計画の第一歩である太平洋攻めは、ミッドウェーの奪取と、ハワイ独立政府との交渉からのスタートになる。
・誤字脱字あるかも知れません、チェックはしていますが、もしその辺り確認された方は、お手数で無ければお知らせ下さい。
・誤字報告機能を使用して頂ければ本人は凄く喜びます。
・また言い回しや文面は意図している部分がありますので、日本語的におかしい事になっていない限りはそのままでいく形になる事があります、その辺りはご了承下さいませ。
それではどうか宜しくお願い致します。