夜の教会にランプの明かり、ぼうっと優しい光が3人を包み込み心穏やかに話ができるようだ。ヘスティアはロキとも他の神達ともどこか違い母に抱きしめられているような安心感がある。
ヘスティアは机の上のじゃが丸茶をゆっくりと口へ運び、コクッと飲み込んだ後続きを話し始めた。
「僕達の世界の話、天界の話をすることはこの世界に僕達が来たときに決めた制約に反するからね、詳しくは話すことはできないけれど....ゼウス率いるゼウス軍は下界の子供たちの為に自身の完全消滅かけて戦ったんだ。その中でも一番苛烈な戦いだったのが怪物テュポーンとの戦いだね。下界との境の門を強引に破壊して下界に降りようとする奴を七日七晩の戦いの末に最後は
二人は息をのんでヘスティアの話に耳を傾けた。
「ただ......その後辺りから下界の様子も少しおかしくてね。ある王国に変化が起きたようだけどまあその話は置いておこうかな」
こほんっと咳払いをひとつ。
「ベル君、君と、ゼウス、いやおじいさんと暮らしてきた時間は本物さ。自分たちで作った制約を破ってまで君を助けたんだ。それによく思い出してごらん、おじいさんと過ごした日々を」
ベルが幼い頃からいつも一緒にいてくれた祖父。
「......僕はおじいちゃんの膝の上が好きでした。一緒に畑仕事をした後撫でてくれる大きな手が好きでした。夜何かわからない恐怖に押しつぶされそうな時いつも抱きしめてくれたおじいちゃんが僕は大好きです......」
ベルがオラリオに来るという選択をしていなけらば今でも祖父と一緒に過ごしていたかもしれない。だが祖父には英雄に憧れる孫が自分の元を離れるという選択肢をとることはわかっていたはずだ......
祖父、ゼウスはベルのことを心から愛していた。大切にしていた......
「それにね、ベル君。家族の形というのは様々なんだよ。世界には...天界に住んでいた僕達ですら自分の家族といることが必ずしも幸せかどうかはわからない。実の両親を殺してしまう子供、実の子供を殺してしまう両親、悲しいことだけどそんな家族はごまんといるんだ」
ヘスティアは悲しそうに目を伏せた。神といえど全てを救うことはできない......
それでもっっとヘスティアは目の前にいるベルとアイズを見つめて言葉を続けた。
下界の子供たちは自分で変われる力があると信じて。
「今の君にはたくさんの家族がいるだろう?」
(ロキファミリアの皆、豊穣の女主人の皆......オラリオで出会った優しい人たち)
「そう...ですね。僕の為にたくさん動いてくれた、たくさん泣いてくれた大切な家族がいます。他の誰でもない僕として接してくれる人たちです」
うんうんとヘスティアは頷いた。
「アイズ君、君の悩みは簡単さ。ここでベル君への気持ちをはっきりと口にだせばそれで完結さ!君の気持ちは、いや、君たちの気持ちは君たちの物さ。きっかけはあったのかもしれない...それでも君たちが共に過ごした時間は君たちのものだからね!」
ささっと手を振って二人を立たせるヘスティア、その勢いに負け二人はたったまま向かい合った。
「あ、あの...んと....えと......」
「ええと......」
静寂が辺りを包み込む。ただシチュエーションは完ぺきといっていいだろう。夜の教会、ランプの明かり......今なら顔が赤くなるのもごまかせる。視線を彷徨わせる二人だがふとした瞬間にバチッと目があった。
先に動いたのはベルだった。アイズの手をぎゅっとにぎりまっすぐにその金色の瞳を見つめる。緊張のあまり手に汗をかいていないかなどきにしている場合ではない。
「僕はアイズさんが好きです。最初に豊穣の女主人で一目見たときからあなたに目を奪われていました。ロキファミリアで一緒の時を過ごして、アイズさんの弱さにも触れて、心のそこから守りたいと思ってます」
アイズは真剣なベルがかっこよくて、その言葉がうれしくて目に涙を浮かべた。
「んと...わ、私もベルが好き。ベルと一緒にいると心がぽかぽかするの。私の生きてきた中で感じたことがない感情をたくさんくれた。ベルは私の英雄だよ」
アイズはそういうとベルの首に腕を回し抱きついた。
ドクンドクンとお互いの鼓動が聞こえる中、どのくらい抱き合っていたのだろうか...
ジーっという視線を感じ二人で視線の方を向くと満面な笑みを浮かべるヘスティアが。
「これで二人の気持ちはもう大丈夫かな。アイズ君が正妻ということで決まりのようだね。ベル君に思いを寄せる子たちは多いから後はアイズ君が他の子達がベル君を愛するのを許容できるか、ベル君が皆の思いにこたえるのかどうかだね。もちろん僕の気持ちもね。時間はたくさんあるからね、真剣によく考えてみておくれ」
バチーンとヘスティアにウインクをされる二人は顔を赤くしヘスティアの言葉に頷いた。その後、ベルとアイズはヘスティアにお礼をいい、手を繋いで黄昏の館へ。
なんとなく気恥ずかしさもあり屋根の上を歩く二人、夜風が火照った二人の顔を撫でた。
「もうええんか?」
黄昏の館まで戻ると先ほどのメンバーが扉の前で待っていた。かなりの時間がたっていたにも関わらず皆は怒らずに二人を迎え入れる。
「もう大丈夫、「もう大丈夫です」」
んっっと手を広げるロキに二人は抱きついた。
「「ただいま!」」
「おかえりぃウチの大事な子供達」
ぎゅっと二人をロキは抱きしめた。それだけでロキの気持ちが伝わってくるようだ。
3人はひとしきり抱き合うとベルとアイズは他の皆と黄昏の館の中へ。
「ロキ、どこにいくんだい?」
館にはいる皆を最後まで見送っていたロキにフィンが声をかけた。
「ちょいと野暮用をすませてくるから気にせんでええでぇ」
そういうとロキはフィンに手を振りあの場所へ。
ガンガンっと扉を叩く音が聞こえる。中からの返事を待たずに中へ。
「席は用意しておいたぜロキ」
来ると思ってたよと仲の人物は続ける。先ほどまで3人で話し込んでいた最後の席にロキが座りガンッと机の上に酒の瓶を置いた。ちなみにかなり高級な酒だ。
「一度しかいわんからよく聞いとき、ヘスティア。二人の事感謝するで」
にやりと笑い一言。
「今日は寝かせないぜ、ロキ」
氷の入ったグラスに酒を注ぐとカチンっと合わせた......
【次の日】
オラリオのほぼ全てのファミリアの神を強制的に招集した神会がバベルの会議室で開かれた。普段ふざけた会議が多い神会だか今日は違う。オラリオ最大派閥であるロキ、フレイヤ両名の名においての強制招集、会議室に入った瞬間のビリビリした空気が他の神達を無言で自分の席へと座らせた......
いつも読んでくださっている皆様、お久しぶりです。そして更新ができなくごめんさない<m(__)m>
少々私事でいろいろありまして、かけない状況が続いておりました。リハビリもかねてこれからもボチボチ書いていこうと思いますのでまたお時間ある時に読んでいただけたら幸いです。
それからかけていない間いろいろと心配して連絡をくれた方々心からお礼申し上げます<m(__)m>
次回更新はまだ未定ですが次は神会です。