紅魔館の住人が住んでいないのに、そこを護り続ける妖怪がいた。その名は、紅美鈴。美鈴は、息を引き取る前に咲夜達と約束をしたが死んだショックで忘れていた。だけど、死神の小野塚小町が来てそのことを思い出し、約束を果たす前に最後に異変を起こすことにした。

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護り続けた紅魔の龍

「今日も、暇だな」

 

誰も住んでいない古びた紅い館の門の前に、一人の少女がいた。彼女は、紅美鈴、妖怪だ。

 

「誰も来なくて暇だし、一眠りしますか」

 

誰も来ない門の前で寝そべり、眠りについた。寝てから数時間が過ぎたころ、少女の声が聞こえてきた。

 

「美鈴!」

 

美鈴は、その呼びかけに驚き一人の少女の名を口に出す。

 

「ご、ごめんなさい、咲夜さん!ナイフだけは!」

 

美鈴は、もう、この世を絶っている少女の名を出していた。口に出した彼女の名は、十六夜咲夜。かつて、この館のメイド長をしていた者だ。

 

「はは、聞こえてくるはずがないか。咲夜さんは、この世を絶っているし、そして、レミリアお嬢様、フランお嬢様、パチュリー様、小悪魔も」

 

美鈴が、今もなお護っている館の名は、紅魔館。かつて、吸血鬼姉妹と大魔法使い、秘書の小悪魔、メイド長が住んでいた場所だ。だけど、彼女達は、百年ほど前に息を引き取ってる。

 

「あれから、大分月日が流れたな」

 

美鈴は、時間の感覚を忘れていた。そう、咲夜達が亡くなってから、美鈴の時間の感覚は、止まっていた。

 

「私は、いつ死ぬのかな」

 

美鈴は、自分の寿命を気にしていた。なぜなら、普通の妖怪よりも寿命が長過ぎるからだ。

 

「は、はは。なぜ、こんなにも寿命が長いのかな。早く死ねたらこんなにも苦しまずに済んだのに」

 

美鈴は、自分の寿命が憎かった。そして、目から涙が流れ出した。

 

「あ、あれ?なぜか、涙が」

 

自分が涙を流してる理由が分からなかった。いや、分かろうとしなかった。

 

「私は、これからどうして行くのかな」

 

自分のこれからを考えようとした時、美鈴は、一つの事を思い出す。

 

「あれ?たしか、咲夜さん達と何か約束をしたような」

 

約束のことを思い出そうとするが、なかなか思い出せなかった。数時間悩み続けたが、結果は同じだった。

 

「まぁ、いっか」

 

美鈴は、気にしないことにし、再び眠りについた。

 

**********

 

「美鈴、お願いね」

 

美鈴は、夢を見ていた。それは、咲夜が息を引き取る前のことだった。

 

「来世の私を迎えに来てね」

 

「わかりました。この私が、何十年、何百年経とうとも、来世の咲夜さんを探し出して迎えに行きます。絶対に」

 

「ありがとう、美鈴。約束よ」

 

「はい、約束です」

 

これは、美鈴と咲夜の約束だった。そして、その約束をレミリア達が息を引き取る時にもしていた。

 

**********

 

「ふぁー、よく寝た」

 

眠りについてから三時間ほど経っていた。

 

「懐かしい夢を見ていたような」

 

夢の内容をはっきりと覚えてなかった美鈴は、いつものように気にしないことにした。美鈴は、目を覚ますために、紅魔館の周りを走ることにする。

 

「少しばかり行きますか」

 

走りに行こうとした時、美鈴の前に一人の人影が見えた。

 

「よぉ、元気にしてるかい」

 

「貴方は、たしか死神の」

 

「覚えてくれてるのかい。うれしいね」

 

美鈴の前に現れたのは、死神の小野塚小町だった。

 

「死神が私に何の用ですか。もしかして、迎えに来たんですか?」

 

「いや、それは、私の担当じゃない。一つ伝言を伝えに来たのさ」

 

「伝言?」

 

美鈴は、その伝言が気になり、小町に聞いてみた。

 

「それは、誰からですか?」

 

小町から返ってきた返答は、思わぬ人からだった。

 

「咲夜達さ」

 

「えっ?!」

 

美鈴は、予想もしてなかった人達からだったので、驚きの声が口から出てしまった。

 

「それって本当なんですか!?」

 

「本当さ」

 

美鈴は、うれしかったのか、懐かしかったのか、分からなかったけど、目から涙が流れている。

 

「泣いてるのかい?」

 

「あ、あれ、何で?」

 

「まぁ、いいさ」

 

小町は、気にせずに美鈴に伝言の内容を伝え始めた。

 

「五人とも、絶対忘れてるだろう、だってさ」

 

「え?」

 

思わぬ伝言に美鈴は、もう一度聞いてみる。

 

「すみません、もう一度お願いします」

 

もう一度聞いてみたが、同じ伝言が返ってきた。

 

「あの、その忘れてるだろうは、何のことですか?伝言の続きがありますよね」

 

「あるけど、それは、あたいが言うべきじゃない。それは、お前さんが思い出すことだ」

 

美鈴は、小町の言うことに一理あると思い、息を引き取る最後に何を約束したのか自分の過去の記憶を遡り思い出そうとした。そしたら、一つの言葉が頭の中をよぎった。

 

「迎え、に、来て。......あっ!!」

 

美鈴は、咲夜達とした約束の事を思い出し、少し笑っていた。

 

「はは。そうか私、咲夜さん達が死んだ時のショックで忘れていたんだ。こんな大事な約束を」

 

咲夜達の約束の事を思い出せた美鈴は、小町に一言お礼を言う。

 

「約束の事を思い出させてくれて、ありがとうございました!」

 

「別にいいさ。あたいは、きっかけを与えただけだからね。」

 

少し嬉しげに言った小町は、伝言の続きをどうするか聞いてみた。

 

「お前さん、伝言の続きはどうする?」

 

そう聞かれた美鈴の答えは、すでに決まっていた。

 

「いえ、大丈夫です。多分、私が思ってるのと一緒だと思うので」

 

「そうかい、わかったよ」

 

小町は、そう言うのがわかってたかのように返事をし、その場を歩き出す。

 

「それじゃあ、あたいは、これで」

 

「はい、本当にありがとうございました」

 

美鈴は、改めてお礼を言い、小町を見送った。だけど、小町は、何かを言い忘れたらしく、その事を美鈴に伝える。

 

「ちなみに、転生するの二日後だから」

 

「はい、わかりました」

 

「それじゃあ、今度こそ帰るわ」

 

小町は、そう言い残しこの場を去った。

 

「二日後か。まだ、余裕があるな。」

 

咲夜達を探す前に美鈴は、最後にやり残したことをやろうとしていた。それは、幻想郷に来て、初めてレミリア達が起こした異変。

 

「さて、始めますか。此処での最後の異変、紅霧異変を!」

 

美鈴がやろうとしている紅霧異変は、幻想郷が紅い霧に覆われた異変。その時は、当時の博麗の巫女に止められた。そして、今回も止められるのが承知のつもりで異変を起こそうとしている。

 

「皆さん、見といて下さいね」

 

美鈴は、当時と同じ術式で紅い霧を出し、そして、空を紅く染めた。

 

「さて、そろそろ来るころかな」

 

紅い霧を出して、約一時間ほど経っている。そろそろ、博麗の巫女あたりが止めに来るだろうと美鈴は思っていた。

 

「おっ、やっと来たか」

 

普通の人間より遥かに強い気が近づいている。美鈴は、それに気づき構える。そして、紅白の巫女服を着た人間、博麗の巫女が美鈴の前に立った。

 

「あのー、すみません。この霧は、貴方が出してるのですか?」

 

「そうだよ」

 

博麗の巫女の問いに、美鈴は答えた。そして、次の博麗の巫女の問いに、少し美鈴は驚いた。

 

「すみません。この霧、迷惑なので止めて下さいませんか。お願いします」

 

美鈴が驚いた理由は、あまりにも今の博麗の巫女が律儀すぎるからだ。だから、笑いがこぼれてしまう。

 

「ふふ、ははは」

 

「何が可笑しいのですか?」

 

「いや、別に。それで、止めないと言ったらどうする?」

 

「止めてくれないのなら、力ずくで行きます」

 

言い終わった途端に博麗の巫女は、全力で弾幕を撃ってきた。だけど美鈴は、此処での最後の異変を簡単に終わらすわけには行かなかった。

 

「簡単には、終わらせませんよ」

 

「迷惑ですので、止めてもらいます」

 

博麗の巫女は、次で決めるつもりだった。美鈴は、それに気づき、こっちも次で最後にする。

 

「次で、決めます!」

 

「全力で来な!」

 

そして、二人の全力がぶつかった。

 

「行きます。博麗最終奥義『夢想天生』!」

 

「こっちも。星気『星脈地転弾』!」

 

美鈴は、自分でも分かっていたが、博麗の巫女は強かった。

 

「全力でも。無理か」

 

美鈴は、博麗の巫女に負けた。

 

「私の勝ちです。霧を止めて下さい」

 

「わかったよ」

 

美鈴は、約束だったので、霧を止めた。だけど、美鈴は、悔いがなかった。

 

「異変を止めたので、私は、これで」

 

博麗の巫女は、頭を下げ帰って行った。

 

「最後まで、律儀だったな」

 

美鈴は、あの時の博麗の巫女と大違いだと思った。

 

「さて、やることもやったし、行きますか。だけど、その前に」

 

美鈴は、紅魔館の門の前を向き、お礼をした。

 

「今まで、ありがとうございました!!」

 

美鈴は、最後に大きくお礼を言い、この場から歩いた。

 

「待ってて下さい、皆さん。今、向かいに行きます」

 

こうして、美鈴は、護り続けた門から離れて行った。その門の前には、紅魔館の住人の名前が地面に書いてあった。




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