第二章はみんな大好き(だよね?)「武闘大会」!
とりあえず作者は好き! だって王道だもの!
とりあえず第一の関門「Chapter1を終わらせる」を突破しました。わーどんどんぱふぱふーヾ(^ω^)ノ
この章ではとりあえず、アッシュ君の無双っぷりを堪能していただければと。
ご無沙汰してたあちらの方にも妖しい動きが!
新たな仲間もできたりできなかったり……?
一応、Chapter1は飛ばしても(登場人物の説明的に)平気なようにしてはおります。「え、何説明もう1回入れんの?」となるのをご了承下さい。
決して、けっっして字数稼ぎではありませんから!! ほんとだよ!!
えー、Chapter2は「スランプ入らないうちにとっとと書き上げる!」を目標にちびちび書いていきたいと思います。
感想、指摘その他、ありましたらビシバシ送って下さいね! 「どこそこの表現が意味不明」なども大歓迎です。まだまだ素人なので、拙い文章力しかなく、申し訳ない限りです…
長文失礼しました。そろそろお話始めないと石投げられそうなので、これくらいにしておきます←
これからも“シャンヴリルの黒猫”をよろしくお願いいたします。
2013.4.3
jonah
とりあえず金を手に入れるため、10日後に始まるという武闘大会に出場することに決めた一行は、買ったばかりの馬車の上ではしゃいでいた。
「すごい! 速い速い!」
「1頭しかいないのに、力持ちですねぇ」
馬車の窓から頭を出して外の景色を見ている銀髪蒼眼の美少女の名は、ユーゼリア=シャンヴリル。先の戦争で敗北を喫した魔法大国、ナルマテリア王国の元王女である。年の頃は18。唯一の王族として生き残り、身を守ってくれていた従者も死んだ今は、ソロの召喚魔道士とそこそこ名の通った冒険者として生活していた。
おっとりとした喋りで感心しているのは、クオリ・メルポメネ・テルプシコラ。こちらも人間離れした美貌を持っている。短めの浅葱色の髪から覗く耳は長く尖っており、人間では見られない黄金の瞳と共に、彼女が本来辺境の森に住まう種族、エルフであることを物語っていた。身長は人間の女性にしては長身だが、エルフの中では至って平均、ついでに顔もエルフとしては一般的だった。骨格から何からエルフと人間では違うのだから、当然といえば当然である。彼女はそのせいで度々奴隷商に追いかけまわされ、同じような境遇のユーゼリアに誘われて、彼女達と共に旅をすることにしたのだった。
「頭出すと危ないから、気をつけろー」
そして御者台に寝っ転がっている男の名は、アシュレイ=ナヴュラといった。
「そう言うアッシュだって、御者台で寝転がってるなんて危ないわよ」
「そいつは大丈夫。シュラは賢いからな」
背中に置いたクッションの位置を調節しながら、アシュレイは寝返りをうった。
シュラと呼ばれた彼は、6人乗りの馬車を1頭で引いているとは思えないスピードで道を駆け下っている馬のことだった。会話が聞こえたのか、ヒヒンと嬉しそうに嘶く。その鞍の乗っていない背中をアシュレイがよしよしと撫でると、しなやかな尻尾がブンブンと左右に振れた。蛇のような尻尾は、馬車と馬を繋ぐ頑丈な綱にぶつかりそうだった。
「こらこら、お前が力を込めたら馬車が壊れるだろ」
アシュレイが苦笑しながら注意すると、みるみる尻尾がしょんぼりと垂れる。心なしか馬車のスピードも落ちた。
この馬車馬もただの馬ではない。皮膚は紫銀の鱗で覆われ、尻尾の先とたてがみは鋼鉄のワイヤーよりも硬くしなやか。頭には鋼の鎌のような角が顔ごと覆っていて、眼はなかった。
正体はスレイプニル、魔の眷属第六世代である。だが、まだ幼体であるため、外見はDクラスの魔物と瓜二つだ。それぞれに個体識別名が生まれつきある魔獣の一員として、このスレイプニルの仔にも名があった。それがシュラ、シュラクファミディエルだ。長い為、アシュレイ達はシュラと呼んでいた。
馬車を買おうと寄った貿易都市シシームで、紆余曲折を経て結局アシュレイに懐いた次第だ。
シシームを出て3日。商人は7日で着くと言っていたが、シュラの強靭な脚力と体力により、あと1日程度で武闘大会開催の町ファイザルに到着しそうだった。この分なら初日から試合観戦ができるかもしれない。
「アッシュー、疲れたー」
「はいはい。そろそろいい時間だし、昼にするか。シュラ」
声をかけると、ゆっくりと減速してから止まる。初めは止まれと言ったら急停止をするものだから、あのときは慌てた。むしろシュラに追突した馬車がダメージを受けたが、そう言う問題ではない。中にいた2人も額や後頭部にたんこぶを作っていたし、シュラ自身にも何かの間違いで怪我をするかも知れないのだ。まあ、多少の怪我ならばクオリの回復魔法でどうにかなるだろうが(彼女達のたんこぶもそれで治った)。
(とかなんとかそれらしい理由を並べたててみるが……)
実は一番被害を被ったのがアシュレイだった。御者台に座っていた彼は、急停止の際慣性に従って前方に放り投げだされた。もちろん怪我1つ無く着地はしたが、驚いたのは事実だった。シュラが殊更丁寧に止まるのも、主たるアシュレイに1度とはいえそんなことをしてしまったからだ。
襲いはしないものの、実際のところシュラが懐いているのはアシュレイのみ。たかが人間とエルフなど、シュラにとっては圧倒的格下。ゆえに彼女達の言葉には従わず、無視するのが常だった。ただ、アシュレイが彼女達を大切にしているから、そばに寄ることも、身体を撫でさせるのも、許しているだけ。
まあそんなものだろう、とアシュレイは思っていたが、いつかは心を許してやってほしいとも思っている。
馬車から降りてぐぐっと伸びをすると、パキパキ鳴る肩を揉みながらシュラと馬車を繋ぐ縄をほどきにかかった。その間にユーゼリア達も昼の準備をする。干し飯がいい案配にほぐれると、椀をもらって火の近くに座る。シュラは自分で狩をしにその場を離れた。
シュラは今まで自力で狩りをしたことはない。が、幸運なことに1度、継母の狩を見たことがあるらしい。どういう手段で「目」にしたのかは知らないが(現在シュラに目は無いため)、兎に角それでなんとかなるようだった。
具体的にいうならば、気配を消して、バッと追いかけて、攻撃範囲に入ったら頭の鎌でグサッと刺す。なんとも外見から分かりやすい攻撃方法だ。
ちなみに、成体のスレイプニルは【邪眼】という特殊な方法で狩をするが、説明はまたの機会にしよう。
しばらくしてアシュレイ達が昼餉を食べ終わる頃、シュラが帰ってきた。鎌に青い血がこびりついているのを、もう慣れた手つきでアシュレイが拭き取る。ついでに軽くブラッシングなどしてやる間に、片付けは終わった。
初日などユーゼリアは、シュラが口と鎌を青く染めたまま意気揚々と帰ってきたとき(初めての狩が上手くいって嬉しかったらしい)、絶叫してしまったのに、今では完全にスルーしている。
(慣れとは凄いもんだな…)
再び馬車に乗り込んでガタガタと走りだす。周りはずっと深い緑の木々が奥まである森。特にアクシデントがあるわけでもなくずっとこの調子なので、大分飽きてきたユーゼリアとクオリは、お互いの話に花を咲かせている。アシュレイはぼうっとしながらそれを御者台で聞いていた。
「そういえば、召喚魔道士のユーゼリア=シャンヴリルといえば、【孤高】の渾名で有名ですよね」
「有名ってほどじゃないわ。ちょっと珍しくて、見た目もそれなりだから、周りがはやし立ててるだけ。もっと実力がある人なんて沢山いるもの。まあ、確かに召喚魔道士でソロっていうのは珍しいけど、それだけよ」
「何体と契約を交わしたんですか?」
「4体。そのうちの1体が、この間見たやつね。グァーっていうBクラスの魔物よ。風を操るの」
「Bクラスだったんですかぁ、凄いですねぇ」
「一番強いのがAクラスの魔獣なの」
「魔獣! 魔獣も使役できるのに、B+なんですか?」
「うん。強力なんだけど、ちょっと事情があってね…。ほいほい召喚するわけにはいかないのよ。魔物がちょっと、面倒な性格でね」
「へぇ…召喚魔道士さんって色々大変なんですね」
「まあ、今はアッシュとかクオリがいるから、無理しなくても平気そうだけど。というか、多分私が召喚する必要もなく終わりそうね」
くすくす笑いながら話は続いた。穏やかな日差しに、瞼が重くなってくる。耳に心地よい彼女達の会話が、アシュレイには子守歌のようだった。
「リアさん、ずっと思ってたんですけど――」
クオリの言葉を皆まで聞かず、アシュレイの瞼はずるずると落ち始める。
(ああ、眠い…)
「シュラ、何かあったら起こしてくれ……」
その返事を聞くか聞かないかのとき、アシュレイはついに睡魔に屈した。
「ずっと思ってたんですけど、今まで【孤高】だったのに、どうして突然アッシュさんとパーティを組んだんですか?」
「ああ、それは……」
言い淀んだ。それを言うには自身の過去の詳細も言わなくてはならない。が、そうホイホイと喋るわけにもいかない。ひょっとしたらこの後、クオリがパーティを抜けて、誰かに話を――
(いや、しなさそうだわ。クオリだし)
ちらとクオリを見ると、突然押し黙ったユーゼリアを不思議そうに見ている。ユーゼリアは覚悟を決めて、話し始めた。
「実はね、私、とある者に追われているって言ったでしょう? あれには言ってないことがあるの……」
アシュレイに言ったのと同じように、自分の出生と、どういうわけで今アシュレイと共に旅をしているのか。簡潔な言葉で10分もかからない話だったが、ガタガタと振動が伝わる馬車の中は、静寂が訪れた。
ペパーミントカラーのクッションを胸に抱え、じっと動かないユーゼリアと、クリーム色のクッションをいじりながら何か考え事をするクオリ。御者台のアシュレイは寝ているしで、先ほどまでの和やかな空気はどこかに消え去った。
やがて、クオリが何か意を決したような面持ちで顔を上げた。
「……それが、全てなんですね」
「……そうよ」
「ありがとうございます。打ち明けてくださって。……わたしも、全てをお話します」
「……」
唾を呑んだ。自分の弱点ともいえるような秘密を言ったこともあるが、そんな他人の秘密を聞くこともまた緊張した。
「疑問に思いますよね。なぜ引きこもりのエルフが、里を出て流浪の旅をしているのか」
そしてクオリは過去を話し始めた。それは、ユーゼリアが思っていたよりずっと重いものだった。