まどかはキュウべえと契約し、全ての魔女を消し去り、魔法少女の残酷な運命を覆そうとした。
だがそれは、宇宙の法則を書き換え、因果律を破壊する神となることを意味していた。
アルティメットまどかは現在の神である第四天メルクリウスと戦うことになる。

※注意
独自解釈
オリジナル設定
戦力バランス崩壊
などが多様に含まれます。
それでも気にせず楽しんで読んでもらえれば幸いです。

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戦力バランス崩壊
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魔法少女と水銀の蛇

事象の中心にして宇宙の核である座。

 

暗闇が支配する世界の中に、二人の少女が浮かんでいる。

 

少女の一人が手をかざすと、巨大な魔法陣のようなものが世界を照らしだす。

 

魔法陣から現れたのは光の矢。その数は千を超え、万を超え、億を超え。

 

膨大な光の矢は激しい光を放ちながら閃光となって対象へと向かっていく。

 

放たれた対象は、光の奔流に飲み込まれて見えなくなった。

 

「やった!」

 

矢を放った少女。鹿目まどかが喜びの声を上げる。

 

まどかは、アルティメットまどかと呼ばれる姿をした覇道神だ。

 

逆に、まどかに寄り添う様にまどかの隣に立つ少女、暁美ほむらは油断なく光の奥を注視する。

 

そして光の奥から現れたのは、白い双蛇と魔法陣を背にしている軍服の男だった。

 

惑星一つを覆い尽くして余りある光は、宇宙を覆う双蛇によって掻き消された。

 

無傷。世界を一つ滅ぼすほどの攻撃を受けても、依然として男は変わらずそこに存在している。

 

「どうした。こんなものか?この程度の力しか持たないものが本気で座を塗り替えようなどと思ったのか?この程度の渇望で、我が女神の代わりに座を務めようなどと考えたのか?」

 

黒い髪を腰まで伸ばした軍服の男、メルクリウスがまどかを嘲笑う。

 

その目は無感情に二人を見下ろしている。

 

「黙れえぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

メルクリウスの言葉に、普段は冷静なほむらが激昂した。

 

「お前のような男が!お前のような死にたがりが、まどかを侮辱するなあぁぁぁぁぁっ!」

 

ほむらは一生懸命生きてきた。

 

友達の残酷な運命を打ち破りたい。絶望の死を覆したい。それのみを願って今まで戦ってきた。

 

そのために同じ時間を繰り返し、そのたびに絶望しては立ち上がり、時間を巻き戻してきた。

 

だがメルクリウスはその逆。

 

自分の理想の死以外は認めないという渇望から、時間を巻き戻し、そのために多くの人の人生を弄んできた。

 

だからこそ、ほむらはメルクリウスを許さない、認めない。

 

そんな奴に負けたくない。

 

そんな奴にまどかを侮辱なんてさせない。

 

ほむらの時間停止が世界を覆い尽くす。

 

時間という絶対の枷、どんなものでも時という概念からは逃れられず、ゆえに時間が止まれば動けない。

 

だが

 

「君は何をしているのかね?まさか私の時間を止めようとでもしているのかね?」

 

時間の停止した世界。存在するあらゆる物質が動けないはずの世界の中で、メルクリウスは悠然と語りかける。

 

「くっ!!」

 

時間停止に捕らわれているはずの男は一切意に介していない。

 

メルクリウスの総体は膨大すぎる上、覇道神としての力が自分達よりはるか各上なのだ。

 

ほむらの時間停止など、紙の鎖で恐竜を繋ぎとめようとするようなものだ。

 

「可愛いな。可愛すぎて抱きしめたくなるよ。私の時間を止めたいのなら、せめてツァラトゥストラくらいの力が無くてはな」

 

男が軽く手を振ったその瞬間。時間停止の呪縛は一瞬で消し飛んだ。

 

「そもそも君は何なのかね?覇道神でもないものが、何故座の争奪戦に参加している?」

 

座の争奪戦に参加するためには資格が必要だ。

 

資格を持たないものではメルクリウスと戦うことすらできないはずなのだ。

 

それは思いや気合いなどで覆せる類のものではない。

 

理由の一つはほむらの渇望だ。

 

ほむらは常にまどかと同じ時間を生き続けることを望み、キュウべえと契約した。

 

それによって、ほむらは常にまどかと同じ世界に居続けることができる。

 

誰もほむらと同じ時間を分かち合えないが、それでもまどかと同じ時間を生き続ける。

 

ほむらは本来は求道神としての素質の方が強かったのかもしれない。

 

だが、それだけでは説明ができない。

 

 

もう一つの理由はマルグリット、愛称でマリィと呼んでいるまどか達の友達。

 

彼女の存在がほむらとまどかの力を引き上げてくれた。

 

魔法少女の素質は保有する因果の大きさによって決まる。

 

だからこそ、ほむらのまどかの死を覆すために何度でもやり直すという願いの元、まどかを中心に時間を何度も繰り返し、はからずしも保有する因果を大きくしていった。

 

それによって、まどかは最強の魔法少女となることができた。

 

だが、因果の大きさに置いて彼女を遥かに上回る存在が現れた。

 

マルグリット・ブルイユ。

 

メルクリウスは彼女に殺されるまで、同じ時間を繰り返す永劫回帰を課した。

 

これにより、世界はマルグリットを中心に那由多の時間を繰り返した。

 

もはや因果の大きさは、誰とも比べられないほど桁違いのものとなっていた。

 

しかも、マリィは生まれながら流出位階に到達しており、完全永遠の存在という規格外の存在のため、永劫回帰をしてもその魂は特異点に存在している。もはや因果の大きさというよりも、因果などでは縛られない存在といえた。

 

しかも、マリィの魂の質は単体で、聖槍十三騎士団首領ラインハルト・ハイドリヒの総軍に匹敵、あるいは凌駕するという究極の質を有していた。

 

まがりなりにも聖遺物を持たない彼女たちが戦えるのは、聖遺物であるマリィの加護を受けているからこそだ。

 

彼女がキュウべえに何を願い、まどか達に力を与えてくれたのかは最後まで分からなかった。

 

それでもやはりメルクリウスが相手では分が悪すぎる。

 

あんなに苦戦していたワルプルギスの夜が楽な戦いだったと思い違えてしまうほどの絶対的な力の差。

 

それでも、まどかもほむらも挫けたりはしない。

 

目の前の男を倒さない限り、まどかの願いは叶えられない。

 

「君の願いが叶ったところで、本当に絶望や呪いが無くなるとでも思っているのかね?魔女がいなくなったところで、また別の形で絶望や呪いなどいくらでも生まれるものだというのに。そもそも魔女など、一つの世界の歪みの形の一つでしかないというのに」

 

そんなことはまどかたちだって承知の上だ。

 

それでもこんな悲劇の形じゃなくたっていいはずだ。

こんな悲しい結末で終わりたくはない。

 

メルクリウスの『永劫回帰』とまどかの『円環の理』。

どちらも互いの法則を塗り替えようとせめぎ合っている。

 

まどかの流出だって本当に正しいのかなんて分からない。

 

それでも、まどかは魔法少女の呪われた運命を覆すにはこの方法にしか至れなかった。

 

「私だって、もう絶望する必要なんてない。こんな悲劇なんて覆して、皆の未来を守りたいから!」

 

まどかは、また光の矢を出現させる。

 

だが

 

「ああ、邪魔だぞ。お前たちの悲劇など、私にとっては塵芥ですらない。そんなものは私にとってはどうでもいいものだ」

 

双蛇が鳴動し、メルクリウスは宇宙の法則を掌握する。

 

二人に向かって無数の星が落ちてきた。

 

数えきれないほどの流星。それを一つでも受けてしまえば致命傷を負ってしまう。

 

まどかは光の矢で流星を迎撃する。

 

「ぐうっ!!」

 

絶え間なく降りそそいでくる流星群を何とかやり過ごしているが、押しつぶされるのは時間の問題だ。

 

そして、それだけでは終わらない。

 

星々が凝縮し、その密度が膨れ上がる。

 

怒りは短い狂気である

「Ira furor brevis est.」

 

紡がれる言葉がまどか達に悪寒をもたらす。

 

自然に従え

「Sequere naturam.」

 

凝縮された星が解き放たれた。

 

星も矢も全てを飲み込み放たれたのは破壊の業火。

 

宇宙規模の大熱波である『超新星爆発』。

 

それは今代の神が先代の神、サタナイルを滅ぼした攻撃。

 

受ければ戦闘不能というか死んでしまうだろう。

 

まるで宇宙の終わりであるかのような光景。

 

その威力、凄まじさはまどか達が対抗できるようなものではない。

 

ほむらの時間停止でも止めることなど全くできないだろう。

 

炎が世界を包み込み、そこにあるもの全てを消滅させる。

 

そして、炎がはれた先にいたのは。

 

「・・・・ほう」

 

まどかとほむらは無傷で生きていた。

 

平行世界に移動し、宇宙規模の大爆発から逃げ延びていたのだ。

 

マリィの加護を受け、擬似的な覇道神となったほむらが体得した新しい魔法だ。

 

数多ある平行世界へと移動することができる。

 

その魔法を使い、二人は平行世界に退避していたのだ。

 

マリィの加護のおかげで、ソウルジェムが濁ることはない。

 

平行世界移動も何度だって使用できるはずだ。

 

メルクリウスはそんな二人を見ても嘲笑う。

 

「そんなもので私から逃れられるとでも思っているのか?笑止、お前たちは所詮その程度だったというわけだ」

 

その言葉にまどかもほむらも言い返すことが出来ない。

 

アルティメットまどかであっても、単一宇宙を制圧するのが精一杯。

多元宇宙を支配掌握するメルクリウスには地力で大きく負けてしまう。

 

「お次の出し物は何だ?私は飽いているのだよ。退屈させてしまうのなら殺してしまうぞ?」

 

メルクリウスにとっては戦いですらないのかもしれない。

 

その証拠に、メルクリウスは全く本気を出していない。

この程度は遊びだとでもいうかのようだ。

 

またしもメルクリウスが詠唱を紡ぐ。

 

「終わりから始まりまで

Ab ovo usque ad mala.」

 

その言葉を聞いた瞬間、ほむらの

顔色が青ざめる。

 

「あっ、あれは、インキュベーターを滅ぼした技!!」

 

素粒子間時間跳躍・因果律崩壊(エレメンタリーパーティクル・タイムパラドックス)。

 

自身と世界を素粒子化し、多元宇宙ごと過去の時間軸へ跳躍、それによる現在と過去の抑止力を利用して対象を消滅させる。

 

つまり跳躍した現在の世界と過去の世界という同じ世界が同一座標に二つあるという矛盾が発生。

矛盾の結果、二つの世界は両界の存続が危ぶまれる矛盾の解消のために、互いの世界に消滅を命じるという多元宇宙単位の世界抑止力を発生させ最終的に鬩ぎ合いに負けた過去の世界が消滅する。

 

正直まどかにもほむらにも何が何なのかさっぱり分からない。

 

キュウべえまでも、消滅間際に「訳が分からないよ」と言っていた。

 

『僕たちインキュベーターを滅ぼせば世界が・・・・・』

 

『知らんよ。私は女神以外のあらゆる全てどうでもよい』

 

そんな会話をしていた気がする。

 

そんなことよりも重要なのは、この技は相手の存在自体を初まりから「無かったこと」にするなどの時間操作や因果律操作が行われている事だ。

 

つまりキュウべえは完全に消滅してしまった。

 

今までいくら殺しても、次の個体が補充されるだけだったが、もうキュウべえは現れない。

 

もういくら時間を巻き戻してもキュウべえは戻ってこない。

 

今まで散々騙されたし、恨んできた。

 

キュウべえを敵対視していたが、それでもいつもキュウべえはそばにいた。

 

ほむらはキュウべえがいることが当たり前になっていた。

 

もしかしたらほむらの心の奥ではキュウべえと仲良くなりたいと思っていたのかもしれない。

 

キュウべえからしてみれば無意味な感情だっただろうが、それでもキュウべえが無事でまどかが世界を書き換えることができれば、キュウべえと仲良くなることだって出来たかもしれない。

 

だが、それはもう終わってしまったことだ。

 

もう現在過去未来、どこを探してもキュウべえとは会えない。

 

インキュベーターという存在は、初めからなかったことにされてしまったのだ。

 

目の前の神によって。

 

キュウべえの敵討ちという訳でもないが、ほむらは気を引き締める。

 

止まっていた体感時間から戻ってくると、メルクリウスの詠唱が終わった。

 

「時はすべてを運び去る

Omnia fert aetas.」

 

素粒子間時間跳躍・因果律崩壊(エレメンタリーパーティクル・タイムパラドックス)

 

何が起こったのか分からないまま、まどかとほむらは消滅する。

 

「こんなのってないよ。こんな結末、あんまりだよ・・・・」

 

まどかの声はかすれて消える。

 

意味が分からない。訳が分からない。理解が出来ないまま、まどかとほむらは飲み込まれていく

 

 

はずだった。

 

「はっ!相変わらず訳の分かんねえ変態技使いやがって!」

 

「というか、多元宇宙規模の攻撃って時点で完全に変態技よね。加減ってものを知らないのかしら」

 

聞こえた言葉は、もう死んでしまったはずの人の声だった。

 

もう二度と聞くことが出来ないと思っていた声だった。

 

目の前にいるのは佐倉杏子と美樹さやか。

 

二人はまどかとほむらを守るように立っている。

 

そして、まどかの肩の上に誰かの手が乗せられた。

 

「あきらめちゃだめよ。私たちがついているから。一緒に戦いましょう」

 

巴マミが温かく微笑んでいた。

 

三人の魂はまどかのソウルジェムの中で生き続けていた。

 

『軍勢変生』。仲間たちは擬似的な神格としてまどか達の力になる。

 

まどかの心にはもう不安も恐怖もない。

 

頼もしい仲間と共に、メルクリウスと対峙する。

 

「面白い。お前たちに何ができるというのだ?寄せ集まった所で塵にすらなれないお前たちが」

 

素粒子間時間跳躍・因果律崩壊を受けて、さやかも、杏子も、マミも、そしてほむらとまどかも跡形もなく分解されようとしていた。

 

「今度は何を見せてくれるというのだ?絆の力でパワーアップでもするのか?それとも窮地に立ったことで新しい力にでも目覚めるのかな?」

 

まどか達は誰も答えない。

 

ただその目は真っ直ぐメルクリウスを見ていた。

 

まどか達の目はメルクリウスを憐れんでいた。

 

メルクリウスには理解できない。

 

何故そのような目をしているのか。

死の間際で、自分の何を憐れんでいるのか。

 

「ならば見せて見ろ。お前たちに何ができるのか」

 

メルクリウスは己が詠唱を紡ぎだす。

 

己を傷つける武器も、己を高める英知と言葉も人も傷つける

Et arma et verba vulnerant Et arma

 

順境は友を与え、欠乏は友を試すだろう

Fortuna amicos conciliat inopia amicos probat Exempla

 

運命は、軽薄である 運命は、与えたものをすぐに返すよう求める

Levis est fortuna id cito reposcit quod dedit

 

運命は、それ自身が盲目であるだけでなく、常に助ける者、救われる者たちを盲目にする

Non solum fortuna ipsa est caeca sed etiam eos caecos facit quos semper adiuvat

 

僅かの愚かさを思慮に混ぜよ、時に理性を失うことも好ましい

Misce stultitiam consiliis brevem dulce est desipere in loc

 

食べろ、飲め、遊べ、死後に快楽はないのだから

Ede bibe lude post mortem nulla voluptas

 

 流出

Atziluth

                          」

 

メルクリウスの詠唱が物語の終焉を知らせる。

 

  生と死の刹那に未知の結末を見る

「Vive memor mortis Acta est fabula 」

 

結局の所。メルクリウスの『永劫回帰』もまどかの『円環の理』も本当の意味で救いになるかは分からない。

 

だがマルグリットは今だ求道神、ツァラトゥストラもこの世界にはいない。

 

たしかに時期尚早。マリィの渇望が完成すれば、たしかに全てが救われるだろう。

 

だからそれまでは私たちもマリィのそばにいると誓った。

 

まどかたちは変わらずメルクリウスを見ていた。

 

分解され、もはや抵抗するすべはないはずだ。

 

「ならばもうお前たちには用は無い。用済みの役者には退場してもらおう」

 

メルクリウスは期待外れだと言うように終わりを告げる。

 

  喜んで学べ

「 Disce libens」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物語はあの日に始まった。

 

波旬から受けたダメージのせいで永劫回帰にバグが発生してしまった。

 

「ああ、我が愛しいマルグリットが平行世界に紛れ込んでしまった。これは世界の果てまで私に追いかけて来て欲しいという女神からのメッセージであろう。可愛い子だ」

 

「・・・・・・我が友は相変わらず病気だ」

 

黄金はあの日、友を止めなかったことを後悔していた。

 

 

 

 

 

物語は回帰する。

 

再び世界は繰り返す。

 

まどかたちの物語もまた始まろうとしている。

 

さあ、今宵の恐怖劇(グランギニョル)を始めよう

 

 

 

 

 

 

 




メルクリウス「中二病だと?これを読んでいる時点でお前も立派な中二病であろう」


戦力バランスはともかくとして、設定的にはありそうなので作ってみました。
まあかなり無理がある部分もありましたが、それでも気にせず楽しんで読んでもらえれば幸いです。

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