ONE PIECEの世界へ~冥王の娘になりました。~   作:打出小槌

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 ようやく更新です。

 正直、三か月以上かかるとは思いませんでした。

 
 


第一話 始まりはシャボンの島・・・・って、いきなり爆弾発言ですか!?

 第一話 始まりはシャボンの島・・・・って、いきなり爆弾発言ですか!?

 

 朝。カーテンの隙間から漏れる光りが柔らかく私の肌をなでる。

 大きめのベッドの上で身じろぎしながら、まとっていたタオルケットをはがして身を起こすと、私は強張った身体をほぐしながら伸びをした。

 

 「ふぅぁ~」

 

 漏れ出る声。眼もとに溜まった涙をぬぐいつつ眼を擦る私。

 

 むぅ~・・・。やっぱり朝は苦手だわ・・・。

 

 そう思いながらも首を振り、決して大きくない身体をずるずると引きずるように動かしながら、ベッドの端まで行き、両足を降ろす。

 足裏にヒヤリとしたサンダルの感触が伝わる。

 重心を移動させて身体をお越し立ち上がると、窓際まで行き大きなカーテンを一気に開け放った。

 肌に伝わる太陽の熱。未だ閉ざした瞼の上に感じる日の光。

 カラカラと音を立てて滑る窓を開け放ち、木製のバルコニーへと歩み出す。

 湿り気のある快い風が身体を潤してくれる。

風には海からくる塩っ気のあるいつもの独特な臭いがうっすらと混じっていた。

 全身に太陽の熱が行き渡るのを待って、ゆっくりと瞼を押し上げ目を開く。

 

 目の前に広がる景色は、巨大なマングローブの林と緑の大地。

 天高く伸びる木々ともに、染み出すように湧き出るシャボン玉・

 空にはたくさんの泡が浮かんでは消えていく。

 この世界に生まれてから早4年。

 シャボンディ諸島に私は生まれた。

 ここはREDLINE(レッドライン)新世界への入り口。

 世界一大きなマングローブの樹『ヤルキマン・マングローブ』で成り立つ島。

 全部で79本の樹に番号が振られていたりする。

 1番から29番までがだいたい無法地帯。

 そして、ここは13番GR(グローブ)

 つまり子供が育つには治安があんまりよろしくない場所なのだ。

 なにせ、海賊に、人攫いに、賞金稼ぎ。

 職業安定所という名の人間屋(ヒューマンショップ)に海軍の駐屯地まであるし。

 おまけに、世界貴族と呼ばれる天竜人もいる。

 私はまだ彼らをこの目で直接、見たことは無いけどね。

 できれば一生、関わり合いになりたくないものです。

 まっ、まず無理だろうけどね・・・。

 

「ん~~~。・・・さて、今日も一日、頑張りますかね」

 

 子供らしからぬ言葉と共に私は大きく伸びをする。

 それから身体を解しつつ部屋へと戻ると、クローゼットから服を出し、もぞもぞと寝間着を脱いで手早く着替える。

 着替えおわったら私の身長よりも大きな姿見として使える鏡の前まで移動する。

 鏡に映るその姿は、可憐な容姿の美幼女。

 綺麗なシルバーブロンドの髪に蒼い瞳の愛らしい女の子。

 それが今世の私です。

 腰までストレートに伸びた髪に青色の紐を通し、ポーニーテールに結ってゆく。

 うん。将来は確実にハンコックさんとタメをはれるぐらいの好い女になります!

 目指せ、前世の比古楓!

 因みに、前世の容姿とスタイルはセキレイって言う漫画に出てくる和服美人の大家さん。

 浅間美哉さんにそっくりでした。

 とりあえず、あと、十年です・・・。

 十四歳までに億越えを倒せるまでには強くなる。と決めています。

 海賊になるかどうかは、今は考えていなかったりします。

 ある程度、成り行きに身を任せようかと思うのですよ。

 だってね・・・。

 (うち)の親・・・、騒動と死亡フラグ満載の有名人でしたから・・・。二人とも・・・・。

 

「おはよ~」

 

 私はトイレと洗顔を済ませてからパタパタと歩き、階下に降りた。

 そして扉を開きながら挨拶を一つ。

 

「やぁ、おはようアリス」

「おはよう。アリスちゃん、顔は洗った?ご飯、出来てるよ」

 

 朝食が用意されたカウンターには、一組の男女が待っていた。

 

「おはよ~。お父さん、シャッキー」

 

 私は二人の顔を見ながらもう一度、挨拶する。

 それから、カウンターの椅子に両手を付いてから、ぴょっんと跳び乗った。

 身長が足らないので椅子に座ると足元が宙に浮いてぶらぶらします。

 そんな私の隣の席、カウンターに腰掛けているのは長髪アゴ髭に丸メガネのダンディーな美丈夫。

 若いころは綺麗なブロンドの髪だったが、今では色落ちしてほぼ全体的にシルバーになりつつある。

 シワのある顔の右目には、縦に沿った刃傷。

 ボロボロマントに短パン素足にサンダル姿はご愛嬌。

 本人は既に隠居の身でいる気とはいえ、未だ手配書が出回っていたりする。

 額は軽く一〇億ベリーは超えているらしいんだけど・・・。よく知らない。

 原作でも語られてなかったしね・・・。

 

「どうした?アリス。父さんの顔に何か付いているかい?」

 

 私が顔を見ているのを不思議に思ったのか、首を傾げながら聞いてくるお父さん。

 元、海賊王、ゴールド・D・ロジャーの副船長で。生ける伝説、《冥王》と呼ばれる賞金首。

 名をシルバーズ・レイリー。

 それが今生(こんじょう)での私の父親なのです。

 世間的には凄い人なのでしょうが・・・私に言わせれば。

 

「うううん。何でもない・・・。今日はお酒臭くないんだな~って思っただけ」

 

 ただの飲んだくれの放蕩親父。

 放浪癖のダメ人間です!(力説)

 コーティング屋のレイさんとして巷では有名で腕のいい職人なのですが、『ちょっと出かけてくる』って言って一回出たら半年ぐらい平気で帰ってこないし、至るところに愛人がいるみたいだし・・・。

 そう言えば、だいたい一八年後?の原作でもシャッキーが『その辺に女作ってる』って言ってたし・・・。

 死ぬまで治らないみたいですね、この人・・・。

 まっ、すっごく強いのは確かだけど・・・・・。

 ニコリと微笑み、笑顔で答えた私に。

 カウンターにつっぷして落ち込んでいる姿には、威厳が欠片も無かったりする。

 

「アハハハ。そうよね~。珍しいわよね~。レイさんがお酒臭くないなんて」

 

 カウンターの内側で、背の高い丸椅子に腰かけながら笑顔で笑いつつ追い打ちをかけるのは元海賊のシャクヤクことシャッキー。

 黒髪黒目で背の高いスレンダーな美人さん。

 二〇年程前に海賊を辞めて、今じゃ堅気になった人。

 お父さんとの付き合いも古く、若いころの海軍中将ガープさんとも追いかけっこをしていたらしい。

 普通に見聞色の覇気とか使えるって教えてくれました。本人が・・・。

 時々、店に来た無法者をボコボコにしてからぼったくっているし、この人も強かったりする。

 因みに年齢は怖くて聞いていません。

 女性に年齢は禁句でタブーですよ。いや、ホント。

 それと、私は生まれた時からシャッキーのお店の二階に間借りする形で住んでいます。

 かの有名な《シャッキーのぼったくりBAR》ですよ。

 

「シャッキー、追い打ちをかけんでくれんかな。身が持たんよ」

「あら、そう?・・・そんなにやわだったかしら」

「ははは、かなわんなァ」

 

 存外、楽しそうに話す二人の様子を横目に『いただきます』ってしてから木製のコップで牛乳を飲み、大きめのパンケーキをナイフとフォークで切り分けながらパクつく私。

 好き嫌い無くサラダなどの野菜もしっかりと食べます。

 慌てずにゆっくりとよく噛んで均等に食べてゆく。

 朝食のメニューは大きめのパンケーキが三枚、五種類の湯通しした温野菜サラダ、ソーセージとチーズと目玉焼き、それに飲み物に牛乳が付いています。

 四歳児の朝食には多すぎの様にも思いますが、私はカロリーの消費量が多いのでこれぐらいで腹七分目なのです。

 

「ところで、アリス・・・。今日はどうするんだい?」

 

 ある程度、食べ終わった私にお父さんが聞いてきました。

 私は口の中の物をちゃんと飲み込んでから少し考えて答えます。

 

「いつもどおりだよ。お母さんのところ(・・・・・・・・)に行ってから、修業してくるよ。お昼に一度帰ってきて、それからまた修行。晩御飯までには帰ってくるよ。・・・何か用事ある?」

 

 三枚目のパンケーキを残り半分まで食べ終わった状態で止めながら、聞いてみる。

 

「そうかい。いや。とく用事は無いよ。・・・ただ、13番GRからは出ないようにな」

「そうね。いくらアリスちゃんでもまだ危険ね。そこいらの連中なら捕まることも無いでしょうけど・・・・・・中身はともかく見た目は子供なんだから、気を付けて行きなさい」

 

 私は二人の言葉に素直にうなずく。

 あっ、そうそう。

 この二人、私が転生者だってこと知っています。

 えっ?なんで?って?

 見聞色の覇気ですよ。

 覚醒してから不用意に思考した瞬間、速攻でバレましたよ。

 ナハハハ・・・・・・。

 まぁ、だからと言って特別に何かが変わった訳でもないのですが。

 

「ん。大丈夫。今日は登ったり飛んだりするから・・・」

 

 最近の私は、主に気力と霊力の循環とコントロールを中心においています。

 それ以外には体の柔軟と頸脈強化と舞空術の修業です。

 柔軟はバランスのいい身体を作る為。

 頸脈強化、頸脈は魔術回路の気力版。

 気の流れを制御するための路を拡張さることです。

 舞空術は、瞬動や虚空瞬動を組み合わせて行います。

 傭兵王国で培ったクルダ流交殺法と流派東方不敗を完璧に極める為の下地作りです。

 技に入るにはもう少し時間が必要かと・・・。

 その他、空いた時間には体を休めながら、これまでの経験を活用してのイメージトレーニングです。

 見聞色の覇気も制御しなくてはなりませんし・・・。

 もともと仙人時代に、ドラゴンボールみたいに気を感じて、『誰々は今、ここにいる』とか『こいつの戦闘力は○○○だ』みたいなことも出来ましたしね。

 そう。見聞色ですよ。

 いらない。って言っていたのに発現したのです。

 私の意識が完全覚醒した三歳の時に・・・・。

 制御不能で、正直寝不足になりました。

 いきなり頭の中にいろんな感情や思いが声となって制限無く入って来ましたから・・・。

 

 なんの嫌がらせだ~~!!

 って思いましたよ。いや、ホント。

 発現した理由は血筋の影響だそうです。

 

 今の私の強さは全盛期の亀仙人。といったところでしょうか。

 とりあえず強さの目標はセルゲームの時の悟飯君ですね。

 実際に起こるかどうかはわかりませんが、頂上決戦時にはそのくらいの強さになって起きたいものです。

 

「アリス。少し、いいかな?」

 

 半分に減ったパンケーキもあと一欠片。というところで、お父さんが聞いてきます。

 

「これは、本来ならばアリスがもう少し大人になってから教えようと考えていたことなのだがね・・・」

 

 そこで言葉を区切るお父さん。

 前振りにしては意味深な発言です。

 いつになく真剣な眼差しと、重みのある声で。

 なにやら大切なお話を私にして伝えるようです。

 お父さんがゆっくりと言葉を紡ぐ間に、私は最後の欠片を口に含み、咀嚼してから残りの牛乳を飲み干します。

 

「アリスの精神があるていど成熟した大人であると判断した上で、伝えておくよ」

「なに?どうしたの?改まって・・・・」

 

 私は首を傾げながら訪ねます。

 何やら至極、真面目なご様子なので・・・。

 フォークとナイフをお皿に置いてから、ちゃんと膝ごと向き合います。

 

「私が、なんの為に強くなるのか?そう聞いた時。君は『これからの先の時代を生き抜く為に強くなる』そう言っていたね」

 

 私は、こくり。と再度頷く。

 確かに。私が以前、修業すると伝えた時に、聞かれたのでそう答えました。

 その後、いろんな話をして最終的に認めてもらえたはずですが。

 

「その考えは間違いではないよ。・・・ただ、それだけで渡れる程。今の世は甘くはない。そのことは、アリスもちゃんと理解出来ていると思う」

 

 お父さんは念を押すように再度、私に確認してきます。

 正直、この先は聞きたくありません。

 そう言いたくなりました。

 しかし、そういう訳にもいかないのでしょう。

 私はぐっと堪えて言葉を呑みます。

 

「アリス。君には生まれながらに、背負わなければならないものがある」

 

「アリスは私の娘だ。それだけで、十分に世界政府や海軍の敵と言えるだろう」

 

 まぁ~確かに・・・。

 ばれたらかなり危ないのは間違いありません。

 海賊になることも無く、一般人として何もせずに暮らして行く。

 そんな選択肢が無いわけでは無いけれども、私にかかわる全てのことが裏目に出る。

 なんてこともあり得ますし。

 周囲の人間と関わりを絶つなんてことも出来ませんし、する気もありません。

 ならば、背負った上で強くなるしかありません。

 その為の下地はあるのですから。

 

「そして、君のお母さん。エイワス・D・ルナマリア」

 

「彼女が私と同じロジャー海賊団のクルーであり《殲滅姫》ルナマリアと呼ばれていたというのは、以前にも話したと思う。・・・覚えているかい?」

 

 勿論。忘れる訳がない。

 父親が冥王だと知った時の衝撃と同じく。

 面倒事に巻き込まれるフラグ満載なのは『ジョウリ!あんたの仕業か!?』と思わず問い詰めてしまったものだ。 

 

「ただ。正直それは大して問題ではないのだよ」

 

 えっ!?

 それは、どういうことでしょうか・・・・。

 十二分に大きなことだと思うのですが・・・。

 

 まさか、それ以上の問題が、他にもある?

 

「・・・まぁ、私とルナが夫婦で、アリスが私達の娘だということを知っているのは、私とシャッキー。それと信頼のおける、ごくわずかな者達だけだからね。・・・彼らの口から語られることはまずないから安心しておきなさい」

 

 ん。お父さんがそう言うなら、本当に問題はないのでしょう。

 でも・・・、だったら・・・・。

 

「エイワスの名も彼女の母方の名前から貰ったものだし。二つ名はともかく、実名は世間にもあまり知られていないからね。アリスがその名を乗るのに問題はないよ」

 

「ただ、問題なのはその血筋なのだよ。彼女の父親の方。つまりはアリスのお祖父ちゃんだね」 

 

「アリス。よく聞きなさい」

 

 

 

「君の母、ルナマリアの父親であり君の祖父の名は・・・・」

 

 

 

「エドワード・ニューゲート」

 

 

 

「・・・・四皇。《白髭》と呼ばれている男なのだよ」




 次話。 もう少し早めに上げるように頑張ります。

 見捨てずに読んでいただけると嬉しいです。

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