ONE PIECEの世界へ~冥王の娘になりました。~ 作:打出小槌
第二話です。
駄文ですが、懲りずに読んで頂けると嬉しいです。
第二話 無意識って怖いよね。・・・あっ、1人目発見かもです。
Side レイリー
「・・・・四皇。《白髭》と呼ばれている男なのだよ」
私は娘に伝える。
己が誰の血を受け継いでいるのか・・・。
彼女は知らなくてはならない。
これから先、背負わなくてはならない、過酷な運命を・・・。
「すまないね。・・・さすがに、驚かせてしまったかい?」
眼を見開いたのちに俯き、身を震わせる娘に、出来る限り優しく問いかける。
彼女の中では今、様々な葛藤があるのだろう。
受け止めよう。彼女がどのような決断をしても。
受け止めよう。彼女がどのような人生を歩んだとしても。
そして、私が、生きている限り。この子を守ろう。
「お父さん・・・・」
顔を上げ真っ直ぐに私の眼を見詰める娘の瞳は、強くしっかりとした意志のこもった光を放つ。
そして、一言。
「・・・・・よく。・・・・よく、今まで、殺されずに生きてたね」
なっ!?――――。
「ぶはッ!?・・・ふふふふ。本当に、そうよね~。よく生きていたものよね~」
カウンターの向こう側で噴出したシャッキーが、手首を口元にやり、笑っている。
そのような姿の彼女を見る機会は相当ない。実に珍しいことなのだが・・・。
いやいや、そうではなく。
私は眼を見開き驚く。
私の予想を裏切る返答が帰ってきたことにもだが、娘にまるで動じた様子が一切無いことにだ。
彼女は別に表面的なものだけで取り繕っている訳ではない。
それは、私のこれまで積み上げた経験と見聞色がそうだと言っている。
しかし、その哀愁を浮かべた同情するような視線はなんだい?
可笑しい。私は君を心配して言ったのだが、逆に私が心配されているとは!?
「あぁ~・・・・アリスは不安ではないのかい?」
私は尋ねる。しかし、帰ってきた返事が更に斜め上を行く回答だった。
「え?不安も何も、今更でしょ?・・・・。さっきも言ったよ。お父さんの娘ってだけでこれから先、苦労すること間違いない訳だし・・・・。それより、お爺ちゃん?って、お父さんと同年代だよね?つまり、その娘に手を出して子供産ませたってことだよね?――――しかも,お爺ちゃんからしてみれば、相手は命がけで戦ったライバルの船の副船長。私がお爺ちゃんで、それを知ったら、いくら娘の旦那でも、とりあえず。――――確実に息の根を止めに行くと思うよ」
ウンウンと腕を組み頷いている我が娘。
君は本当に四歳児かい?―――いや、違ったか。
この子には、数百年。いや、もしかするとそれ以上の年月、積み重ねた経験があるのだった。
まったく、この子には本当に驚かせられる。
『え!?何で!?嘘でしょ!?――――シルバース・レイリー!!!!!・・・・・え?お父さんなの?うそ!?私ってば産まれた時からフラグ付きっ!?』
彼女を初めて抱き上げた時。まだ、彼女が生まれて来て間もない頃だったか。
未だ、産後の経過が芳(かんば)しくなく、ベッド上にて横になるルナマリアの側に居た時だ。
突然聞こえてきた声に私は耳を疑ったものだ。
全く、あれ程驚いたことは、本当に久しぶりだった。
まぁ、その時はその場で問い詰めることはせずに、ルナがいなくなった後。
しばらくしてから、話をしたのだが・・・・・。
私にはルナと、彼女と交わした約束もあるしな。
「お父さん?」
娘の声にふと、我に返る。
どうやら、懐かしい思い出と共に思考に嵌まってしまっていたようだ。
「ああ、すまない。正直、予想外の返答だったのでね。ハハハハ」
とりあえず、笑って何事も無かったかのように切り替える。
一応、私にも父親としての矜持(きょうじ)があるからね。
そこのところ、察してくれるとありがたいものだ。
そんな思いを抱きつつ、首を傾げてこちらを見詰めるアリスに対し、私は真正面から向き直り視線を合わす。
「――――さて、それではアリス。君はそれを聞いて、これからどうしたいのかな?」
Side アリス
「――――さて、それではアリス。君はそれを聞いて、これからどうしたいのかな?」
うわぁ~。サラっとスルーしたよこの人・・・・・。
私のツッコミはスルーですかそうですか。
いいよ。いつか白髭のお爺ちゃんに会ったら言ってやろう。うん。そうしよう。
まぁ~、それなりの事情もあるんでしょ。察しますよ。触れないでおいて上げるよ。 全く・・・・。
それから、シャッキー。
そんなに微笑ましいものを見る目で見ないでぇー!―――恥ずかしいから。
不安になった訳じゃない。それはホント。ただ、この世界。
半端な気持ちで生きていくには世知辛い。
理不尽と不条理のオンパレードな世界なのだから――――。
「どうしたい?そんなの決まってるよ。改めて言うけど、力を付けて強くなる。今の私は精々、億越えに手が届く程度だし。なら、修業するしかないでしょ?――――まずは覇気を全て覚えて制御下に置く。お父さんが冥王でお爺ちゃんが白髭なら。私にも覇王色、武装色、見聞色を使える才がある筈だし。戦いの経験はある程度ある、身体能力の鍛え方も分かってる。海王類や悪魔の実の能力者との戦闘経験はないけど、人外や化け物、獣の類なら経験あるし。あとは実践かな・・・・。旅をするのもいいね。他には航海術とか、海で必要になる知識。海軍、王下七武海、四皇、世界政府、世界貴族、革命軍。ポーネグリフや古代文字の知識も欲しいかな~って考えているんだけど、どうかな?」
そう一気に話し切った私に、お父さんやシャッキーは少々難しそうな表情を浮かべる。
以前は、ここまで深く話したことはない。
ただ、『これからの先の時代を生き抜く為に強くなる』という言葉に嘘はない。
「なるほど。どうしたいのかは分かったよ。しかしな。ポートグリフや古代文字。あれはね、アリス。君が想像している以上に、知っているというだけでも相当に危険なシロモノなのだよ」
アルコールの入っていないスカッシュが入ったグラスを傾け、カラン、と澄んだ氷の音が耳に響く。
目を細め、ゆっくりとした口調で話すそうお父さん。
「そうね~、アリスちゃんなら知っているかと思うけどオハラの件もあるから、手を出すなら慎重にしなさいね」
腕を組みタバコを咥えながら、私に忠告してくるシャッキー。
今の私の前では決してタバコに火を付けようとはしない彼女。
内心、『ゴメンね。気にかけてくれて』と謝る私。
『いいわよ』と私の思いを察してウィンクを返してくるシャッキー。
「まぁ~、その辺はね。しっかりやるよ。ニコ・ロビンみたいに手配されたくはないし。正直、今すぐにでも助けに行ってあげたいけど。今のわたしじゃ足手まといだし。何所に居るのかも知らないから」
そう、残念そうに言う私。
「あら、彼女の事も知っているのね。―――でも、彼女のことなら大丈夫よ」
「ああ。そうだな。彼女には、彼女を守る騎士(ナイト)がいるからね」
「ふぇ?」
なにやら二人して私の知らないことを話している。
どうやら、二人にとっても共通の知り合いがいるのだろう。
さっき言ったニコ・ロビンの側に・・・・。
「騎士って―――何?」
「おや、アリスは知らないのかい?」
「彼女を守る
そういって差し出され、テーブルの上に乗る一枚の手配書。
それを手に取り、マジマジとみる。
見た目は・・・・。うん。SAOのキリト君を少し幼くした感じ?
ああ、SAOはね新宿に居た頃に出されたとあるライトノベルの主人公なんだよ。
写真は横顔。黒髪黒目で少し女の子っぽい容姿。背中を向けていた時に撮られたようだ。
襟と丈の長い黒色のロングコート。その上からベルトを通し、背中には大層な剣を一本背負っている。
「デュバル・A・ランスロット。懸賞金、一億BR(ベリー)」
「身に着けた在りとあらゆる武器を自由自在に操るんだ。歳は確かアリスよりも6歳程上かな。さらに、彼はその歳で見聞色に武装色も、力に振り回されることなく使いこなしている。覇王色に関してはまだまだ使いこなせてはいないが、素質はあるようだ。それでも、大したものだよ、彼は」
「そうね。歳の割には大人びているかな?今年、10歳になるロビンちゃんを守る12歳の騎士様ね。かっこいいわよ~。あれは、将来的にもいい男になること間違いないわね」
シャッキーがいい男って言うからには外れではなのでしょう。
たぶん、その子。正統派オリ主君ですね。わかります。
二人の会話や手配書の写真。そして、その分かり易いその名前と容姿。
そこから裏の事情を察する。
一番まともだと聞いていた彼が一番最初に手配書になるとは・・・・。
まぁ、そのおかげで1人目の行方が分かったのだけれども。
オハラに生まれたんだね~。最初から滅亡フラグって私以上にハードみたいだし。
仕方ない。何かあったら助けてあげよう。
そう、密やかに決心する私なのでした。
「ん?―――アリス。どうかしたのかい?」
「どうしたの?手配書をじっと見て、彼に一目惚れでもした?」
手配書を握りしめてジッと見詰めていた私に二人して聞いてくる。
いやいや、そんなわけないでしょ。と思いつつ。
「違うよ。いい子だったらいいな~とか、友達になれるかな~。って思っただけだよ」
そう適当に返す私。
別に、同類かもしれないって言ってもいいのだけれども、まだ、確証ないし。
「いい子ね~・・・・」
おや?その微妙な笑いは何なのでしょう?
「確かに。―――いい子。ではあるのだがね・・・」
「そうね~、いろいろと中身、残念な子だから・・・彼」
ふふふと不敵に笑うシャッキー。
「ああ、確かに。残念で愉快な男だよ。彼は」
苦笑でもって返すお父さん。
えぇ~と、どういうことでせう?
「とある夢を盛大にかつ、自信満々に宣言していたものね」
「ああ。宣言した後、これまた派手に彼女に殴られていたがね」
「「ハーレム王に俺はなるっ!ってね。(とね)」」
うん。私の勘違いだったみたいだね。
正統派オリ主君ではなく踏み台君の方でしたか・・・・。
うん?―――というより、正統派な踏み台的転生者?
改心しましたー!的な人?ま、いいや。
「あぁー。つまり、お馬鹿ってことでよい?」
首を傾げる私。
ん?なんか変なこと言った?
どっかの乳龍帝君みたいな感じの子って思っておけばいいんでしょ?
「ふふふ。そうね。確かに馬鹿な子ね。でも、大丈夫。いいお馬鹿さんだから、お友達にだってなれるわよ」
「そうだな。確かに。まぁー、彼女の尻に敷かれているうちは大丈夫だろう・・・・」
それは、俺の娘に手を出すな的なノリですか?お父さん。
眼鏡の奥の瞳が一瞬、鈍く光った気がするのは気のせい?
「ふふふ。そう言えば・・・・。彼曰く、『二次元と現実は別物だと悟ったのです』ということらしいのだけれども。―――分かる?アリスちゃん」
あい。わかった。解ってしまった・・・・・。
考えても見るがよい。
ぶっちゃけ、二次元でないリアルONE-PIECEなのです。
実写版。ガチモードですよ~。
リアリティーあり過ぎて、二次元主義者には世知辛い世の中に見えるんだろうね~。
特撮系大好きな人ならまだましだったんだろうけど。
彼には酷だったようです。
想像してみて。主人公のルフィー君。ゴムゴムの実を食べたゴム人間だよ。
身体中が伸びたり縮んだりするんだよ。
赤っ鼻のバギー君はバラバラ人間。
切断面って、どうなってるんだろうね~?
まんま人間のリアル断面図だったら?
―――映画【バイオハザードの】一場面を思い出すのは私だけだろうか?
ロビンちゃんはハナハナの実。人の身体や、いろんな場所から手をたくさん出せる。
リアル千手観音とか出来るんだよ。
慣れたら一度にいろんなことが出来て便利だろうけど・・・・・。
まぁ~、実際に見たことないからわかんないけど。
悪魔の実の能力者とか、知識の無い人から見れば、確かに化け物にみえるよね~。
私自身。興味はあるけど食べたいとは思わない。今後、食べる気も無い。
だって、泳げなくなるのは嫌だし、そこまでの価値を求めていなかったりする。
でも、まぁ~。私。
リアルでハーレム作ろうってんだから、正直、根性あると思うんだ、その子。
だってさ、1人でも大変なんだよ。女の子と付き合うの・・・・。
それなのに。全員に分け隔てなく接して、フォローして、夜のお付き合いも行って、ちゃ~んと全員を満足させてあげなきゃいけないんだよ?
身体も心も、保った上でね。
それがリアルで出来るのは、アラブの王族ぐらいなんじゃないかな?って思うんだ。
それにね。
私には男として生きた前世が5つほどあるのです。
ハーレムとやらは既にすべからく体験済みという経験が、知識として残っている私には、『まっ、頑張って・・・・』と生暖かい目で見つめてあげるしかないのです。
「・・・アリスちゃん」
おお!? シャッキーの声に、現実に立ち戻る私。
「あ~。ゴメンゴメン。――――うん。取り合えず、彼が何を言いたいかは理解した。まぁ~、いろいろと考えたんだと思うよ。彼的に」
考えた先が『ハーレム王』ってのが、本当に残念というか、正直といか・・・・・。
ロビンと、そのランスロット君の路に、幸多くあらんことを願うばかりである――――。(丸)
「さてと」
一つ大きく背を伸ばし、私は椅子からぴょんと跳び下りる。
腕を伸ばしてカウンターの上。空の食器を載せたプレートを取り、カウンターの内側へ。
洗い場にの前に置かれた、私専用の踏み台に上り、食器を洗う。
因みに食器もプレートも全部、特殊加工された木製だったりする。
洗い終えるとタオルの上に置いておく。
両手からしっかりと水分を拭き取る。
それからカウンター横の壁に懸けた、私専用に作った修業用の刀棚から一本。
手に取って感触を確かめる。
これには前世の知識と経験が活かしてあった。
修業用として、刃挽きの刀に鉛を入れたり、打ち直したりと、重さとバランスを考えながら自分で作りました。
私の今の身長よりも長いそれは、腰のちょうど良い位置に設置した腰縄にそのまま挿すと地面を引き摺ることになるので、踵を切り落とした高下駄に履き替え、
そうしてから心持ち水平になるようにバランスよく刀を腰に配置する。
これで準備は整いました。
因みに、私が高下駄を履く理由なのですが。
古流剣術や武術には踵を切り落とした草履を使うことで体幹を鍛えるとともに。立つ。歩く。走る。といった基本動作を、重心を常に一定に保ち、姿勢を正し、効率よく身体を使う修業があるのですが、これはその強化版です。
常に爪先に力を入れ続けながらバランスをとり続けなきゃならないってことですね~。
余談ですが、この高下駄にも重りを仕込んであるのです。
「それじゃ~。お父さん、シャッキー、行ってくるね~」
私はお店の出入り口のの前に立ち、一度振り返りる。
「ああ、行っておいで」
「気を付けて行ってらっしゃいな。晩御飯までには帰って来なさいね」
「は~い。了解。――――行ってきまーす」
二人の笑顔に笑顔で返し、私は扉を開け放つ。
眩しい光が、まるで私の今日という日を祝福してくれるかのように降り注ぐ。
「うん。今日もいい日だ」
日差しを片手で遮りながら、私は今日も、一歩、踏み出した。
今後も、不定期ではありますが、根気よく投稿していきたいと思います。