やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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今回の番外編は俺ガイルやガルパンのドラマCDのようにトークを多めにしたいなと、つまり会話多めで話なかなか進まないかも。
いやほら、本編で書きたいけど無理にいれるとおかしくなってしまう素の会話とか、書きたいネタってやっぱりあるんですよ。


【番外編】肝試し・ウォー2

さて、肝試しの出店の為に、生徒会が呼んだ誰だか知らない不幸な方々を迎えに行かなければならないのだが、その前にやっとかないといけない事がある。

 

俺は部屋でパソコンを起動させるとSAO(戦車・アタック・オンライン)にログインした。

 

「そんな訳で今日のランキング戦は参加出来ないっぽいです、すいません」

 

そう、本来なら今日は夜SAOのランキング戦に参加する予定だったので一応、チーム相手にその事を伝える必要がある。

 

「そうか、そういう事情ならば了解した」

 

その相手というのがなんと黒森峰隊長、姉住さんだ、最初このゲームをやると言い出した時は、どうせすぐ止めるだろうと思っていたけど、なんだかんだ続けているのには驚いた。

 

むしろ結構長くログインしてる日もある、たぶん戦車訓練が休みの日なんだろうけど誰かと遊んだりしないの?ちょっと不安になるんだけど。

 

今回、姉住さんが自分のフレンドを紹介すると言ってランキング戦のチームに俺を誘ってきたのだ。

 

「ふん、全国大会の真っ只中に肝試しなんて、ずいぶんと余裕なのね?」

 

あぁ、いや、だいたいこの副隊長もセットなんだけどね、こいつは本当に姉住さんの事好きすぎるだろ…。

 

そんな訳で例のランキング戦以降、たまにこの二人とSAOでチームを組む事があるのだ。

 

「みほも参加するのか?」

 

そんでもって姉住さん、真っ先に聞くのがそこですか?この人はこの人で妹の事好きすぎるだろ、何この三角関係、昼ドラかよ。

 

「まぁ強制参加のノリでしたし、友達と一緒に浴衣を着てくるとか言ってましたよ」

 

ここできちんと姉住さんに西住が友達と楽しくやってるアピールをしておく、同じ妹を持つ者としてそこら辺の配慮は忘れない、素晴らしいファインプレーである。

 

「みほの浴衣なら実家にあったはずだが…、大洗でまた買ったのか?」

 

「友達から借りるみたいですよ」

 

五十鈴なら華道の家元なんだし、そういう和服を何着か持ってても不思議ではないが、サイズは大丈夫なんだろうか?

 

「そうか、しかしまたこういう機会があった時不便だな、実家にある浴衣を今度送った方が良いだろうか?」

 

「いや、タイミング的に変じゃないですか?浴衣が欲しい時に実家から浴衣が届くって」

 

姉住さんも西住もまだ去年の黒森峰での一件による蟠りは継続中である、お互いに素直になれないというか、和解自体はまだなっていない。

 

そんな中、このタイミングで姉住さんが西住に浴衣を送るというのは…、なんか間に入ってる俺の存在が露見しそうでちょっと勘弁してもらいたい、いろいろ誤解を生みそうだ。

 

「そうだな…、なら一度君の家に浴衣を送るから、君からみほに浴衣を渡してもらえないだろうか?」

 

「いや、君が渡してくれって…、どう考えてもおかしいでしょう、なんで俺が西住の着てた浴衣を本人に渡すんですか?」

 

なんて言い訳して渡せばいいんだよそれ。昔自分が着ていた浴衣を、何故か俺に渡されるって…西住からすれば完全にホラーなんですけど?

 

「…ところで君は参加するのか?みほと一緒に」

 

「いや、なんか脅かす側らしいです」

 

ここははっきりと言っておかないと後が面倒な気がする…、姉住さん、妹に悪い虫がつかないように必死なのかよ。

 

「あら、適任じゃないの、あなたのその腐った目はゾンビ役としては充分ね」

 

「おいこら、昔クラスで俺に触れた瞬間始まったヒキタニ・ハザードという名前のゾンビ鬼ごっこ思い出しちゃうだろ」

 

少し肩が触れた瞬間、クラス中で鬼ごっこが始まった、いや、ヒキタニ・ハザードの感染拡大能力強すぎない?そもそもヒキタニって誰だよ。

 

「ちょっと!本気で落ち込まないでよ!まるで私が悪いみたいじゃないの!!」

 

いや、お前が悪いでしょ…、人のトラウマほじくり返して。まぁすぐに慌てる辺り、根は優しい所もあるのか、それとも小心者なのか。

 

「つーかそもそもゾンビって幽霊とかお化けのカテゴリーなの?」

 

どちらも死んでるのに違いはないが、肝試しに出てきていい類いのものなんだろうか?

 

いや、生きてる奴でも噛まれたらゾンビになるんだよな、これもうわかんねぇな。

 

「知らないわよ、でももしあんたのゾンビが黒森峰に来たら全力で殲滅してやるわ」

 

容赦ない殲滅宣言頂いちゃったよ…、強力なドイツ戦車持ってる黒森峰相手にはゾンビも形無しだな、いや、俺ゾンビじゃないけど、これはゾンビじゃないです。

 

「エリカ、ゾンビとなると相手は無限に増殖する、戦力が把握出来ない以上無駄弾は抑えろ」

 

なんで姉住さん、真面目に対ゾンビ戦を考察しだしちゃったの?やっぱり戦車道脳なの?

 

「理想は一度の砲撃でまとめて倒す事だが、それだと建物が利用出来る市街戦か?いや、そうなると奇襲される可能性が高いな、比企谷、比企谷ゾンビは走るのか?それによって戦略も変わるが…」

 

「いや、知りませんよ…」

 

「君のゾンビではないのか?」

 

「俺がゾンビではないので」

 

「そうだな、確かにその情報を君本人から聞くのはフェアではないな」

 

違う、そうじゃない…、頼むから話通じて?対ゾンビ戦の考察がガチ過ぎる、西住流ってそういう状況用のマニュアルでもあるのだろうか?

 

「隊長、ゾンビは生前の行動が反映されるらしいので、こいつのゾンビなら走らないんじゃないですか?」

 

「どういう理屈だよそれ、だいたいその理屈なら俺のゾンビは仲間すら作れないぞ、世界一危険性の低いゾンビだ」

 

「なんでそんな自信満々に言うのよ…、だいたいそんなのわからないでしょ、真っ先に私や隊長を狙う事だってある得るわ」

 

いや、それはないな、比企谷ゾンビは基本的に臆病だから怖そうな奴は狙わないだろう、なんだよ俺、比企谷ゾンビに詳しすぎだろ。

 

「エリカ、もし私が噛まれたらゾンビになる前にすぐに私を撃て」

 

「そ、そんな事出来ません!!」

 

「戦場では一瞬の判断ミスが命取りだ、後の指示は任せる」

 

「で、ですが隊長!!」

 

もうその手の話はゾンビ映画やら漫画やらで何回もやってるんで今さらどうこう言いませんけど、ちょっとお決まりすぎない?

 

全く関係ない話になるけどまともに終わったゾンビ漫画ってないよな…、ゾンビ漫画自体はそれこそゾンビみたいに溢れてるのに。

 

「じゃあそういう事で抜けますから、そろそろ行かないと遅刻しますし」

 

「…その前に君に聞きたい事がある」

 

いい加減話を切らないと終わりそうにないのでそう言ってログアウトしようとすると、姉住さんに呼び止められた。

 

「はい?」

 

「君のフレンドは今何人いる?」

 

…はい?またですか?

 

「九人ですけど?」

 

前回からの秋山と西住、アリサに加えて武部や五十鈴、冷泉とあんこうチームの奴らからフレンド申請が来た、たぶん秋山と西住の紹介だろう。

 

武部と五十鈴はあまりやる方じゃないが冷泉はちょくちょくやってるっぽいな…夜中に。はい、ギルティ、今度またお仕置き(意味深)してやる。

 

ちなみに後の一人はなんと驚く事にケイさんだ、アリサの紹介らしいがあの人この手のゲームでもノリノリなのね。

 

つーか知ってる奴しかいねぇな…、比企谷のフレンド枠、空いてますよ?

 

「…そうか」

 

「えぇ…、まぁそうですけど?」

 

あれ?今回は自分のフレンド数は言わないのね、いや、別にいいんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

 

「隊長…、あの」

 

比企谷がログアウトした直後、逸見エリカはまほに遠慮がちに声をかけた。

 

「どうした?エリカ」

 

「…気にしない方が良いと思いますが」

 

「…別に気にしてはいない、それより今回のランキング戦だ、紅茶華殿さんと冬将軍さんもそろそろログインするだろう」

 

その二人は本来比企谷に紹介する予定だった二人であり、まほのフレンド相手である。

 

「そうですね…、ところで隊長、その二人なんですけど…」

 

「エリカ、こういうオンラインゲームで相手の事を詮索するのはマナー違反ではなかったのか?」

 

「…えと、はい、そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「はぁ…」

 

さて、肝試し開始を前に早めに家を出た俺は、例の生徒会の犠牲者になったであろう人達を迎えに一人で移動していた。

 

え?小町?小町ならもう西住達と約束取り付けて待ち合わせしてるらしい、俺に付き合うと仕事に巻き込まれると予想しての行動だろう、抜け目なくてさすがである。

 

しかし…、迎えに来たのはいいが、ここって学園艦の外から来た人達用の入り口なんだけど、本当にここであってるのだろうか?

 

だって生徒会が急遽発案した肝試し用の出店なんだし、それに参加する為にわざわざ外部から人が来るとは思えない。

 

よっぽどのお祭り好きか、ノリの良い奴らか…。

 

「いやー、ここが大洗の学園艦っスか、大洗って料理は何が有名なんでしたっけ?」

 

…なんだか聞き覚えのあるアホな声が聞こえて来たぞ。

 

「たかちゃんの話ではあんこう料理が有名だそうですよ」

 

「あんこう料理か、さすがにそれは我が校でも見ないな…、だが、料理なら負けない!ペパロニ!カルパッチョ!今日はガンガン稼ぐぞ!!」

 

「「はい!ドゥーチェ」」

 

…なんだかなぁ、あまり声をかけたくないがやっぱりあの三人組なんだろうか。

 

我が大洗学園の二回戦の相手、ノリと勢いに定評のあるアンツィオ高校の三人組である、他校の生徒である彼女達がわざわざここに居るという事はまず間違いないだろう。

 

「アンチョビさん、何してんですか?」

 

「おぉ、比企谷、久しぶりだな!どうだ?ちゃんとご飯食べてるか?」

 

いや、食べてますけどね、会って早々一言目がそれとか親戚のおばちゃんか何かですか。

 

「まぁ一応は」

 

「なんだか微妙な返事ッスね、なんなら後で私の鉄板パスタ、ご馳走するッスよ」

 

「ところでたかちゃんは元気ですか?比企谷さん」

 

相変わらずの三人組である、さすがに他のアンツィオ校生徒は居ないようだが居なくて良かった、これ以上騒がしくなるのは勘弁して欲しい。

 

「いやなに、角谷の奴が今日祭りをやるから店を出さないかと言って来たからな、この機会を逃す手はないだろ」

 

「材料もたくさん用意して来たんでこれで品切れの心配もない、さすがドゥーチェ、頭良いッスね!!」

 

「大洗の住人全体を相手にするんだ、これくらい当然だろ」

 

「私は久しぶりにたかちゃんに会えるし、楽しみだなぁ」

 

カルパッチョはさっきからカエサルの話しかしていないんだけど、まともそうに見えてこの子もダメなのか?

 

「ふっふっふ、しかし角谷もわざわざ相手に塩を送るとはな、この売り上げで我が校の戦力はますます強化される事だろう!!」

 

「あー、えと、すごく言いづらいんですけど」

 

「来年後悔しても遅いからな!わっはは!!」

 

「わっはは!!」

 

聞いちゃいねぇ…、本人達が楽しそうならそれでいいんですけどね、でも今回の肝試しってあれだからね?

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「あっはは!!…おい、待て比企谷、少し聞きたい事があるんだが」

 

さて、アンツィオ校の三人を事前に生徒会から聞かされていた肝試しの会場にお連れした。

 

試合終了後の宴会もそうだったが屋台完成までの三人の機動力がとてつもない、普段から慣れているのか、あっという間に屋台を構えてしまった。

 

ちなみに会場だが、何の特色もない森への入り口だ、普段戦車訓練にもたまに使っている所である。

 

「はい、なんですか?」

 

「祭りはどうした?肝試し大会をやるんだろ?」

 

「えぇ…まぁ、肝試しはやりますけど」

 

「…何故人が誰も居ない?」

 

「さっき磯部達バレー部の連中が買いに来てたでしょ?」

 

ちなみにあいつら、学校終わってバレーの練習してそのまま来ているらしい、ちなみに今もバレーの練習中である、よく体力がもつよな…。

 

「いや、確かにたくさん買ってくれたんだが…、そうじゃないだろ!私達は肝試しの祭りがあるからわざわざ来たんだぞ?」

 

「いや、だから肝試しはやりますよ、…戦車道チームで」

 

小町も居るから23個くらいは売れる…はず、みんなご飯食べてなきゃいいけど。

 

「なっ…、だ、騙されたのか!我々は!!」

 

というか気付くの遅くないですか…、この人結構純粋なんだな。

 

「この持ってきた材料どうするんだ!このままじゃ大赤字じゃないか!!」

 

「いや、俺に聞かれても…」

 

だから俺の肩掴んでそんな泣きそうな顔しないで下さいよ、なんか俺が泣かせてるみたいでしょ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

【おまけ:八幡、フレンドを増やす】

 

「猫田、ちょっといいか?」

 

教室にて、俺はいつものように端っこでゲームをしているねこにゃーこと猫田にタイミングを見て話かけた。

 

「な、何かな?比企谷さん」

 

「いや、SAOのフレンド申請したいんだが、いいか?」

 

猫田はSAOの強プレイヤー、ねこにゃーである、更にはねこにゃーとフレンドになれば同じく強プレイヤーのももがーとぴよたんさんもセットでついてくるだろう。

 

つまり、強い奴と一緒にレベルの高いステージについていけば何もしなくても俺の経験値が上がる!小判鮫?いいえ、がくしゅうそうちです。

 

「も、もちろんOKだにゃー、ももがーとぴよたんもきっと大歓迎だと思うぞな」

 

よし、小判鮫作戦大成功、いや、だからがくしゅうそうちだって。

 

「じ、じゃあ比企谷さん、はいこれ」

 

「…なんだこれ?」

 

猫田から渡された一枚の紙切れにはなにやらスケジュール表みたいなのが書いてあった。

 

「これね、ログインのスケジュール表、この時間帯は必ずログインしてランキング戦に参加して欲しいから、頭に入れといて欲しいんだけど」

 

「すまん、俺が悪かったから、この話はやっぱ無かった事にしてくれ…」

 

正直ガチ勢の方々を甘く見てました…、エンジョイ勢に戻ります。


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