やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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さーて、ガルパンでも屈指の有名シーン、これはガルパン側を知らない人でも是非とも皆さん、アニメで見て欲しいです、小説じゃどうやっても伝わらない。
しかし最終章や劇場版の反応見てるとカチューシャ、歌の意味わかってないんじゃないかな…。
今さらですけど継続高校の隊長ってミカさんであってるよね?漫画のフェイズエリカじゃ別の人でしたけど。


じつは試合中、歌ったりカンテレひいたり、紅茶飲んだりしてるのは間違っていない。

さて、いよいよ始まりました。第63回戦車道全国大会、準決勝。

 

今回のフィールドは小さな集落こそあるがメインステージは雪原、天候は今のところ雪、今後吹雪になるやもしれない今日この頃、大洗学園VSプラウダ高校の試合をお送りします。

 

実況は最近、もういい加減誰かに譲りたいと思っている私、比企谷 八幡、解説には最早説明不要な聖グロリアーナ女学院隊長のダージリン選手と、これは珍しい、継続高校から隊長のミカ選手、知波単学園から西選手と豪華な方々を迎えています。

 

「はぁ、あったかいね、紅茶ってあんまり飲んだ事なかったけど美味しい」

 

「今回は良い茶葉が手に入ったので、そう言って貰えて良かったです」

 

アキがカップを両手で持ちながらコクコクと紅茶を飲んで笑うと、オレンジペコが嬉しそうに微笑んで答える。

 

オレンジペコは一年生、アキは知らんけど二人共小柄でなんか絵になるなぁ、見ていて心が洗われるような微笑ましさがある。

 

…それに比べて。

 

「おかわりを貰ってもいいかな?」

 

空になったカップをスッと差し出しておかわりを要求するミカさんの厚かましさ、見ていて心が汚れるようだ。

 

え?もう汚れてるって?知ってるけどそれが何か?

 

「そんな顔しなくてもいい、もちろん、こちらもただ貰うだけじゃないさ、お茶請けにちょうど良いものを持っていてね」

 

俺のそんな汚れた心の目線で何かを察したのか、ミカさんはごそごそとなにやら取り出した。

 

「サルミアッキというフィンランドの飴だよ」

 

「しまっといて下さい」

 

まったく…この人といい、姉住さんといい、なんてものを出してくるんだ。いや、姉住さんの場合元凶はダージリンさんになるんだが。

 

サルミアッキ飴を知らない人は調べてね、食べた事ある人はどんな味だったか感想を教えてね。

 

「西さん、あなたも紅茶かマックスコーヒー、どちらかいかがかしら?」

 

もうダージリンさんも諦めたのか、西にも紅茶を薦める。

 

「いえ!そのような高価な品、頂く訳にはいきません!!」

 

高価…?いや、オレンジペコの話じゃ結構良い茶葉を使ってるって話だしな…、マックスコーヒーが高価なのは当然だ、そもそもあれは貴族の飲み物だしね。

 

「大丈夫です、自分は暖かいお茶を持ってきましたから」

 

そう言いながら西は持参した水筒で暖かいお茶を飲む、うーん…、この謙虚な礼儀正しさを他の戦車道女子にも見習ってもらいたいものだ。

 

スラッと伸びた黒髪のロングとキリッとした雰囲気に、五十鈴とはまた違った日本女性らしさを感じる。大和撫子とかいうやつか?そのうち七変化とかしそう。

 

日本の麗しい女性を意味する言葉と言えば、立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花、だな。

 

え?冷泉も黒髪ロングだって?だってあいつ立つどころか布団から出てこないし、座れば寝るし、歩く姿はふらふらしてて危なっかしい。

 

「15両対7両、おまけにこの寒さ…大洗には不利な戦況ですね」

 

まぁ不利なのは毎度の事ですし、むしろ大洗が有利だった試合なんてあったかな?とまでなる悲しさ。

 

「戦いは一方だけが不利とは限らないわ」

 

「チャーチルですね」

 

たまにダージリンさんの格言は事前に用意してたんじゃないかって思える。

 

「プラウダ側は何が不利なのですか?ダージリン殿?」

 

「そ、そうね…いろいろ、かしら」

 

だが残念だが今回は西がそういう所にバシバシつっこんでくる。止めてあげて、たぶんせっかく考えて来てくれてるんだから。

 

「継続高校ならこういう時、どんな戦い方をするんですか?」

 

ふと気になったのは継続高校、ミカさんの隊長としての手腕だ。西住の話じゃ、この人は相当優秀らしいし、実際二回戦にて黒森峰を苦しめていた。

 

「そうだね、流れに任せながら…たまに抗ってみようかな」

 

「…そっすか」

 

うん、きっと聞いた俺が馬鹿だから理解できないだけだろう、さっぱりわからん。

 

「…なるほど!!」

 

え?西わかったの?今ので?本当に俺がただ馬鹿だっただけ?

 

「それはつまり…突撃ですね!!」

 

…はい?

 

「…ちなみに西、お前ならどうする?」

 

なんか不安になってきたので西にも聞いてみる、隊長になってまだ日は浅いと聞いたが、だからこそどう考えるのか気になる。

 

「…そうですね」

 

西は目をつむって考え込んだ、なんかすごい真剣に考えてくれてる。

 

「ここはやはり、全車両による迅速な一斉突撃しかありません」

 

え?それしかないの?もう大洗は負け確定だから突っ込めって言いたいのかしらこの人。

 

なんか…あの天啓の時といい、こいつからはやけに突撃ってキーワードが出てくるな。

 

「知波単学園は全車両による一斉突撃が伝統なのよ」

 

えー、なにそれ?てっきり一回戦のあれは相手が黒森峰だから一か八かの賭けで姉住さんのフラッグ車に突撃かましただけだと思ってたんだけど…違うの?。

 

「ダージリンさん、知波単の主力戦車って…」

 

「九七式中戦車チハ、それの新旧、後は…九伍式軽戦車だったかしら、アッサムが前に言っていたわ」

 

さすがはデータ主義らしいアッサムさん、そのうちデータテニスとかしそうである。

 

しかしチハって…戦車性能的にうちの八九式に毛が生えた程度なんだけど、それで何故突撃をかまそうとする?

 

「他に戦車は持ってないんですか?」

 

「あるかもしれないけど…試合には出てこないわね、何故かあそこはチハにこだわりがあるみたいなの」

 

ですよねー、あったら一回戦の時にそっち使ってますもんね。

 

サンダースもM4シャーマンにやけにこだわってたし、各校ロールプレイングでもやりたいのかな?まぁ拾い物の戦車の寄せ集めであるうちにそんな余裕はないが。

 

いや、もちろん戦車を統一するのは悪い事じゃない、国によって運営方法は違うし操縦のやり方も整備の仕方も違う。そこら辺、バラバラなうちの戦車を整備してみせる自動車部の皆さんのチートっぷりがわかるというものだ。

 

そもそも各戦車の性能がバラバラだと単純な進軍にも影響は出てくる。モニターの映像を見るとカモチームのルノーが坂道を進めないでいた。

 

これはルノーの操縦手のゴモヨが悪いという訳ではない。雪の積もった坂道に加え、重戦車であるルノーの重さが原因だろう、特にケツが重いのだ…変な意味じゃないよ?

 

開始早々大丈夫かよ…と思ったが、冷泉がⅣ号から降りるとルノーに搭乗して坂道を登った。

 

たぶんカモチームのそど子さんを助ける為だろう、もー、このツンデレさんめ。

 

しかし戦車の操縦方法が違う話をしたが、どの戦車も軽々乗りこなす冷泉のチートっぷりもわかるな…、どこのニュータイプなんだろうか?

 

さて、そんな進軍に四苦八苦してるうちの戦車道メンバーに対してプラウダはさすが、こういう雪原は慣れているのか綺麗な隊列を組んで移動中、その中でもKV-2の存在感がヤバいな。

 

『いい!あいつらにやられた車両はシベリア送り25ルーブルなんだからね!!』

 

『日の当たらない教室で25日間の補習ですね』

 

モニター越しにカチューシャさんとノンナさんの会話が聞こえてくる。

 

あれ?なんか普通に仲良さそうというか…試合前とあんまり変わってない?おかしいな。

 

そもそも俺がプラウダに行った時に勧告されたシベリア送りとは内容が違う、なのにそれをノンナさんがしっかり理解してる辺り、ツーカーの仲は健在か。

 

まさかカチューシャさん…、ノンナさんの通訳をそのまま信じたのか?もしやあの時俺の言った言葉はそのまま伝わっちゃったんじゃないだろうか。

 

「…?」

 

ふと…何故だろう?モニター越しなのにノンナさんとバッチリ目があってしまった。目と目が合う瞬間~、なんか恐怖めいたものに気付いてしまった。

 

「どうかして?様子が変よ」

 

「えと…いや、別に」

 

偶然だよね…、うん。

 

『どうしたの?ノンナ』

 

『いえ、なんでもありません』

 

本当に偶然だよね!?

 

『そ、そう?…まぁいいわ!いくわよ!力の違いを見せつけるのよ!!』

 

『『『『『ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』』』』』

 

カチューシャさんの号令と共にプラウダ側のメンバーが一斉に歌い始めた、え?急に歌うよ~なの?

 

「これ…」

 

「ロシア民謡のカチューシャだね、いいリズムにカンテレを弾きたくなってくるよ」

 

カチューシャが!カチューシャ歌いながらやって来た!!

 

いや、俺も思わずテンション上がっちゃったけど、なぜ急に歌い始めたんだ?

 

「プラウダはあぁやって戦闘前に士気を上げるのよ」

 

…俺が歌う側だったら、合唱コンクールでのトラウマがよみがえって来て士気もテンションも駄々下がりしそうではあるが。

 

「あっ、それちょっとわかるかも、私達もミカのカンテレ聞いてるとなんかやる気出てくるし」

 

「…なぁ、それって試合中だよな?」

 

「そうだよ?」

 

そうだよって…、試合中だよ?ミカさん隊長でしょ?カンテレ弾いてる余裕あるの?

 

まぁそれであの強さだし、ミカさんはバフをばらまく吟遊詩人ポジションなんだろう、…RPGじゃないんだから。

 

「確かに少し変わってるわね」

 

「…聖グロリアーナは試合中に紅茶飲むんですよね?」

 

「もちろん、淑女として当然ですわ」

 

一切の迷いもなく即答で返された…。

 

「いろいろな学校がありますから…」

 

オレンジペコが苦笑いを浮かべながらカップにマックスコーヒーをいれて渡してくる。

 

「頑張って下さい、マックスさん」

 

何を?この人達へのツッコミ?わりとこの子も底が見えなくて怖いんですけど?

 

「なるほど…士気上昇の意味もあるんですね」

 

いや、性格的にカチューシャさんの場合、自分がやりたいからやっている可能性もあり得なくないが。

 

「うちでも何か歌を…我が知波単学園に相応しい歌…」

 

また真剣に悩み始める西、真面目なのは結構だが今までのこいつの傾向からいって録な結論になりそうにない。

 

「雪…突撃…、【雪の進軍】等はどうでしょう!!」

 

「やめとけ」

 

確かに特攻野郎Aチームである知波単学園に相応しいかもしれないけど、ちゃんと歌の意味わかって言ってる?

 

試合中に歌いだしたり、カンテレひいたり、紅茶飲んだり、特攻?したり。

 

本当にいろんな高校があるもんだ、うちは特にそういうのがなくて助かった。

 

…でも、無理やりにでも士気を上げる方法があるってのは強みでもあるよな。

 

それは逆を言えば、もし大洗学園の戦車道メンバーの士気が試合中に下がるような事があったらマズイという事でもある。

 

…そんな時、西住はきちんと士気を取り戻せるのだろうか?


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