やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

129 / 205
其ソシャゲのイベントでおりょうさんが配布されたと聞いて、クラスはもちろんライダー!!え?おりょうさん違い?
そして小町オルタは諦めた、出ないもんな何があっても出ないのである。

二周年からずいぶん遅い更新になりましたが作者コメントのコメントにて皆さんへのお礼とさせて頂きます、これからも応援してくれれば嬉しいです。


そして決勝戦に向けてのカードが出揃う。

「とりあえず義援金でヘッツァー改造キット買ったから、これを38(t)に取り付けよう!!」

 

はい、そんな訳で義援金のおかげで多少ではあるが、経済的に余裕が出来た我等が大洗戦車道チーム。

 

とはいえさすがに新しい戦車が買える程の余裕がある訳ではなく、この義援金は今ある戦車の改造や強化に当てる事になった。

 

最終決戦を前にして主人公が機体を乗り換えるのは昨今のロボットアニメのお約束ではあるが、其機動戦士だって其魔神Zだって昔は主人公機一本で戦い抜いて来たのだ。

 

「これって結構無理矢理よね…」

 

まぁ改造キットですもんね。しかしこれを取り付けてヘッツァー仕様となれば、38(t)と比べても主砲の威力は格段に上がる。

 

Ⅲ突と同じく固定砲塔ではあるが、黒森峰の戦車に対抗するのならこれくらいの攻撃力は必要だ。

 

「なんだ比企谷、戦車の改造に文句を言わないのだな?前回はあれだけ騒いでいた癖に」

 

「こういう真っ当な改造ならむしろ大歓迎ですよ」

 

イギリスがアメリカのシャーマン戦車を17ポンド砲を搭載したファイアフライに改造したように、戦車の歴史とは試行錯誤の積み重ねである。

 

フィンランドなんて相手からパクっ…もとい、鹵獲した戦車を自分達で改造しちゃう逞しさなのだ。わかりやすい例えでいうなら継続高校の連中が乗ってたBT-42がそれだ。

 

「そもそもあれは単なる魔改造じゃないですか…」

 

「戦車道を始めたばかりでまだ右も左もわからなかったんだ!仕方ないだろ!!」

 

それでなんで金ぴかに塗っちゃうのかなぁ…、英雄王なの?

 

「でもいいの?せっかくの義援金を私達の強化に使っちゃっても」

 

小山さんが申し訳なさそうに言うが、準決勝のあの活躍だ。これに異議を唱える者はいないだろう。

 

大洗全体の戦力の底上げと考えればこの選択がベストだ。

 

「いいんですよ、その分しっかりと働いてさえ貰えれば」

 

「あちゃ、やぶ蛇だったかね」

 

もういい加減惚けるのは止めてもらいたいものだ。お金をかけた分は存分に働いて貰わないとね。

 

「あとは…Ⅳ号だな」

 

「うん、でも良いのかな…?この前の長砲身で強化して貰ったばかりだし」

 

西住からすれば他のチームを差し置いて自分の乗る戦車ばかりが優遇されるのは後ろめたいだろうが…状況が状況だ。今はそんな悠長な事を言ってられない。

 

やはり西住達の乗るⅣ号戦車、あんこうチームこそ大洗の最大戦力なのだ。ここで何もしない選択はない。

 

…其機動戦士も其魔神Zも主人公機一本で戦い抜いた。だが、決していつまでも初期装備でやってきた訳ではない。

 

魔神Zさんには後に翼が搭載され、機動戦士の方にだって、主人公の親父さんが機体の性能が数段パワーアップする回路部品を渡した。…こんなものと地面に叩きつけてはいけない。

 

「だから言ってるだろ、その分しっかり働けば良いんだよ」

 

あ、だから俺にお金をかける必要は一切ありませんからね。高い賃金を貰う者はそれなりに責任や重圧も押しかかるものなのだ。

 

「とはいえやれる事は限られるけどな…」

 

「うん…」

 

必要とはいえ、ヘッツァー改造キットを買った事で予算も限られている。

 

「外部装甲にシュルツェンを取り付けて…主砲を強化か」

 

単純な防御力と攻撃力の強化とはいえ、なにもしないよりはマシだ。それにこれで…。

 

「H型仕様だね、優花里さんが聞いたら喜びそう」

 

あぁ、その光景が目に浮かぶわ。D型から始まったⅣ号戦車もF2型、そしてシュルツェンを装備したH型へ…この派生の多さこそⅣ号戦車が長く戦場で活躍していた証だろう。

 

「ポルシェティーガーは自動車部の皆さんに乗って貰うとして」

 

「むしろ他に選択肢はないけどな」

 

あの戦車をまともに運用できるのはあの人達くらいだろうし。

 

車長はナカジマさんで通信手を兼用、スズキさんが装填手、ホシノさんが砲手、ここまでは…まぁいいとして。

 

「コーナリングは任せて」

 

「ドリフトドリフトォッ!!」

 

おいやめろツチヤ。ただでさえポルシェティーガーは足回りが弱点なんだから、ドリフトなんてことさら出来る訳ないだろ。

 

そんな訳で不安な事この上ないが、操縦手はドリフト大好きなドリフターズツチヤである…大丈夫か?

 

「戦車じゃ無理でしょ」

 

「してみたいんだけどなぁ…」

 

このドリフト狂いさん…、やっぱりツチヤの乗る物には乗りたくない、もう車や戦車といわず乗り物全般で。

 

「ミューが低い場所でモーメントを利用すれば出来なくもないけど…雨が降ればなお良いねー」

 

「アクセルバックはどうかな?」

 

「ラリーのローカルテクニックだねぇ」

 

この人達ガチだよ…、本当にやってしまえそうなのが恐ろしい。

 

初の公式戦が決勝戦というとんでもブラック戦車道ではあるが、この人達は日頃から戦車の整備をやっているし、試運転による走行テストや試し撃ちもこなしている。

 

まさに即戦力。ちなみに自動車部とポルシェティーガーのチーム名だが『レオポンさんチーム』に決定した。…今さらもうなぜ?とかは突っ込まない。

 

「八幡君、少しいいかな?この後なんだけど…」

 

「…ん、あぁ、まぁ、そうだな」

 

ヘッツァー、Ⅳ号H型、ポルシェティーガー。

 

これに今あるチームを足して大洗が出せる全てのカードが出揃った。あとはこれをどう作戦に組み込むかである。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…ほれ」

 

生徒会室、冷蔵庫からあらかじめキンキンに冷やしといたマッ缶を二つ取り出し、その一つを西住に渡す。

 

「ありがとう」

 

西住はそれを受けとるとプルタブを開けてこくこくと飲む。うむ、やはり頭を使う時、脳は自然と糖分を欲しがるものだ。その為のマッ缶であるのだし、これは生徒会の経費で落としてもらわねばならない。

 

「…えへへ」

 

「…なんだよ?」

 

特に笑われるような事はないと思うが、西住の奴はなんか嬉しそうだ。

 

「あ、ごめんね。なんだか聖グロリアーナとの練習試合前を思い出しちゃって」

 

あぁ、そういえばあの時もこうやって生徒会室で残って残業させられたっけ…、やっぱりブラック企業なんだよなぁ。

 

「あの時は八幡君がやる気で驚いちゃった」

 

「そりゃ負けたらあんこう音頭だったからな…」

 

というかどんだけやる気ないと思われてたんだよ…、いや、実際なかったんだけどね。

 

とはいえ、今度は負けたら廃校と来たもんだ。どんだけ負けられない戦いがここにはある!が続いてるんだよ。

 

「はぁ…しかし毎度の事だがまた居残り残業か」

 

「そうだね、頑張って作戦立ててみよう」

 

ため息しか出てこない俺とは反対に、西住はなんか前向きだよな。いかんぞ、そうやって残業が当たり前になってくると、身体と心が慣れちゃって疑問を感じなくなってくるからな。

 

「毎回こうやって残業させられてるんだし、別に愚痴くらい言ってもいいと思うぞ?」

 

特に生徒会の人達にね。いや、それで作戦を河嶋さんに一任してしまうと大変な事になりそうだが。

 

「…私はこの時間、嫌いじゃないよ」

 

「え?あ…いや、…まぁ、それなら良いけど…」

 

そっかー、西住って残業大好きっ子さんだったんだね!将来は立派な社蓄さんだ!!

 

「こっちも戦力は増えたが、それでもまだ黒森峰に比べたら全然届いてないのが現状だからな…」

 

「うん…、でもーー」

 

元々戦力の差が酷すぎる糞マッチングだ。この差を埋めるにはどうすればいいか?

 

「そこは戦術と腕…かな」

 

…やはり彼女ならーー西住ならばそう言うだろう。

 

足りない戦力差は作戦で埋めるしかない。圧倒的強者を前にしてこちらが出来る事はそれしかないのだ。

 

「はぁ…、アリサに通信傍受機貸してくれって頼んでみたけど、ケイさんに没収されたらしいんだよなぁ」

 

ケイさんに頼んでも絶対貸してくれないだろうし…。個人的に言えばこの戦力差がある時点でフェアじゃないと思うんだけどなー。

 

「…そんな事してたの、八幡君」

 

あ、引かれた…。いや、だって頼りたくもなるじゃん?

 

「んんっ…、ドイツ戦車対策は…とりあえずここでは置いといて」

 

咳払いしつつ話を戻す。黒森峰の使う屈強なドイツ戦車については西住が一番よく知っているだろうから、それを今話し合う必要はない。

 

ここでの作戦は黒森峰、延いては西住流を相手にどう戦うかが重要になってくる。

 

「一つ、こっちが有利な点がある。その前に確認するが…大丈夫か?」

 

「…私は大丈夫だよ」

 

その言葉と、西住の表情を見て少し安心した。あの日、赤星と何を話したかはわからないが、今の彼女にならこの話をしても問題はないだろう。

 

「…こっちの有利な点は、西住が西住流で、黒森峰の副隊長だった事だ」

 

「…うん」

 

我ながらゲスな考えである。だが、この優位性を生かさない話はない。まさにゲスの極めた乙女、あれ?なら俺も戦車乗れるんじゃね?

 

つまり黒森峰の副隊長だった西住であれば、黒森峰のとってくる戦術も、決勝戦に出てくる戦車、人員さえも大方の目星をつけれるのだ。

 

隊長が西住流である姉住さんの指揮なら尚更、西住だって姉住さんと共に西住流を学んで来たのだから。

 

それに対して大洗は、この大会がほぼ初出場という事で情報は少ない。事情報戦においていえば、こちらが圧倒的に有利に立ち回れる。

 

これなら危険をおかしてまで偵察に出る必要もないだろう。

 

「それに黒森峰だって負けた試合はある。つーか去年プラウダに負けたしな」

 

「でも…その試合は」

 

「確かに西住も原因の一つだが、本当にそれだけか?」

 

車長の西住が戦列を離れ、救助に向かった事により黒森峰はフラッグ車を撃たれた…それは納得できる。

 

だが…考えてみれば車長が居なくなっても戦車が動かなくなるという訳ではない。操縦手さえ居れば動かす事はできる。

 

「西住なら…いや、西住が一番わかってると思うが、黒森峰の…西住流の戦い方は」

 

「統率された陣形と圧倒的な火力による短期決戦…」

 

陣形が統率されているならそれを崩し、短期決戦が得意ならなんとしてでも長期戦に持ち込む。

 

要するに相手の嫌な所を徹底的につけばいい。

 

去年の決勝戦がまさにそれだ。突然車長の西住を失った事でマニュアルが崩れ、それが敗北に繋がったのだ。

 

訓練を積んだエリート様だからこそ、それがまさに弱点となる。

 

そう考えると、黒森峰が継続高校に苦戦した理由も自然とわかるというものだ。

 

継続高校の得意な戦術は神出鬼没なゲリラ戦、継続高校の強さももちろんあるだろうが、相性的にも黒森峰が不得手な相手だったと考えられる。

 

「とりあえず…決勝戦にどんなメンバーで来るのか知りたいな、思い当たる奴はいるか?」

 

統率された陣形を崩すなら崩しやすい所から崩していくのが基本だ。なるべく挑発に乗りやすい奴がいればなお良し。

 

「えと…私の予想だけど」

 

大洗に転校してすぐにクラス全員の顔と名前、誕生日まで把握していた西住だ、かつて共に戦った黒森峰のメンバーの事を知らないはずがない。

 

まぁ西住からすれば、単純に決勝戦に出てくるメンバーを予想しているだけで、俺のような邪な考えはないだろうが。

 

…そうそう、こういうのは俺が考えれば良いんだよ。

 

「赤星さん…って子は出てくると思う」

 

「よし、ならその赤星の好きな食べ物とか趣味を教えてくれ」

 

「うん………、うん?」

 

「…うん、すまん、今のなしな」

 

ノーカンね、ちょっと俺もどうかしてたわ。よし、一旦落ち着いて赤星の好きな食べ物と趣味を聞いておくか。やっぱりどうかしてるわ。

 

「…えぇっと、副隊長の逸見さんは当然として…あっ!逸見さんはたぶんハンバーグが好きなんじゃないかな?学食でよく食べてたから」

 

「あっ、そ」

 

世界一どうでも良い情報である、つーかハンバーグ好きなのね…あいつ。

 

「…えと、八幡君?」

 

「西住、今はとにかく情報が欲しい、次だ、次」

 

「う、うん…」

 

西住から決勝戦に出てくるだろう黒森峰のおおよそのメンバーを聞き出す。同時に挑発に乗りやすそうな人を頭の中でピックアップした。

 

ヤークトパンターの車長である直下さん(仮)を筆頭にほどほど情報が集まった。あとはこれをあの人達にこっそり教えておくか。

 

え?あの人達って誰だって?もちろん、今回の決勝戦で統率された陣形を崩す撹乱役に任命されるであろうあの人達だ。

 

こういう相手をおちょくるのなら得意そうだしね、早速存分に働いて貰おう。

 

「しかし…改めて見ても決勝戦の会場はさすがに広いな」

 

ちなみに会場は富士演習場、戦車好きの聖地であり、俺も一度は行ってみたかった所だ。

 

もちろん会場はそこだけでなく、市街戦も出来るように用意されているので、予想以上に広い。

 

「…戦力差が大きいから、最初は相手の数を減らさないと」

 

決勝戦の会場の地図を机に広げ、西住はペンでそれに書き込む。

 

「最初はここに陣取って…」

 

スタートの位置近くに高地がある、確かにそこを陣取れば上から相手を狙える。

 

ここで歴女グループでも居ればお決まりの「それだ!!」から戦について語る事は間違いないだろう。戦車戦はもちろんだが、戦は基本的に地形の上に立つ方が有利だ。

 

それは良い、西住の考えは間違ってないし、俺も賛成だ。

 

ただ…一つだけ気になった事がある。

 

「ところで西住…その絵はなんだ?」

 

「えと…その、戦車…かな?」

 

「なんで描いてる本人が疑問系なんだよ…」

 

西住は絵が下手くそだった…、どのくらいと聞かれれば何描いてるかさっぱりわからんレベルである。

 

「…うぅ、やっぱり美術は苦手だよ」

 

この美術センスには問題がある!だった、西住画伯の誕生である。

 

「あ!でもボコの絵なら描けるよ、絵描き歌もあってね!!」

 

「それは何のアピールポイントのつもりなんだよ…」

 

美術の授業にボコ一本で挑もうというの?この子は。

 

まったく…こうやって話が脱線していくから、残業の時間も増えるんじゃないの?

 

ただまぁ、世の中には付き合い残業なんて言葉もありますし、西住が嫌いじゃないというのなら…まぁ、付き合うとするか。

 

これで俺も将来は立派な社畜さんだね!やった!全然嬉しくねぇ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

【おまけ】

 

『比企谷 八幡、作戦を練る』

 

「戦車道って人に向けて撃ったら反則なんだよな?」

 

戦車道のルールブックを読んでいた俺は、ふとある作戦を思い付いて西住に確認をとった。

 

「うん、危険だし、もちろんだよ」

 

いや、危険とかそんなレベルじゃない気がするが…それはこの際置いといて…。

 

「なら一つ作戦を思い付いた」

 

「えと…どんな作戦かな?」

 

「あえて戦車から降りて相手に向かう。そうすれば相手は撃てないだろ?あとは肉薄して吸着地雷を取り付けて…」

 

「八幡君」

 

「…なんでもありません」

 

駄目らしい。うん…駄目だよね、危ないもんね。

 

いや、冗談で言っただけだからそんなジトっとこっち見なくても。

 

「…ん?」

 

続けて戦車道のルールブックを見ていて少し気になるルールがあった。

 

【白旗の上がった戦車は攻撃してはいけない】

 

…つまり、やられた戦車は回収車が回収するまで攻撃不能の障害物扱いって訳か。そういえば最近やっていたアニメでもネトゲで死体が破壊不能オブジェクトに変わるってやってたな。

 

…これは使えるかもしれない。

 

「…もう一個思い付いたんだが」

 

「八幡君」

 

「おい、まだ何も言ってねぇだろ…」

 

だからその顔やめて、今って戦車に乗ってないみぽりんモードのはずだよね?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。