やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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ガルパンの新しいソシャゲがついにリリースしましたねー。
…なぜリセマラのキャラがあの三人?とかゲーム性とかいろいろ思う所はありますがみぽりんの必殺技で全て許した、可愛い。
とりあえずしばらくはぼちぼちと続けようかな…、対戦で見かけたら遠慮なくぶっ倒して下さい(笑)

今回の話なんですがアンツィオへ偵察にいく話の秋山殿ルートを読んでから見る事を深く推奨します。


思い出の場所で、秋山 優花里はキャンプをする。

俺がこの大洗学園の学園艦に住んでから結構長い。

 

基本的に学園艦は中高生のための船なので、その住民の大半は中高生だ。しかし、もちろん大人が誰も居ないなんて事はない。

 

学園艦内にある飲食店等が代表的だが、さすがに子供だけで海上生活をしている訳ではないのだ。

 

そして中には俺みたいに学園艦で働く両親の仕事の関係上、小さな頃から住んでいる者も少なからず居たりする。

 

だからだろうか…つい柄にもなく、たまたま自転車を漕いでいた時に通りかかった空き地を見て、立ち止まってしまったのは。

 

決勝戦に負ければ大洗学園は廃校。そうなれば、この学園艦を維持する必要もないので解体されるだろう。

 

自分が長く住んでいた所が無くなってしまう…これはわりとダメージが大きいものである。

 

例えばこの空き地、昔はよく一人で野球をやったものだ。

 

一人でボールを打ち上げて、一人でそれを取る。それを延々と繰り返したおかげで、フライを取る技術ならそこら辺の高校球児にだって負けない自信はある。

 

あとは一人サッカー、一人テニス、一人かくれんぼ、いやぁ懐かしいね、懐かしすぎて死にたくなってくる。最後のは特にやっちゃ駄目だぞ。

 

それと…あぁ、一人で戦車ごっことか…まぁ、よくやってたっけな。

 

…それだけは後半、二人戦車ごっこだったっけ。

 

そんな思い出深い空き地を前にして立ち止まったのは、実はただ感傷に浸っていただけではない。

 

「…なんだあれ?」

 

テントである。空き地のど真ん中に堂々と設置されたそれは、俺の注目を引いて立ち止まらせるには充分だった。

 

それだけではなく、テントの前には飯ごうセットが置かれていて誰かが住んでるようだ。

 

おいおい…まさかホームレスでも住み着いたのか?基本的に大洗に住む生徒には学生寮が与えられるはずなんだが…。

 

いや、もしかしたらまた継続高校の連中の可能性もある。うん、どちらにせよ風紀委員案件だな。

 

と、考えていると、もぞもぞとテントの入り口から誰か出てきた。たぶんカンテレでも引きに出てきたのだろう。

 

「さて、そろそろご飯の時間ですねー」

 

秋山だった…知り合いかよ。いや…うん、知り合いじゃないな、空き地のど真ん中にテントを立ててサバイバルやってる奇特な知り合いなんて俺には居ないと思いたい。

 

「あれ?比企谷殿!偶然ですね!!」

 

…声かけられちゃったよ。そんな知り合いが俺に居たとは…いや、むしろ秋山だった事に納得もしたが。

 

「…何やってんだよ、こんな場所で」

 

「見ての通り野営の準備ですけど?」

 

いや、見てわからんから聞いてる訳なんだが…なぜここで野営…てかキャンプを?ゆるゆるキャンプのアニメでも見ちゃった?

 

「ふふふっ!比企谷殿、このテントを見て下さい!」

 

「…なんだこれ?」

 

「もちろんUSNCコンバットテントですよ!!」

 

いや、そんな…え?知らないの?みたいな反応されても…。

 

「これは気温マイナス18度からプラス49度までの幅広い環境に耐えられる優れものですよ!注文していた物がようやく届いて早速設営してみようかと!!」

 

あぁ、そういう事。頼んでいたものが届いてテンション上がっちゃた訳ね…今の秋山のテンションの高さから見ても。

 

しかし、それでキャンプとか…やっぱりゆるゆるキャンプなの?

 

「もし無人島に何か一つ持っていくなら私は断然このテントですね!比企谷殿だったら何を持って行きます?」

 

「いや、そもそも無人島なんか行かねぇし…」

 

よく聞く馬鹿らしい不毛な質問だ。だいたい無人島に流れ着く状況って、そんな何か物を選べる余裕なんてないだろ。

 

さすがに普段ぼっちを主張していても、そこまでぼっちになるのは勘弁してもらいたい。ぼっちは島流しの刑にでもあうのだろうか?

 

「そろそろ晩御飯の準備をしようかと思っていたので、比企谷殿も良かったらご一緒にどうですか?」

 

「いや、俺はいい」

 

なんでこんな空き地のど真ん中でキャンプをせねばならんのか、そもそもキャンプなんてリア充のテリトリーだろ。

 

なぜリア充共は家があるのにわざわざ外で寝ようとするのか?そしてなぜ外で肉を焼こうとするのか?外で寝て肉焼いて食べてうぇーいとか原始人かよ。

 

逆説的に家に居て、キャンプをしない俺のような者は知的な文明人なのだ…決して外に出たくない訳ではない。

 

「そうですか…残念です、せっかく各国のレーションも用意していたんですが」

 

「なん…だと?」

 

各国の軍隊御用達のレーションとは、それは…まぁ、興味が無い事は無いが。

 

「それにお肉も、父が決勝戦の前祝いにって奮発した物を用意してくれて…」

 

「よし焼くぞ、炭は足りてるか?」

 

だがまぁ…あのゆるゆるしたキャンプによれば、最近ではソロキャンプというのも流行っているらしいし…。

 

このテントも秋山曰く、とんでもない優れもので文明的なものらしいし、レーションはもちろん人が知恵をもって生み出したものだ。

 

ならば逆説的な逆説的に…キャンプってわりと知的な文明人の嗜みなのかもしれない。決してレーションや高そうな肉に釣られた訳ではないのでそこは覚えておこう。

 

「あ、はい!炭はそれで充分です、比企谷殿は火を見ていて下さい」

 

俺が戻ると秋山は顔をパッと明るくさせた。…ごめんね、なんか罪悪感がひどいんだけど。

 

「…なんか手伝う事とかないのか?」

 

このままでは罪悪感に押し潰されそうなので何かやってみようかと思ったが、そもそもキャンプって何すればいいんだ?

 

「簡単な下処理は家の方でしてきたんで大丈夫です」

 

そう言うと秋山は鼻歌混じりで繋がったソーセージまで取り出す。え?どっから取り出したのそれ?

 

そこから秋山の準備を見ていたが、手際が良いというか…なんかイキイキしていた、ただし調理にはサバイバルナイフである。ゆるゆるキャンプじゃなくてハードキャンプじゃないか。

 

…思えばこのテントだって秋山が一人で設営したんだよな、そしてこのサバイバル適応力の高さときたもんだ。

 

「…そういえば、さっきの無人島に何か一つ持っていくならって話したよな」

 

「はい?あぁ、その話ですか、比企谷殿なら何にします?」

 

「いや…物ってか、そうなったら秋山を連れていきたい」

 

このサバイバル知識と適応力の高さなら無人島でも生きていけそうだし、たぶん俺一人だと何を持っていっても3日と持たない気がする。

 

「…え?あ、あのその…えと、ひ、卑怯ですよ!比企谷殿!!」

 

え?卑怯なの?まぁ物って質問してるのに人って答えるのはそりゃ卑怯か。

 

「…へ、変な事言わないで下さいよ」

 

「いや、元はと言えばお前が聞いてきたんだが…」

 

…なんだよこの空気。

 

「そういや…レーションがあるって言ってたな」

 

「あ、はい、そこのリュックに入れてあるので、どうぞ好きな物を食べて下さい」

 

いや、場の空気を変えたかったんだけど…女子のリュックを漁るとか、それこそ抵抗があるんだが…。

 

まぁ本人が良いって言ってるんだし、ちょっと中を見てみるか…。

 

【アメリカのレーション】

 

「………」

 

今のは見なかった事にして…、さて、次は。

 

【アメリカのレーション】

 

「…おい、秋山」

 

見てみるとリュックの中の大半のレーションはこれである。

 

「え、えーと…つい安くて大量に買ってしまって」

 

そりゃ安いよ!なんでこれ大量に買っちゃう訳?

 

このアメリカが誇るレーション…いや、誇っちゃいけないんだけど…。このアメリカのレーションだが、名称に数々のバクロニムがあり…

 

『敵からも拒否された食べ物』

 

『とても食べられた物じゃない食べ物』

 

『食べ物に似た何か』

 

『ミステリー』

 

と、ようは味がね…うん、そんなレーションである。

 

「という事で…その、比企谷殿にもいくつか食べて貰えれば嬉しいのですが…」

 

は…嵌められた!?肉に釣られたと思ったらこんな罠があったなんて、秋山 優花里、意外とやりおる…。

 

しかもこれ、食べるの自己責任なんだよなぁ…。

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「比企谷殿、どうぞ」

 

「…あとで覚えてろよ」

 

秋山から温めてもらったマックスコーヒーを受けとる。晩御飯も済み、空を見上げれば星空が広がっていた。

 

ちなみに地面を見ると処理を終えたレーション…戦車道を始めてから一番過酷な戦いだったかもしれない。

 

とはいえ肉とかソーセージの方は普通に美味しかったので文句はいえないが。

 

それでも残念ながら完食とはいかず、まだまだ残っているのが現実だ。よし、後でお腹を空かしているであろう継続高校の連中にでも送りつけてあげよう。

 

「星が綺麗ですねー」

 

秋山もマックスコーヒーを手に俺の隣に座ると、二人でしばらく星を眺めながらマックスコーヒーを飲みかわす。

 

…なるほど、こうやって外で飲むマッ缶というのもなかなか良いものだ。まぁマッ缶はいつ飲んでも良いものなんだけど。

 

「いよいよ決勝戦ですね、しかも相手はあの黒森峰です」

 

「前から気になってたんだが…なんで秋山は戦車道の無い大洗に入ったんだ?」

 

昔から戦車道が大好きだった秋山だ、それこそ黒森峰とかに憧れてそっちに入学しそうなもんだが。

 

「それは…えと、父の仕事の関係もありましたし、それに…個人的な理由も少しだけありまして」

 

あー…まぁ、親父さんがここで理髪店をやってる以上、そう簡単にはよその学園艦には移れないか…個人的な理由については知らないけど。  

 

「でも私は大洗に入学して良かったです。こうして皆さんと戦車道が出来て…しかも西住殿と一緒です!!」

 

「お、おう…」

 

「西住殿と一緒なんですよ!!」

 

いや、何で二回言うの?どんだけ西住の事好きなんだよ…。

 

「…そういやお前、このままここで寝るのか?」

 

ふとテントの中に寝袋を見かけた事を思い出す、どんだけサバイバル能力か高いのか?

 

「そうしたいんですけど、さすがに両親が心配するので家には帰ります」

 

まぁ夜の見廻りをしている風紀委員の目もあるからな、さすがにここで泊まらないか。

 

え?俺?俺はもちろん帰るつもりだ、むしろ秋山がここに泊まるとか言い出したら一応止めるつもりだった。

 

「今日、ここでキャンプが出来て良かったです。ここは…その、私の思い出の場所ですから」

 

「…この空き地がか?」

 

そういえば実家が学園艦内の理髪店であるなら、秋山も俺と同じように昔からこの学園艦に住んでいるという事か。

 

そう考えると俺と同じく、この学園艦にも思い入れがあるのだろう。

 

「はい、前に話していた一緒に戦車ごっこをやっていた男の子とよくここで遊んでました」

 

「…そっか」

 

秋山も俺と同じように小さな頃から戦車が大好きで、その為に同世代の子供から浮いてしまい友達が出来なかったらしい。

 

そんな秋山が唯一、一緒に遊んだ男の子が居た…らしいのだが、そいつはどうやら中学校に上がると話しかけても無視するようになり、疎遠になったという話だ。

 

大方中学生になってまで女子と遊ぶのが恥ずかしくなったのだろう。まぁ気持ちはわからんでもないが、そいつも惜しい事をしたもんだ。

 

俺にもそういう仲の知り合いが居なかった訳じゃない。秋山と同じように昔、一緒に戦車ごっこで遊んだ奴が居た、それもこの空き地で。

 

聞く人が聞けば、俺と秋山のその話に「その相手って秋山じゃないの?」とか言い出しそうだが残念、大ハズレである。そいつはラノベとかの読みすぎだ。

 

何故かって、俺と一緒に居た奴はパンチパーマの髪型をしたインパクト抜群の男子である。そうそうラノベとかでありそうな話はないのが現実だ、覚えておくといい。

 

そいつは中学校に上がると全く見かけなくなったので、たぶん他の学園艦にでも移ったのだろう。

 

秋山も、そして俺も、そうやって友人とすれ違って来たという事だ。秋山は知らないが、少なくとも俺の中学生活は暗黒時代の真っ只中と言って良い。

 

「今日、比企谷殿と一緒にキャンプが出来て良かったです、この空き地で」

 

「………」

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「あ、あの…」

 

「………」

 

それは中学生活にも少しは慣れたある頃、一人の女子に声をかけられた。

 

ふわふわした癖っ毛が特徴的な…まぁ、可愛らしい女子だ。

 

ここでの少しは慣れたーーという言葉は、現実を思い知ったと置き換えるのが正解である。

 

中学校に上がると、陸で生活していた同世代の連中も一斉に大洗の学園艦にやってくる。ガキの頃とは違い、それが学園艦での本当の生活というものだろう。

 

僅かに期待していた最初の頃に比べて、数々の黒歴史で経験値を得た事で現実を知った…レベルが上がったのだ。

 

比企谷 八幡はレベルが上がり、じょうぶさ(人間強度)とかしこさのステータスがグーンと上昇しているのだ。

 

「お、お久しぶりです、ずっと探してました…」

 

だから…こんな女子の突然の告白も今の比企谷 八幡には通用しない、いったいなんの罰ゲームだというのか?

 

そもそもお久しぶり?探していた?こっちはお前なんて知らないし、罰ゲームでももう少しマシな告白を用意しとけよ。

 

「………」

 

「え?あ…」

 

おれはそいつを無視して通りすぎる。とりあえず周囲にはこの罰ゲームの様子を伺っている連中は居なそうだ、ならさっさとこの場からは離れちまえ。

 

去り際にチラリと、一度だけその女子を見る。とても寂しそうで、悲しそうで、それでも、追いかけてくる様子はなく。

 

…期待はするな、これはもう散々学んできた事だろう。

 

あの表情はきっと、自分が俺みたいなスクールカーストの底辺に声をかけてやったのに無視された、とかそんな悲しみに決まっている。

 

はっ!ざまぁみろ!!声をかけられて俺がほいほい釣られるとでも思ってたのか?ぼっちをあんまりナメるからだ!!

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…比企谷殿?」

 

「…ん、なんかあったか?」

 

「えと…いえ、その、なんでも…」

 

誤解は解けない、なぜならそれはもう解が出ているからだ。

 

そもそもそれは誤解でもなんでもない。誤解…なんて言葉に甘える事は許されない、なかった事に出来るはずがない。

 

だから、あの日戦車ごっこをしていた知り合いにはもう会う事は二度と無いだろうし、あの日声をかけて来た女子には謝る事も許されない。

 

きっと…会おうと思えば会えるのだろう、謝れば笑顔を浮かべて許してくれるだろう。

 

そうすれば二人の関係はきっとあの日に戻る。

 

…そんな考えが一瞬でも浮かんだ自分を嫌悪した。

 

「なぁ秋山」

 

「…はい、なんでしょうか?」

 

きっと、彼女もすでに気付いているのだろう。それこそ…俺なんかよりもずっと前に、もしかしたら…初めて会った時にはそうだったのかもしれない。

 

「戦車ごっこでも…するか」

 

「! あ、…はい!やりましょう!比企谷殿!!」

 

それでも、比企谷 八幡と秋山 優花里の関係は、戦車道が再開されたあの日から始まったものだから。

 

「じゃあ私は車長をやります!!」

 

「おい装填手、仕事しろ」

 

もはや恒例となりつつあるこのやり取りに少しだけ懐かしさと寂しさを感じながら。俺と彼女は二人でお互い、少しだけ微笑んだ。

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