やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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この小説もいよいよ決勝戦、つまり大詰めです。
試合はもちろんですがそろそろヒロインも絞っていかないと…。という事で直近の更新は全てラブコメ展開にしました。
そしてその締めを飾るのはやっぱりこの子しか居ない!だって主人公だもん!!え?八幡?ヒロインじゃないの?(笑)
正直劇場版は未定です、マジどうしよう。

あ、更新が遅れたのは某アプリでハワイで同人活動をループしてたからです、マジキツい。


決戦前夜、西住 みほはその気持ちを知る。

「練習終了!やるべき事は全てやった、後は各自、明日の決勝に備えるように」

 

「「「「「「「はい!!」」」」」」」

 

決勝戦前日。

 

つまり、決勝に向けて最後の練習が終わったのだ。

 

義援金を使えるだけ使って戦力を整え、作戦も練った。戦車の最終整備は自動車部に任せるしかないので現状で、やれる事は全部やっただろう。

 

後は明日の展開次第、黒森峰の戦法によっては今回立てた作戦が全くの無意味になる可能性だって十分にある。が、試合に出ない俺がそれをどうこう出来るはずもない。

 

そこはもう西住達に任せるしかない。…つまり、俺の仕事は終わったのだ。

 

「………」

 

…おや、おかしいな?せっかく仕事が終わったというのに、この解放感の無さはなんだ?

 

ひょっとしてまだ仕事し足りないの?やだ…私の社畜レベル高過ぎ。

 

まぁ…仕事が終わったからといって具体的に何かしたいって事もないしな。これが会社ならば打ち上げとかいう糞みたいなシステムに強制参加させられる可能性もあるだろうが、生憎と今現在仕事が終わったのは俺だけだ。

 

よし、打ち上げをしよう。お家帰って一人でキンキンに冷えたマッ缶を浴びるように飲むのだ。…ん?いつもと大して変わらねぇか?それ。

 

「ねぇ、みぽりん家でご飯会しない?」

 

「いいですね、沙織さんのご飯、食べたいです」

 

「前夜祭ですね!!」

 

というかお前らが打ち上げやんのかよ…。

 

「祭りじゃないだろ」

 

「物の例えですよー」

 

「ふふっ、うん、やろう!!」

 

まぁやれば良いと思うよ、なんたって明日は決戦の日だ。あんこう以外の各チームも各々に集まって話してる所を見るに、この後ご飯にでも行くのだろう。

 

自動車部の人達は…うん、あの人達はむしろ整備してる方がイキイキしてそうだしね。

 

「八幡君」

 

「…うん?」

 

そんな様子を見ながら帰ろうとすると、西住に声をかけられた。

 

「えと…、八幡君も一緒にご飯食べないかなって?」

 

「食べない」

 

「は、早い…」

 

西住が遠慮がちに声をかけてきた時からなんとなく察してましたからね、すんなり返事を返す。

 

「そんな!せっかくの前夜祭なんですよ!!」

 

「だから祭りじゃないだろ…、あと、前夜祭とか聞くと嫌な思い出が蘇ってきて、ますます参加したくなくなるんだけど?」

 

「どんだけトラウマもってんのよ…」

 

本当だよなー。生憎と虎と馬ならいっぱい飼っているのである。ちょくちょく噛まれるわ蹴られるわでいい加減手放したいんだが?

 

「俺の事は気にすんな、友達同士で楽しんでこい」

 

「…八幡君も友達だよ?」

 

「あぁ…まぁ、うん…」

 

まぁ…西住には悪気はないんだろうけど。この言葉は聞く人が聞いたら結構残酷な言葉だと思う。

 

例えば中学時代、これは俺の友達の友達の話だ。はいそこ、友達居たの?ってツッコミは禁止な。

 

そいつは勇気を出して女子に告白した訳だが、返ってきた言葉は『友達じゃ駄目かな?』というお決まりのテンプレ断り台詞。

 

そして以後、その女子と会話をする事はなかった。おかげで俺は、友達って会話もしない仲なんだと勘違いしたくらいだ。いや、俺の話じゃないんだけどね。

 

結末こそ違うが、西住のこれはそれによく似ている。

 

西住みほは優しい女の子だ。だが、優しさっていうのは時に残酷である。

 

思春期の男の子なんて単純なもので。女の子にちょっと優しくされれば好意を持ってしまう、勝手に勘違いして盛り上がってしまうのだ。

 

つまり、西住が友達として接しても、受けとる側がそう思うとは限らないという事である。

 

乙女の嗜みである戦車道西住流のお嬢様として育ち、女子校である黒森峰に居た彼女だ、きっと悪気はないのだろう。

 

…それ抜きにしても天然なせいもあるだろうが。

 

まっ…、多くの実戦経験によって鍛え上げられた俺クラスになれば、今更もう勘違いもしようがないけどな。

 

「じゃ、俺は帰る。たぶん小町も飯作ってるだろうし」

 

「あ…うん、小町ちゃんによろしくね」

 

今西住が見るからに残念そうなのも、彼女からすれば友達を誘って断られたからだ、それ以上のものはないだろう。

 

これは自意識過剰でもなんでもなく、今日までの西住を見てればわかる事だ。

 

「あぁ、言っとく」

 

思えばずっと…彼女は俺に『友達』として接していたのだから。

 

「………」

 

「…?」

 

ふと、帰り際に武部が何やら言いたそうな顔をしているのが見えた。…まぁ、西住達にアマチュア無線の二級に合格した事でも言いたいのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「「「「「いただきまーす!!」」」」」

 

練習が終わってみんなでご飯を食べる事になったから、その後夕食の買い物をしてみんなで私の家に集まりました。

 

「あむっ…、おいしー!」

 

「カラッと揚がってますね」

 

今日の夕食はみんなで相談してトンカツをメインにしました、ちょっとした験担ぎ…みたいなものです。

 

でも、ほとんど沙織さんに作ってもらって…、沙織さんすごいなぁ…、今度私もお料理、教えて貰おうかな。

 

「重大な発表があります…」

 

そう思っていたら、沙織さんが改まって箸を置きました。…なんだろう?

 

「婚約したんですか!?」

 

「彼氏も居ないのに?」

 

え…えと、それはないんじゃない…かな?

 

「違うわよ!じゃん!!」

 

沙織さんが嬉しそうに見せてくれはのはアマチュア無線の免許証です。

 

「まぁ!!」

 

「すごい、四級どころか二級なんて」

 

「いやー、大変だったよぉ。比企谷に参考書とか問題集選んで貰って、麻子にも勉強付き合って貰って」

 

「教える方が大変だった…、比企谷さんも苦労したんだな」

 

「麻子ひどい!!」

 

「でもすごいよ、沙織さん。二級って結構難しいはずだし」

 

「通信手の鑑ですね」

 

「明日の連絡指示は任せて、どんな所でも電波飛ばしちゃうから」

 

嬉しそうに笑う沙織さんに私も嬉しくなっちゃいました。でも、本当にすごいと思います。

 

「重大発表がこんな事だとは思いませんでした」

 

「うん、婚約発表はないと思ってたけど…」

 

「あー!みぽりん何気に酷い!!」

 

「え?あっと、えと…」

 

でも私達まだ高校生だし、そういうのってよくわかんないけど早いんじゃないかな…?

 

「わかった!じゃあ試合が終わったら私…」

 

そこまで言いかけて沙織さんはチラリと私を…、ううん、私達を見ました。

 

「「「………」」」

 

「沙織さん?どうしたの?」

 

優花里さんも華さんも…、麻子さんもなんだか急に黙っちゃって、みんなどうしちゃったんだろ?

 

「…ううん、なんでもない。みぽりんこそ、好きな男の一人でも作ってみなさいよ」

 

「え?」

 

まさか自分がその手の話をするとは思わなくて、少し驚いてしまいました。

 

「私は…」

 

…よくわからない、というのが本当の気持ちです。今までそんな事考えた事もありませんでした。

 

黒森峰も女子校だったし、同世代の男の子で仲の良い子なんてずっと居なかったから。

 

「私は…みんなと一緒に居るのが、今すごく楽しいから」

 

ちょっぴり誤魔化してるけど、もちろんその言葉に嘘はありません。大洗に転校して、みんなに出会えて本当に良かったと思います。

 

「沙織さん、華さん、優花里さん、麻子さん、戦車道のみんなだって…、みんなの事が大好きだから」

 

その気持ちは大事にしたいと、そう思います。

 

「西住殿に告られましたー!!」

 

「嬉しいけど…、みぽりん、本当にそれで良いの?」

 

「え?それでって…」

 

言われている事がよくわからなくて。それでも沙織さんがじっと私の方を見つめます、その表情はとても真剣でした。

 

「一人、わざと名前言わなかったでしょ?」

 

「えと…それは」

 

…なんでだろう?八幡君も大切なお友達なのに。

 

八幡君。大洗での…、ううん、私の初めての男の子の友達。

 

面倒くさがりで、捻くれてて、でも…とっても不器用な優しい男の子。

 

そんな大切なお友達の名前なのに…どうしてか、そこに名前をあげてはいけないと思ってしまいました。

 

なんだか、八幡君が聞いたら「またぼっちかよ」とか言いそうでちょっとだけ笑ってしまいそうになったのは内緒です。

 

「明日は決勝だよ、もうこれで終わっちゃうかもしれないんだよ?…みぽりんは本当にそれで良いの?」

 

沙織さんにもう一度同じ言葉を言われ、今度の私はすぐには答えを返せませんでした。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

みぽりんのお家でご飯を食べた後、時間もそろそろ良い時間になってきたから私達はみぽりんにおやすみを言って寮を出たんだけど。

 

本当は女の子っぽく、パジャマでお泊まりとかしたかったんだけど、明日の試合の事もあるもんね。

 

「…沙織」

 

「沙織さん」

 

「武部殿…」

 

少し歩いた所で立ち止まる。うぅ…、三人の視線が痛いよぉ。

 

「だ、だってしょうがないでしょ!なんかあの二人見てたらモヤモヤするっていうか…」

 

「そのお気持ちはわかりますが…」

 

だよね!やっぱりみんなそう思ってるじゃん!!

 

「…なんにせよ、強敵だぞ?」

 

「うっ…、わかってるわよ!もぅ…」

 

でも…しょうがないでしょ、やっぱり言いたかったんだもん。

 

「だって…友達が相手なら、やっぱり正々堂々と戦いたいし…」

 

私はみぽりんの事も応援したい。自覚のないまま終わってしまうのは…たぶん、一番寂しい事だと思うから。

 

「…そうですね、私もそう思います」

 

「ですね、これで良かったと思います」

 

「…まっ、仕方ない」

 

良かった…みんな思ってる事は一緒だったんだ。…それだけあの二人を見ててモヤモヤしてたって事なんだけどね。

 

…頑張れみぽりん。でも…私も負けないんだから。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…ね、眠れない」

 

うぅ…沙織さんが変な事言うから。なんだか変に気になってモヤモヤしてて寝られないよ…。

 

ベッドから起き上がり、お気に入りのボコのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめます。…これで少しは眠くなるかな?

 

「きっと明日は決勝戦だから、緊張してるのかな…」

 

…まるで自分に言い聞かせる為についた嘘です、黒森峰の頃でもこんな事はありませんでしたから。

 

「あ、そうだ…」

 

ボコを抱きしめたまま、私は携帯電話を開きます。

 

画面には登録してある八幡君の電話番号。

 

なんだか声が聞きたくて、会いたくて、そうすればきっと私のこのモヤモヤも晴れるような気がして。

 

「…うぅ、無理だよ」

 

変に意識しちゃうと電話するのもなんだか恥ずかしくて、そのままベッドに横になりました。

 

もう遅い時間になっちゃったし、こんな時間に電話するのも迷惑だもんね。

 

そんな都合の良い言い訳をして、どうしようかと考えます。

 

「ちょっと…走って来ようかな」

 

明日は大事な決勝戦、本当ならゆっくり寝て体調を万全にしなきゃいけないのはわかってるけど、このままじゃ眠れそうもないし。

 

身体を動かせば…少しは眠くなるかな?

 

簡単に着替えて寮を出ます。いつもは朝走っているけど、同じコースでもこうやって夜走るのってなんだか新鮮だなぁ。

 

でも、明日に疲れを残さないようにちょっと軽めにしないと…。

 

「静かだなぁ…、麻子さんが夜が好きなのもちょっとわかるかも」

 

朝に走るのもいいけど、夜走ってみるとまた違った感じがします。

 

でも、朝と違って夜は本当に静かで、気分転換のつもりがこの静けさのせいで余計にいろいろと考えてしまいます。

 

正直に言うとね、最初はちょっぴり怖い人だと思ってたんだ。

 

転校したてでまだ一人ぼっちだった私と、同じようにいつも一人でいた八幡君。

 

私は誰かに声をかけられても、どうしていいかわからなくて。でも八幡君は逆にみんなと壁を作っていて。

 

…だから気になって、勇気を出して声をかけてみたんだけど、やっぱり拒絶されて。

 

あの時は…やっぱり寂しかったな。そのあと沙織さんと華さんに声をかけられたから良かったけど。

 

でも、そうかと思ったら…いきなり戦車道をやれ。だもん。本当に驚いちゃった。

 

でも…そっか、それがきっかけだったんだ。

 

戦車道が嫌で、西住流からも黒森峰からも逃げ出した私がこうして、みんなともう一度戦車道をやる事になるなんて思わなかった。

 

戦車道がこんなに楽しいなんて思わなかった。

 

八幡君。私がもう一度戦車道に戻るきっかけをくれた人。

 

「…会いたいな」

 

ーって!あれ?…うぅ、また変な事考えてる。本当にどうしちゃったんだろ…。

 

でも、もう夜もだいぶ遅いし、今更会おうとしてもーーー。

 

「…え?」

 

考えながら走っていると自転車とすれ違いました。あれ?今の自転車って…?

 

立ち止まり、後ろを振り返ってみるとーーー。

 

「…西住?」

 

「…あ、あれ?八幡君!?どうしてここに居るの!?」

 

自転車に乗っていたのは八幡君でした。八幡君は自転車を止めて驚いた顔をしています。私も驚きました。

 

…もしかしてこれって夢、なのかな?だって八幡君がこんな時間にここに居るのも変だよね?

 

「いやそれ、俺の台詞だからな? 何やってんだお前、明日決勝戦だぞ?」

 

「………」

 

ーうん、やっぱり八幡君だ、夢じゃないや。

 

「…八幡君のせいだよ」

 

「なんで開口一番にディスられてんだよ…」

 

思わずちょっと拗ねた言い方になってしまいました。でも、それくらいは許してくれる…よね?

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