やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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今までも何度も前書きに書きましたが作者はラブコメ展開が苦手です、書いてて普通に恥ずかしいし後で読み返して恥ずかしいので。
つまり何が言いたいかって…まぁあれですよ、今回の話は別に見なくても良いんじゃないかな?(現実逃避)。

そして!な、なんと!!366日さんより【やはり俺の戦車道は間違っている。】の支援絵を頂きました!!
こちらは是非とも見て下さい、なんというか…嬉しすぎて言葉が出ないです。


その夜、比企谷 八幡と西住 みほは約束をする。

「たでーまー」

 

「あ、お兄ちゃんおかえりー」

 

家に帰るとちょうど小町が出かける支度を整えていた。

 

「なんだ小町、出かけんのか?」

 

「うん、明日決勝でしょ?小町もお友達と前夜祭でもしようって話になって、験担ぎにカツ料理を食べに行くの!!」

 

「祭じゃないだろ…、つーかカツってまたありきたりだな」

 

発想が秋山と同じかよ、だいたいカツ食べて勝てりゃ誰も苦労しない。

 

「ん?ちょっと待て、ならお兄ちゃんのご飯は?」

 

「え?あー…てっきり戦車道チームの皆さんと食べてくると思って準備してなかったなぁ」

 

「おいおい、忘れたのか?俺は文化祭だろうが卒業式だろうがいつも直帰してたろ」

 

「それってただ単に誘われなかっただけじゃなかったの?」

 

「…今回は誘われたぞ」

 

ていうか文化祭の時も卒業式の時も誘われなかったんじゃない、誘われる前に帰ったのだ。ここ、重要だからね。

 

「なんでそこで断っちゃうかなー…」

 

「…決戦前だしな、各チームで集まった方が良いだろ」

 

「そういう変な所に気を使うの、お兄ちゃんっぽいけどね。でもねお兄ちゃん、そういうのって優しいとは言わないんだよ」

 

あ、これ説教になるやつだ、しかも長めの。

 

「友達待たせてるんじゃないのか?」

 

「あ!そうだった!!じゃあ小町は行ってくるから、お父さんとお母さんも今日は食べてくるって言ってたからお兄ちゃんも適当にね!!」

 

そう行って小町はさっさと出ていってしまう。適当にって…ちょっとお兄ちゃんの扱い適当過ぎない?

 

しかしこのままだと今日は晩飯無しか…。久しぶりに家にあるもので俺が作っても良いが正直言うと面倒くさい。

 

ここで勘違いして貰っては困るが、自分の分を作るのが面倒くさいのであって、将来専業主夫として料理を作るのであればそれは構わないのだ。

 

専業主夫に…俺はなる!!(ドンッ!!)

 

「…外に食べに行くか」

 

アホな事やってないでさっさと着替えて家を出る。帰って来たばかりの家をまた出るのも億劫だがせっかくだ、俺も一人で前夜祭と洒落込むとするか。

 

え?カツ?さっき言っただろ、カツ食って勝てりゃ誰も苦労しないって。

 

やはりここはラーメン一択である。再び自転車に乗ると大洗学園艦内のラーメンマップを脳に浮かべる。

 

長く過ごして来た学園艦だ。大方のラーメン店は頭に入ってるので、そこらの食べログなんて相手にすらならない情報量を持っている。これこそ八ログ、なお、一般公開はしていない。

 

醤油、塩、豚骨、つけ麺、いろいろあるが…やはりここはアレだな。

 

自転車をこいで目当てのラーメン屋に入り、席につくとメニューも見ずに店員に注文をした。

 

「カツカレーラーメン、一つ」

 

…まぁ、アレだよ。ラーメンの中じゃ邪道の部類にはなるかもしれないけど、たまに無性に食いたくなるんだよ。

 

想像してみれば良い。カレースープに程好く染み込む事で柔らかくなったカツを、上にかかったソースと一緒に食べる。

 

さらに、これまたカレースープが程好く絡んだ麺と一緒に頂く。

 

そもそも、ラーメン、カレー、カツなんて高校生男子の好きそうな物を掛け合わせたのだ、血統でいえば最強である。

 

ほら、験担ぎとか関係なく食べたくなるでしょ?やっぱラーメンって神だわ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…だいぶ遅くなったな」

 

飯だけ食べに出るのも勿体ないので、ついでに本屋に寄っていたら思ったより遅くなってしまった。

 

試合には出ないので寝不足を気にする必要はないが、そろそろ帰らないと風紀委員に小言を言われそうだ。

 

さて帰るか、と自転車をこいでいると、誰かが前から走って来ていた。こんな時間にランニングとかご苦労な奴だな…。

 

そのまま自転車でそいつをすれ違い…んで、慌てて急停止して後ろを確認した。

 

「…西住?」

 

西住である、いや…なにしてんの?こんな時間に。 

 

「…あ、あれ?八幡君!?どうしてここに居るの!?」

 

「いやそれ、俺の台詞だからな? 何やってんだお前、明日決勝戦だぞ?」

 

大事な決勝戦前夜、夜も遅いというのにうちの隊長はランニング中だった。…いや、さっさと寝なさいよ。 

 

「…八幡君のせいだよ」

 

「なんで開口一番にディスられてんだよ…」

 

しかもなんでちょっと拗ねてるの?この子。

 

「んで、なんでまたこんな時間にランニングなんだよ?」

 

「えと…その、なんだか眠れなくて」

 

あぁ、決勝戦だもんな。さすがの西住も緊張してんのか。まぁ…そういう事なら納得しない事もないけど。

 

「それでも寝ろ、明日に響くだろ」

 

「う、うん…、ごめんね」

 

とはいえ…睡眠不足が原因で負けてしまえば元も子もない。西住には悪いが、ここはすぐにでも家に帰って大人しくて寝て貰わねばならない。睡眠の重要性!!である。

 

だがそうなると、結局また西住を自分の寮まで走らせる事になるのか…。

 

「後ろ…乗るか?寮まで送る」

 

「…え、良いの?」

 

「…まぁ、その…西住が嫌じゃないならな。走って帰るよりは効率が良いだろ」

 

「うん、ありがとう」

 

西住が自転車の荷台に手をかけるが見ていてどうにも危なっかしい。

 

「待て西住、お前二人乗りした事あるのか?」

 

自転車の二人乗りは地味に乗る側もそれなりにバランスが重要というか、乗る側がふらふらしてれば普通に危ないのである。

 

ちなみに冷泉は寝ながらこれをやってのける。…やはり天才か。いや、絶対横着なだけだ。

 

「えへへ…小さい頃にお姉ちゃんとよくしてたんだ。お母さんに見つかってよく怒られたけど」

 

あぁ、話に聞くやんちゃ盛りな頃の西住ね。…さすがにその頃はまだ戦車乗ってないよね?

 

「八幡君は大丈夫なの?」

 

「俺は慣れてるからな」

 

「…麻子さんで?」

 

「…小町に鍛えられたんだよ」

 

…なんか今普通にドキッとしてしまった。おかけでそんな曖昧な返事になる。

 

「んじゃ、行くぞ」

 

「う、うん…」

 

これ以上ボロが出る前にさっさと出発ーーー、とペダルを漕ごうとすると後ろの西住がギュッと思い切り抱きついてきた。

 

ちょ!無理!柔らかい!!

 

「…西住、そんな力強くされると漕ぎづらいんだが…」

 

それはもう、いろんな意味で。

 

「え?でもお姉ちゃんは危ないからしっかり掴まってろって…」

 

ちょっと姉住さんには個人的にお話したい事がある。つーかあの人、俺と二人乗りした時は普通でしたよね!?

 

「…普通に掴まってろ。あれだ、戦車の車長と一緒だ」

 

うん、だいぶ違うけどね。西住にはこの説明の方がわかりやすいだろう。

 

「あっ!じゃあ八幡君が操縦手なのかな?」

 

「まぁ…そうなるのか?」

 

ここにきて大洗学園戦車道チームに新たなチームが誕生した。ただし乗るのは自転車である。軽く死ねますね。

 

あと、西住が車長とか、いきなりとんでもない指示がさらりと飛んできそうで怖いんだけど。普段は冷泉が簡単にやってのけるから分かりにくいけど、わりと容赦ないんだよね、この子。

 

「えへへ…、じゃあ…その、ぱ、パンツァーフォー!!」

 

「え?」

 

「~~~!!」

 

ちょっと!いくら恥ずかしいからって顔を人の背中に押し付けないで、俺も普通に恥ずかしくなってくるから!!

 

「うぅ、恥ずかしいよ…」

 

「いや、急に言われても反応できんし…、つーか恥ずかしいならやるなよ」

 

「なんだか言いたくなっちゃって…、八幡君と一緒に言う機会ってあんまりないし」

 

「いや。まぁ…そうか」

 

なんか夜も遅いせいか妙なテンションになってないか?

 

「じゃあもう一回な、次はちゃんとやるから」

 

「本当?本当に本当?」

 

そんな念を押さんでも…、そんなに信用ないのか?

 

「えっと…じゃあもう一度、パンツァーフォー!!」

 

「了解っと…じゃあ行くぞ? 自転車なら西住の寮にもすぐに着くはずだしな」

 

「うん。………あっ」

 

今度こそペダルを漕ぐ。不思議とペダルが軽く、ぐんぐん漕げる、まるで一人で漕いでいるようだ。

 

ペダルが軽い!私…一人ぼっちじゃないもの!もう何も怖くない!!

 

実際、一人で漕いでいた。西住は直前で自転車から降りていたのだ。新チーム解散である。早いなオイ。

 

「…西住?」

 

Uターンして西住の所に戻ると、西住はもじもじと恥ずかしそうにしていた。

 

あぁ、これはたぶんあれだな。夜も遅いし心配ないとは思ってたが、他の誰かに俺と二人乗りしてるのを見られたくないってやつだな。

 

…そういうのは今までの西住を見てたら違うのはわかる。わかるが、やはり俺は不安になるのだ。

 

「二人乗り嫌だったか?嫌なら自転車貸してやってもいいぞ?」

 

『そういうのは優しいとは言わない』

 

ついさっき小町が言っていた言葉が胸の奥でチクチクと突き刺さっているような気がした。

 

「嫌じゃない!嫌じゃないよ!!」

 

「お、おう…」

 

なんかものっすごい否定されて、変な事を考えてたのがぶっ飛んでしまった…。

 

「えと…その、あのね?歩いて帰りたいな…」

 

「いや…明日決勝なんだが」

 

「うん、そうだけど…そうなんだけど。いろいろ…お喋りしながら、帰りたいなって…駄目、かな?」

 

「………」

 

なんと言うか…俺も結構あれこれ使える手段は使ってきたとは思うんですけどね、そんな俺だからこそ言える。

 

…それはちょっと卑怯じゃないんですかね?

 

「あんまり遅くならん程度にな…」

 

自転車を西住の横につけて降りるとハンドルを持って歩き出す。

 

「うん!!」

 

西住は嬉しそうに頷くと俺の隣を歩く。…本当にわかってる?

 

「…明日の決勝戦で緊張してんのか?」

 

「え?」

 

いや…え?って、なんでそこで驚かれたの?

 

「いや…眠れないから走ってたんだろ?」

 

「えと…その、うん、たぶん…」

 

たぶんって…なんか歯切れが悪いな…。

 

「まぁ相手はあの姉ちゃんだもんな。そういえば西住、実際戦った事ってあるのか?」

 

こちらの作戦が成功したとして、それでも最後は姉住さんとの一対一の勝負は避けられないだろう。そうなると気になるのはそこだ。

 

「小学生の時にお友達と一緒に…負けちゃったんだけどね」

 

「…小学生の頃かよ」

 

…じゃあ参考にはならない、と思いたい。

 

「つーか小学生の頃にそんな友達居たのか?」

 

「…八幡君、私の事どう思ってたの?」

 

ぼっちだと思ってました、すいません。

 

…まぁ西住だしな、俺と違って友達くらいはそりゃ居ますよね。

 

「中学校になってみんなバラバラの学園艦に行っちゃったんだけどね、みんなどうしてるかな?」

 

まったく…学園艦ってそういう所あるよね。え?小学生の頃からぼっちだったやつには関係ないって?

 

「みんな戦車道やってたんだろ、なら…戦車道続けてたらそのうち会えんだろ」

 

「そっか…、うん!そうだよね!!」

 

というか、パッと出の大洗が優勝しちゃった日には隊長の西住はもちろん注目されるだろうし、向こうも気付くんじゃないか?

 

「私、戦車道をもう一度やって良かった」

 

「…そうか」

 

「最初は黒森峰の頃と比べていろいろ違うから、不安だったんだけどね」

 

「なんせ戦車探しからだもんな…」

 

「あはは…そうだね、私も戦車探しなんてやった事なかったし」

 

そりゃ西住流に黒森峰ですもんね、落ちてる戦車拾うくらいなら新品買っちゃうでしょうよ。

 

「そこからたくさん試合して、みんなでここまで来て…」

 

聖グロリアーナ、サンダース大学付属高校、アンツィオ高校、プラウダ高校、考えてみれば戦車道を始めてからここまで、相当な密度だな。

 

「だから…明日は絶対に勝ちたい。…黒森峰に居た時だってこんなに思わなかったのに、変だよね?」

 

「いや…友達もできたしな。廃校になると全員バラバラになる可能性もあるんだ、そりゃ勝ちたいと思って普通だろ」

 

それこそ…小学生の頃の西住の友人達のように。

 

「うん…、それにね。もう1つ…あるんだ、勝ちたい理由」

 

西住 みほは友達思いの優しい女の子だ。

 

付け加えるなら…戦車道の名門西住流の娘として育ち、女子校の黒森峰で過ごしていた彼女は、異性との関わり合いがあまりなかったのだろう。

 

彼女が俺に対する思いも距離感の掴めていない友達の一人として、そう思っていた。

 

「廃校になったら…八幡君ともこうやって会えなくなるかもしれないって考えちゃって」

 

「別に死ぬ訳じゃないんだし、会おうと思えばいつでも会えんだろ」

 

「…もしそうなったら八幡君、絶対自分から連絡しないよね?」

 

…否定できない。というよりたぶん、俺はしない。

 

そういう自分の性格はもう嫌になる程よくわかっている。きっとあれこれ理由をつけて逃げてしまうのだ。

 

「えと…その、そのね?私…こんな事考えた事もなくて、だから…上手くは言えないんだけど」

 

西住は俺に友達の一人として接していると…そう思っていた。いや、事実として今日の戦車訓練終了後のやり取りの時もそうだったはずだ。

 

「きっと私、八幡君の事がーーー」

 

だからこれは不意討ちで、不意討ち故に頭が上手く回らない。

 

彼女のその言葉の後に続くのは…。

 

その瞬間、辺りに場違いな戦車砲の着信音が響いた。言うまでもなく俺の携帯である。

 

「…あ、えっと」

 

「…電話、出ていいか?」

 

「あ…、うん」

 

携帯を見るとかけてきたのは…ん?なんでこの人から?

 

「…はい?」

 

『おぉ!比企谷、今どこに居るんだ?』

 

アンツィオ高校の隊長の安斎さんである。つーか後ろがなんかドンチャン騒ぎでうるさいんだけど。

 

「どこって…大洗の学園艦ですけど」

 

『なにぃ?じゃあまだ試合会場には来ていないのか!!』

 

「会場入りは明日ですよ。つーかアンチョビさんどこに居るんです?なんかさっきから周りがうるさいんですけど」

 

『我々は今試合会場に来ている!!』

 

「…なんでまた?」

 

え?試合会場って東富士演習場の事だよね?なんでこの人達が来るの?

 

『もちろん諸君ら大洗の応援の為だ、今も優勝の前祝いに宴会中だぞ』

 

あぁ、それでさっきからうるさかったんですね。つーか試合前日に来てるってどんだけだよ。

 

『宴会に大洗のみんなを招待したかったんだが…そうか、まだ来てないのか…』

 

いや、気持ちはありがたいんだけどね。決勝戦を前にドンチャン騒ぎするのもどうかと思うんだけど。

 

『ドゥーチェ、比企谷さんはなんて?』

 

『残念だが大洗のメンバーは来られないそうだ』

 

『えー…せっかく気合い入れて料理作ったんスけどねー』

 

『試合前にたかちゃんに会いたかったんですが、残念です』

 

しかもこれ、アンツィオメンバー総出かよ。この人達の学園艦って貧乏って聞くけど、よくみんな揃って来れたな…。

 

それだけ大洗を応援してくれているって事か…。

 

『みんな!残念だがここは優勝の前祝いを残念会に変更だ!湯を沸かせ!釜を炊け!!』

 

…応援してくれてるよね?何かに託つけて騒ぎたいだけじゃないよね?あと残念会って言っちゃダメでしょ。

 

「相変わらずですね…」

 

『まぁこれがアンツィオの良いところだからな! 言ったはずだぞ、我々も全力で応援すると』

 

まぁ、その気持ちはありがたく受け取っておくにしても…。

 

「…騒ぎすぎて明日寝坊しなければいいですね」

 

『ん?あぁそうだな、よーし、宴会の前に目覚まし時計の用意だ!明日は決勝戦だからな、人が多く見に来る分、たっぷり稼ぐぞ!!』

 

『ドゥーチェさすがッス!』

 

『マジパねぇッス!!』

 

『『『『『『ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!ドゥーチェ!!』』』』』』

 

「………」

 

これ、もう電話切ってもいいよな?

 

向こうのドゥーチェコールが終わりそうにないので通話を終えて携帯をしまう。

 

「…えと、今のってアンチョビさん?」

 

「あぁ、なんかもう会場に着いてんだと」

 

「そ、そうなんだ…、早いね」

 

「…寮、着いたな。安斎さんにあぁ言ったんだ、俺らが寝坊する訳にもいかんだろ」

 

安斎さんとのやり取りをしていると、いつの間にか西住の住んでいる寮まで着いていた。

 

「…う、うん」

 

目的地に着いたんだ、元々時間も遅いし、そろそろ寝ないと本当に明日に響く。

 

だから…今日はこれで終わりで良い。

 

「そう…だね…、えと…おやすみ、八幡君」

 

そう…"今日"はこれで良い。

 

「…なぁ西住」

 

「…うん?」

 

去り際、寮に入ろうとする西住に声をかける。

 

あの時の西住の言葉に続くものはわからない。それでも、彼女は覚悟を決めて踏み出していた。

 

だから俺も…少しだけ踏み出してみても良いのかもしれない。

 

「…大洗の町、歩いた事あるか?」

 

「…そういえばあんまりないかも、大洗に行く時っていつもバタバタしてるから」

 

「…なら、決勝戦が終わったら、その、案内…するか?」

 

「え?いいの!!」

 

「…まぁ、西住が良ければだけど」

 

「うん!ありがとう!約束だよ!!」

 

パァッと明るく微笑むと西住は手を振って寮へと入っていった。

 

「…さて」

 

あーあ、言っちゃった。大洗を案内って…どうすんのこれ?

 

水族館…?いや、さすがに狙い過ぎじゃないか?

 

ならマリンタワーか?磯前神社もあるが西住が興味持つのか?

 

あとは…めんたいことか?え?めんたいこでいいの?

 

あれやこれやと考えながら再び自転車に乗り込み、ペダルを漕ぎながらちょっと後悔。誰かと大洗を廻るなんて考えた事もなかったので仕方ない。

 

「どこ行くか考えとかねぇとな…」


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