やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
ガルパン最終章二話とどっちが早いのだろう…。
「想定より早く陣地を構築したな」
高台に陣取った大洗を双眼鏡で確認しながらも、西住まほは冷静に呟いた。
「囲め」
合図と共に黒森峰の戦車が高台を登り始め、それを確認した西住みほも各車に砲撃の指示を伝えた。
迫る黒森峰の戦車を高所から迎え撃つ大洗。戦局は大洗側が有利に見えるだろう。
Ⅲ突、そしてⅣ号の砲撃が黒森峰の戦車相手に白旗をあげさせた。
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「おおっ!やった、やったよお兄ちゃん!!」
モニターでその様子を見ていた小町がおおはしゃぎで喜んでいた。
「とりあえず…先制は取れたか」
開始早々に二両撃破出来たのはデカイ、相手の数を考えるとたった二両とも思われそうだが何事も千里の道も一歩からである、死ぬ気で?そう、しぬ気で。
そう、こっちは死に物狂いでやってるのだ。それくらいの戦果がないとわりに合わない。
だが黒森峰が前線に出してきたのはヤークトティーガーだ、さすが姉住さん…対処が早い事で。
「重戦車を盾に使うのね…」
真正面から遠慮なく進んでくるヤークトティーガー、ならばこちらも遠慮なく砲撃を撃ち込めるというものだ。
大洗側の放つ砲撃はヤークトティーガーに命中し、それでもかの重戦車は止まらない。
「今、何かしたか?」とでも言うかの様に進軍の手は休まる事なく、後ろから他の戦車が続く。
「えっと…当たってるん…ですよね?」
「はい…ですが、やはり黒森峰の戦車は硬いです」
戦車知識が少ない小町の当然の疑問にオレンジペコが答える。
これはなにもヤークトティーガーがリアルロボット系フィールドを展開してる訳ではなく、単純なスーパー系ロボットの装甲を持っているだけだ。
あの距離からその装甲を貫ける戦車は大洗には無いだろう。
「はぁ…黒森峰の戦車ってそんなにすごいんですね」
「まぁ、ドイツ戦車だしな」
ドイツの科学力は世界いちぃぃぃぃいっ!!と世に広く知られているかは知らないけど、ドイツの戦車技術は本当に恐ろしい。
「じゃあドイツ戦車が一番強いの?」
「小町、その手の話をし出すと荒れるから止めろ…」
絶対戦車警察の方々に目を付けられるから。あと、その手の最強議論をやらかし始めると朝まで生戦車しちゃうだろ、主に俺が。
「もちろんそんな事は無いわ、そもそも戦車はイギリスが発祥なのよ?」
ほら、早速ダージリンさんが食い付いてきたし…、相手がドイツ戦車ならイギリス好きとして黙ってられなかったのかな?
「あぁ…マークⅠ戦車ですね」
世界史上初めて実戦投入された戦車という事で仕方ないとはいえ、乗員がガスマスクを装備して乗り込む必要さえあったあれだ。
なんかダージリンさん達がガスマスクをしている姿を想像してしまった…。
「…何かしら?」
「いえ…その、ダージリンさんは何を着ても似合うなって」
「え?あ…その、あ、ありがとう」
嬉しそうにそう返されるとこっちとしては罪悪感でいっぱいになっちゃうな…。
まぁでも、そんな戦車発祥の地であるイギリスなのに作る戦車ってわりと残念というか…英国面的なものが多いんだけどね。ここはダージリンさんの手前黙ってようか。
「あら、アメリカだって負けてないわよ。なんたってシャーマンは5万両も作られたんだから、信頼性は充分よ」
対抗するケイさん、数で圧倒するってのはいかにもアメリカンな感じですよね。
何がすごいかって、操縦を簡単にした事で乗員もしっかり確保した事だ。誰でも操縦できるってのがどれだけ重要なのかがわかるだろう。
ちなみに前に一度説明したけど、このシャーマンが英国面に墜ちて誕生したのがかの有名なシャーマン・ファイアフライである。ほら、英国面も悪くなーい。
「い、イタリアの戦車だって悪くないぞ」
イタリアは…うん、CV33が過労死レベルでほぼ全ての戦場で使われたのがすごいよね。
「みんな何いってるの?プラウダが使ってるんだから、ソ連の戦車が一番に決まってるわ、そうでしょ?ノンナ」
「はい、カチューシャにふさわしいと思います」
あぁ、ソ連の戦車って基本的に中狭いもんね。カチューシャさんにふさわしいってのがもう…そういう意味にしか聞こえない。
「はー、戦車っていろいろあるんですねー。ちなみに大洗はどうなの?お兄ちゃん」
「拾いもんの戦車使ってる時点で察してくれ…」
「確かに大洗はみんなバラバラだな、というか拾ってたのか…」
「日本、フランス、ドイツ、アメリカ…、よくこれだけいろいろ集めましたね」
言われてみれば…確かに、今使ってる戦車はどれもこれも20年前に戦車道が盛んだった頃の大洗でも使っていたものだろうが、コンセプトはよくわからんな。
八九式とかある辺り、単純に強い戦車を集めてたって訳でもなさそうだし…え?俺はもちろん好きだよ、はっきゅん。
「…どうしてイギリスの戦車は無いのかしら?」
「いや、そこで俺に睨まれても…」
知らんし…大洗の元戦車道の経験者か、あるいは監督にでも聞いて下さい。
「じゃあお兄ちゃん、大洗で一番強い戦車ってなんなの?」
「単純なカタログスペックならポルシェティーガー一強だな、まぁあれは特別枠だけど」
「えー、あんこうチームの皆さんが乗ってる奴じゃないの?」
驚く小町だが、ポルシェティーガーをまともに運用出来るのは自動車部の方々くらいだろうし。
「Ⅳ号は…まぁあれだ、オールマイティーって感じだな」
「あ!なんか良いじゃん!!」
「言い方を変えたら器用貧乏、基本性能はどれもそこそこって感じか」
「わー、一気にダメになったなー」
何を言うか小町ちゃん、ドイツ戦車の中で一番生産量も多く、長く戦線に出て活躍したワークホースなんだぜ?
「んー、じゃあⅣ号の次に強いのは?」
だんだんとコメントしづらくはなってきているが、次か…。
ヘッツァーは実質、改造ヘッツァーに加えこれが初陣だし未知数なものが多い、三式は中の人の筋肉が上乗せされているのを考えたら…。
「Ⅲ突…かな」
うむ、なんだかんだとやっぱり強いなドイツ戦車。そりゃ科学力は世界いちぃぃぃぃいとか言っちゃいますよ。
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ーー
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「ヘルマン」
それは決勝戦前のある日の事だ、練習が終わるとカバチーム、歴女達に声をかけられた。
「今日は第二次世界大戦の地中海の戦いについて語ろうと思っていたが、一緒にどうだ?」
「遠慮しとく…」
だいたいそれやっちゃうと下手したら家に帰れなくなる可能性あるし。それにこいつら、歴女と名乗る…いや、名乗ってはないけど、歴女だけあって知識がヤバい。
そういえばアンツィオ戦の時に一度、家に行った時には資料の量が半端なかったもんな。
「てか、なんでまた地中海の戦いなんだよ?」
「ふむ、もともとはマルタの大包囲戦から話が広がったんだが」
「あれは囲まれたマルタ騎士団がオスマン帝国を撃退した、何か黒森峰と戦うヒントが無いかと思ってな」
「人の歴史は戦い、血の歴史だ。だが、我々もそこから学ぶ事は多い」
「まるで歴史に挑んでるようなロマンを感じるぜよ…」
なるほど、一応はこいつらも対黒森峰に向けていろいろ考えているのか。参考資料が歴史ってのがらしいけど。
いや、先人の戦いを馬鹿にしてはいけない。そもそも、現在の戦車戦の戦術やドクトリンは先人が編み出したものなのだから、そこから学ぶ事は多いだろう。
「んで、なんかヒントは見つけたか?」
「ドイツ軍の強さは圧倒的だな…、ふっ、さすがだ」
「ほめてんじゃねーよ…」
そもそもエルヴィンと名乗って軍服着てる時点でドイツ軍大好きっ子なのはわかってたけどね。
「このままでは…維新は起こせないぜよ」
わりとガチで気落ちしてるこいつらを初めて見た気がする、いつもなんだかんだと自信満々だったし。
「Ⅲ突だってドイツ戦車だ、それも冬戦争で大活躍した、な」
「む、ま、待てヘルマン、その話はだな…」
「フィンランド人に謝ったんだろ?」
エルヴィンが恥ずかしくなって慌てているのに構わず言葉を続けた。実はこれ、間違いがある。どう間違ってるのかは真っ赤になってるエルヴィンの名誉の為に割愛してやろう。
「なんの話だ?」
「な、なんでもない。くっ…このような辱しめを受けるとは」
まさかこんな感じにくっころ、が見れるとは思わなかった、ロマンとかちっともねぇな。
「前も言ったろ?Ⅲ突の火力は試合の要だ、だいたい今までの試合でも活躍は充分だったろ」
思えばカバチームは全ての試合で必ず相手を一両は倒してきている、よくよく考えるとこいつら初試合からずっとぱねぇな。
「だから今回も同じだ。しかも、ドイツ戦車が相手なら知識量的にこっちが上でさえある、だろ?エルヴィン」
「!? あぁ!任せろ、エルヴィン・ロンメルの名は伊達ではない!!」
…ソウルネームなんだから伊達なんだよなぁ。と、そんな野暮な突っ込みは必要ないだろう。
「大洗にはこのロンメル将軍が居る、ならば負ける道理はない!!」
「それに、日本一の兵(ひのもといちのつわもの)とまで呼ばれた真田幸村もいる、だろ?左衞門佐」
「ふむ、心得た」
言われて左衞門佐がスッと立ち上がる、珍しくその両目は開いていた。
「幕末の英雄、坂本龍馬の…えと、奥さんもな」
「任せろ、ぜよ」
それにおりょうも続く。うん、自分で言っててだんだん苦しくなってきたわ、なんだこれ?
「あと…、えと、頼んだぞ…たかちゃん」
「た、たかちゃんと呼ぶな!!カエサルだ、馬鹿っ!!」
…こいつら、これでたまに年相応の女子高生らしい表情見せるんだよな。ギャップがありすぎてたまにドキッとしかねないのがバレないよう、努めて冷静に振る舞う。
「冗談だ、カエサル」
「ふっ…、来た、見た、勝った、を言葉通りにしてやろう」
バサッとマフラーを翻して格好よくポーズを決めるたかちゃんも合わせ、先程まで気落ちしていたのが嘘のように明るくなる歴女達。
そう、これで良い。この常に自信満々で恥ずかしげもなく、堂々としている姿こそが彼女達らしいと言える。
ロンメル将軍であり、カエサルであり、真田幸村であり、坂本龍馬の奥さんである四人組。
これほどの偉人英雄がついている大洗が負けるはずがないと、不思議とそう思わせる自信があった。
「となるとだ、今一度Ⅲ突を塗り替えてだ…」
「六文銭の旗はもちろん必要だな」
「日本刀を仕込むのはどうだろうか?」
「あと、馬に先頭を走らせる事で地雷の撤去も…」
「お前らちょっと待て…」
あ、ごめん、やり過ぎた。全く…私はいつもやり過ぎてしまうと疾風エルフさんもよく言ってるが、これはちょっとやりすぎだ…。
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「次、狙いは一時のラングだ!!」
「ラングってどれだ?」
「ヘッツァーのお兄ちゃんみたいなやつ!!」
ヤークトティーガーに攻撃を阻まれようと、後続の相手戦車に狙いを定め、エルヴィンが指示を飛ばした。
相手の強さも、威力も、装甲も、スピードも、弱点も、全て頭に入っている。
戦車道の経験ならば負けていても、戦車の…それもドイツ戦車の知識でいうならエルヴィン・ロンメルを名乗る者として決して負けられない。
「ッ撃てーーーー!!」
今一度号令を発し、Ⅲ突の砲撃が相手戦車に命中し白旗を上げさせた。
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「わお!あのⅢ突、やるわね!!」
「あれは確か…カルパッチョの友達が乗ってたな。あぁ、良い動きだ」
モニターでそれを見ていた観客から歓声があがる、隊長さん達もこれには驚いていた。
「そうでしょう、なんたってあれには…ロンメル将軍とカエサルと坂本龍馬と真田幸村が乗ってるんですから」
これだけの面子が戦車に乗りこんでいるのだ、果たして誰が勝てるというのか。
「…ハチューシャ、頭大丈夫なの?」
「大丈夫っす…」
いや、その本気で心配した表情を向けるの止めて下さい…。