やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
ガルみんとか一番新しい星4キャラが浴衣ダージリンってどういう事…それより後の追加キャラ本当に追加されてる?
あっ!朕は宝具2です。
「ふぅ…やっと履帯の修理が終わった」
高台にて砲撃戦を続ける大洗と黒森峰、その戦列から離れた所を進むヤークトパンター。
このヤークトパンターだが、先ほど草影に隠れていたカメさんチームのヘッツァーに転輪を破壊された事で、修理の為に本隊から遅れる事になったのだ。
その修理もようやく終わり、戦線に加わるべく高台を目指している矢先だった。
「えっ…?あぁ!!」
背後から聞こえるエンジン音に後ろを振り返ると、そこには颯爽と背後に迫るヘッツァーが…ヘッツァー再びである。
「また!7時の方向、例のヘッツァーよ!!」
車長である直下さん(仮)が慌てて指示を送り旋回を試みるが、時はもう遅く。
「うわぁぁあ!直したばっかりなのに~!!」
ヘッツァーの砲撃が再びヤークトパンターの履帯を破壊して行動不能にした。
「こんのぉ!うちの履帯は重いんだぞぉ!!」
悪態をつく直下さん(仮)だが、履帯を破壊したヘッツァーはそんな彼女を気にも止めず、高台へと向かう。
「とっつげきぃ~!!」
目指すは大洗を包囲しようとする黒森峰、その本隊の真っ只中。
「こんなすごい戦車ばかりのところに突っ込むなんて、生きた心地がしない…」
「比企谷にはあぁ言ったが…やはり無謀な作戦だな」
「ほら二人共、ビビんないビビんない」
ヘッツァーは挑発するように黒森峰の戦車の横にわざわざ止まってみせる。
「…え?何!?」
それに気付いたパンターの車長があわてて操縦手に足蹴りで指示を送る。
「11号車!15号車!脇にヘッツァーが居るぞ!!」
慌てて動き出す黒森峰の戦列の中を、スルスルと隙間を見つけては進むヘッツァー。
「くそ、同士討ちになるから撃てない…」
「こちら17号車、自分が…」
「待て、Ⅲ突向かって来るぞ!!」
突然現れたヘッツァーに気を取られている隙をつき、大洗の本隊も更に砲撃を加える。
「右側がぐちゃぐちゃだよ!!」
「右方向へ突っ込みます!!」
大混乱となった黒森峰に見て、これを機とした西住みほが各車の指示を送り、高台の大洗の車両は一気に坂を降りる。
先頭はポルシェティガー、登り坂ではスピード不足ではあるが下り坂なら問題なく進める。
この大洗側の撤退に反応した黒森峰側のいくつかの車両も砲撃を放つが、ポルシェティーガーの装甲がそれを弾き、おまけに最後尾に居るルノーが再び煙幕を展開した。
こうして文字通り煙に巻く事で、大洗の高台からの撤退は無事成功したのだ。
ーーー
ーー
ー
「面白ーい!次から次へとよく考えるわね!!」
ノンナさんに肩車してもらいながらカチューシャさんは上機嫌でゆらゆらと…あまりのゆらゆらっぷりに落ちそうになるくらい。
「これで17対8…」
うーん…こちら側にまだ被害が無いのは御の字だが、これだけやってもまだそんだけ差があるんだよなぁ。
それは別にして、ヤークトパンターの搭乗員の方々には正直同情してしまう。およそ45tくらいあるヤークトパンター、その車体重量を支える履帯がどれだけ重いか…悲しいけどこれ、戦争なのよね。
「黒森峰は隊列を組んで正確に攻撃する訓練は積んでるけど、その分突発的な事には対処できない」
「そういえば…ローズヒップさんのクルセイダーにも度々苦戦してましたね」
「あぁ、突発的な行動させたらあいつの右に出る奴は少ないだろうな…」
オレンジペコの言葉に納得、聖グロリアーナとの練習試合で、文字通り身を持って知る事ができた体験談だからだ。
ちなみにわざわざ少ないと言葉を変えたのは、他にも候補が何人か居るからである。大和撫子たる女性を育むらしい戦車道だが…それで良いのか?
「そうね、黒森峰をあそこまで追い詰める事ができたのも、あの子のおかげね」
「ローズヒップさん本人はよくわかってないみたいでしたけど…」
「それがあの子の良い所よ、今後が楽しみね」
やっぱりダージリンさん、ローズヒップに甘くないですか?まぁ聖グロリアーナって、練習試合前に河嶋さんが言ってたけど浸透強襲戦術が有名だしな。
強固な装甲と連携力を活かした浸透強襲戦術は、良く言えば伝統的でしっかりした基盤があると言えるが、悪くいえば単調的でもある。
だが、そこにあのローズヒップが加わればどんな科学変化というか…改革が起きるか。そこら辺を含めて、ダージリンさんもローズヒップには期待しているのかもしれない。
山を降りる大洗のどさくさに紛れて、黒森峰本隊をさんざん混乱させるだけ混乱させたヘッツァーもちゃっかり撤退しているのを見るに、とりあえず作戦は大成功のようだ。
だが黒森峰も黙ってそれを見送るつもりは無い。モニターに映る大洗を追う戦車は…ティガーⅡ、黒森峰の現副隊長さんだ。何故か顔写真付きで映ってるけど、名前の方を出しとくべきだったね。
チッ…しかし対応が早いな、そう簡単には追い付かれないと思うが。
「…あれ?お兄ちゃん、あのさっきの…えと、ポルシェ!!」
「ポルシェティーガーな、それだとただの車になっちゃうだろ」
いや、会社自体は戦車開発に絡んでたから否定しにくい部分もあるんだけど。
「細かい事は気にしない気にしない、でもあれ…なんか煙出てない?」
「…げっ」
出てる…。えぇ、それはもうばっちり、もくもくと。
この煙、もちろんさっきの【俺のズボンがアイス食っちまった】作戦で使用した煙幕とは全くの別物、純粋にポルシェティーガー本体から発生している。
つまり…うん。壊れたっぽい…のか?ワイヤーで引っ張って登り坂進んだり、下り坂でスピード出したりと、思えば結構無茶な事もしたけど。
ポルシェティーガーが壊れやすいのはもちろん折り込み済みだし、自動車部の人達も試合中に壊れたら自分達で直すとまで豪語してくれた。
だが、この状況ではマズイ。すぐ後ろには現副隊長さんの乗るティガーⅡが追いかけて来ている。おまけに先ほどの高台でのやり取りであいつ、たぶん相当イライラしてるだろう。
どこかで修理するにしても止まってる暇なんて無いが、このまま走り続ければ間違いなく自滅する。だがここでポルシェティーガーを失うのは大洗にとって痛すぎる。
「おいおい、大丈夫なのか、あれ?」
「やっぱり無理があるのよ、ポルシェティーガーなんて」
…だよな、さすがの自動車部の人達もこればっかりはどうしようもない。ポルシェティーガーはここで脱落だろう。
本命の市街地戦において、ポルシェティーガー抜きでは相当厳しい戦いになりそうだ…やけくそにマックスコーヒーをぐびりと飲む。
「…ポルシェティーガーから誰か出てきたわね」
「…え?」
ダージリンさんに言われてモニターを見ると、ナカジマさんが走行中のポルシェティーガーの外に出ている。その手には工具一式。
…まさか、ね?いや、いろいろチートだとは思う自動車部の方々でもそれはさすがに。
『はいはい、大丈夫でちゅよ~』
ナカジマさんは工具を手にポルシェティガーの修理を始めた…それも走行中の戦車の上で。マジか?なんつーか…マジか?
「…なにあれ?」
「えと…修理、ですかね?」
「走りながらって、そんなのできるわけないじゃない!!」
「いや、その…自動車部ですから」
「そんなの理由になる訳ないでしょ!!」
カチューシャさんに怒鳴られるが、じゃあ他に何て言えば良いんでしょうかね…。
「excellent!うちの整備科に欲しいくらいだわ!!」
「そんなものまであるんですか、サンダースは…」
「もちろん自分達で整備もするけど、数が多いからどうしても全部は手が回らなくてね」
50両もありますもんね。本当に1両くらい分けてくれないかなぁ…あと通信傍受機とマックスコーヒーカーも。
「プラウダだって負けてないわよ。うちの整備だってすごいんだから!そうでしょ?ノンナ」
と、やはり食いついてきた負けず嫌いのカチューシャさんだが…おや?ノンナさんの様子が。
「そういえばカチューシャ、この前の練習終了後の整備をサボってましたね」
「ッ!あれは、その、後でやろうと思ってただけで…」
「…サボってましたね?」
「うぅ…ごめんなさい」
なにこれ親子なの?甘いようでいて厳しい所は厳しいんだな、ノンナさんも。…それやっぱり親子だよね?
「アンツィオも整備ならみんな優秀だぞ、なぜならうちには整備士を雇う余裕が無いからな!!」
「へー、すごいですねー」
「お、おい比企谷、その可哀想な物を見るような目はなんだ!み、みんな本当にすごいんだからな!!」
いやだって…なんかとても悲しい自慢話を聞いてしまったし。貧乏で主力戦車がCV33で自動車部も抜きとか安斎さん、西住以上のハードモードやってんですね…。
「戦車の整備ってそんなに大変なんですねー、小町びっくりです」
「えぇ、でも万全に戦う為にも必要な事よ」
小町の言葉にダージリンさんが答えるが…聖グロリアーナってお嬢様学校なんだし、整備とかするイメージが想像できない。
普段紅茶の匂いを漂わせているこの人も、整備で油まみれになったりするのだろうか…それはそれで良いと思いますけど。
戦車道をやる上で、どこの学校も整備に力を入れるのは当然だろうが…うちの自動車部は四人でこれに張り合ってる訳で、戦車の数が少ない事を差し引いてもちょっとおかしいです。
だってほら、モニターを見るとそこには元気に走り回るポルシェティーガーの姿が!!…本当にやっちゃったよ、あの人達。
それとは逆に大洗を追う現副隊長のティガーⅡだが、バランスを崩すと進路を大きくずらした。
…ようやく、撒いた種が実ってきたか。
「プラウダ校対策だった重戦車運用が裏目に出たわね」
「黒森峰の重戦車は足回りが壊れやすいのが欠点…」
ダージリンさんとオレンジペコの解説の通り。森の中の進軍から始まり、黒森峰側はずっと大洗をつけ回してきたのだ、足回りに負荷がかかるのは当然。
「走り回っていれば、黒森峰側は燃料切れをおこす車両も出てくるかもしれないわね」
「マックスさん、大洗はこれを狙ってたんですか?」
「重戦車運用のわかりやすい弱点だからな、狙わない手はない」
そもそもプラウダ高校が相手ならこの黒森峰の戦力も納得だが、うちが相手となると過剰戦力感がある。
「さっきのヘッツァーもそうだが、とりあえず狙えるなら履帯を狙いまくるよう伝えてあるからな。上手くハマれば黒森峰の連中はクソ重い履帯の修理地獄だ」
装甲は貫けなくても、履帯ならばある程度距離が離れていても破壊は可能だ。
これを毎回やられれば、肉体的にも精神的にもガリガリ疲労してくれる事間違いなし。
現にモニターでは履帯の外れたティガーⅡを搭乗員がせっせと直しているし、現副隊長さんなんかカンカンで地団駄を踏んでいた。あいつ、その姿が全国に生中継されてるの忘れてないか?
まずはローキック、更にローキック、執拗なローキック、体重の重い奴を攻めるなら有効的な戦術だ。
「同じ事を私達がやられたらって考えたら…」
「大洗はともかく比企谷とは戦いたくないな…うちのP40には替えの転輪もないし」
「ちょっぴり黒森峰の人達が可哀想に思えますね…」
全員から「うわー…さすがに引くわー」みたいな顔で見られる。いや…まぁあれだよ、俺もさっきヤークトパンターの搭乗員に同情したし、セーフだよね?せーの『僕は悪くない』。
それにほら、おかげでだいぶ黒森峰との距離も離せたし、目当ての市街地までは後少しだ。
だが、その市街地へ向かう為には1つ通らないといけないものがある、川だ。
「…川を渡るのね」
「まぁ、通り道ですし…」
にしても…川か。ふと去年の戦車道全国大会の決勝戦の事が一瞬頭をよぎったが、この川はそこまで深くはない、履帯がきちんと地面につく。
隊列も上流にレオポンチームのポルシェティガー、下流にはアヒルチームの八九式と軽い戦車が流されないようしている。
天気も快晴だ…だから、これはきっと杞憂なのだろう。
…そうだったら、どれだけ良かった事か。
この隊列で一斉に川を渡ろうとする大洗の戦車だが、ウサギチームのM3リーが川の中頃まで来るとピタリとその動きを止めた。
「…あいつら、何やって」
…当然、こんな川のど真ん中で止まる理由が無い。現に他のチームはウサギチームが止まった事に気付くまでは川を進んでいた。
モニターの映像からでもおおよそ、何が起きたかは検討がついた。つまり…これは。
「えと、何があったんですか?」
「…M3リーがエンジントラブルのようです」
…決勝戦、川、動けない味方、迫る相手。
キーワードを上げるなら、どれだけ点と点を結ぶ事が出来るだろうか?
ーーーふざけてる…こんな偶然、あってたまるか。
「…西住」
それはまるで、あの日の再来とでもいうかのように、彼女の事を嘲笑うかのように。
【それ】は再び、西住みほに訪れたのだ。