やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
リアルでの忙しさもあって更新遅くなるかもです、ごめんなさい。
あとコトブキ見ました、空戦すげぇ…。さすが水島監督ですね。
ん?あれ?最終章は?(笑)
「…てな訳で薬莢排出口が狙い目だな。弱点ってか、単純にM3の火力で装甲を貫けるとは思えん」
不肖、比企谷 八幡の戦車講座を一年ズに披露してやる。こういうのは秋山の方がわかりやすいし適任だろうから、みんなも円盤の特典映像を見るのがオススメだ!…特典映像って何?
「なんか質問はあるか?」
自分なりに不慣れではあるが、最近では武部にも戦車について教えていたから、黒森峰の特に注意するべき重戦車については大体教える事は出来ただろう。
「比企谷先輩って戦車の事になるとすごい喋り出すよね…」
「うんうん、しかも早口で」
喧嘩売ってんのか?こいつら。
本当にわかってんのか心配になってくる…。特に丸山なんて、俺が説明している間もずっとあさっての方向を向いてるまである。完全に授業ボイコット状態だ…先生泣いちゃう。
うちの飼い猫もたまに何も無い所をじっと見つめてて怖いんだけど…それを思わせる。ちなみにこの現象は第二次世界大戦中にナチスが発見したフェレンゲルシュターデン現象というらしいから、みんな是非とも調べてみよう。俺みたいに黒歴史増えちゃうから。
…戦車道開始してもう決勝戦だよ?いい加減一言くらい喋っても良いと思うんだけどね、この子。
ーーー
ーー
ー
「怒ってる怒ってる!!」
「桂利奈ちゃん、次右折ね」
「あい!!」
「その次も次も次も右折」
「あいあいあーい!!」
挑発した事でエレファントに追われる事になったM3、うさぎさんチームは狭い路地を走る。
「みんな、頑張って考えた作戦を実行する時がきたよ!!」
「「「「戦略大作戦!!」」」」
エレファントは重戦車故に、この狭い路地では旋回にも時間がかかる。対してM3はまだ小回りが効く。
彼女達は路地での右折を繰り返す事でエレファントの真後ろに回り込む事に成功したのだ。
「回り込まれた!信地旋回…、あれ?」
それに気付いたエレファントの車長が指示を送るが、この狭い路地では周りの家の塀が邪魔で満足に旋回できない。
「やった!成功だよ!!」
もちろん、うさぎさんチームの狙いはこれだ。動けないエレファントの背後を取る事に成功した。
「よーし!!」
背後を取る事による完全ゼロ距離からの砲撃、練習試合では出来なかった一撃がエレファントに直撃する。
「か、固すぎる~!!」
だが、その砲撃もエレファントの分厚い装甲の前には歯が立たない。
「零距離からでもダメなんて…もう無理なんじゃ」
悲観する一年生達の中、一人、ポンポンと大野の肩を叩く者が居た。
「薬莢…捨てるとこ」
丸山 紗希の呟いたその一言に、一年生達は「あっ」と思い出した。
「そうそう、比企谷先輩もなんかそんな事言ってた!!」
「さすが紗希ちゃん!!」
「よーし、せーので撃とう!!」
M3の主砲、副砲が薬莢排出口に向けられた。
「「せーのっ、で!!」」
ーーー
ーー
ー
『黒森峰女学園、エレファント、走行不能』
「わお!やるじゃない!!」
観客席から歓声が上がるがいまいち釈然としない…。なんか決定的瞬間を逃したような、そんな悔しさがあるんだけどなんなのこれ?
「どうしたのお兄ちゃん?せっかく澤さん達が頑張ったんだからもっと喜ばないと!!」
いや、まぁそんなんだろうが…。
「てか小町、いつの間にあいつらとそんな仲良くなったんだ?」
会ったのなんて数えるくらいだと思うんだけど…。
「そりゃあ小町の先輩になるわけだし、連絡くらい取り合うよ」
「え?なにそれ初耳」
また知らない所で妹が交遊関係広げてるんだけど…。
「それにお兄ちゃんが後輩から先輩、なんて呼ばれてるのが嬉しかったし、これもう奇跡だね!ウルトラレアだよ!!」
課金前提の排出率で例えるの止めろ。だいたいそれを言うなら小町の同級生は全員俺の後輩なんだが…、認識されて無かったのかな?
「ふふっ、先輩としてのあなたにも少し興味があるわね」
「はぁ…、普通だと思いますよ」
「普通って?」
「そりゃあ…」
普通…普通ってなんだ?(哲学)。
「どうすんだ小町。今まで後輩とか居た事無かったから良くわかんねぇんだけど…」
「それを妹に聞くってどうなの、お兄ちゃん…」
そもそも俺が先輩らしくないのか、一年生が後輩らしくないのか、そこからじゃないの?
「先輩なんて簡単よ!粛正してやればいいんだから!!」
プラウダ理論マジ怖い。そもそもあなた、先輩と呼ぶにはあまりにも身長が…。
「…なにか?」
「いえ、なんでもありません…」
やっぱエスパーなのこの人!?これ以上はマジで粛正されかねないな、主に肩車しているノンナさんに。
「んー、先輩とか後輩とか堅苦しいのは抜きにして、やっぱりみんなで楽しむのがベストじゃないかしら?」
あぁ、ケイさんってかサンダースはそんなノリでしょうね、だからこそのカリスマ性というか。
「そうだな、なんでも楽しんでやるのが一番だな」
「ふん、そんなお気楽な事で良いのかしらね?」
ケイさんの言葉にうんうんと頷く安斎さんだが、カチューシャさんが食いかかってくる。
「楽しい方が続けたくなるし、もっとやりたくなってくるだろ?後の事は追々付いてくるものだしな」
…お気楽には違いないが、安斎さんの言葉ってわりと真理をついているんだよなぁ。楽しいからこそ続けられるってのは。
「まぁこれは焦って失敗した事もある経験談なんだがな。そもそも私には高校の戦車道の先輩なんて居ないからな」
「アンチョビさんが入学した時には居たでしょ…」
戦車道の有力選手としてスカウトされたって話なんだし、戦車道のチームくらいはあっても…。
「ん?居ないぞ」
「…え?一人も?」
「そうだな、あの時は一人で大変だったなぁ…」
しみじみとしてる所悪いんだけど、本当に居ないの?マジで?しかも同学年も居ないガチで一人からスタートしろとかアンツィオ高校ブラック過ぎんだろ…。
「予算も無くてな。次の年でカルパッチョとペパロニが入ってくれて三人で屋台やったり」
唐突に屋台の話が出てきたけど戦車道の話ですよね?もう安斎さん主役でアニメ一本作れちゃうよ…。
「そういえば…ダージリンさんにも先輩は居るんですよね」
このまま安斎さんの話を聞いていたい所だが、それだともう決勝戦そっちのけになりそうだし、先輩の話題をそのままにダージリンさんに聞いてみた。
「え、えぇ…そうね、居る…わね」
ん?おや、珍しい、なんかやけに動揺してるんだけど。
「…マチルダ会とかそこら辺ですか?」
そういえば聖グロリアーナはOGがスポンサーとして幅を効かせていて、戦車の編成やらにあれこれ口を出しているらしい。先輩にはあまり良い思い出は無いのかもしれない。
…にしたってこの動揺は変だな?確か前はこの手の話題でもサラリと対応していたのに。
「ダージリン様、アールグレイがーーー」
「アールグレイ先輩!?」
「え?いえ、アールグレイです、どうぞ」
「あ、そ、そう…ありがとうペコ」
オレンジペコがダージリンさんに煎れたてのアールグレイの紅茶を渡す。なんかカップを持つ手がカタカタ震えてますけど大丈夫ですか?
聖グロリアーナは紅茶の名前がそのまま選手の名前になるらしいけど、アールグレイにトラウマでもあるのだろうか?
「ケイさん、サンダースの先輩は…?」
「…んー、えと、そうね、まぁ細かい事は気にしない!!」
え?あれ?ケイさん?露骨に顔背かれたんだけど…、この人がこんな反応するとか初めて見たぞ。
「カチューシャさん、プラウダの先輩って」
「…全員粛正してやったわ」
だからプラウダ理論超怖ぇって、しかも今回なんかガチな空気しかしてこないんだけど…。
どこの高校も先輩に闇でも抱えてるの?いや、うちも生徒会がアレだから闇しかないんだが。
「そもそもマックス、あなたの話をしていたのではなくて?」
まぁこれまでの話題全てが矛先をなんとか俺以外に向けようとした作戦だった訳なのだが…見抜かれていたらしい。まだ続けるんですか…。
「いや、先輩とか言われてもよくわかりませんし…」
「試しにペコに先輩らしく振る舞ってみてはどうかしら?」
「えぇ!?私ですか!ダージリン様!?」
「いや、なんでですか…」
「だって小町さんは妹なのだし、ここであなたより年下なのは彼女だけよ」
だからそもそも試す必要が無いと思うんだけど…、そもそもオレンジペコだって嫌だろうに。
「ペコ、マックスを先輩と思って接してみなさい」
「…わかりました」
いや、そこでわかっちゃうの?ダージリンさんに言われてもじもじと恥ずかしそうにしながらオレンジペコが俺の横に座る。
「…まぁ、その、嫌なら断ってもいいと思うぞ」
「…嫌だったら断ってます。その、聖グロリアーナは女子校ですし、年上の男の人が先輩って、ちょっぴり…憧れてて」
顔を赤くしながら話すオレンジペコにこっちまで恥ずかしくなってくる。ダージリンさんがそれを微笑ましく見ていてなんかもう居たたまれないんですが…。
「それにいつか、マックスコーヒーより私の煎れる紅茶の方が美味しいって言って貰いたいですから。…先輩には」
「………」
今ここに、終身名誉後輩の座をオレンジペコにプレゼントしよう!見てるか一年生共!これな!これが後輩だよ!!
「お兄ちゃん、顔がにやけてる…」
「駄目じゃない、せっかくラビット達が頑張ってるんだから」
ハッ、いかんいかん、あまりの衝撃に脳細胞がフリーズしかけてた。オレンジペコ、やりおる。
「いや、だいたいあいつら、作戦成功したらラーメン奢れとか言い出すんですよ?」
ジュース奢ってやったことで味をしめたか、便利な財布扱いにされそうである。
「じゃあもうあのデカイの倒したんだし、奢ってあげないとね」
「エレファントな。あと、黒森峰の重戦車はまだもう一両残ってるから、それ倒さないとノーカンだ」
128㎜砲の高火力、ヤークトティーガーがまだ残っている。さっきと同じ作戦がまた通用する、なんて考えは甘いだろう。
「ヤークトティーガー…厳しいですね」
「ですね…」
つまり、ここからが本番といってもいいだろう。
まったく…うちの一年共は生意気だわ、人の言うことあんまり聞いてないわ、いちいちディスってくるわだが。
「だけど…まぁ、案外やればできる子ですから、あぁ見えて」
ーーーだから、ラーメンくらい奢らせてみろ。
ーーー
ーー
ー
「…ふふっ、どうやらきちんと先輩しているようね」
「そうですね」
「あら、ペコ、少し寂しいのかしら?」
「…秘密です、ダージリン様」
モニターに映る一年生達とヤークトティーガーの映像を見るのに集中していた彼の後ろで小さく、そんなやり取りが聞こえていた。