やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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今回の決勝戦の市街地、ちょっと後の展開の為にアニメとフィールドに違いがあります、ネタバレになるのでアレですが次話でそこら辺の理由は明らかになるのでそこは皆さんの暖かい心で了承して貰えればありがたいです。

そりゃ最終決勝ですからね、八幡にもラスボスが居ないと。


勝ち筋を掴む、その僅かな一瞬に賭けて。

「挑発に乗るな!落ち着け!!」

 

逃げるアヒルさんチームと、その八九式を追いかける黒森峰の戦車。

 

「よーし、みんな!敵を挑発するよ!!」

 

「「「はい!キャプテン!!」」」

 

八九式の戦車間への割り込みと、繰り返される砲撃と離脱の挑発行動によって、黒森峰は完全に頭に血がのぼっていた。

 

「やーいやーい!!」

 

「こんのぉ!八九式の癖にぃ~!!」

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「M3だけじゃなく、あちこちで戦いが始まったようね」

 

「その為に黒森峰の戦力をバラけさせましたから」

 

てかマウスの時も思ったけど、あいつら煽り超上手いよね。わざわざ車体に書いてある黒森峰の校章を狙ってぺちぺち…おっと失礼、バンバン砲撃してるんだもん。

 

バレー部としては、そこんところスポーツマンシップとかいいのか?まぁ盤外戦術も立派な作戦の内だもんね、仕方ない!

 

プライドの高いエリート様達にとっては、自分達よりはるかに格下の八九式に良いようにされるのは我慢ならないだろう、挑発としちゃ大成功だな。

 

とはいえ、まだ姉住さんと現副隊長含む黒森峰の大多数はあんこうチームを追っている。そりゃフラッグ車だし当然か。

 

レオポンとアリクイは…よし、順調だな。

 

さて、残るは件のウサギチームだが…現在住宅街にてヤークトティーガーと戦闘中である。

 

小回りの良さを活かして、エレファントと同じく相手の背後をついていた。

 

「やったよお兄ちゃん!またいけるんじゃない?これ!!」

 

「…いや」

 

だが狭い路地で旋回しようとして詰まったエレファントと違い、ヤークトティーガーはそのまま逃げる為に前進…やはり同じ作戦は何度も通じないよな。

 

逃げるヤークトティーガーは曲がり角を曲がると、そのままクルリと旋回して停車した。こういうのをサラッとやっちゃう辺りが黒森峰の錬度なんだよなぁ…。

 

しかもこれーーー。

 

「待ち伏せね…」

 

「正面からねじ伏せるのが黒森峰の戦い方とは良く言われますが、こういう戦い方が出来ない…という訳ではありませんからね」

 

ダージリンさんとノンナさんの読み通り、ウサギチームが追いかけてくる事を狙っての待ち伏せだろう。

 

正面から物量で押し潰すだけじゃなく、こういう罠を張った戦い方もやってくる。黒森峰の…西住流の厄介な所ではあるが。

 

「…知ってますよ、経験談ですから」

 

こういう戦い方を俺は知っている。そりゃもう嫌ってほどに彼女には敗北し続けて来たのだから。

 

それはもちろん、あいつら一年達だってそうだ。特にあいつらの場合は、なんたって文字通り身を持ってそれを体験している。

 

その待ち伏せのやり方は、最初の模擬戦で西住がやってみせたものに良く似ているのだから。ほぅ、経験が生きたな…ってより、あいつらにとっちゃガチで一度やられているのだ。

 

だから気付くはずだ、今さらそんな罠に引っ掛かるほどあいつらだって弱くはない。

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「!? 停車ッ!!」

 

逃げるヤークトティーガーを追いかけるウサギさんチームだが、曲がり角の手前で何かに気付いた澤の声に阪口が慌てて急ブレーキをかけた。

 

M3リーはギリギリの所で停車、その前面装甲をヤークトティーガーの砲撃がかすめる。

 

待ち伏せが失敗したヤークトティーガーだが、そのままM3に追撃するべく動き出す。

 

こうなると攻守は完全に逆転し、狭い路地で逃げ場の無いウサギさんチームは後退しながらヤークトティーガーの砲身を向けられる事になる。

 

「ちょっと!128㎜超怖いんですけど!!」

 

「桂利奈ちゃん、そこまでまっすぐバックね」

 

「でもどうするこれ!?」

 

自身に向かってくるヤークトティーガーの砲身に車内は大慌て、狭い路地で今度はこっちの逃げ場が無くなった。

 

「あっ!そうだ!くっつけば良いんだ!!」

 

「すご~い桂利奈ちゃん、もう一度【消しカス作戦】だね」

 

「ちょっかい作戦だよ!でもそれでいこう!!」

 

とりあえず、こちらからヤークトティーガーに接近する事で砲身の内側へと潜り込む。こうなるとヤークト側も砲撃を撃つ事が出来ない。

 

「あっ!離れていくよ!!」

 

「させるかぁ!!」

 

「今度は向かってくる!!」

 

「一年ナメんなっ!!」

 

「ナメんなっ!!」

 

ヤークトティーガーが離れれば追いかけ、逆にこちらに向かってくれば速度を調整し、二両はそのまま進んでいく。

 

「この先…ちょっとマズイかもぉ」

 

「見せて」

 

地図を見ていた宇津木の言葉に澤も地図を確認するが、この先には道が無い。川…といっても水は無いので、このまま進めばそこに落ちる事になる。

 

「どうしよう?」

 

「比企谷先輩も言ってたけど…ヤークトを西住隊長の所に向かわせる訳にはいかない」

 

それは作戦会議時にも聞かされた、大洗が勝利する為の作戦における重要なポイント。

 

高火力を持つヤークトティーガーが西住達あんこうチームの所へ向かって猛威を振るえば、その作戦が成功する事はないだろう。

 

「ここでやっつけよう!!」

 

「わかった、うっちゃるのね」

 

「どうやって!?」

 

もうそろそろこの路地を抜ける、それならーーー。

 

「合図で左に曲がって!一か八かだけど!!」

 

澤は後方を確認し、冷静に、タイミングを計りながらその瞬間を狙う。

 

「はいっ!!」

 

「おっしゃあー!!」

 

その合図と共にM3は一気にヤークトティーガーから離脱。だがその隙を見逃すはずもなく、ヤークトの砲撃はM3に直撃し、転がりながら白旗が上がった。

 

だが、ヤークトティーガーはその勢いのままガードレールをぶち破り、砲身から落下。ヤークトからも白旗が上がる。

 

「すいません、ウサギチームやられました…ごめんなさい」

 

リタイアが決まったウサギチームが最後の報告をいれる。

 

「先輩達、あとはよろしくお願いします!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

『黒森峰、ヤークトティーガー、大洗学園、M3リー、共に行動不能!!』

 

「グレイト!すごいじゃない!!」

 

「最初は逃げ回っていたあの子達が、ずいぶんと成長したようね」

 

「まぁ…男子3日会わざるはなんとらやって奴じゃないですか」

 

「おい比企谷…女子相手にそれは誉め言葉になるのか…?」

 

まぁそれは言葉の綾というか。つーかマジでやりやがったよあいつら。ヤークトティーガーとエレファントのダブル撃破とか最高かよ!

 

「これはもうみんなにラーメン奢ってあげないとね!お兄ちゃん!!」

 

「アホ言え、撃破されたんだから作戦成功とは言えねぇだろ。家に帰るまでが遠足って言葉、知らねぇの?」

 

「うわ…セコイ」

 

えー…セコイかな?世の中には相手の幹部倒したのに、帰ったら上司にパワハラされる可哀想な人だって居るのに。

 

「だから、せいぜいアイスを奢ってやるくらいだろ」

 

「奢ってあげるのは決定してるんですね…」

 

「まったく、それなら素直に喜べば良いのよ…面倒くさいわね」

 

ん…まぁ、それくらいはね。重戦車仕留めたのは事実なんだし。

 

「アイスならアンツィオのジェラートがオススメだぞ。なんならサービスで一段オマケしてやるからな」

 

「あぁ、その時は是非お願いします」

 

金が無いわりにはアンツィオの出店の値段ってびっくりするほど良心的なんだよな。俺も安くつくし、あいつらもアイスが食える、なんならアンツィオ高校も儲かると一石二鳥どころか三鳥まである。

 

さて、エレファント、ヤークトティーガーと厄介な重戦車が消えた事で、ようやくこちらも本腰を入れて作戦を開始する事が出来る。

 

大洗が狙う本命の策は黒森峰のフラッグ車、姉住さんと一対一の状況を作る事だ。その為には何をするべきか?

 

結論から言えば、姉住さんを単独で行動させるのはほぼ不可能だ。八九式がいくつか戦力を引き受けたといっても、黒森峰の大多数はフラッグ車であるあんこうチームを狙うだろう。

 

だったらもう遮るしかない、黒森峰の本隊を物理的に塞き止める。

 

モニターを見る。黒森峰に追われながらも、あんこうチームはHS地点にそろそろ入る頃合いか。

 

レオポンチームの方も準備は良し…。

 

さて、このHS地点に何があるかというと…学校がある。そして他には何もない。

 

学校の中に何があるかと言えば…もちろん何もない。というか出入り口が一つしかないので、そこに入れば袋の鼠となる。

 

だからそんな所にわざわざ入るなど普通は考えないだろう。

 

そしてその学校に続く道の途中には左右への分かれ道がある。そのどちらも学校へと続いていて、黒森峰が大洗のフラッグ車であるあんこうチームを追い詰めるなら…。

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「隊長、この先は行き止まりです!部隊を分けて追い詰めましょう!!」

 

「…わかった、エリカは左、私は右から向かう」

 

当然ながら決勝戦のフィールドは黒森峰も充分把握している。大洗のフラッグ車が向かった先にあるのは学校だが、そこに入れば出口はない。

 

となれば、この分かれ道で部隊を2つに分けて進めばⅣ号を完全に追い込む事ができる。

 

西住まほの率いる隊は逃げるⅣ号を追いかけて、逸見の率いる隊は逆側からⅣ号を逃さないように包囲する。

 

「ちょこまか逃げ回るのもおしまいよ!終わりにしてやるわ!!」

 

これなら挟撃が可能であり、例え学校に逃げ込んでもそこに逃げ場は無い。これで追い詰めたと逸見エリカは確信した。

 

『ふ、副隊長!隊長が!!』

 

その無線が入るまではーーー。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

あんこうチームのⅣ号とそれを追いかける西住まほの率いる黒森峰の隊列、西住みほは後方を確認しながら無線で指示を送る。

 

タイミングはほんの一瞬で、その僅かな一瞬に全てを賭けるしかない。

 

「麻子さん、少しだけ速度を落として下さい」

 

「おう」

 

相手との距離を計算し、スピードを調整し、相手から来る砲撃を避け、そのタイミングに全てをかける。

 

「…いける。レオポンさんチームの皆さん、お願いします!!」

 

「はいよー!腕がなるねぇ!!」

 

Ⅳ号、あんこうチームが学校の中に入り、西住まほがそれを追って学校に入る。

 

そして、西住まほの後に続く黒森峰の戦車の前にポルシェティーガーが飛び出した。

 

先ほど二両が入って行った学校敷地内、そのただ一つの出入り口を封鎖し、ポルシェティーガーが立ちはだかる。

 

「ここから先は行かせないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「…来た」

 

本当に、ここまで長く、想定外の出来事だらけだったこの決勝戦。

 

ただ…想定外の出来事だらけの中でも、最初からずっと最後はこの形にもっていく…みんなその為に動いていた。

 

当然だ。うちの勝ち筋なんて、はなっからフラッグ車を倒す以外にはないのだから。

 

もし黒森峰側にヤークトティーガーやエレファントが残っていたら、出入り口に陣取ったポルシェティーガーもそう長くは持たないだろう。しかし、その二両はウサギチームがやってくれた。

 

だから、しばらくは邪魔する者は現れない。

 

大洗学園隊長、西住みほ。

 

黒森峰女学園隊長、西住まほ。

 

両校の隊長が、両校のフラッグ車が、一つしかない出入り口を封鎖されたこの決戦場で1対1で戦う【フラフラ作戦】。この形を、俺達はずっと狙っていた。

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