やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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初めて八幡以外の視点書いてみたけどこれはこれで中々難しいなー、皆さん暖かい目で見てもらえれば嬉しいです、しかし話し進まんなー。

ちなみにサブタイは原作サブタイの皮肉です。


会議は踊る、キチンと回る。

さて、作戦会議の前にここで各戦車と各々の人員配置について少し触れておくか。

 

まぁ人員が少ない分、どうしても兼任が出てくるがそこは向こうも同じ条件だし。

 

まずはCチームのⅢ号突撃砲。

 

エルヴィンを車長兼通信手としてカエサルを装填手、左衛門佐が砲手、おりょうが操縦手、まぁバランスが取れてるといえば取れてるか。

 

次はDチームのM3リー。

 

一番しっかりしてるっぽい澤を車長とし、阪口が操縦手、M3リーには75㎜の主砲と35㎜の副砲があり、その二つに各々装填手と砲手がついている。

 

75㎜の方は砲手を山郷、装填手を宇津木が担当しており、35㎜の方は大野が砲手、丸山が装填手である、宇津木は通信手も兼任していたか。

 

一年チームは元々が六人の大所帯だ、ここに関しては人員の心配はいらんだろう。

 

そして我らが生徒会チームの乗り込む38(t)だが。

 

小山さんを操縦手とし、俺は車長と通信手を担当する事になった。

 

んで河嶋さんは砲手兼装填手である。

 

え?誰か忘れてないかって?なんか干し芋しか食ってない会長が居た気がしたけど気のせいでしょ(遠い目)。

 

「…とりあえず、なんか良い作戦のある人居る?」

 

ここら一帯の地図を広げ、それを囲んだ俺たちはまず、みんなの意見を聞いてみる事にする。

 

「決まっている!撃って撃って撃ちまくればいい!!」

 

真っ先に手を上げたのは河嶋さんだった、どこの過激なテロリストですかあんた。

 

「…却下で」

 

「何故だ!数の上ではこちらが優位なんだぞ!!」

 

「優位と言っても戦車の差が一両くらい、加えてこっちは完全に素人の集まりなんですよ、下手な鉄砲数撃てば当たるとは言いますが、相手に一両でも撃破されたら条件は同じ、いや、経験者の居る向こうが優位になる」

 

そもそもそれもうただの乱れ撃ちで作戦でもなんでもない脳筋じゃないですかー。

 

「ふむ…、やはりここは経験者の居るⅣ号、Aチームを一気に叩くのが定石だな」

 

エルヴィンが軍人っぽく地図を指差してそう提案した。

 

「私達三両でⅣ号を集中攻撃するって事ですか?」

 

「数の暴力だね!!」

 

一年チームもエルヴィンの作戦に乗り気のようだ、数の暴力かぁ、単純だけど一番効果的なんだよなぁ。

 

なお、身をもって体験済みの経験談である。

 

「まぁ悪くない、エルヴィンの言うとおり定石で王道だな、隊長の西住が居るⅣ号を潰せば指揮も何もない、実質こちらの勝利だろう」

 

これはフラッグ戦ではなく、殲滅戦なのでAチームのⅣ号を撃破しても勝ちではないが、あとはもう消化試合みたいなものだろう。

 

「でも比企谷先輩、残ったBチームが攻撃してきたら…」

 

「まぁバレーボール部の連中なら残り一両になってもガンガン攻めてくるだろうが…、まぁ一両なら問題ない、どうとでもなる、八九式だし」

 

「え?でも戦車ですよ?バンバン撃ってくるんじゃ…」

 

澤が不安な表情を見せてくる、それに対しての俺の答えは一つである。

 

「大丈夫だ、八九式だし」

 

「それ、答えになってませんよ…」

 

えー?答えになってないの?今時の若い娘はそんな事もわからんのか、ちなみに俺は大好きだけどね!八九式!!

 

「八九式は歩兵の支援が主目的の戦車だからな、戦車同士の撃ち合いとなると火力不足なんだよ」

 

「比企谷先輩、戦車詳しいんですね!!」

 

一年達がキラキラと眩しい笑顔を見せてくる、ま、眩しい!!

 

いや、一人だけぼーっと空見てる奴も居るけど、確か丸山だったっけ?

 

「えーと、あれだ、詳しい事は後で秋山にでも聞いてみろ、最低限自分の乗る戦車くらいは知っといた方がいいだろ?」

 

「はーい」

 

さりげなく面倒事を秋山に任せ、心の中で謝っておく、ん?いや、あいつならノリノリで解説しそうじゃん、結果オーライ、良いことしたわー。

 

「では、全勢力をもってⅣ号を一気に叩く!一気呵成にたたみかけるのだ!!」

 

ズバシッ、とでも言いそうな大号令をかけるエルヴィン、あのー、隊長は一応俺なんですよー。

 

「悪いが却下だ」

 

「なん…だと?八幡、お前も乗り気じゃなかったのか?」

 

いや、そんな狼狽する事ないでしょ、誰も採用なんて一言も言ってないんだし。

 

「まぁ聞け、確かにエルヴィンの出した策は定石で王道だ、だが…だからこそ西住には読まれているだろう」

 

相手が素人、いや、ちょっとした経験者くらいなら、恐らくはエルヴィンの作戦で問題ないだろう。

 

だが今回は違う、相手はあの戦車道最大流派の一つである西住流なのだ。

 

一応、俺だって西住を戦車道に勧誘する時、西住流についてもそこそこには調べている。

 

だからこそ、確信して言える、単純な策はあっさり看破されるだろうと。

 

いや、本当に西住流マジパないんだよ、あれやこれやとディスっては見たもののそれも単なる強がりだし。

 

「ではどうするというのだ?」

 

「もちろん、何か作戦あるんだよね、比企谷ちゃん」

 

「…一応は」

 

さて、意見も一通り出た事だし、そろそろ俺の考えてた作戦を伝えるか。

 

こういった話し合いの場では自分の意見を押し通すのでなく、まず相手の意見を聞き、やんわりと否定し、自分の意見はここぞという時までとっておく。

 

それが長い年月をかけて俺が学んだ技術の一つでもある、やー、もっと早く学んでおけば中学の頃、学級会で吊し上げにならずに済んだのにね。

 

「向こうに戦車道経験者が居るなら、逆にこっちはそれを利用してやりましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「比企谷君、大丈夫かな…」

 

蝶野教官に指定されたポイントに辿り着けた私達とバレーボール部の皆さんは一度、戦車から降りて作戦会議をする事にしました。

 

ふと、向こうのチームに無理矢理参加させられた比企谷君の事が気になって、相手チームの居る方角を見てみました。

 

…戦車道が嫌いなのに、戦車道に無理矢理参加させられて、ますます嫌いにならなければいいけど。

 

比企谷君は…なんと言うか、変な人で。

 

転校したばかりで、まだ沙織さんとも華さんとも仲良くなかった頃、いつも一人でいた私は同じようにいつも一人で居た彼がちょっぴり気になってました。

 

昼休みにはいつも一人でどこかに行っていて、気になって追いかけてみた日に初めて話をして、いきなり戦車道やれって言われて、生徒会室であんな話をして。

 

でも本人は戦車道が嫌いで、でも戦車道を手伝っていて、なんか本当に変な人だなぁ。

 

…私も一緒かな、戦車道から逃げて大洗に来たのに、結局また戦車道始めてるし。

 

しかも隊長かぁ…、出来るかなぁ。

 

「西住殿?」

 

「どうしたのみぽりん?大丈夫?」

 

「ううん…大丈夫、それでは作戦会議を始めましょう」

 

…とりあえず今は試合に集中しなきゃ。

 

「西住隊長、よろしくお願いします!!」

 

「バレーボール部復活の第一歩、根性で勝つよ!!」

 

私達のチームは私達Aチームとバレーボール部の皆さんのBチームの二両編成です。

 

まず私達のⅣ号戦車。

 

隊長になっちゃった私が車長をして沙織さんが装填手と通信手の兼任、華さんが操縦手、優花里さんに砲手をしてもらってます。

 

そしてバレーボール部の皆さんのBチームの八九式。

 

キャプテンである磯辺さんが車長と装填手を、近藤さんが通信手と八九式にある機関銃の射手、河西さんが操縦手、佐々木さんが砲手を担当しています。

 

「それで西住隊長、作戦はどうしますか?」

 

「うん、私達のチームは二両で相手チームは三両だから、まず単独行動は控えましょう、相手チームの戦車を各個撃破出来れば理想的なんだけど…」

 

「だったら生徒会!まず生徒会潰さない?教官女の人だったし、また生徒会に騙されたんだよ!?」

 

「それは勝手に勘違いしただけなのでは…」

 

ぶーっと不満そうな沙織さんに思わず、華さんと苦笑いをしてしまいます。

 

「確かに生徒会チームには隊長の比企谷殿も乗ってますから、撃破出来ればデカいですね、比企谷殿、どんな作戦で来るんでしょうか?」

 

「あのー、比企谷先輩は戦車道経験者なんですか?向こうのチームの隊長ですけど」

 

「男の人だし、それはないでしょ」

 

近藤さんの質問に河西さんが答えます。

 

「うーん…相手チームの作戦かぁ、普通なら多分、経験者の私が居るⅣ号を向こうの三両が集中攻撃、かな?」

 

「向こうは一両多いもんね」

 

「うん、もしそうなったらさっき話した通り、とにかくこちらも二両がかりで相手チームの数を減らしましょう、向こうが三両で来ても、相手にするのは一両でいきます、一両でも撃破出来れば戦力は互角ですから」

 

「了解です!根性見せるよー、みんな!!」

 

「でも、普通なら…だから、だって相手の隊長、比企谷君だし」

 

「あー、うん、比企谷だもんね」

 

「比企谷さんですからね…」

 

「比企谷殿…ですし」

 

口々に出てくるその言葉に私達Aチームのみんなは思わず、みんなで小さく笑い合ってしまいました。

 

「…比企谷先輩って、本当に何者なんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

 

『…そろそろ時間ね、両チーム共、準備はいい?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「比企谷ちゃん、時間だってさ、あ、干し芋食べる?」

 

「わかってますよ、会長、あといらないです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みぽりん、そろそろ始まるよ!!」

 

「うん、みんな、行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「パンツァー、フォーッ!!」」


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