やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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エリカさんルートとかエンディングまで書いたら読む人みんな号泣する最高のルートになる事は間違いないね。

ガルパンにおけるみほのライバルってお姉ちゃんからダージリン様、カチューシャに劇場版のあの子と人によって意見は様々でしょうがやはり自分は彼女を押したい。


その問に、逸見 エリカは答えを出す。

ジャックポットを引き当てた姉住さんの大量のメダルをゲーセンのメダルバンクに預けた俺達は西住へのプレゼント選びという本題へと戻る。

 

ゲームセンターでのメダルゲーム大会は気分転換、そしてある意味では一種の逃避のようなものだった。

 

またこうして店巡りを再開してはみたが、もう目についた店は大抵見て回ったのでどうにもプレゼント選びは難航しているのが現実だ。

 

「こういうクッションとかどうです?あいつら戦車にクッション持ち込んでるんですが」

 

「戦車にクッションですって…ふざけてるの?」

 

ふざけてるんだよなぁ…。まぁ戦車ってかなり振動酷いんで実際に乗ってみるとクッションが欲しくなるのはわかる、痔になっちゃうかもしれないしね。

 

「…人を駄目にするクッション?みほが駄目になってしまったらどうする?」

 

いや、商品のキャッチコピーまともに受け取らんでも、どんだけ真面目なの?

 

「なかなか決まりませんね…」

 

人を駄目にするクッションを真剣な表情でふにふにしている姉住さんの図はそのギャップもあって妙に可愛らしいが、どうにも決定力には欠けるようだ。

 

「…てか、たぶん決められないんだろ」

 

「えと…それはどういう?」

 

ここまでアクセサリーから日用品等まで様々な品を見て回ったが、姉住さんが納得する品物は見つからない。

 

西住が本当に欲しい、喜ぶ物をプレゼントをしたいのだろうが、それがなんなのか確信が持てないのだろう。

 

「あの人、かなりシスコン入ってるからなぁ…このまま迷い続けてたら今日中には終わらんぞ」

 

うーん…そうなると俺も困ったぞ。いや、西住へのプレゼント選びは最悪後日にまた、俺が居ない時にでも回してくれても良いんだが。

 

「何かあったんですか?」

 

そんな俺の様子を察したのか、赤星が声をかけてくれる、これだよ。この気遣いこそ天使が天使たる由縁なのか。

 

「いや、せっかくだから妹に土産になんか美味いもんでも買ってやろうって思ってたから、そっちを買う時間も欲しくてな」

 

「あんたも大概シスコンじゃないの…」

 

何をいう、妹にお土産の一つや二つ、三つや四つ買うのは兄として当然の責務である。

 

小町も受験勉強を頑張っているのだ。せっかく他所の学園戦艦に来たのならお土産を買う目的があっても変ではない、むしろそれが妹の為とか真っ当な理由しか無いまである。

 

「…理由」

 

ふと、今さらにそんな当たり前の事が気になった。むしろなぜ今までこんな簡単な言葉が思い浮かばなかったのか、不思議である。

 

…あ、いや、不思議じゃないか、贈り物とかプレゼントとかあんまりした事無かったからね、仕方ないよね?

 

「…これ聞いてませんでしたけど、なんで西住にプレゼントをするんですか?」

 

そもそもがそこである。

 

「誰かにプレゼントをするのに理由が必要か?」と聞かれれば必要に決まっている。つーか特に理由もないのにプレゼント送られるとか俺ならなんか普通に怖い。

 

西住の誕生日が近いのなら話もわかるがあいつの誕生日はまだ先のはずだ。え?なんで知ってるのかって?それは…まぁ、うん、西住も俺の誕生日知ってるんだし別に良いじゃん、そこは流そ?ね?(圧力)。

 

他に考えられるとすれば大洗が戦車道で優勝したお祝いくらいなんだが…。いや、それを負けた側が贈るとか隊長は人の心が無いんですか?と問い詰めたくなる。

 

「………」

 

「何が理由かでプレゼントって結構変わると思いますが?」

 

ふと沈黙する姉住さんに答えを促す為にそう付け加える、もちろん嘘ではない、どういった主旨でプレゼントを送るのかは重要である。

 

例えばクリスマスやバレンタイン等、贈り物を送る日となればそれに合ったプレゼントが選びやすいというものだ。

 

「…そうだな、最初に話すべきだった事だな」

 

やがて、少し重い口振りで姉住さんが答える。

 

「本当はみほには先に声をかけていた、たまには黒森峰に遊びに来ないか?と」

 

「…それは」

 

…いや、思い返せば当然か。姉住さんの事だ、俺に連絡を入れるより先に普通ならまず西住に声をかけてたはずだ。そりゃそーする、俺がこの人でもまず小町を呼ぶ、むしろ小町の友達に男が居たらそいつは呼ばないまである。

 

そして西住がここに居ないという事はだ…。

 

「…みほさん、断ったんですね」

 

「いや、はっきりとは断らなかったが、戸惑いは感じられた」

 

…やはり、そういう事だろう。

 

西住も別に黒森峰に遊びに行く事が嫌な訳じゃないだろう。あいつお姉ちゃん大好きなシスコンだし、赤星とも会いたいはずだ。二十七ツ見 エリカ?知らんがな。

 

だが西住には負い目がある、そしてあいつはそういう負い目を人一倍気にしやすいのだ。

 

去年の戦車道全国大会での黒森峰優勝を逃した原因を作り。

 

負けた事で騒ぎ立つ黒森峰から戦車道を辞めて逃げるように大洗へと転校し。

 

その大洗で辞めたと思っていた戦車道をひっそりと再びやり始めていて。

 

また今年、今度は敵として黒森峰の優勝を阻止した。

 

…うーん、身内ならともかく、端から見てこうして並べるとなんとも畜生ムーヴ、そりゃ負い目を感じるのは無理がない。

 

とはいえ一番の畜生は生徒会の人達なのだが、まぁあの人達にもあの人達の理由があった訳で、とりあえずなんもかんも文科省が悪い。

 

ちょっと考えればわかっていた事だが、それを俺もよく気軽に西住を呼ぶ事を進めていたものだと少し自己嫌悪してしまう。

 

「…だからせめて何かプレゼントでも、と思ったんだが、それもなかなか難しいものだな」

 

「隊長…」

 

姉住さんがプレゼントを決められないのも原因はそこだろう、でなければここまでこの人が迷うはずがない。

 

どこまでも不器用で、優しくて、西住の事を大切に思っているのが伝わってくる。

 

「…私は納得できません、勝手に出ていって、勝手に負い目作ってて、なんなのよ…あの子」

 

「エリカさん!!」

 

…苦々しく顔をしかめたのは…逸見だった、拳を強く握りしめている。

 

「…すいません隊長、今日は先に帰ります」

 

だが、その握った拳もやがて行き場を無くし、彼女は姉住さんに頭を下げるとすぐに答えも聞かずに歩きだした。

 

「…エリカ」

 

そんな逸見の背中に向けて姉住さんが小さく呟く。きっと、こうなる事がわかっていたから西住へのプレゼントの理由を隠していたのだろう。

 

「…ま、ほっといてもすぐ帰ってきますよ」

 

「比企谷さん、その言い方はあんまりじゃ…」

 

「いや、だってここにはまほさんの車で来てるし、あいつ帰る足ねぇだろ?」

 

集団行動してるとそういう事あるよねー、そんで帰る時に絶対気まずくなるパターンのやつ。

 

「た、確かに!?…って、そういう話じゃなくて、えと…」

 

「そんな訳で赤星は先回りしてバス停辺りでも見張ってて、まほさんは車にでも戻ってて下さい」

 

「…え?」

 

全く、戦車道全国大会の一回戦で離島に置き去りのされかけた姉住さんといい、もうちょい後の事を考えて行動しないとね。

 

「…君は?」

 

「…まだ小町の土産も決まってませんからね、ちょっとぶらぶらしてきます」

 

「そうか…、すまないが任せていいだろうか?」

 

「世の中、嫌いな奴とかどうでもいい奴だからこそ話せる事もあるもんですからね」

 

だからきっと、ここは俺が最適なのだろう。

 

尊敬する隊長でも黒森峰の仲間でも、ましてや渦中の西住でもない。パッと出の邪魔者、それが俺なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー 

 

 

「…よ、偶然だな」

 

もともと逸見と別れてからそう時間もたっていない、追い付くのは簡単だった。

 

「…何よ、何か言いたい事でもあるの?」

 

鋭い目付きと刺のある物言いは相変わらずで安心さえする、先ほどの苦々しい表情よりずっとこいつらしい。

 

「わざわざ追いかけて来て、どうせ文句でもあるんでしょ?」

 

「残念ながら、ないんだなこれが」

 

牙を剥く逸見にわざとらしく肩をすくめて答える。本当に残念で仕方ないんだが、文句の一つも付けようはない。

 

「…はぁ?」

 

「別にお前が怒るのも至極尤もだしな、それにあれこれ言うつもりはねぇよ」

 

やらかし具合でいうなら西住がかなりやらかしているのは事実だ。それが仕方ないとしても結果として黒森峰は西住によって二年連続で優勝を逃した。

 

「相変わらずおかしな奴ね…、あんたあの子の味方じゃないの?」

 

「西住が黒森峰から出ていったのは事実だしな」

 

逃げたという事実と責任はずっと本人に付いて回る、西住が負い目を感じるのはそこだろう。

 

「…でも、逃げる事は悪い事でもないだろ」

 

それでも、逃げる事が悪と言うのなら、俺は違うと否定したい、否定されるべきだ。

 

「西住が黒森峰から出ていったのが正解か不正解なんてひと括りにまとまるものでもないだろ、大洗からすれば西住が来なければ廃校確実だった訳だし」

 

「そんなの…あんたに都合の良い意見じゃない、よくそんな事堂々と言えるものね」

 

俺の主張にてっきり怒りだすかとも思ったが、逆に呆れたようでため息をつかれる。

 

「まぁ…そうだな、だからお前も勝手に都合の良い解釈をすれば良い、正解不正解なんてのは結局、考え方次第なんだから」

 

事実は変わらない。西住の持つ負い目も、逸見が持つ激情も変わる事はないだろう。

 

起きてしまった出来事を変える事ができないのなら考え方を変えるしかない、自分を騙し、世界を騙すのだ。

 

「…なによそれ、屁理屈で無理やり納得させようっていうの?」

 

「屁理屈も理屈だからな、適度に自分を騙して納得させていけばどんな嫌な仕事でも気楽にはなるぞ、ソースは俺」

 

「あんたが情報源じゃ信憑性もなにもないわね…」

 

いやいや、案外これが馬鹿にできないものなのだ、この先の厳しい現代社会を生き抜くのに必須まである。俺の社畜スキルの高さは情報源として十分すぎる。…むしろ十分すぎて悲しくなるまであるが。

 

「…そうね」

 

逸見は少しだけ考えるとやがて顔をあげる。言いたい事の多くを飲み込んだ、寂しそうな表情を彼女はすぐに消した。

 

「敵として、あの子と戦えるのは良いわね、私の方が実力が上だって証明できるもの」

 

そこにはよく見る、いつもの強気な表情の逸見が不敵に微笑んでいた。

 

あぁ、確かに。それは西住が黒森峰に居たら出来なかった事だろう。校内の模擬戦こそしても実際に試合となるとお互いの心持ちはやはり違うものだろう。

 

別の高校だからこそ、本気で戦う事ができる。その考えは実にこいつらしい、都合の良い解釈だ。

 

「…よかったな、西住が黒森峰から大洗に転校して」

 

「そうね、おかげで遠慮なく叩き潰せるもの」

 

いつかのあの時と同じ問に、彼女は今度は笑顔で返す。え?笑顔なの?なんかこいつの笑った表情とか初めて見た気がする。叩き潰せるとかよく笑顔で言えるよね…。

 

「しかし…出てくるのがそれとか、相変わらず物騒な奴だな、もうちょい仲良くする気とかねぇの?」

 

「無いわよ、だってあの子とは本気で戦わないと意味が無いでしょ?」

 

そこはむしろ心配いらないんじゃないかな、西住は仲良かろうが悪かろうが戦車道となると容赦ないからね?西住流マジパねぇから。

 

まぁそれがきっと、逸見 エリカのライバルに対する心持ちというか、譲れない所なのだろう。

 

「…そろそろ戻るか?二人も心配してるだろうし」

 

「そうね、…あっ、ちょっと待ちなさい」

 

なに?これ以上赤星を待たせるとかちょっと赤星成分不足で俺倒れちゃいそうなんだけど、小梅ニウム摂取しないと…。

 

逸見…いや、もういいか。えーと今何時だい?と時そば風に数を数え直して…。そうそう、二十八ツ見 エリカだ、思えば遠くに来たもんだとしみじみしてしまう。

 

そろそろ三十の大台にも突破しそうだな、どんだけ俺こいつの事考えてたんだよ、怖ッ!!

 

「なににやついてのよ、気持ち悪いわね…、それよりあれ」

 

二十九ツ見 エリカはそんな俺を見て思いっきり引いていた、だがその手は一軒の店を指している。

 

「…あれがなんだよ?」

 

お菓子ってかケーキが店先に並んでいるのを見るにスイーツショップだろうか。え?なに?ケーキ奢れっての?

 

「アイアシュッケよ、そんなのも知らないの?」

 

アイアシュッケ?また妙に格好いい言葉が出てきたぞ、ドイツ語って基本的に格好良くてズルい。豚とかでもドイツ語だとシュヴァインって言うらしいし。

 

「このシュヴァイン野郎!!」とかなんかもう誉め言葉にしか聞こえない、これは流行る。

 

「妹さんへのお土産、買うんでしょ?チーズケーキみたいなものだけど大丈夫?」

 

「あぁ…まぁ、それは大丈夫だけど、美味いのか?」

 

「えぇ、とってもね、あんたが良く飲んでるやつとも合うわよ」

 

意外だが、三十ツ見 エリカオススメの一品らしい、こいつが俺に太鼓判を押して紹介してくるとか罠の可能性すら考えるが、小町の為ならば安心できるだろう。

 

なにより、アイアシュッケについて語る彼女の表情がとても緩やかで、好きな食べ物について語る一人の女の子だったのだ、マッ缶を添えてるとかわかってるじゃないか。

 

「そっか、なら買っとく…、でも西住の方はもう良いのか?」

 

だが、肝心の西住へのプレゼント問題については結局何も解決していない、三十一ツ見 エリカが手伝う気になったとしても先にそっちを優先すべきだろう。

 

「…それなら問題ないわ」

 

「…は?」

 

「渡すものは決めたわ、隊長も小梅も納得するはずよ、まっ…あの子が納得するかは知らないけど」

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