やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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ずっと忙しくて更新遅れてすいません、いや…別にとあるソシャゲのイベント周回とかしてた訳じゃありませんから、ボックスとか開けてた訳じゃありませんから(震え声)。

二次元でも現実でも、女性の普段と違う髪型って良いですよね、ツインテゆきのんは原作も良いですがアニメになると更に破壊力マシマシ、てかデレのんがヤバい、尚、一番ヤバいのは八幡のデレ。

とりあえずアニメ俺ガイルの完結、おめでとうございます。1つのラノベを原作からアニメまで最後まで見続けていられたのは幸せでした。

…これでもう完全に俺ガイル難民になっちまったなぁ…。


その部屋で、二人の秘密のお茶会が始まる。

「着きましたわ」

 

「…おじゃまします」

 

案内されるままダージリンさんの部屋…だと思われる場所へ連れて来られる。

 

そりゃもうホイホイと…。いや、だって聖グロリアーナ内の学園艦の内部なんて俺が知るはずもないのだ。そりゃホイホイついていくしかないでしょ。

 

「…ふぅ」

 

そしてなによりこの仮面を付けたままだと目立つは息苦しいわでそろそろ外したかったのもある。俺はようやく紅茶仮面を脱ぎ捨て、比企谷 八幡へと戻った。

 

仮面を外すと自然に視界が広がる、そこはまるでホテルの一室のように綺麗に整えられた部屋だ。さすがお嬢様学園、学生の部屋でこれとかどうなってんの?

 

「えぇっと…」

 

そのあまりの豪華さとダージリンさんの部屋という事実に落ち着かない、やっぱ八幡じゃダメ?もっかい紅茶仮面になっとく?

 

「ふふっ、自分の部屋だと思って楽にしていいのよ?」

 

そんな俺の様子を察したのか、ダージリンさんが可笑しそうに微笑んだ。

 

「じゃ…その、ありがたく」

 

「えぇ、自分の部屋だと思ってね」

 

「なんで二回言ったんですか…」

 

そもそも自分の部屋と違いすぎて思えるはずがない、これが俺の部屋なら帰るなりベッドへダイブするだろうが、ダージリンさんの部屋のベッドでそれはできない。

 

俺は名残惜しくベッドを眺めながら椅子に座る。…いや、別に変な想像とかしてませんよ?あまりに豪華で寝心地良さそうだったから二鳥に似たようなのないかなーとかちょっと思ってただけだから。

 

「今紅茶を用意するわね」

 

「…ダージリンさんが、ですか?」

 

いや、もちろん聞き返す程驚く事でもないんだが、そういえばこういうお茶会の席での紅茶は大抵オレンジペコがお茶を用意していた。

 

基本的にダージリンさんは飲み専のイメージがある。…まぁ上級生だし、隊長だし。聖グロリアーナ的にも当たり前の事なのかもしれないが。

 

「あら、私が紅茶を淹れられないとでも?」

 

訝しむ俺に気付いたのか、ダージリンさんは少しむっとした表情を見せる、この人なんだかんだ負けず嫌いなんだよなぁ。

 

「いやその…、単純にイメージがあんまり湧かないというか」

 

「私もペコくらいの時には上級生の先輩方のお茶を用意していたのよ」

 

うーん…そりゃそうなんだろうが。何故かそう言われてもこの人の後輩時代とかますますイメージが沸いてこないのが不思議である。

 

「そうね…せっかくですし、アールグレイにしましょうか?」

 

「別に良いですけど…なんでまた?」

 

てっきりまたダージリンティーを勧められるかと思ったが。ふとダージリンさんが思いついたように言う。

 

「私とアッサムが世話係をしていた方の名前もアールグレイだったのよ」

 

今でいうとオレンジペコとダージリンさんの関係。…みたいなものだろうか?ダージリンさんは昔を懐かしむように呟きながら紅茶の準備を進めた。

 

「ダージリンさんの先輩だった人、ですか」

 

「えぇ、才色兼備で家も名家のお嬢様だった方よ、立ち振舞いもお淑やかで…学園内でも有名だったわ」

 

「そんな漫画みたいな人居たんですか」

 

聖グロリアーナってやっぱとんでもないな。

 

「…その裏では映画の影響を受けて妙なコスプレしたり、時間にルーズで時間通りに来た試しがなかったり」

 

「そんな漫画みたいな人居たんですかー…」

 

…聖グロリアーナってやっぱとんでもないな(確信)。

 

「まったく、私やアッサムがどれだけ苦労をかけさせられたか」

 

ヤバい、完全に愚痴モードだ。普段優雅なダージリンさんが居酒屋で先輩の愚痴を言うOLみたいになってる。ダージリンさんをここまでさせるとかアールグレイ先輩どんだけ強キャラなのよ?

 

「おまけに事あるごとに教育と言って私のスカートをめくって…」

 

「え?」

 

今なんかすっごい事言いませんでした?スカート?え?ダージリンさんのスカート?

 

「…なんでもないわ、忘れてちょうだい」

 

あまりの愚痴モードに思わずポロッと出てしまったのだろう、気付いたダージリンさんは頬を染めて手はスカートを隠すように裾を握っている。

 

「いや、その…」

 

「忘れなさい」

 

「…はい」

 

ただ…その言葉は忘れても、その仕草を俺は忘れないだろう。

 

アールグレイ先輩、ありがとう!!もし今後会う機会があるならまた教育しやすいようにダージリンさんと一緒にお礼を言いに行きますね。…たぶん会う事ないだろうけど。

 

「とりあえずは…話だけ聞いててもとんでもない人ですね」

 

「えぇ、すごい人よ」

 

愚痴を言いながらも俺のその言葉にダージリンさんは誇らしげに答える。世話係時代にはよほど振り回されたらしいが、それでも尊敬というか彼女にとって特別な人なのだろう。

 

アールグレイティーの用意が出来るとダージリンさんは戸棚からティーセットを取り出して机に並べる、部屋にもティーセットが常備しているとかさすが聖グロリアーナ。部屋には家具家電ティーセット付きなんだろうか。

 

「…少し失礼するわね、待っていて下さらない?」

 

「え?いいですけど…」

 

だがダージリンさんはティーポットのアールグレイをカップに注ぐ前に立ち上がってどこかへ向かう。横目でそれを眺めていると彼女が向かったのは洗面台だった。

 

…え?洗面台?なんだろ?ヤバい、女子が洗面台に立つってワードだけでなんかもうヤバい。一番ヤバいのはそんなワードでヤバいと認識してる俺がヤバい。

 

とか勝手にドキドキしているとダージリンさんはすぐに戻ってきた。

 

「お待たせしたわね、さ、始めましょう?」

 

長い金色のブロンドの髪がふわりと揺れる、戻ってきたダージリンさんはいつものギブソンタックの髪型を解いていた。

 

普段髪をまとめているので気付かなかったが、髪を下ろすとかなりのロングヘアーで、ウェーブのかかったブロンドの髪がこの人にとてもよく似合う。

 

「………」

 

言葉を失い、固まってしまった。普段の髪型とはまた違ったその姿に思わず見惚れてしまう。

 

「…なにかしら?」

 

「え?あぁその…髪、下ろしたんですね」

 

ダージリンさんに声をかけられてようやく我に帰る。…いや、危ない危ない、マジでこれは目に毒だ。

 

「えぇ、変…かしら?」

 

いや、自分の部屋だから髪下ろしてゆっくりするのは少しも変じゃないし、容姿の話をしているならそれこそ…。

 

「…いや、変、ていうか、普段見慣れてなくて驚いて」

 

そこで素直に綺麗…という一言すら言えない俺がむしろもどかしく思えるくらいだ。

 

「言われてみれば…そうね、聖グロリアーナでもこの髪型で居る時の方が少ないくらいかしら?」

 

「そりゃ…もったいない」

 

「…え?そ、そう…かしら、ありがとう」

 

思わず出た言葉にダージリンさんは自分の髪をくしくしと弄くる。いや…この人、マジ可愛いな。

 

「「………」」

 

そんなやり取りのおかげで俺とダージリンさんはお互い無言で妙にそわそわとしてしまう。

 

「こほん…、早く飲まないとせっかくの紅茶が冷めてしまうわ」

 

「…ですね、いただきます」

 

仕切り直すようにダージリンさんがわざとらしく咳を入れるがさすがにそれに茶々を入れるつもりはない、素直にお茶会に乗る事にした。

 

「今日はお疲れ様」

 

ダージリンさんがカップを上げる、乾杯の合図という事だろう。

 

「えぇ、本当に疲れました」

 

「あら、正直ね」

 

「一生幸せでいたいですからね、これでも」

 

「ふふっ、覚えていてくれたのね」

 

いつぞやの練習試合の後の格言を思い出してそう答えると彼女も笑いながら答えてくれた。

 

「ありがとう、あなたのおかげで助かったわ」

 

「はぁ…まぁ、どうも」

 

なにがどう助かったのか正直よくわからない。結局、わざわざ俺をダンスパーティーに招いたのは何の意味があったのだろうか?

 

「むしろ良かったんですか?伝統あるお嬢様学校の聖グロリアーナのダンスパーティーに男のゲストとか呼んじゃっても」

 

「向上とは変化である。完全になるとは、しばしば変化することである」

 

「チャーチル、ですか」

 

「確かに伝統は大切よ、でも…それだけじゃ何も変わらないわ」

 

ダージリンさんは紅茶を一度飲むと窓の方へと目をやる。

 

「大洗と練習試合をする時は男性の方が来ると聞いてみんなずいぶん戸惑いや緊張があったわ、ペコもどうもてなせば良いのか悩んでいたくらいね」

 

「…はぁ」

 

聖グロリアーナは女子校で更には生粋のお嬢様学校だ、同年代の男子…ってのはそれほど珍しいのかもしれない。

 

「今後試合に影響する可能性もある事を考えたら、今の内に男性の方にも慣れておく必要があるでしょう?」

 

…それでやって来たのが目の腐った男とか荒治療にも程がある気がする、俺を同年代の平均男子の置き換えていいものだろうか?

 

「…そもそも考えすぎじゃないですか?戦車道やってる学校なんてだいたいどこも女子校でしょ」

 

全国大会のラインナップを見れば一目瞭然だが、出場校は圧倒的に女子校ばかりだ、戦車道が乙女の嗜み…だと言うのなら当然だが。

 

余談だが。女子校の学園艦があるんだから当然、男子校の学園艦もある。男だらけの学舎…海上、何も起きないはずはなく。

 

…大洗が共学で良かったよ、うん。

 

「それもあなた達の優勝で来年以降はどう変わるかわからないわ、中には大会に出てこないだけで戦車道をしている学校だってあるもの」

 

あぁ、それって黒森峰の副隊長が言っていた『戦車道のイメージダウンになりそうな高校は大会に参加しない』とかいう暗黙のルールってやつか。

 

そういう学校が、または大洗のように再開、もしくは新規に戦車道を始める学校が今年の無名校だった大洗の優勝に触発されて来年エントリーしてくる可能性は確かにあるのだろう。

 

そうなるとあの副隊長さんももうドヤ顔で暗黙のルール言えなくなるね。

 

「だから、今後もよろしくお願いするわ」

 

「…今後もあるんですか」

 

「もちろんよ、だって…」

 

スッとダージリンさんが耳元に顔を近付ける、ふわりと長い髪が俺の鼻先を掠めて良い香りにくらりとした。

 

「次は仮面を外したあなたと踊りたいもの」

 

耳元でそう呟くとすぐに彼女は顔を離して涼しい顔を見せる、対して俺はドキドキしっぱなしで恥ずかしいったらない。

 

「えと…いや、そう…ですか」

 

苦し紛れを繋ぐ為に紅茶カップを手に取る、まったく…この人は油断も隙もない。さっきからやられっぱなしじゃないか。

 

とりあえず紅茶だ、紅茶を飲んで落ち着こう。イェイ!紅茶最高!紅茶最高!!とりあえず紅茶最高と叫びなさい、これでお前も立派な聖グロリアーナの生徒だ。

 

「えぇ、今度はみほさん達も呼んで…ね」

 

「…ぐほっ」

 

…紅茶が気管に直撃した。忘れていた、油断していなくても隙を見せなくても、真正面から普通に砲撃撃ってくるのがこの人なのだ。




髪を下ろしたダージリンさんが見たい人は是非とも検索して見て下さい。ほんと…すごい破壊力ですから。

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