やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
一応大元の予定を決めましたのでまた活動報告にて報告いたします!!
こういうあれこれ試合の計画する話は書いてて面白いですね。…ところでエキシビションマッチって何両対何両の試合だったんですかね?試合自体途中からスタートでしたし。
思ったより、比企谷 八幡の勝利確定Vストックは多い。
『それで?あなたはそれを承諾した、という事でよろしいかしら?』
「…はい、よろしいです」
いや、よく考えても見てほしい。目の前には不安そうな表情のカチューシャさん、横には無表情で圧をかけてくるノンナさん。
これで断れる奴っているの?いや、いない(断言)。
大洗学園と聖グロリアーナの試合となる予定だったエキシビションマッチだが、プラウダ高校も参戦となると話は違ってくる。
とりあえずはこれからどうするかの報告も兼ねて、聖グロリアーナに連絡を入れなければならない。
『そう…、あなた方ときちんとした形で決着をつけられないのは残念ね』
モニターに映るダージリンさんは、そう言いながら静かにティーカップを置いた。モニター越しなので飲んでいるのが紅茶かマックスコーヒーかはわからないけど。
「えぇっと…聖グロリアーナとしては良いんですか?」
元々、今回の試合の目的は全国大会で実現出来なかった大洗と聖グロリアーナの再戦にある。
『運命は我々を導き、かつまた我々を翻弄する。もしかするとあなた方とはもっとふさわしい舞台があるのかもしれないわ』
『フランスの哲学者、ヴォルテールですね』
ダージリンさんのいつもの格言にペコがそう付け加える。…うーん、正直怒られるかと思ったが意外と優しい。
…優しすぎて逆に怪しいまである。
「ところで…ダージリンさん」
『なにかしら?マックス』
「…なんでカチューシャさん、エキシビションマッチの事知ってたんですかね?」
いや、別に内緒にしようとしてた訳じゃないんだが、エキシビションマッチはまだ先の話。俺からカチューシャさんに話をしていないとなると。
『…Come, let us have some tea and continue to talk about happy things.、素晴らしいお茶を前にすれば、人は自然と会話が弾むものよ』
『アメリカの作家、ハイム・ポトクですね』
率直に訳すと【さぁ、お茶を飲んで幸せな事について話し続けよう】…うん、薄々気付いてたんだけどね。
『ダージリンがお茶会の場で自慢気に話すからですよ』
『カチューシャさん、よっぽど悔しかったんですね…』
『あら、愛とスキャンダルはお茶の最高の甘味料、とも言いますのよ、ね?マックス』
「いや、そこで同意を求められても」
スキャンダルが最高の甘味料とか趣味が悪い。あぁ、それでテレビのワイドショーとかはタレントの不倫騒動には容赦ないのか。徹底的に潰す気満々だよねあれ。
『ちなみに今のはイギリスの劇作家、ヘンリー・フィールディングです』
そしてその格言に毎回引用元を解説してくれるペコ。なにこれ?聖グロリアーナのルールなの?誰かが格言を言ったら元ネタ言わなきゃならないシステムでもあるの?
「てか、なんかいつも以上に格言多くないですか?」
今日だけでもう三発目である、ダージリンさんの格言ラッシュ。
『すいませんマックスさん、こう見えてダージリン様もかなり焦っているというか…』
いや、そんなので誤魔化されると思ってんですか?しかし焦って格言に頼っちゃうとかこの人可愛い所あるよねー。やだ…誤魔化されちゃう!!
「こんな格言知ってます?お茶は独りで飲むべきだ。って偉い人が言ってましたよ」
『イギリスの小説家、C.Sルイスですね…。しかし私達聖グロリアーナにそれを言いますか…』
『ぷっふふふ…、さすがねマックス』
いや、皮肉のつもりだったんですがね。格言って意外とぼっちに優しいものやぼっちあるあるネタも多いのだ。
逆説的に俺の言葉も後々は格言となり、未来永劫語り継がれる事もあるかもしれない。ダージリンさんの子孫とかが「こんな言葉を知っていて?」とぼっち格言を語ってくれる、そんな未来があっても良いのかもしれない。
でもそうなるとペコ担当の子に「比企谷 八幡ですね」と元ネタ解説される未来まで見えて死にたくなってくる。うん、そんな未来は来ない事を祈りたい。
『で、カチューシャはなんて?』
「大洗と戦いたいみたいですよ、準決勝のリベンジですって」
だいぶ話が逸れてしまったがようやく本題に戻る。プラウダだが、狙いはもちろん大洗との再戦だ。
『ふふ、あの子らしいわね』
「いや、笑い事じゃないですよ。チーム分けどうするんです?」
元々は大洗と聖グロリアーナの試合だ。大洗の街にもそう伝えてあるし、そこは今更変更できないだろう。
つまり…。
『ではこちらは、私たち聖グロリアーナとプラウダの合同チーム、という事になるのかしら』
「…マジですか?」
聖グロリアーナとプラウダ高校、イギリスとロシアの夢のタッグがここに!!…などと悠長に構えている出来事ではない。
どちらか一方だけでも強敵なのに、二校をいっぺんに相手にしろというのだ。カチューシャさんも今度は油断しないだろうし。
「…聖グロリアーナが大洗と組むって手もありますけど?」
正直、戦車性能と保有車両で考えればわりとそっちのが現実的なマッチングだと思う。
『そうね、みほさんと共に戦うのも楽しそうね。ですが今回はあくまでも聖グロリアーナと大洗の試合、でしょう?』
「いや…まぁ、そうですけど」
そうなんですけどね、それだと戦力の差がとんでもない。大洗は元々8両しか戦車もない。
『気付かないかしら?私は【こちらは】私たち聖グロリアーナとプラウダの合同チーム、と言ったのよ?』
あーだこーだと唸っているとダージリンさんが優しく諭すようにそう付け加えてくれた。
…まぁ、そうなるよね。試合がタッグ戦となると大洗にももちろん相方が必要になる。
『大洗との決着は遠退いてしまいましたけど、これはこれで楽しみね』
…それ、やっぱり俺が探さないといけないんだろうか?いけないんだろうなぁ。
ーーー
ーー
ー
と、まぁその…なんだ、以前の俺ならここで狼狽し、「万策尽きたぁーー!!」と騒ぎ立ててエキシビションマッチは総集編になっていただろう。
だが、今はもうさすがに違うのだ。相方を探せと言われて、すぐに宛が思い付くくらいには勝利確定のVストックは多い。さすがは比企谷 八幡だ!!…お前本当に比企谷 八幡か?
などと自分で自分に疑心暗鬼を覚えつつ…宛が思い付くのだから仕方ない。
「という訳で先にメールした通り、黒森峰にエキシビションの参加をお願いしたいんですが…」
『そうか…』
そんな訳で早速連絡をいれたのは二度優勝を逃したとはいえ、まだまだ高校戦車道最強格の王者黒森峰だ。え?卑怯?聖グロリアーナとプラウダがタッグの時点で向こうのが卑怯みたいなもんだし…。
最強ドイツ戦車に西住姉妹揃い踏み、そして天使赤星 小梅と聖グロリアーナ、プラウダの両校を迎え撃つのにこれ程ふさわしいラインナップは他にあるだろうか?いや、ない!!
え?現副隊長さん?誰だっけ?…ちょっと記憶にないなぁ。
とにかくだ、黒森峰とチームを組めばエキシビションマッチは戦車道全国大会の上位勢揃い踏みだ、これ普通に金取れるレベル。
『…ありがたい申し出だが、黒森峰は今回参加は辞退させて貰いたい』
…おや?え?
「…久しぶりに西住にも会えますよ?」
『そうだな、みほには会いたい所だが』
いや、そこははっきり答えるのね。全国大会も終わって姉妹のわだかまりも無くなったらこの人、いよいよ本音を隠さなくなってきた。
『ただ、お母様が家元に就任する日が近く、黒森峰も式典の準備がある』
…なにそれ初耳。西住姉妹の母親、西住 しほさんは確か西住流の師範とは聞いてたけど。
あの人、ついに家元にまでなるのか。まぁそりゃなるよね…通常攻撃が二回攻撃で全体攻撃してきそうだもん。
これが家元になったら常時クリティカルとかついてきそう。戦車で…。
「…てかそれ、西住も参加した方が良いんじゃないですか?」
そもそも西住はこの話を知っているのか?…知らないだろうなぁ、姉妹のわだかまりはなくなっても、親子のわだかまりはまだまだ深そうだし。
知らん間に母親が出世してるってもなんだか妙な話ではあるが。
『いや、みほには大洗で自由に戦車道を楽しんで欲しい。お母様とはまた別に機会があるだろう』
まぁ、この人がそういうなら。そもそも西住家の話に部外者が首を突っ込む話でもないし。
『ただ…そうだな、君が参加する試合、というのは魅力的な話ではあるな』
「…いや、そうですか?」
エキシビションマッチへの参戦の申し出だ、当然試合内容は事前にメールである程度説明してある。
…つまり、俺が試合で出るかもしれない事についても。
「西住流的にアウトじゃないですか?男が出てくるとか」
『公式ではないのだろう?それに、普段と違う戦いはそれだけ学べる事も多い』
…ふむ、わりと柔軟な発想というか、それでもしっかり戦車道に繋げて考えている辺りはこの人らしい。
まぁこれが公式試合なら西住流としても良い顔はしないんだろうが。それでも非公式を認めるくらいには、この人にも何か変化があったのか。
『出来れば黒森峰からも何名か選出して参加させたいくらいだ。特にエリカは残念がっていた』
「えっ?あの現副隊長が?」
嘘だろ、こういうの絶対許せない奴だろあいつ。いや、記憶にはないんだけどね、俺が戦車道の試合に出るとかあいつにとって確実にキレる案件に違いない。やだ俺、副隊長さんの事超詳しいじゃん!!
『そう不思議でもないさ、君と戦える数少ない機会だろうからな』
いやそれ、現副隊長さん的には合法的に俺に砲撃ぶち込める機会なだけだろうなぁ…。
『比企谷、君の戦車道を楽しむといい』
「いや、まだ試合に出るかどうかも決まってませんけどね…」
姉住さんにお礼を伝えて電話を切る。うーん、しかし黒森峰はアウトかぁ。
まぁ仕方ない、ここで狼狽えないのは勝利確定のVストックがまだ残っているからだ。本当にお前、あの比企谷 八幡なのか?
自問自答しつつ、次なる宛へと連絡をいれる。相手はサンダース大学付属高校。
全国大会の結果こそ俺達大洗との一回戦負けではあるが、あれはいろいろ幸運とアリサのやらかしが重なった結果な訳で、そこは普通に優勝候補の一角。
隊長のケイさんの指揮はもちろん一級品だし、ナオミは高校戦車道界でもとびきりの砲手、スナイパーだ。
特にプラウダにもノンナさんという化け物スナイパーがいるので、それに対抗する意味でもナオミの力は必須だ。
いや、そもそも試合会場は大洗、地の利はこちらにある。
狙撃に有利なポジションをおさえて相手フラッグ車を即撃破、な展開も充分に狙えるのだ。
あとアリサには通信傍受機を打ち上げて貰おう。
「そんな訳でサンダース大学としてエキシビションに参加をお願いしたいんですが…」
『なにそれ!エイトボールも試合に出るの?すっごく面白そう!!』
おぉ!思った以上の食い付き、さすがアメリカン、ノリノリだ。
「いや、出るかどうかまだわかりませんけどね。で、試合日程なんですが…」
一応エキシビションマッチの日にちは夏休み最終日の一週間前と決まっている。いや…本当になんで夏休みの最後ら辺なんだよ、おかげで夏休み後半は仕事確定じゃねぇか。
『え?ちょっとちょっとエイトボール、よりにもよってその日なの?』
だが試合日程を伝えるとケイさんの声が残念なものに変わる。本当だよ、夏休みとはいったいなんなのか生徒会に問いたい。
だが、ケイさんが残念なのは別に夏休みの終わり付近だからとかではなさそうな…。おや?流れが変わった?
「えーと、もしかして…ですけど」
『その日はもう他の学校と試合を組んじゃったのよね』
「…マジッスか?一応聞きますけどドタキャンとか?」
『そんなフェアじゃないこと出来ないわ、約束は約束、当然でしょ?』
ですよねー。いや、さすがに俺だってそこで無理を言うつもりはなかったが。
『でも残念ね、アリサならこの話、絶対食い付くのに』
うーん…聖グロリアーナ、プラウダと戦うよりは、まだ他の学校との試合の方が、たかしにはアピールは出来るんじゃないですかね?
そうだ、大洗の試合に来てくれるなら特別にたかし君も招待しちゃうぞ!…なんかたかしの場合、空気読まずに女子と一緒に試合を見に来そうだけど。
『まぁでも仕方ないわね、エイトボールは試合、楽しんでね!!』
「だから出るかどうかも…」
というか、姉住さんと同じ事言うんですねこの人。何度か試合一緒に見てたけど、それだけつまらなそうに試合見てたのかな?俺。
ケイさんにお礼を言って電話を切る。…いやほら、まだアンツィオ高校があるし。
アンツィオならなんの心配もない。なにしろ普段からあのノリと勢いだ、きっとあっさりOKを貰える事だろう。
戦車性能こそ心許ないのは正直な感想だが、大洗市街戦となれば小回りのきくCV33は決して戦略的に悪い選択でもない。
CV33で誘導し、他戦車での撃破も狙える。今こそアンツィオのノリと勢いを存分に発揮する時が来た!!
『悪い比企谷!参加したいのは山々なんだが、試合はしばらく出来ないんだ!!』
嘘…だろ?アンツィオでしょ?ノリと勢いはどこ行ったの?
「えと…何かあったんですか?」
とはいえ予定があった黒森峰、サンダースとは違い、しばらく試合が出来ない――とはどういう事か?
『あー…実はな、うちの重戦車、P40なんだが』
P40と言えば全国大会でアンツィオが購入した秘密兵器、イタリアの誇る重戦車だ。…Ⅳ号くらいの重さしかないけど安斎さんも重戦車って言ってるし、そこは優しくしたげてね?
『現在長期入院中でなー…、その、率直にいえばその修理代で試合をする予算がないんだ』
「………」
思ったよりキツい話だった。貧乏がツラい。いや、本当にツラすぎる…。
「えーと、もしかして全国大会の二回戦から、ですかね?」
P40はフラッグ車でしたし、そりゃぶち抜きましたよ。悲しいけど、これ戦車道なのよね。
『ん?あー、それは違うぞ!それにあれは試合だからな、気にするな、な?』
なにこの人超優しい!さすがドゥーチェ、思わず電話越しでのドゥーチェコールをかましたくなる。
とりあえず違うって事はP40の長期入院は二回戦のせいではないらしい。
「じゃあなんで壊れたんです?もしかして不良品掴まされたんですか?」
確かP40と一緒に購入した格安のセモベンテ1両が不良品で試合中に暴発していた。
『あぁ、それは来月の【月刊戦車道】を読んでくれ…』
なんか酷く落ち込んでいてなんて言葉をかけて良いのかもわからない。月刊戦車道に何があったんだよ…。
『そんな訳で私達の事は気にせず、比企谷も試合を楽しんでくれ』
「まぁ…その、はい」
いや、気にするなと言われてもちょっと無理なんですけど…。
しかし…まぁ、隊長達に声をかけたがみんな最後は同じ事を言うものだ。
楽しむ…か。
気付いたら頬が緩んでいた。え?やだ…わりとガチで楽しみにしてるの?俺?
おいおい、お前本当に比企谷 八幡かよ。
という自問自答は置いといて…。そもそも試合を組まないと楽しむもなにもないのだけど。
さーて、次の勝利確定のVストックはーーーー?
「…万策尽きた」
ようやく、俺は俺であると認識した。うーん…これは比企谷 八幡ですねー…。
これはエキシビション、総集編で組めないかな?…組めないよね。