やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
てか、今回はずっと八幡爆発しねぇかなぁ…と思いながら書きました、しんどい。
「みんな、ちょっといいかな?」
戦車道の練習も終わって帰る途中に私はあんこうチームのみんなに声をかけました。
「なんでありましょう、西住殿?」
「この後どこかに寄って何か食べて帰るんですか?」
「いやそれ、華が何か食べたいだけでしょ…」
「私は甘い物ならいつでも付き合うが」
うん!それもすっごく楽しそう!!と、でもその前に…。
「えと…今週末に大洗に帰港する日だけど、みんなは何か予定とかってあるのかな?」
「私達の予定ですか…、ですがその日はみほさんの方がもう…」
「エキシビションの打ち合わせをするんだよね?」
「うん、打ち合わせといっても簡単な確認くらいだからすぐに終わると思う」
というか。ほとんどの段取りは生徒会の人達と八幡君と聖グロリアーナの人達で終わらせているみたいだから、私が特に何かをするって事もないんだけど。
「それでね、その日なんだけど…八幡君が大洗の町を案内してくれるって言うからみんなも一緒にどうかなって」
「「「「………」」」」
…やっぱり、みんな黙っちゃった。それでも、これはみんなにきちんと言わないとダメだと思ったから。
「みぽりん、ちょっと待ってて、ね?」
「え?うん…」
沙織さんがそう言うと私を置いて華さんと優花里さんと麻子さんが集まります。…えぇ?
「これは…えぇと、困りました。私達、どうすれば?」
「私に聞かないでよ、もー」
「ひょっとしたら我々を試しているのでは!?さすがは西住殿です!!」
「いや、西住さんだからこそ素で言っているんだろう」
そしてなんだかひそひそと話始めます。えーと…。
「あ、あの…ね?私だけ一人でこっそりなんて、ちょっとズルいっていうか、やっぱりみんなと一緒が良いかなって」
だって、沙織さんも華さんも優花里さんも麻子さんも、きっと八幡君の事…。
「みぽりん」
「沙織さん…?」
沙織さんが私をじっと見つめます、少し拗ねた表情を見てやっぱりもう少し早くみんなに言うべきだったと後悔しました。
本当はずっと迷っていた。迷っていたから、こんなにギリギリになっちゃって、やっぱり…私はズルいのかもしれない。
だって、やっぱり考えちゃって。だって、これって…もしかしてだけど。デ、デート、だったりするかもしれないし。
「そこに正座!!」
「…えぇえ!?」
「あ、もちろん本当に正座しなくていいけど…気分的に正座ね!!」
ビシッと地面に向けて指を指す沙織さんに困惑して、他のみんなに助けを求めると。
「これは沙織が正しいな」
「そうですね、私も今回は沙織さんに賛成します」
「すいません西住殿…」
…そうだよね、ズルをしようとしたんだし、みんなが怒るのも当たり前だよね。
「いい?みぽりん!!」
だから、私は何を言われても仕方ないと思っていた。そんな私に沙織さんはーーー。
「恋愛は…戦争なんだから!!」
「…えーと?え?えぇえ!?」
力強く、そう答えたんだ。…正直言っている事はよくわからなかったけど。
「みほさんは私達の事を思って、誘ってくれたんですよね?」
「…うん、だって私だけ八幡君と二人で。なんて、やっぱりみんなにも悪いかなって」
「そこ!そこだよみぽりん!!優しいけど!すっごくみぽりんらしいけど!!」
「はい!やっぱり西住殿は素晴らしいです!!」
「えーと。私、誉められている、のかな?」
「…西住さんが優しいのは間違いないが、今回はその優しさは間違いだと思う」
「えーと、それってどういう意味なの?」
「つまり、恋愛は戦争なのよ!みぽりん!!」
また沙織さんが力強く答えてくれた。…正直、言っている事はよくわからなかったけど。
「…沙織さん、もっと具体的に言わないとみほさんが困ってしまいますよ」
「じゃあ戦争は恋愛ね!!」
「それだともう、ただの戦争じゃないのか?」
相変わらずの沙織さんに少し呆れたように麻子さんがため息をつきました。
「そうじゃなくて、戦車道でもほら、こっそり相手に奇襲とかするじゃない?」
「うん」
「みぽりんはそれを卑怯とかズルだと思う?」
「ううん、もちろんやり方にもよるけど奇襲は立派な戦術の一つだと思う」
「そうです!王道の真正面からの戦車戦ももちろん見応えがあって素晴らしいですが、奇襲による電撃戦は歴史上最も戦果を上げているといっても過言ではなく、特にドイツの…」
「ゆかりんストーップ、今は恋愛!恋愛の話だから!!」
「はっ!…すみません、戦車道と聞くと身体がつい反応を」
「…なかなか難儀な性分だな」
「つまりねみぽりん、恋愛も同じよ、抜け駆けも奇襲も、ズルでも卑怯でもない立派な戦術なんだから」
「そ、そういうものなの?」
「そういうもの。そして、試合でも今から奇襲するって相手に伝える事はないでしょ?」
「うん…」
もちろんそうだ。これから奇襲する相手にその事を教えるなんて、相手を騙そうとする意外には普通やらない。
「…あ」
じゃあ、私がみんなに八幡君との事を話したのは、それと同じ…って事なのかな?
「しかしなるほど。さすが武部殿ですね、恋愛を戦車道に例えると分かりやすいです」
「えぇ、恋愛の話に関してだけは流石ですね」
「ふふん♪︎でしょでしょ?もっと誉めて」
沙織さんは得意気なんだけど…。えぇと、それって誉めているのかな?
「でも…やっぱり、みんな大切な友達だから」
優花里さんじゃないけど、恋愛を戦車道に例えれば確かに私にもすごくわかりやすい。
でも、それってみんなと戦う…って事になるよね。
それは…やっぱり嫌だ。
「…私、最近比企谷にご飯作ってる。たまにだけどね」
まだ迷っている私に、沙織さんが…え?え?えぇえ!?い、今なんて言ったの!!
「…聞いてませんよ?沙織さん」
「うん、言ってなかったし。…まぁでも、みぽりんが秘密を一つ言ってくれたんだし、私もね」
ぜ、全然知らなかった…。あと…華さんがちょっと怖い。
「ふふん、みんなより一歩リードって所ね、恋愛で私に勝とうなんて甘いんだから」
「でしたら…私は、実家に帰る時、比企谷さんにお付き合いをいただきました」
「…え?」
あ…、沙織さんの得意気な表情が。
「すいません、私はエキシビションマッチの事でいろいろ相談を受けて、その後一緒に戦車道ショップに寄ったりなんかも」
「し、趣味が合うって強い…」
さ、沙織さんが一気に沈んじゃった!!
「み、みんな意外とちゃっかりしてる…」
「…まったくだな」
思わず呟いた私の言葉に麻子さんが頷いたんだけど…。えぇっと。
「そういう麻子はどうなのよ…。ほら、最近なにかないの?」
「私か?いや…特に何もないな」
「そうなんですか?」
「あぁ、普通に朝起こして貰って、たまにご飯作って貰って、学校に連れていって貰ってるくらいだ。あぁ…小説の貸し借りなんかは増えたが」
そう言って麻子さんは持っていた小説の背表紙を見せてくれます。
「比企谷さんオススメのライトノベルだ、戦車も出る」
「おぉ!戦車ですか!!」
「魔法戦車だがな」
「魔法と戦車…、なかなか面白そうな組み合わせですね」
「もしかしてこれも戦車道連盟や西住流が関わっているのでは?」
「ど、どうだろう…?」
ちょっとお母さんが読んでるのを考えちゃった…。
「…みんなズルい、てか麻子ズルい!!」
「リードしてるんじゃないのか?さっき自慢気に話してただろ」
「ぐぬぬ…。あ!なんなら明日からは私が朝起こしてあげよっか?」
「それは遠慮させて貰う、沙織に悪い」
「なんでよ!!」
ぶーっと文句を言いたげな沙織さんだけど、そんな二人のやり取りがなんだか可笑しくって、ちょっと微笑んでしまいました。
「…だからね、みぽりんも遠慮なんかしなくていいのよ」
「…いいのかな?」
「はい、みほさんのしたいようにするのが私も一番だと思います」
「みんな、ありがとう!私…頑張ってみるね!!」
で、デートってよくわからないけど…えと、あ、あれ?何を頑張ればいいのかな?と、とにかく頑張ろう!!
「それにみぽりん!ライバルは何も私達だけじゃないよ!!」
「えぇっと…それってやっぱり?」
「…ダージリン殿ですね、そもそも今回のエキシビションもダージリン殿と比企谷殿の話から始まったと聞いています」
「なんでも試合の度にお茶をしていたと…」
「…学園艦も違うのに、恐ろしいな」
ダージリンさん、すごいな…。年齢も、学園艦も違うのに、そんな苦労を見せる素振りもない。
「そのエキシビションにプラウダ高校のカチューシャさんが参加して」
「私達のチームとなる知波単高校の隊長さんも比企谷殿のお知り合いだったんですよね」
「隊長で言うならサンダースもアンツィオも黒森峰もそうじゃないのか?」
「うん。そういえばお姉ちゃん…たまに八幡君の話もする」
「…なんだかだんだん比企谷にムカついてきたんだけど?」
「そうですね…やっぱりこの後、何か食べて帰ります?」
「いいですね、この際ですから比企谷殿に言いたい事をどんどん話していきましょう!!」
「それはいいな」
な、なんだかみんなの顔がすごくキラキラしてて輝いてるんだけど…。
「あはは…。みんな、結構容赦ないんだね」
「西住さんはなにかないのか?比企谷さんに言いたい文句とか」
「それは…えぇと」
聞かれた私は自分でもわかるくらいに、思わず顔を真っ赤にしちゃって。
「…ある、かも」
そんな私を見て、みんなは優しく微笑み合いました。
ーーー
ーー
ー
八幡君には悪いけど、あの日は本当に盛り上がっちゃった…。
沙織さんは私の事を優しいと言ってくれたけど、私はみんなの方がずっと優しいと思う。
だって、恋愛は戦争だって言うなら、奇襲や抜け駆けがズルじゃないなら、そもそも私にその事を言わない方がずっと効果的だから。
昨日。私は部屋の押し入れに仕舞われていたままだった白いワンピースを引っ張り出した。
一目で可愛いな…と思って買ったは良いんだけど。いざ着てみると恥ずかしくなっちゃって、そのまま押し入れに仕舞っちゃったそのワンピースを着てみる。
「や、やっぱりちょっと派手かな…?」
鏡の前には顔を真っ赤にした自分が写っていて、そんな自分の姿を見てますます顔が赤くなるのがわかってしまう。
ワンピースを脱いで押し入れに戻そうとして…でもやっぱりもう一度着てみて、そんなやり取りを何度か繰り返しちゃったり。
「えと、あとは…あ!ボコミュージアムに行くんだし、ボコの事をもっと知って貰えたら八幡君ももっと楽しめるかな?」
それからアリスちゃんに教えてもらった、ボコのアニメが見れるサイトに…。い、イヤホンも必要だよね。
そんな昨日の出来事を思い出しただけで、本当にもう…恥ずかしくなってきちゃった。
「…えへへ」
でも、八幡君も気付いてくれて…頑張って着てみて良かった。
…どう思ってくれたのかな?可愛いって、少しでも思ってくれたなら嬉しいなぁ。
「すまん、ちょっと遅くなったか?」
「ひゃうっ!?」
び、びっくりした。ちょっとぼーっとしていたから、八幡君が戻って来たのに気付かなかったんだ。
「えと…西住?」
「は、八幡君、お疲れ様」
「本当にな、マジ疲れたわ」
そう言ってわざとらしいため息をついた彼に自然と口元が緩んでしまう。
「でも、八幡君のボコ、本当に格好良かったよ!!」
「結局最後負けてたけどな…」
「だって、それがボコだから!!」
それでも、最後に立ち上がった八幡君のボコは本当に、格好良かったと思うから。
「…また来よう、今度はあんこうチームのみんなも一緒に」
恋愛は戦争だって言うけれど。やっぱりそれはそれとして、みんなで来ればまた違った楽しさもあると思う。
それに!ボコの可愛い所をみんなにももっと知って欲しいし!!
「あー…悪い、西住」
「…八幡君?」
八幡君はなんだかバツが悪そうに頭をかくと…。
「俺、ここ出禁になったわ」
「…え?えぇえ!?なんで?」
だって、八幡君…あの娘の為にあんなに頑張ってたのに。
「…なにかあったの?」
「まぁその…あれだな。たぶん、ボコの芝居の出来が悪かったんだろ」
それはないと思う。ショーだって最初は戸惑っていたけど最後はきちんとしたものになっていた。
「まぁそんな訳で、次はあんこうの奴らで楽しんでこい。あぁ、小町も呼んでやってくれたら嬉しいが」
「う、うん…」
なんだか納得がいかないけど、八幡君はこの話はここでおわりと言いたげに言葉を切ってしまった。きっと…これ以上私が何か言っても話は進まない。
ボコミュージアムのスタッフの人なら、何か知ってるかな?今度来たら聞いてみよう。
…本当に、こういう所に文句の一つでも言いたくなるんだよ?みんな。
作中に出てくる魔法戦車には実は元ネタありです、気になる人は是非調べて下さい。是非!!