やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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ノリと勢いだけで書いた手に付けられない番外編です。

感想で一番要望が多かったんで西住殿と八幡をメインで一本ラブコメ書こうとしたら化学変化がおきてほぼほぼギャグ時空になってしまった、どうしてこうなった…。

なのでキャラ崩壊の注意をお願いします。

あと、たぶん次回の更新は結構遅くなります。


【番外編】ボコボコ作戦です!!

【一番くじに大人気のあのボコシリーズがついに登場!!】

 

「………」

 

ふらりとコンビニに立ち寄ろうと思ったら、そんなポスターが入口の所に貼ってあるのを見かけた。

 

大人気…?おやおかしいな、俺の周りでそんなに流行ってるイメージないんだけど、単に俺がそういった流行りに疎いだけなのか。

 

小町くらいしか知らないし、過大広告じゃないの?

 

ちなみに一番くじというのはコンビニとかによくある、キャラクター関連のくじである。

 

値段は500円から高いものだと1000円近いものもあり、一応、ハズレ無しをうたっている。

 

ハズレ無し、とか書いてあるわりにぶっちゃけよくてA、B、C賞くらいまでが当たりであとは大概、安っぽいストラップやらタオルやら、おおよそくじの値段と釣り合わない景品が多いのだけど。

 

ちなみにくじには数の限りがあり、引き続けたら一応、全ての景品は必ずゲット出来るようにはなっているらしいが、一人で全部のくじを買った所で貰える景品とは釣り合わない、完全に赤字だ。

 

あと最後のくじを引いたらラストワン賞とかで特別な景品がゲット出来る、その為、消費者はあとちょっとでくじが無くなるかも…、と、更に金を使ってくじを引くのだ。

 

くじを引き続けたら当たりの出る確率が上がる、ラストのくじを引けば特別な景品が当たる、消費者の射幸心を煽りに煽るものである、上手い事考えるものだと感心する。

 

…あれ?この商売方法って一昔前のソシャゲでよくなかった?BOXガチャってやつ、あれは規制されたけどこれはOKなの?

 

余談だが、俺はスマホのBOXガチャに関しては規制する必要なかったんじゃないかと思う、そんな規制かけなくてもガチ課金者様は基本的に出るまで回すがモットーなのだ、毎回確率がリセットされる分、結果的に運営側が儲かるだけじゃないの?

 

ちなみに俺はやるとしても基本的に無課金なので関係ない、ゲームというのは暇潰しでするものであって、それに大金をつぎ込むものではないのだ。

 

なので一番くじに関してもイマイチ理解出来ない、まぁこういうのにハマる奴はよっぽどその作品が好きか、後先考えないアホか、あるいは両方か。

 

小町はともかく、俺はボコシリーズにはまったく興味がない、さっさとジャンピン、サタデー、マガズィン、王者の四大少年誌を立ち読みし、立ち読み料にマッ缶を買って帰ろうとコンビニに入ると。

 

「う〜ん…、どれだろう」

 

…あぁ、そういや小町以外にも居ましたわ、ボコシリーズ大好きっ子が、ちょっとうちの隊長何やってんの?恥ずかしいんだけど。

 

「何やってんの西住?」

 

「あっ、比企谷君、見てください!ボコシリーズの新作です、スゴい可愛いですよね!!」

 

「お、おぅ…」

 

可愛い…のか?包帯ぐるぐる巻きの熊って、しかも西住のいう新作ってA賞のボコのアニマルパジャマみたいなやつの事なんだろうか、これ、サイズ的に西住着れないだろ。

 

「これは手に入れる他ありませんよね!私、ボコシリーズのくじが出るって沙織さんから聞いてずっと楽しみだったんです!!」

 

「お、おおぅ…」

 

そしてボコシリーズになると西住のテンションがかなりおかしい方向になる、戦車道よりもボコ道とかあれば良かったのにね。

 

「手に入れる他ないって…、わかってんのか?くじだぞ」

 

「…う、うん」

 

そう言って西住はさっと持っていた袋を背中に隠した。

 

「…もう引いたのか?」

 

「えと…うん」

 

「んで、目当てのものは手に入ったのか?」

 

「もちろんです、ほら、見てください!!」

 

西住が背中に隠していた袋を見せてくる、中をチラリと確認するとF賞のストラップとか、E賞の缶バッチとか、そんなのしか入っていない。

 

「…全部ハズレじゃねぇか」

 

「ボコにハズレはありません!!」

 

…怒られた、やだ、ガチ勢って怖い。

 

「そんな事言っても一番の狙いはA賞の新作だろ?」

 

「うん、そうなんだけどね…、出来れば全部欲しいなぁ」

 

「アホ、破産するつもりか…」

 

何が彼女をそこまで駆り立ててるんだろうか…。

 

「…ちなみに、何回引いてんの?」

 

「えと…、もう8回目、かな?」

 

ボコシリーズの一番くじの値段は1回500円、一番くじの値段としては標準だが、もう4000円は使ってる計算になる。

 

…高校生で4000円って普通に大金だぞ、西住は一人暮らしだし、そこまで金に余裕はないだろうし、良いのか?

 

まぁ、人の金にとやかく言うつもりはないけど…。

 

「…あ」

 

「どーした?」

 

「その…、財布の中のお金が…」

 

あー、無くなったか、まぁ諦める良いきっかけだな、さすがにこれ以上くじを引くのは西住にしてもーーー。

 

「あの…私、ちょっと部屋にお金取りに戻ります!!」

 

おい、その先は地獄だぞ…。

 

「おい馬鹿やめろ、マジで破産するぞ」

 

一番くじはBOXガチャ仕様なので確かに引けば引くほど当たる可能性は高くなる、が…所詮は確率、一介の高校生が立ち向かえるものではない。

 

あぁいうのは一部の廃課金者様のみが行える、マネーイズパワーアタックなのだ。

 

「でも…ボコが、アニマルパジャマが…、一つしかないし、他の人が当たったら…」

 

だから当たっても西住じゃサイズちっちゃくて着れないでしょ、黒の組織に頼んで身体ちっちゃくできる薬でも作ってもらうの?

 

「…西住、戦車道と一緒だ、時には撤退する事だってあるだろ?今回はここが引き際だ、わかるだろ」

 

ふっ…、我ながら上手い例え具合だ、戦車道隊長の西住ならばそこら辺、しっかりわかってくれるだろう。

 

「戦車道と一緒…、うん、そうだね!!」

 

「わかってくれたか?なら…」

 

「お姉ちゃんも言ってたしね、戦車道の勝利の秘訣は諦めない事、どんな状況でも逃げ出さない事だって、私!もう少し頑張ってみるよ!!」

 

あ の 姉 、 マ ジ 何 言 っ て ん の ?

 

…思わずまだ会ってすらいない西住姉を本気でディスりそうになった。

 

「…それに、比企谷君」

 

西住が真剣な表情で俺を見てくる、まるで戦車道の試合でもしてるんじゃないかと思うほど、強い表情がそこにはあった。

 

「今がチャンスなんです、当てさえすれば勝つんです!諦めたら、負けなんです!!」

 

スゴい良いこと言ってるのはわかるんだけど!そういうのは戦車道全国大会までとっといて!!頼むから!!一回戦辺りで使っていいから!!

 

「比企谷君!!」

 

「は、はい!!」

 

西住の剣幕に思わず背筋をピンッと伸ばして直立してしまう。

 

「これより、ボコボコ作戦を開始します!!」

 

「…はい?」

 

えぇ、もちろん初耳です。

 

「私が部屋にお金を取ってくる間、比企谷君はここの守りを固めて下さい、他の人が当たらないようにお願いします」

 

「…俺って神なの?どうやって?」

 

「くじを引こうとしながらも、引けきれない感じでお願いします」

 

「いや…、もう何言ってんのかちょっとわかんないんだけど」

 

なんだよ引けきれない感じって。

 

「それじゃあお願いします!!」

 

矢継ぎ早にそう伝えると西住は慌ててコンビニを出ていった、マジかよ。

 

「………」

 

一人残された俺はもう、唖然とするしかない、つーか…ボコの人気的に他にくじ引く奴なんてそんな居ないと思うんだけど。

 

何気なく財布の中を見ると800円くらい入っている、マッ缶と、あと、ボコの一番くじ一つ買うくらいには余裕があるか。

 

…そういえば小町がなんかお土産を欲しがってたな、手ぶらで帰るとまた文句の一つでも言われそうだし、あいつもボコ好きだから一つ適当に引いて出たのを持って帰ってやるか、さすが俺、妹に甘い。

 

「っしゃせーw」

 

レジでマッ缶とボコの一番くじを購入、やる気のない店員にくじの入った箱を渡され、その中から適当に一つを摘まんだ。

 

祭の夜店とかによくある安っぽい紙をぺらりとめくる、中に書かれたアルファベットは…。

 

「おめっとーございまーす、A賞のアニマルパジャマッスwww」

 

…マジかよ、物欲センサーって怖い。

 

つーか店員、俺がボコのアニマルパジャマゲットしたのがそんなに面白いか?面白いよね、だってこれ、子供用だもんね!着れても着ないけど!!

 

「…あっ!」

 

「…ん?」

 

後ろから声が聞こえて振り返ると銀色の髪をした小さな女の子がいた、絶望感溢れる表情をし、手に持っていた一番くじの購入券がひらりとコンビニの床に落ちる。

 

「ボコが…盗られた」

 

…え?いや、確かに俺が居なかったらこのくじ引いてたの君だけど、えっ?俺のせいなの?

 

「完全にしてやられた…、私の負けだ」

 

…よくわからんが、小さな女の子相手に完全勝利した、なんだこれ、罪悪感しかないんだけど。

 

「その子を大切にして欲しい…」

 

「え?お、おぅ…」

 

銀髪の少女はそう言ってコンビニから出ていった、ここらじゃ見ない顔だったな…、つか、やっぱりボコって人気あるんだろうか?謎だ。

 

つーか、これ、マジでどうしよう?大切にしてと言われても俺はまず着ないし、小町も…まぁ着ないだろうな、これ子供用だし、それに小町の奴は基本的に俺のシャツとかパジャマ代わりにしてるし。

 

「…ごめん比企谷君、ちょっとお金探すのに手間取っちゃって」

 

あぁ、そういや一人居たな、あの熱狂ぶりを見るにたぶん、一番誰よりも大切にしてくれそうな奴が。

 

「…ほれ」

 

ボコのアニマルパジャマの入った袋を西住の方に向ける。

 

「あれ?これって…、ええっ!ボコのアニマルパジャマ!!A賞の景品、どうして!?」

 

「なんかよくわからんが当たった、まぁあれだ…、その、隊長就任記念の祝い品だな」

 

「…って、だめだよ!こんなの貰えないから、そうだ、小町ちゃんにあげたら?」

 

「いや、小町もどうせサイズちっちゃくて着れないからな、気にするな」

 

「で、でも…」

 

「…なら、物々交換だな」

 

西住が袋を受け取らないので、彼女がまだ持っていた袋の中に手を突っ込み、適当にキーホルダーを取る。

 

「ほれ、これで貸し借りなし」

 

そして半ば強引にアニマルパジャマの入った袋を西住に渡す。

 

「比企谷君…、うん、ありがとう!宝物にするね!!」

 

「いや、別にそこまでせんでも…」

 

「ううん、大切にするよ!!」

 

そう言って彼女はぎゅっとそのボコのアニマルパジャマを抱き締める。

 

「…まぁ、それはもう西住の物だしな、好きにすれば良いさ」

 

本当にボコが好きなんだな、一つの事にそこまで好きになる姿勢はある意味感心する。

 

「そういえば、俺や西住の他にもボコの一番くじ買おうとしてた小さな女の子が居たな、やっぱボコって人気あるの?」

 

「ボコ仲間がこんな所にも!どんな子でした!?」

 

「どんな子って言われてもな…、銀髪で片側だけ髪を結んでて…」

 

あれ?なんかどっかで見たことあるような?

 

…ま、いいか。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

余談だが、今日の事を家に帰って小町に話したらガチギレされた…。

 

ガチ勢って怖いわー、マジで。

 

みんなも課金するなら無(理のない)課金でいくべきである、…みんなって誰だよ。


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