やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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「ガールズ&パンツァー、アニメを復活させたんですね、おめでとうございます」

と、あまりの嬉しさに忙しい中無理矢理続きを書いてみた、明らかに初心者だらけだとわかってるのに練習試合引き受けたダー様、マジダー様。


やはり、彼女達の戦車道は間違っている。

「えと…今日は練習試合の申し込みをしたくて連絡をしました、え?大洗学園なんて聞いたことない?…今年から戦車道を復活させたんでそりゃあ、まぁ…そうだと思いますが」

 

あの校内模擬戦を終えて数日が経ち、彼女達大洗学園戦車道メンバーも日々、戦車訓練に勤しんでいる今日この頃。

 

本格的な戦車訓練が始まってしまえば選択授業の間、基本的に俺はやる事がない、何故なら大会に出れない俺がどれだけ練習しても意味がないからだ。

 

最初の方はあれ?働かなくていいってひょっとしてこれってすげぇいいポジションなんじゃね?戦車道最高!!とまで思ったが、さすがに何日も続くと退屈になってくる。

 

基本的に働きたくないが、正直その時間をもて余している、帰っていいか会長に聞いても駄目って言われるし、一応は授業だしね。

 

なので暇をもて余した俺は戦車道を復活するにあたって生徒会が用意したのであろう、戦車道関連の本とかを暇潰しに読んだりもしている、元々読書が好きだし。

 

戦車道の歴史…とかには全く、微塵も興味ないが、戦車を使った戦術的な事に関しては元々戦車が好きだった事もあり、読んでいてそこそこには面白かった。

 

特に島田流…、西住流と双璧をなす、戦車道の最強流派の一つと呼ばれるその流派の戦法は変幻自在の忍者戦法と呼ばれ、どっちかというと西住流よりも俺にあってる気がした。

 

分かりやすく説明するなら技の島田流、力の西住流、比企谷八幡V3、すまん、ちょっと言ってみただけ。

 

まぁ俺がいくら戦術知識をつけても校内模擬戦で活用する以外に使う機会はないだろうし、西住相手に生半可なものが通用するとは思えんが。

 

しかし、当然ながらそんなだらだらとした日々が毎日続く訳もなく、例によって生徒会から依頼が来た。

 

「練習試合、やろっか?」

 

これである、文字にすると10文字以下のこの短文をほぼそのまま言葉にした後、会長はよろしくーと言って俺の肩を叩いた。

 

要するに、練習試合をするから相手を探せ…との事だ、本格的な戦車訓練が始まったとはいえ、大洗はまだまだ初心者の集まり、それでいきなり他校との練習試合とか大丈夫なのか?

 

まぁ、戦車道全国大会が初試合になるよりはずっとマシか、お互い知る者同士での校内の模擬戦と、本格的な試合とではやはり勝手も違うだろうし。

 

なので俺も練習試合をする事自体はそんなに反対ではない、ただ問題は…。

 

「え?駄目?初心者の相手なんかしてられない?いや…、そこをなんとか、俺?俺はその…、マネージャー?的な?」

 

…あ、切りやがった。

 

「…はぁっ」

 

ほぼほぼ一方的に通話が終了され、大きく溜め息をついて電話を机の上に置く、これで何件目だったか、もう数えてもいない。

 

最初、会長からこの依頼が来た時は楽勝だと思っていた、適当にそこら辺の学園に電話かけて練習試合を申し込むだけだからと。

 

それが現状ではどうにも難航している、それもこれも相手が見つからないのだ。

 

これは別に俺がぼっちだから相手を見つけるのが苦手、とかではない、いや、苦手なんだけどね、つか探さないまであるけど。

 

 

大洗学園は昔は戦車道が盛んだったらしいが、それはもう過去の栄光で、復活したての現在では戦車道においての知名度は皆無である。

 

大事な戦車道全国大会を間近に控えた今日この頃、他の学園にとってそんなぽっと出の学園を相手にわざわざ練習試合をするメリットがないのだ。

 

もう何度もいろんな学園に電話をかけたがどこの学園もパターン化されたやり取りばかりだ、大抵はどの学園も大洗学園?どこ?から始まり、初心者相手に練習試合とか時間の無駄、みたいな返答で終わる。

 

忘れてたわ、つーかあんた何?男?とかいう話もほぼ必ず出てくる、そんなにおかしいか?うん、おかしいよね。

 

余談だが、練習試合を申し込むにあたって他の戦車道をやってる学園を調べたが基本的にどの学園も女子校が多い。

 

戦車道が女子の武道なのもあって共学よりも力の入れ具合が違うのだろう、男子校が野球部が盛んみたいなものだ。

 

相手の学園の言い分が正論なのでこちらとしても何も言えない、初心者だらけの大洗には練習試合を申し込める宣伝ポイントが無いのだから。

 

…いや、たぶんここで西住流の家元の娘である西住の名前を出せば簡単に釣れるとは思うが、そんなやり方は好きではない。

 

それに西住の事は出来れば秘密にしておきたい、彼女は言ってみれば大洗における秘密兵器、切り札だ、それを試合前から相手にバラしてしまうのは愚策だろう。

 

「…ここも駄目、か」

 

練習試合を申し込めそうな学園をまとめたリストの断られた学園の所にチェックを入れる、ヤバい、いよいよ残る学園が少なくなってきた。

 

これ…もしかすると俺の命のカウントダウンだったりしない?このリストがチェックですべて埋まってしまったら俺の命も危ういぞ、生徒会的な意味で。

 

「次は…聖グロリアーナ女学院?ずいぶん変わった名前してんな」

 

略したら聖グロとかグロリーとかかな?やだ、ブロリーみたいで勝てる気しない。

 

資料を見ると横浜を母港とするお嬢様学校、学園艦の大きさが大洗のおよそ二倍らしく、金持ち学園という印象だ。

 

女学院って事はまーた女子校ですか、あー、はいはい、どーせまた男?胡散臭い、で断られるんですよね、わかりますよ。

 

と、半ばヤケクソ気味に電話をかけてみる。

 

『…はい、こちらは聖グロリアーナ戦車道チームです』

 

何回かコールが続き、相手側が出てくれた、声が少し幼い印象を受ける。

 

「えと…、こんにちは、大洗学園の戦車道チームなんですが、練習試合を申し込みたくて連絡しました」

 

『大洗学園…ですか?』

 

電話の相手は少し戸惑った様子で聞き返してくる、まぁ知らんよね。

 

「昔は戦車道が盛んだったんですが、今は…、今年から復活させたんで練習試合がしたいと」

 

『…少し待って下さい、隊長に代わります』

 

おぉ!流石はお嬢様学校、ここでいきなり無下に電話を切ったりしない、隊長の方に話をもっていけたのはこれでリストの中にある学園の2割だ。

 

ちなみに6割は最初の申し込みの段階で断られ、残る2割はは?男?とか言っていきなり切られた、よくよく考えるとよく俺のメンタルもったな、心は硝子かと思ってたわ。

 

『お電話を代わりました、私が聖グロリアーナの隊長です、ダージリンと呼んで下さい』

 

「…え?あ、はい?」

 

…ダージリン?え?名前なの?日本人なの?

 

もしかしてまたソウルネームなの?そういうのは歴女チームでお腹いっぱいなんだけど。

 

『あぁ、この名前ですか?我が校における伝統みたいなものですので、ニックネームだとでも思って下さい』

 

…まぁ、戦車道もいろんな学園でやってるし、そんな学園があっても不思議ではないか。

 

『大洗学園、戦車道を復活されたんですね、おめでとうございます』

 

「あ、どうも、ありがとうございます」

 

電話の相手のグロリーの隊長、ダージリンさんの祝いの言葉に生返事で言葉を返す、大洗が戦車道やってたの知ってるのだろうか?

 

いや、大洗が戦車道止めたのは20年も前の話だから知ってたならこの人歳いくつだよって話だが。

 

「そ、それで…試合の件なんですが?」

 

もう数多くの学園に断られて来たのだ、いい加減、俺のメンタルも折れそうになるというもの、このチャンスはものにせねば。

 

ここは慎重に、なるべく下手に出て相手のご機嫌を取りにいこう。

 

『あなた、紅茶は好きかしら?』

「いえ、マックスコーヒーが好きです」

 

即答、…答えて自分でもしまったと思ったよ、うん、なんだよ、下手に出てご機嫌取るって。

 

だって好きなものは好きだからしょうがない!!

 

『…ま、まっくす?』

 

「あ、いや…、別に紅茶が嫌いとか、そんなんじゃないんですが…、ほら、No.1は何かと聞かれたら…」

 

マックスコーヒーことマッ缶は神の飲み物だし、ソウルドリンクには逆らえんのだ、仕方ない。

 

『ふふっ、まぁ…よろしくてよ、それで、試合内容はどうしますか?』

 

「!?、受けてもらえるんですか?」

 

完全に選択肢失敗したと思ってたのにマジかよ、思わずダージリンさんに惚れてしまいそう、顔も知らんけど。

 

『えぇ、受けた勝負は逃げませんの』

 

ずいぶんと自信満々なようで…、まぁ相手が素人集団となれば当然か。

 

『それで、試合のルールはどうします?そちらに合わせますよ』

 

「五両対五両の殲滅戦ルールでお願いします」

 

なんでか知らんがサービス精神旺盛で助かる、格好つけて言ってみたがこちらは戦車が五両しかないのだ。

 

『あら…?フラッグ戦ではなくて殲滅戦でよろしいのですか?』

 

ダージリンさんが言いたい事はもちろんわかる、フラッグ戦ならまだ、フラッグ車さえ撃破出来れば勝利なのでこちらにもワンチャンあるが全滅ルールの殲滅戦にはそれがない、地力では向こう側がずっと上回ってるだろうし。

 

…だが、フラッグ戦にしてしまうと逆も充分有り得る、つまり、こちらのフラッグ車が試合開始早々にあっさりやられて試合終了とか、そんなもん練習試合をやる意味がない。

 

所詮は練習試合だ、今回必要なのは勝利ではなく経験だろう、なので今回は殲滅戦ルールでいい。

 

ただ…、このままナメられっぱなしというのは正直面白くない、もう試合を受けてもらえる言質はとったし、下手に出る必要もないか。

 

「えぇ、だって…あっさり終わってしまっては面白くないでしょう」

 

もちろんうちがね、…ただ、『あっさり終わって』の部分をわざと強調して言ってやったから向こうは違う風にとらえるだろう。

 

『…ずいぶんと自信があるようね』

 

「えぇ、きっと面白いものが見れますよ」

 

含みを持たせながらそう言い、細かい日程等については後で連絡すると伝え一度電話をきった、まぁあとの細かいやり取りは生徒会の広報である河嶋さんがやってくれるだろう。

 

それにしても聖グロリアーナね、変わった名前だし、戦車道の強さとかどんなもんかと気になって調べてみた。

 

【全国大会、準優勝の経歴もある強豪校】

 

「………」

 

あー、うん、俺は悪くない、全部バン先生が悪い。

 

とりあえず知らなかった事にして、試合の相手が決まった事を生徒会チームに報告しにいこう、今日は練習試合の相手探しに忙しくてまだ訓練場に顔を出してないし。

 

今回の練習試合の相手探しの仕事を文句も言わずに引き受けたのは、暇なのももちろんだが、どちらかというと後ろめたさがあったからかもしれない。

 

大洗学園の戦車道チームは意外…といってはなんだが、日々、夕方になるまで戦車訓練に勤しんでいるのだ、河嶋さんがメガホンで檄を飛ばしつつ、今も訓練中だろう。

 

正直、最初戦車倉庫前に集まった彼女達を見た時は駄目だこりゃ、とは思ったが、今も真面目に訓練に励む彼女達を馬鹿には出来ない。

 

彼女達は真剣に戦車道に取り組んでいる、女子が戦車を扱うなんて玩具みたいに適当に使うもんだと思っていたが、少しは考えを変えた方が良いのかもしれない。

 

だから、まぁ…たまにこうやって手伝う分には文句はないか、一番の理由は暇だからだけど。

 

おー、今日もやっとるねぇ~と、まるで監督のように戦車訓練場についた俺は…。

 

「…?」

 

あれれー?おかしいぞー、僕の知ってる戦車が一つも無いやー。

 

車体にでかでかとバレー部復活!!と書かれ車体各部にバレーボールが描かれた八九式、いや、だから部員集めなさいよ。

 

赤やサンドイエロー、新撰組のダンダラ模様に塗装され、歴女達が各々持ち寄ったのか旗を四本セットされたⅢ号突撃砲、支配者の風格?ただのキメラじゃねーか。

 

ピンク一色で塗装されたM3リー、林家さん仕様なの?

 

金色に輝く38(t)、百式か!!

 

「なんなんだこれは…、なんだというのだ?」

 

思わず、地面に膝をついて頭を抱える、八九式が、Ⅲ号突撃砲が、M3リーが、38(t)が、見る影も無い。

 

「比企谷殿ッ!!」

 

「秋山…、これは、一体、何があった…?」

 

そんな俺の様子に駆け付けてくれたのは秋山だった、その表情は悲しみに満ちている。

 

「…すいません、守りきれませんでした」

 

俺の問いに秋山は静かに首を横に振る、あぁ…思い出した、世界は残酷なんだって。

 

「…そうだ!Ⅳ号、Ⅳ号戦車は」

 

慌てて周辺を見渡す、限りなく戦車に近い別の何かをなるべく視界に入れないようにし、Ⅳ号戦車を無事に発見した。

 

あぁ…、俺のよく知るⅣ号だ。

 

「安心して下さい、比企谷殿、Ⅳ号戦車は不肖、秋山 優花里が守り抜きました!!…外見は」

 

「よくやった秋山っ!!」

 

思わず、目一杯力強く秋山を抱き締めてしまった。

 

「ひ、比企谷殿!?」

 

「…あ、いや、その、悪い、今の無しで」

 

…ようやく冷静になり、慌てて秋山から離れる、ちょっと何やってんの俺!?また女子達から村八分にされるぞ…。

 

「い、いえ…だ、大丈夫です」

 

「…本当にすまん、あまりの事態に冷静になれんかった」

 

「いえ!その気持ちはよくわかります!戦車をこんなにするなんてあんまりですよね!!」

 

「当たり前だ、こんなもん戦車に対する冒涜に等しい」

 

「比企谷殿ッ!!」

 

「秋山ッ!!」

 

ガシッとお互い、合図もなしに綺麗な握手を交わしてしまった、うん、なんだろ?これ。

 

拝啓ダージリンさん、すんません、あなたの対戦する学園はたぶん、珍百景集団です。

 

面白いものが見れますよって含みを持たせながら言ったけど、面白いもんってこれじゃねーよ。

 

やはり、彼女達の戦車道は間違っている、絶対。

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