やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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みぽりんの誕生日ネタが描きたい、一年グループのハロウィンネタが描きたい、バレーボール部の話しが描きたい、本編進めたい、時間がない、なんかアンケートでもしようかな。
あ、俺ガイルのゲーム買いました、これでちょっとは八幡について勉強できるかも。
ハンバーグファンの人ごめんなさい、いずれ八幡とエリカさんの和解話しも書くと思うんでそれまで待ってて下さい。


そして比企谷 八幡は黒森峰と対峙する。

今思えば少し迂闊ではあったかもしれない、そもそも今日は戦車道全国大会の抽選会の日、大会に参加する全ての学校がこの街に集まっている。

 

その中には当然、黒森峰だっている。いや、欠場とかしてくれたらそりゃありがたかったけどさ。

 

というかこの人達、何で戦車喫茶でお茶してんのよ?今時の女子高生かよ?うん、今時の女子高生なんですよね。

 

しかし…まさかこのタイミングでこの二人が鉢合わせするとは思わなかった。

 

「まだ戦車道をやっているとは思わなかった」

 

西住の姉、西住まほが妹の西住を見て一言、そう告げる。その表情は過去のテレビのインタビューで見た時と同じように無表情でその感情は読み取れない。

 

まるで西住流という戦車道流派をパワードスーツに纏っている強化外骨格だ、西住本人も言っていたが西住とは漂う雰囲気がだいぶ違う。

 

「………」

 

ふと西住の姉、…面倒だな、姉住さんに睨まれてる気がした、気のせい、だよな?

 

「お言葉ですが!あの試合でのみほさんの判断は間違ってませんでした!!」

 

秋山が立ち上がり、声を上げる。その反応を見るとどうやら秋山も去年の戦車道全国大会の決勝戦に於いて西住のやった事を知っているのだろう。

 

まぁ…、初対面の頃から西住の事を知っていたみたいだし、そもそも昔から戦車道大好きなこいつだ、多分、試合もリアルタイムで見ていたのだろう。

 

「部外者は口を出さないで欲しいわね」

 

「…すいません」

 

…弱いなー、秋山殿。まぁ仕方ないか。

 

しかし、姉住さんの方はわかるがもう一人、やたら高圧的なのは誰だ?あの様子を見ると西住の知り合いだとは思うが。

 

いや…なんか見た事はあるんだよなぁ、確か姉住さんのインタビューの時、隅っこの方で映ってた気がする。

 

「…なぁ秋山、西住の姉はわかるが、もう一人は誰だ?」

 

なんとなく西住に直接聞くのは躊躇われたので、たぶん、知ってそうな秋山に聞いてみる。

 

「おそらくは逸見 エリカ殿かと、黒森峰の副隊長ですね」

 

…なるほど、それで西住の事をわざわざ元副隊長と悪意を込め強調して呼んだ訳か、インタビューの隅っこで映ってた時は単なるモブだと思ってたけど。

 

今までだって人の悪意に晒されながら生きてきた俺である、そういった悪意には敏感にもなる。

 

…少し気に入らないな。

 

「お前はなんでも知ってるな」

 

「はい、戦車道の事ならお任せ下さい!!」

 

「いや、その答えはちょっと求めてたのと違う」

 

「はぁ…よくわかりませんが?」

 

んー…、通じなかったか、まぁ今はそんな事はどうでもいいけど。

 

「…行くぞ」

 

「はい、隊長」

 

姉住さんはさっさと店から出ようとそいつに声をかける、…久しぶりに妹に会っただろうに、それでいいのか?俺ならもし久しぶりに小町に会ったならあんこう音頭躍りながら小一時間、いや、小半日くらいは語り合いたいんだけど。

 

「一回戦はサンダース大付属と当たるんでしょ?無様な戦いをして、西住流の名を汚さない事ね」

 

帰り際にそいつは更に西住に向けて言葉を続ける、充分な悪意を込めた言葉を。

 

「何よその言い方!!」

 

「あまりにも失礼じゃ…」

 

武部と五十鈴が憤慨して立ち上がる、二人共、西住が馬鹿にされて怒っているのだろう。

 

「あなた達こそ、戦車道に対して失礼じゃない?無名校のくせに」

 

おまけに戦車道に対して失礼と来たか。間違いないな、こいつ、意識高い系だ、俺の一番苦手なタイプ。

 

「この大会はね、戦車道のイメージダウンになるような学校は参加しないのが暗黙のルールよ」

 

別に戦車道のイメージがどれだけ悪くなってもいいけどさ、んな事言ってるから戦車道の競技人口って減ってるんじゃないの?

 

新参お断りで毎回大会参加者の顔触れが全く変わらないとか、やっぱ戦車道ってクソゲーだな。ここは革命起こして男子部門とか作っちゃったらどうです?戦車道連盟さん、今度ご意見番にメールしよ。

 

まぁうちの学校がイメージアップに繋がるかと聞かれればむしろダウンするかもしれんけど、なにしろうちの戦車あんなのだし。

 

「強豪校が有利になるように、示し合わせて作った暗黙のルールとやらで負けたら恥ずかしいな」

 

そして相変わらず冷泉の奴はクールだな、ケーキ食いながらさらりと反論するとは。

 

「…ふん、あなたも弱小校で隊長気取りとは、良い身分ね、黒森峰から逃げた癖に」

 

「……ッ!!」

 

西住が顔を下にうつむき、スカートの裾をぎゅっと握っている。

 

「………」

 

…どうでもいいが、なんでこいつ、さっきからこんなに高圧的なの?姉住さんがさっさと行こうとしてるならそれに従えばいいのに。

 

さっきから店が騒がしいし、店員さんも困ってる、せっかくの戦車喫茶の素晴らしさが台無しだ。

 

もしかしてアレか、試合前にうちの隊長の気持ちを削ぐ作戦かな?はー、流石は黒森峰、なるほど、精神攻撃は基本だもんな、わかるわかる。

 

…なら、うちももちろんやっていいんだろ?

 

確かにうちは弱小校だし、戦車道のイメージダウンに繋がるかもしれない、こいつの言ってる事は正論ともいえるだろう。

 

なら正論に対抗するにはどうすればいいか?これが簡単な話で言いがかりである、どんな正論も人の悪意のこもった言いがかりには敵わない、何しろ俺の体験談だ、自信をもってオススメしよう。

 

「よかったな、西住が黒森峰から大洗に転校して」

 

「…八幡君?」

 

顔を下げていた西住が急に自分の名前を呼ばれて顔を上げる、西住だけじゃない、その場にいる全員が今まで黙っていた俺に視線を向けていた。

 

これからするのは純度100%の単なる悪意による言いがかりだ、そしてこれはたぶん、意識とプライドが高そうなこいつにとって一番効く一言だろう。

 

「おかげで副隊長になれたんだろ、おめでとさん」

 

「…何ですって?」

 

ほらな…、予想通り簡単に釣れた。

 

「副隊長の西住が大洗に転校するんだ、そりゃいつまでも副隊長の席を空けておく訳にもいかないもんな、ごっつぁんゴールとか最高だろ?俺とか普段そんな良い思いした事ないから羨ましいわ」

 

「なっ!あなた…私を馬鹿にしてるの!?」

 

「してないしてない、だから言ってんだろ、羨ましいって、まぁ他の黒森峰の隊員達は知らないけどな、なぁ、"現"副隊長さん」

 

実際の黒森峰の現状なんざ知った事ではない、だから他の黒森峰の隊員がこの現副隊長の事をどう思っているかは当然知らない。

 

ここで俺が知る唯一の情報は、この現副隊長さんが西住の代わりに副隊長になったという事だけ。

 

だからこれは単なる言いがかりだ。だが…、その事実は意識が高くプライドの塊であろう彼女には一番効果の高い屈辱的な言葉だろう。

 

「ふ、ふん…、そもそもどうしてここに男が居るのかしらね、まさかあなたまで試合に出るとか言わないでしょうね?さすがは弱小校、まともに人数すら居ないなんて」

 

はっ…、なんだそりゃ?それで煽ってるつもりなの?その程度の言葉、毛ほども効くわけないだろ、俺の中学時代の女子に人の傷付け方でも教わったら?あ、やっぱ止めて、多分俺が泣くから。

 

「んな訳ないだろ、黒森峰の副隊長ってのは戦車道の基本的なルールすら知らないのかよ、弱小校の俺達でもそれくらい知ってるぞ」

 

まぁ、ルール違反で反則負けになっちゃった事もありましたけどね。

 

「あなた!いい加減にーーー」

 

「エリカ」

 

「ッ!!隊長…」

 

「挑発だ、乗るな」

 

…今までずっと黙って俺達のやり取りを見ていた姉住さんが一言だけそう告げる、ただそれだけで空気はガラリと変わった。

 

「で、ですが…、このまま言われっぱなしでは!!」

 

「エリカ、お前を副隊長に推薦したのは私だ、私を、そして…自分を信じろ」

 

「…はい!!」

 

…チッ、いとも簡単に盛り返しやがった、ここら辺はさすがだと言うしかないな。

 

おそらく俺がこれ以上どれだけの言葉をぶつけても、彼女の強固な心は決して揺るがないだろう、強化外骨格とは我ながらよく言ったものだ。

 

「…言っとくけど、先に煽って来たのはそっちですから、副隊長の手綱くらいしっかり握っといて下さい」

 

「すまない…、騒がせたな」

 

…あれ?意外と素直なんだな、でも相変わらず顔すっげぇ怖いけど、というかやっぱり俺の事睨んでない?この人。

 

「…君の名前は?」

 

え?俺の名前?いや、今そんなものどうでもいいでしょうに。

 

「単なるいち戦車好きの一人ですよ」

 

あぁ言った手前、なんか黒森峰の…、延いては西住流のブラックリストとかに載りそうな気がしたので本名は伏せておこう。西住流とか黒森峰はドイツ重戦車の宝庫らしいし、敵に回したら終末の白き魔女さんの力でも借りないと太刀打ち出来ない、もう遅いかもしれんが。

 

「えっと…、お姉ちゃん、この人は比企谷 八幡君て言って私のーーー」

 

「ちょっと西住、もうちょっと空気読んで?」

 

いや、本当に、なんでここでさらりとそういうこと言っちゃうのかなー、この天然娘は。

 

「でも、八幡君の事も紹介しないと…」

 

「いや、だからな西住…、!?」

 

え?は?殺気!?

 

「………」

 

見ると姉住さんが今までとは比べ物にならないくらいの重圧で俺の事を睨んでいた、背景にゴゴゴゴッ!!とか感じるレベル。つーか日常生活において殺気を感じるレベルってどんだけだよ!?

 

真の西住流は眼で殺す、とでも言わんくらいの殺気に俺も思わず言葉を失ってしまう。

 

「…エリカ、行くぞ」

 

「…わかりました、…あなた、次会った時は許さないんだから」

 

今度こそ、二人は店から出ていってくれた、とりあえず去り際の姉住さんの背中がすげぇ恐ろしかったです。

 

つーか、あの姉住さんの態度、もしかしたらあの人って…、だとすれば、強化外骨格を着るのも大変だな。

 

「なによアレ、すっごく失礼じゃない!!アイツらと戦ったら絶対勝とうよ!!」

 

「嫌な感じですわ…」

 

いや、どっちかというと死にそうな感じでした。

 

「あの、今の黒森峰は去年の準優勝校ですよ、それまでは九連覇してて…」

 

「えっ!?そうなの!!」

 

んで、やっぱり知らなかったんですね、本人達の前で言わなくてよかったな、また恥かくところだったぞ。

 

「それにしても…、私、いつ御二人が喧嘩を始めるかとハラハラしました」

 

「そうだよ比企谷!みぽりんのお姉さんが入らなかったら本当に喧嘩になってたかもだよ!!」

 

「まっ…、ちょっとはそれも期待してたんだけどな、向こうが癇癪起こして殴りかかってきてくれたら最高だったな」

 

「まぁ…、比企谷さん、そういうのがお好きなんですか!?」

 

いや…五十鈴さんはちょっと黙ってて下さい、あと、何でそんなに嬉しそうなんですかね?

 

「違ぇよ…、そうなりゃ黒森峰は暴力沙汰で出場停止だろ?強い所が減ればうちの勝率も上がる」

 

「それは…、我々も出場停止になるのでは?」

 

「安心しろ、その時は俺は戦車道とは無関係だった事にすればいいだけだ」

 

「…八幡君」

 

「ん?どうしたにしず…み?」

 

「次またそんなこと言ったら…私、怒るからね」

 

あぁ…、やっぱり何だかんだで姉妹なんだなと実感した。本当によく似てるわ、だからそんなに睨まないで、お願いだから。

 

「…ケーキ、もう1つ頼みましょうか、比企谷さんの奢りで」

 

「え?は?何でよ!?」

 

「何でって…、当たり前でしょ!比企谷はもうちょっと女心をわからないとダメだよ!!」

 

「いや、理不尽にも程があるだろ…」

 

誰か助けて…、と思っていたら冷泉がスッと手を上げてくれた、おぉ!?神様仏様冷泉様、どうか助けて下さい。

 

「ケーキ、もう2つ頼んでいいか?もちろん比企谷さんの奢りで」

 

神は死んでた、忘れてた、そもそもぼっちに神は居なかった。

 

「あはは…うん、じゃあ八幡君、それで許してあげる」

 

「まぁ…、それで済むならいいけど」

 

なんかよくわからんが、それで彼女達の機嫌が直るのなら安いものだと考えよう。

 

…安い、かな?財布の中空っぽになっちゃったんだけど。

 

「それと八幡君、エリ…、逸見さんの事なんだけど」

 

「ん?あの現副隊長さんがどうかしたのか?」

 

「逸見さんは決して私の代わりに仕方なく副隊長になった、とか、そんなんじゃないと思うな」

 

あぁ、なんだ、改まって何を言うかと思えばそんな事か、というかあれだけ本人に好き勝手言われたのにその相手を庇うとか、やっぱり西住は優しいな。

 

「んな事、言われなくてもわかってる」

 

「えぇっ!?」

 

「だって常勝無敗と言われた黒森峰で隊長があのお前の姉ちゃんだろ、ごっつぁんで簡単になれるほど黒森峰の副隊長の席が温い訳ないだろ」

 

実際、前の副隊長が西住だった時点で、そのハードルはあまりにも高過ぎただろうに。それをあの現副隊長さんは見事に飛び越えたんだ。

 

だからきっと、彼女も努力に努力を重ねて今の地位を手にしたのだ、それは正に、自らの力で掴んだと言える。

 

「だから多分、逸見エリカは強い、そんな事は最初からわかってる」

 

「…八幡君、逸見さんだよ、それなら、なんであんなこと言ったの?」

 

「…さぁ、なんでだろうな?」

 

思えば、あの場で黙っていても良かったかもしれないのに、わざわざしゃしゃり出てしまった。

 

「単純に、あの場じゃ逸崎が気に入らなかっただけだ、気にするな」

 

「えぇっと…、だから逸見さんなんだけど…」

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

時刻は夕方、学園艦へ向かう船のデッキで西住がぼーっと海を眺めていた。

 

どうやらまだ戦車喫茶での姉との出来事を気にしているのか、西住の奴、結構こういうの溜め込むタイプだしなぁ。

 

「寒くないですか?」

 

一瞬、声をかけようか迷ってると別の方から秋山が西住に声をかけていた、どうやら戦車喫茶からずっと、西住の事を気にかけていたのだろう。

 

「ううん…、大丈夫」

 

「そうですか、比企谷殿は寒くありませんか?」

 

「…バレてたのか?」

 

別にこのまま秋山に後を任せても大丈夫だろうし、比企谷 八幡はクールに去ろうと思ってたんだけど。

 

「考える事は同じですね、比企谷殿」

 

「別に、たまには夕日でも見ながらマッ缶を飲もうかと思っただけだ」

 

「2つも持って、ですか?」

 

秋山の奴…案外目ざといな。

 

「元々2つ飲むつもりなんだよ、俺のマッ缶消費量を甘く見るなよ、まぁ…いいか、ほれ」

 

二人にマッ缶を渡す、来る前にきちんとお湯で温めてきたから今回はホットだ、冷たくても暖かくても美味いとか、マッ缶ってやっぱ神だわ。

 

「わ、ありがとう、でも…八幡君の分が無くなっちゃうよ」

 

「俺は後で飲む、まだダージリンさんに貰った分も残ってるからな」

 

「全国大会、私は出場出来るだけで充分です、他の学校の試合も見られますし、大切なのはベストを尽くす事です、例えそれで負けたとしても…」

 

実際、大洗は西住以外は素人の寄せ集めだ、おまけに戦車も弱く、充分な数すら確保出来てないときてる。

 

…そんな状況で一回戦の相手が強豪校だからな、聖グロリアーナの時はまだ戦車の数が同じだったから何とかなったようなもんだし。

 

「それじゃあ困るんだよねぇ」

 

「絶対に勝て!!」

 

「…え?」

 

振り返ると生徒会の三人が立っていた、今の話を聞いていたのだろうか。

 

「我々は…どうしても勝たねばいけないのだ」

 

「そうなんです、だって…負けたら」

 

「しーっ!」

 

…負けたら?負けたらいったいどうなるって言うんだ?

 

思えば戦車道復活から生徒会の無茶振りは異常だ、一体、何をそこまで必死になる必要があるというのか。

 

…何か怪しいな、何か俺達に隠している事とかあるんじゃないか?この人達。

 

「とにかく!全ては西住ちゃんの肩にかかってるからね~、今度負けたら何やってもらおうかな~、考えとくね」

 

今度負けたら…、え?何?もしかしてあのあんこう音頭より恥ずかしい罰ゲーム考えてるの?あれより恥ずかしいのって何だよ?タグにR-18とか入れた方がいいの?

 

「…だ、大丈夫ですよ、西住殿!頑張りましょう!!」

 

「初戦だから…ファイヤフライは出てこないと思う、せめて、チームの編成がわかれば戦いようはあるんだけど」

 

西住はぶつぶつと呟きながら考え込んでいる、またこいつは、一人で溜め込むのか。

 

「…比企谷殿、この後、ちょっとよろしいですか?」

 

「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「すいません、呼び出してしまって」

 

「まぁ暇だったしな、別にいいけど」

 

しかし珍しいな、こいつが一人で俺を呼び出すとは、もしかしてまた戦車倶楽部の誘いか?とはいえこいつと行くと最終的にレア物の戦車グッズの取り合いになるからなぁ。

 

「あの…、もしかしてですけど、比企谷殿も去年の西住殿の話、知っているんですか?」

 

「…ん、あぁ、前にちょっといろいろあってな、やっぱり秋山も知ってたか」

 

「あの試合での西住殿の判断は間違っていません、ですが…あの時、私はそれをちゃんと言う事が出来なくて」

 

なんだ、秋山も戦車喫茶での一件を気にしてたのか、俺からすればあの場でちゃんと声を上げた事が何より凄い事だと思うけどな。

 

「比企谷殿のあのお二人に対する引かない姿勢、尊敬します!あ!一番はもちろん西住殿ですが、えと…、二番目に尊敬します」

 

「いや、尊敬される事なんて何もしてないから」

 

あんなの、ただの悪意たっぷりの言いがかりだし、決して誉められたもんじゃない。

 

それにしても秋山の奴、一番尊敬しているのは西住だと言い切ったな、さすがは忠犬、でも面接とかで尊敬する人物聞かれた時はそんな風に答えちゃ駄目だぞ、こいつならやりかねん。

 

「んで、用ってそれだけか?」

 

「あ、いえ…その」

 

秋山が急に顔を赤らめて身体をもじもじとさせている、…なんだろう、この雰囲気は。

 

もう日もだいぶ沈み、辺りも暗くなった時刻、この場には俺と秋山の二人だけ。

 

「比企谷殿!私と…付き合って下さい!!」


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