やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

61 / 205
しかしアレだね、リクエストでこの話し選ぶ君達は鬼畜だわ…。甘ったるい青春ラブコメとか書ける訳無い、つーか書いてて恥ずかしい。あと書いててやっぱり八幡が面倒くさい(笑)

慣れないながら四苦八苦して書きました、やや強引な感じは番外編って事で許して下さい…。


【番外編】どこまでも、武部沙織は恋に戦車に一直線。その2。

さて、待ちに待った日曜日、しかも今日は戦車道訓練もない日ときている。

 

いつも通り日朝アニメを堪能し終え、あとはもう今日と言う日に感謝しつつ家でダラダラと休日を堪能しようではないか!!

 

「…のはずだったんだがなぁ」

 

「あっ!比企谷遅いよ、女の子を待たせちゃ駄目なんだからね!!」

 

「休みの日に人をわざわざ呼び出しといてそれかよ…」

 

家でダラダラとやっていると武部からメールが来た、コイツが俺を呼び出すとは珍しいが、なんでも戦車道関連で大事な話があるらしい。

 

電話だったらスルーしてやったのに、あえてメールを送ってくる辺りなかなかやりおる。

 

「んで…なんだよ大事な話って?戦車道関連の話なら俺よか西住か秋山に聞けばいいだろ?」

 

戦車道ならば西住、戦車関連なら秋山のがずっと適任だ、それをわざわざ俺を呼び出す意味がわからん。

 

「そ、その前にちょっと歩かない?立ち話もなんだし!!」

 

「…え?あ、おい」

 

いきなり勝手に歩き出す武部を慌てて追いかける、しかもコイツ、歩き方がえらくギクシャクしてるし。

 

「俺はさっさと家に帰りたいんだが…」

 

「何言ってるの比企谷、せっかくの休日なんだから家にばっかり居たら勿体ないよ?」

 

「何言ってんだ武部、せっかくの休日なんだから、家でダラダラしないと勿体ないでしょ?」

 

俺がそう言うとギクシャク歩いていた武部は立ち止まってうわー…みたいな顔で俺を見た。え、何?そんな変な事言った?

 

「…予想はついてたけど、そんなんじゃ彼女出来ないよ?外に出ないと出会いなんてないんだから」

 

「いや、意味がわからんが…」

 

だいたい休みの日に外を出歩くだけで彼女が出来るのなら世の中カップルだらけだ。

 

それに武部さん、休日に外を出歩いて君に彼氏は出来たのかね?

 

「話がないなら帰っていーか?」

 

「あるの!あるけど…、その、ごめん比企谷!今日1日、私に付き合って!!」

 

「…は?」

 

「この前のファンレターの話、覚えてる?」

 

「あぁ、お前が後輩の女子に告白された話か、そういやあれどうなったんだ?秋山の作戦通りに上手くいったのか?」

 

クラスでもトップカーストのコミュ力を持つ武部の事だ、きっとクラスの適当な男子掴まえてさっさと問題解決したに違いない。

 

「上手くいった…っていうより、今が作戦中、だったり?」

 

「は?」

 

え?じゃあ今もどっかに武部の彼氏のフリしてる奴居るの?急にどっかから出て来て、俺の女に手を出しやがって、とか言って来ないよね?

 

「だから!今日1日…比企谷に彼氏のフリをしてって言ってるの!!」

 

ピシッとまるで世界が割れるような音がした。

 

つまりこれはあれか?ニセのコイか?ニセのコイしろってか?やめといた方がいいよ、そもそもヒロインが複数居るラブコメもので万人が納得出来る結末なんてあり得ないんだから。

 

それでも俺は和菓子屋の娘さんが幸せになってくれる事を祈ります!!

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

「…事情はわかった、いや、わからんが」

 

要するに…、武部がきちんと女子に対してその気がないって事をアピールする為の彼氏役に俺が抜擢された訳か、やっぱりニセのコイじゃねーか。

 

「…つーか、何で俺?お前ならクラスに仲がいい適当な男子が居るだろ?」

 

「あんまりこういう話って広めちゃ駄目だよ、比企谷はもう事情知ってるでしょ?」

 

「まぁ…たまたまあの場に居たしな」

 

ここまで来てまだ相手側の心配をするとか、やはり武部は優しい奴だ、その優しさを少しは俺にも向けてくれませんか?

 

「それに、比企谷って口が固そうだし」

 

「…単に喋る相手が居ないだけだ」

 

口は災いの元、とも言うしな。あれ?これってつまり誰とも喋らなければ災いなんてやってこないって事じゃね?

 

広げてしまえばコミュニケーションって災いの塊だな、やはりぼっちこそ平和の使者である。

 

「それにしんよ…、って!何言わせるのよ、もー!!」

 

「何でいきなりキレんだよ…、つーかそういう事情なら先に言えよ」

 

そうしたら絶対来なかったのに…、呼び出した後にそれを言うとかズルくない?

 

「だって言ったら絶対来ないでしょ?」

 

「………」

 

読まれていたか…、さすがおかん武部。

 

「相手の子にも今日デートするって伝えてるし、たぶん見に来てると思うの、…だからお願い、今日だけだから!!」

 

「…はぁ」

 

相手側がもう見に来てるんならここで俺が帰ってしまう訳にも行かないか、強制的に舞台に上げられてしまったようなものだ。

 

「今日1日…、適当にぶらぶらしてりゃいいんだよな?」

 

「ありがとー!後でちゃんとお礼するからね!!」

 

まったくだ、人の休日を潰したその罪、万死に値する。

 

「それで比企谷…」

「んで、武部…」

 

「「こっからどうする?」」

 

「………」

 

「………」

 

いや、そこでお互い沈黙しても…。

 

「やっぱりこういうのは男子が引っ張って行かなきゃ、素敵なデートプランとかないの?」

 

「突然呼び出されてあるはずないだろ…、そもそも経験がない、という訳で経験豊富な武部に任せる」

 

「うぅっ!?私だって経験ないよ…」

 

「なんでだよ…、クラスの奴とどっか行ったりしてるだろ」

 

「そりゃ何人かで遊びに行った事はあるけど…、男子と二人きりって、今までないし…」

 

顔を真っ赤にさせて恥ずかしがる武部を見ていると俺も普通に恥ずかしくなってくる。

 

「比企谷はさ、普段休みの日ってどこに居るの?」

 

「家」

 

「うんごめん、私の聞き方が悪かった、休みの日に出掛けるとしたらどこに行くのよ?」

 

「…そうだな、戦車倶楽部とか?」

 

品揃えも豊富で普通に楽しい、しかし何で戦車道の廃止されたこの学園艦にいまだに戦車ショップなんてあるんだろう?俺は嬉しいんですが。

 

「…せっかくだし、もっと女の子らしい所がいいんだけど」

 

こらこら、戦車道は乙女の嗜みなんだから、充分女の子らしいお店でしょ?ファンシーショップと同じ感じに扱うべきじゃないの?

 

「秋山ならここで大喜びしてるぞ?」

 

「…む、駄目だよ比企谷、デートの最中に他の女の子の名前出したら」

 

「フリだろ…、見てたとしても話してる内容までは聞こえねぇよ」

 

「もー、そうじゃなくて、雰囲気の問題なの!せっかくの機会なんだし、比企谷も女の子について勉強するべきだよ!!」

 

「…はぁ?何で?」

 

「だって比企谷は将来専業主夫になりたいんでしょ?だったらまず結婚しないと」

 

「…うぐっ!!」

 

コイツ、痛い所をピンポイントでついて来やがる…。

 

「それに私も将来素敵な彼と結婚してお嫁さんになるから、言わばお互い、今日はその予行練習だよ!戦車道でも模擬戦って大事でしょ?」

 

恋愛脳のスイーツだと思っていたが、戦車道にもしっかり例えてくる辺り、わりかし説得力がある。

 

「…っても、学園艦内で行ける所って結構限られてくるよな」

 

海上を進む学園艦はそりゃ広い面積を持ってはいるが、遊ぶ所となると限られてくる。

 

サンダースの学園艦ならそこら辺のレジャー施設は豊富らしいが、大洗は小さい方だし。

 

「そうなんだよね、大洗に帰港した日に重なればアウトレットで服とか買えるのに」

 

「服なら学園艦でも買えるだろ」

 

「品揃えの問題なの、女の子はそこら辺苦労してるんだから、学園艦内で服買うと他の子とかぶっちゃう事も多いし…」

 

そういや小町も似たような事言ってたっけ…、まぁ女の子の悩みってやつだろう。いや、男同士でも着ている服かぶったら嫌だと思うけどさ。

 

「あぁ、そういやお前が今着てる服も珍しいもんな」

 

ゆるふわな感じでお姫さまみたいな、ちょっと言い方を変えれば頭の悪そうな格好ではあるけど。

 

「………」

 

「…なんだよ?」

 

驚いた顔をしてぽかんと武部が口を開けている、なんともマヌケな表情だな、これ。

 

「いや、意外と見てくれてるんだなって…、比企谷、そういうの無頓着だと思ってたし」

 

「普段制服なんだから目立つんだよ…、それだけだ」

 

「えっへへ~、またまたぁ!ねぇ?似合ってる?」

 

得意気に笑うとくるりと一回転までしてくる、…なんで急にこんなテンション上げてんの?付き合うのも面倒くさい。

 

「…はいはい、お姫さまみたいで似合ってる」

 

つい小町に返すみたいに適当に返事をしてしまった、まぁゆるふわで程よく頭が悪そうな感じが確かに武部に合っていると思うし。

 

「…え?えっと…、その、ありがとう」

 

いや、そこで恥ずかしがって戸惑われると俺も困るんだけど…。

 

「も、もういいから!そろそろ行こ、ずっとここに居るのも変だし!!」

 

「行くってどこに?家?帰る?」

 

「帰らないよ!なんでそんなキラキラした顔するのよ!?…戦車倶楽部以外で比企谷が行く所ってないの?」

 

「…本屋とか図書館とかだな、普通に楽しいし何時間も居られる」

 

特に学園の図書館はむちゃくちゃ広く一般書籍から専門系、漫画など種類が豊富に置いてあるのでわりかしオススメだ。

 

「そういや比企谷、よく本読んでるもんね、麻子もそうだけど」

 

冷泉の場合、基本的に寝てるか本読んでるか顔に本を被せて寝てるかだもんな、ほとんど寝てるじゃねーかそれ。

 

「じゃあとりあえず本屋行ってみる?あそこなら他にもいろんなお店あるし」

 

「まぁ…いいけど」

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

という訳で学園艦にある本屋へとやって来た、ちょうど次に読む本探してたし、これを機会に何か買ってくか。

 

着くや早速武部はファッション雑誌とかそこら辺のコーナーに行ってしまったし…、二人で来る必要あったのかな?俺は楽でいいけど。

 

「…む、この人の新刊、出てたのか」

 

本屋の雰囲気というのは嫌いじゃない、武部の向かったファッション雑誌とかのコーナーはともかく、ここら辺の小説コーナーは落ち着いているしな。

 

図書館で借りてしまえば確かに一番経済的にも楽ではあるが、新刊狙いの競争相手も多くすぐに読みたいのであればやはり買ってしまうのが手っ取り早い。

 

お目当ての品を手にとってレジで並んでると武部が小走りでやって来た。

 

「ちょっと!なんでさっさと買おうとするのよ?」

 

抗議してくるその手には何やらよくわからん雑誌が握られている、武部も何か買うつもりなのだろう。

 

「いや、別に俺が何買ってもいいだろ」

 

特にやましい本を買った訳でもないのに、何故怒られるんだ…。

 

ちなみに学園艦には図書館はもちろん、本屋にも基本的に大人向けの本は置いていない、まぁ学園艦が中高の学生の為の船だもんな。

 

え?何でそんな事知ってるのかって?別に学園艦中の本屋調べ回ったりなんかしてませんよ?

 

もちろん学園艦に居るのが全員学生という訳ではないので、そういったやらしい本を買う方法もあるらしいが学生の俺達には知らされていない機密らしい、畜生。

 

「いや、せっかく一緒に来たんだから、一緒に買えばいいじゃん」

 

なんだよその理屈は…、と思ってるとレジが俺の番になったので新刊を店員に渡す。

 

「あ、これもお願いします」

 

すると武部が自分の持っていた雑誌も店員に渡しやがった。

 

「おい…」

 

何これ?俺に買えっていうの?

 

「別にいいじゃん、お金は後でちゃんと払うから、この方が店員さんも手間ないし」

 

別に店員の手間とか気にする必要ないだろ…、あの人達はそれが仕事なんだし。まぁこの店のポイントカードあるし、別にいいか。

 

「あの…お客さん様」

 

「あ、はい?」

 

俺と武部のやり取りを見ていた店員が遠慮がちに声をかけてくる、やべ、ちょっと恥ずかしい。

 

「えと、本当にこの商品でお間違いはないですか?」

 

「あぁ…まぁ、はい」

 

この店員さんも何をそんなに戸惑っているのだろうかとレジに置いてある武部の買おうとしてる雑誌を見ると。

 

結婚情報誌【ゼクスィ】。

 

「………」

 

ちょっと、武部さん何買ってんの?高校生が買うようなものじゃないよこれ?

 

というか大人向けのやらしい本はないのに何で結婚情報誌があるのよ?何かいろいろ間違ってない?

 

しかも表紙には堂々と『今月号の特集は若くして結婚するあなた達にオススメの新婚生活』と書いてある。

 

「最新号あってよかったよ、今月の特集は絶対見逃せないよね!若くして結婚とか私にぴったり!!」

 

あぁもう…、少し黙っててくれないかな、武部さん。

 

「あ、あの…、こういうのは卒業してからの方が、よろしいかと、その、思いますが、学生らしく、節度も守ってですね…」

 

店員さんも何やら勘違いしてよくわからん事言ってるし…。

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「うん、目当ての物も買えたしよかった、大満足!!」

 

「…ちっともよくねぇよ」

 

商品を購入し、店を出て嬉しそうな武部とは対照的に俺は大きくため息をついた。もうあの店行けねぇじゃねぇか。

 

「次はどこ行こっか?」

 

俺としてはもう疲れたし、お家帰って今買った本を読みたいんだけど武部の奴はまだまだ何処かに行くつもりだ。

 

「…あ」

 

ぶらぶら歩いていると武部が一つの店の前で立ち止まった、ん?

 

「メガネ屋か、そういやお前、普段はコンタクトだっけ?」

 

そういや前に西住の家で料理してた時メガネかけてたな。案外メガネっ娘だったな。

 

「うん、そっか…、そういえば今つけてるのもう結構古いなぁ」

 

「…入るか?」

 

どうせ他に行く所もないし、このまま当てもなくさまようのも疲れるだけだ。

 

「いいの?比企谷メガネしてないし、つまらないと思うよ?」

 

「俺の希望してた本屋には行ったしな」

 

そういやメガネ屋とかあんまり入った事ないな、別に視力悪い訳じゃないし当然だけど。

 

店内に入ると当たり前だが様々なメガネが置いてある…、が、正直どれも同じに見える。

 

俺もサングラスとか買おうかな、そしたらこの腐った目も隠せるし怖がられないだろう。普段サングラスしてる方が怖いか。

 

「あ!これ可愛いかも、こっちのも良いなぁ…」

 

俺にはよくわからんが武部には各々の違いがわかってるらしい、メガネの形に可愛いとかあるの?

 

「メガネとコンタクトって使い分ける意味あるのか?」

 

あぁでも戦車道でメガネって結構危ない気がする、一年の大野とか試合の度にメガネ割れてるし。

 

「うーん…、家で料理する時とかメガネの方が都合良いんだよね、あっ!でも彼氏がメガネ好きなら合わせるよ!!」

 

いや、そこでいらん情報付け足さんでも…。

 

「ほら、メガネかけてると頭良く見えるし!知的な感じの女子が好きな男の子落とすんならやっぱりメガネは必要だよね?」

 

なんて頭悪そうで知的とは無縁の発言なんだ…。

 

「…比企谷はメガネかけてる方が好きなの?」

 

「あんまりそういうこだわりはないな、まぁ、どっちでも」

 

「えー、つまらないよ!ほら、これとか似合う?」

 

「…まぁ、いいんじゃないですか?」

 

「何で急に敬語なのよ?」

 

いや、別にこだわりとかないんだけどさ、普段見慣れない女子のメガネ姿とか新鮮だし…。

 

「そうだ!せっかく来たんだから比企谷もメガネしてみたら?」

 

「いや、俺別に視力悪くないし…」

 

「伊達メガネでいいじゃん、最近じゃメガネかけてる男子がモテるって言うよ?」

 

何それ初耳、メガネかけたらモテモテに変身とかウルトラマンの七番目なの?メガネ部なの?

 

「ほら、これなんかどう?ちょっとかけてみてよ」

 

武部に薦められるまま、渡されたメガネをつけてみる、普段つけないのでなんか違和感あるな…。

 

鏡で見てみるが自分じゃ似合ってるかどうかもよくわからん、しかしこの鏡に映ってる男、目がだいぶ腐ってんな、メガネうんぬんよりとりあえず眼科行った方がいいよ?

 

「………」

 

「…なんだよ、なんか変か?」

 

俺が四苦八苦しているのを武部はぼーっと見つめていた、そんなに変なのか?

 

「変っていうか…その逆っていうか、比企谷、それ買った方がいいよ」

 

「は?何でだよ?」

 

「いいから、女の子の言う事は聞いとくもの、いい?」

 

まさか武部は全国のメガネ屋の回し者だったりするのだろうか…、なら普段コンタクト付けちゃ駄目だろ。

 

「私はどれがいいかな…、比企谷、これとこれ、どっちが似合うと思う?」

 

だからどれも同じ感じに見えるって…、ん?いや、かけ比べてみると結構印象って変わるもんなんだな…。

 

「何で俺に聞くよ?」

 

「だって男子の目から見てどっちがいいか気になるじゃん?」

 

って言われてもなぁ、好みなんて人それぞれだと思うんだが。

 

「…ん、どっちがって聞かれたらこっちか、なんとなく武部に合ってると思うし」

 

「そっか…、じゃあコレにする!!」

 

え?いいの?そんなあっさり決めちゃって…。

 

武部がレジの方に向かい店員さんと何やら話している、視力やらそこら辺の調整の話でもしているのだろう。

 

一人ポツンと残された俺はデュワッともう一度メガネをかけて鏡を見る。…うん、まぁ1つくらい持ってても悪くないかもしれない。

 

メガネでこの腐った目が少しでも緩和される可能性もあるし…、今後付けるかわからんけど。

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「さて、メガネも買えたし次はどこに行こっか?」

 

「まだどこか行くのか…」

 

「だから何でそんな嫌そうなのよ」

 

いや、時間もそろそろいい感じになって来てるし…。

 

「…しかし手紙の相手もしつこいな、まだ俺達のこと見てるぞ」

 

「え?比企谷わかるの?」

 

「ぼっちは基本的に他人の視線には敏感なんだよ、言われて注意してればなんとなく誰かが見ているのはわかる」

 

「理由が悲しいんだけど…、じゃあまだ居るんだ」

 

「たぶん、しかし変だな…」

 

「何が?」

 

「なんか感じる視線が一人じゃない気がする…」

 

「え?何それ怖いんだけど…、あっ!もしかして私のことが好きな男の子が居るとか!?」

 

この状況でポジティブになれる武部のメンタルすげぇな。

 

「ちょうどあそこらへんから視線が…、ん?」

 

見ると冷泉が壁から顔を出して…寝ていた。

 

それに気付いたのか慌てて冷泉を回収せんと西住と五十鈴と秋山がずるずる彼女を引っ張っている。

 

…何あれ? あれで隠れてるつもりなのか?

 

「…西住達が居るんだけど」

 

「え?みんな来てるの!?」

 

武部も知らなかったのか、驚いた顔をしている。

 

「本当だ…、って、麻子こんな所でまで寝てるし」

 

さっきから感じる視線はあいつらだったのか、たぶん手紙の相手はもう帰ってるなこれ。

 

…だったらこのニセのコイごっこも終了だな。

 

「ほれ、西住達と合流してこい、手紙の相手ならたぶんもう帰ってるぞ」

 

「…うーん」

 

もう問題は解決したと思うんだが、何故か武部悩んだ表情を見せている。

 

「武部?」

 

「さっき言ったでしょ?デート中に他の女の子の名前出したら駄目なんだからね」

 

「いや、だって…」

 

何か反論したいところではあるが、武部の真剣な表情に言葉がのまれてしまう。

 

「今日1日は私に付き合ってくれるんでしょ?なら、最後までデート…しよ?」

 

「いや、まぁ…、そうは言ったけど、その言い方はちょっとズルくないか?」

 

確かに問題が解決したら…とは言ってなかったけど、その言葉も少し寂しそうに俺を見る表情もちょっとズルいと思う。

 

いつもの恋愛脳スイーツ全開な様子はどこに行ったのよ…。

 

「ふふん♪女の子はね、ちょっとズルい方が男子にモテるんだよ?」

 

あ、いつもの武部だったわ、…よかった。

 

「…んで、付き合うのはいいとして。こっからどこ行くんだよ?」

 

「うーん…、みぽりん達には悪いけど、二人きりになれる場所に行きたいんだけど」

 

「…は?」

 

「は?って最初に大事な話があるって言ったじゃん、忘れたの?」

 

…忘れてました。え?てかそれは本当だったの?


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。