やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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各あんこうメンバーと行くアンツィオ校潜入偵察も終わって再び本編に戻ります、基本的にこの八幡は皆さんの選んだあんこうメンバーとの偵察終了後になってます、ハーレム?なにそれ美味しいの?
ちなみに描写が無かったルートでも一応、昼飯とかは食べてますのでそこら辺は上手く脳内再生して下さい。
他ルートで出た話題も今後、ちょくちょく本編に出るかもしれませんがそれはアンツィオ校ではなくて別の機会にどこかで起きた出来事の一つ…くらいに考えて貰えたら。

さて、お待たせしました、我等がドゥーチェの登場です!!


わりとあっさり、比企谷八幡は捕まってしまう。

さて、いろいろと…、本当にいろいろとあった気がするが、気付けば一人でアンツィオ校の戦車道チームの練習場であるコロッセオにきていた。

 

こんな事なら最初から一人で来た方がよかったんじゃないかな…これ?

 

さすが俺、単独行動スキルが高い、なら次は気配遮断スキルの発動だ、久しぶりのステルスヒッキーの本領発揮だな。

 

コロッセオの観客席から慎重に顔を出すと、アンツィオ校の戦車道チームがズラリと整列しているのが見えた。

 

…多いな、『衰退してた』と聞いてはいたが、それでもうちの倍近くは居る、人員については充分って所か。

 

「ぜんいーん、気を付け!」

 

そんな戦車道チームの前に立つ三人の女生徒、この三人がアンツィオ校の隊長と副隊長なのだろう。

 

「きっとやつらは言っている!ノリと勢いだけはある、調子に乗ると手強いと!」

 

真ん中のマントを羽織った女生徒が手に持ったムチを振るって演説を始める。ムチ?え?やだなにそれ怖い…。

 

「おぉー」

 

「強いってー」

 

「照れるなー」

 

それに対して戦車道メンバーは嬉しそうに笑ったり照れたりしている。これ、褒めてるって訳じゃないと思うんだけど。

 

「でも姉さん、だけってのはどういうことですか?」

 

「つまりこういうことだ。ノリと勢い以外はなにもない、調子がでなけりゃ総崩れ」

 

「なんだとー!?」

 

「舐めやがってー!」

 

「言わせといていいんすか?」

 

「戦車でカチコミ行きましょう!」

 

ノリと勢いがあると聞いてどんなリア充集団かと思ったら、こいつら田舎学校のヤンキーかよ…、怖ぇな。

 

あ!ちなみに俺の知る中でノリと勢いがあるって言ってたの河嶋さんだけなんで、カチコミするならうちの生徒会によろしくお願いします。

 

「みんな落ち着いて、実際言われたわけじゃないから」

 

騒ぎ出した戦車道メンバーを副隊長だろう人がそう言って宥める。ごめんね、実際に言われてます。

 

「あくまでドゥーチェによる冷静な分析だ」

 

たしかドゥーチェって日本語で総帥って意味だったか、立場的に真ん中のムチを持った隊長さんを指すのだろう。

 

「そう、私の想像だ」

 

…つまり、この人がアンツィオ校戦車道の隊長、安斉 千代美さんか。

 

「いいかお前たち、根も葉もない噂にいちいち惑わされるな!私たちはあのマジノ女学院に勝ったんだぞ!」

 

「「「オォーーー!!」」」

 

「苦戦しましたけどね…」

 

マジノ女学院、気になって秋山に聞いてみたが、その学校はフランス戦車が中心の結構な名門校らしい。CV33を主力によく勝てたな…。

 

一回戦の試合結果に番狂わせは無かったと思っていたが、俺が知らなかっただけみたいだ。

 

「勝ちは勝ちだ!」

 

「ノリと勢いはなにも悪いことだけじゃない、このノリと勢いを二回戦に持っていくぞ!次はあの西住流率いる大洗学園だ!」

 

…やっぱり西住の事はバレてるか、ここに連れて来なかったのは正解だったな。

 

「西住流ってなんかやばくないっすか?」

 

あ!わかる?マジヤバいッスよ?模擬戦での容赦の無さっぷりとか。

 

「勝てる気しないっス…」

 

あ!わかる?マジヤバいッスよ?本当に勝てる気がしない。

 

「心配するな!…いや、ちょっとしろ?」

 

どっちだよ…、いや、気持ちはわかるけど、西住流マジパないもんね。

 

「お前達も知ってるだろうが、最近、我が校は何故かカップルの観光客が急激に増えた、おかげで屋台の売り上げも好調だ!!」

 

「あー、そういや最近妙に忙しかったッスねー」

 

「うち女子校なのにやたらと男見ると思ったら、カップルだったんすねー」

 

「なんでうちの学園艦、こんな人気なんすか?」

 

「さぁ…」

 

結婚情報誌、ゼクシィが特集を組むほどなんだが、現地に住む彼女達からしたらその程度なのか…、恋人達の新たな聖地が聞いて呆れるな。

 

「つまり、二回戦に向け我々は新たに戦力を強化する事に成功したのだ!まず、セモヴェンテを一両!!」

 

さっきからずっと気にはなっていたが、大きな布を被せられた謎の2つの物体が彼女達の横に置いてある。

 

副隊長の二人が布を外すと、セモヴェンテM41がその車体を見せる。…マジで戦力強化されてるのか。

 

一回戦ではセモヴェンテが3両だったが、これで4両、加えて新型戦車まで来るとなると、残りがCV33と考えても半数はうちの戦車に対抗し得るって事か。

 

「いやー、たまたま中古で激安のがあってよかったッスよねー」

 

「それでもギリギリでしたけどね、でも、どうしてこんなに安かったんでしょう?」

 

…本当に大丈夫?特に理由もなく安い品物とか、訳ありとしか思えないんだけど。

 

「ちょっと前がへこんでるくらいだし、いい買い物だったよな!」

 

いやそれダメなやつだから!みんなのヒーロー陰陽師の出番だから!!

 

「えぇいっ!静かにしろ!ここからが本番だ!今まで我々が何のために三度のおやつを二度にしてコツコツ倹約したと思ってる」

 

「なんででしたっけ?」

 

「前に話しただろ!それは秘密兵器を買うためだ!」

 

「「「オォー!!」」」

 

「ごほんっ…一回戦に比べ戦力も大幅に強化された。あとは諸君らの持ってるノリと勢い、そして少しの考える頭があれば必ず我々は悲願の三回戦出場を果たせるだろう」

 

副隊長の二人がもうひとつの布で隠された例の新型戦車の前に行く。…いよいよお披露目って訳か。

 

「みんな驚け!これが我がアンツィオ校の必殺秘密兵器だぁー!!」

 

『ただいまから屋台街にてタイムセールスを始めます、タイムセールス限定ランチもありますよ!!』

 

…そんな安斉さんの宣言は突如として流れて来たアナウンスにより遮られ。

 

「ごはんごはん!」

 

「限定ランチは早くしないとすぐ売り切れちゃいますよ!!」

 

そのアナウンスを聞いて駆け出すアンツィオ校戦車道メンバー。…は?

 

「おい、まて、こらっ!お前らそれでいいのか!?」

 

本当だよ、つーか今って授業中だよね?いいのかよ…、こんなので。

 

「…まぁ、自分の気持ちに素直な子が多いのが、この学校のいい所なんだけどなぁ」

 

がっくりと肩を落とす安斉さんだが、それ以上に俺ががっくりしている。…やばくね?このままじゃ新型戦車見れないんだけど。

 

…どうしよう、このまま帰ったら絶対河嶋さんに怒られる、アンツィオ校観光して飯食ってただけだし。

 

そう思っていると新型戦車に被されていた布がするすると外されていく。…あれ?

 

「あぁ!?ペパロニ、勝手に布を取るな!こういうのはインパクトが大切なんだぞ!!」

 

どうやら副隊長の一人が布を引っ張って外してくれたらしい、よくわからんがラッキーだ。

 

布を外され、アンツィオ校の新型戦車、【P40重戦車】がその姿を現す。

 

…すげぇ、何が出てくるかと思ったらこんなレア戦車が生で見られるとは、ありがたやありがたや。

 

「え?でも姉さん、向こうにまだお客さん居ますよ?見せなくてよかったんですか?」

 

「何言っている、今は戦車道の授業中だぞ?観光客なんて居るわけ…」

 

ありがたや、ありがた…、ん?副隊長の一人がこっち指差してて、残りの二人もこっち見てんだけど。

 

「な!だ、誰だ?また取材か?」

 

「今日は取材の予定は入ってなかったはずですが…」

 

普通にバレてた!?つーかあの副隊長の一人、勘が鋭すぎじゃない?

 

「し、侵入者だぁ!!」

 

あ…詰んだこれ、逃げようにも向こうの副隊長の一人がCV33に乗り込んで速攻出入口固められたし。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「勢いで捕まえてみたが…どうする?」

 

「どうしましょうか?」

 

「どうしたもんッスかねー?」

 

はい、そんな訳であっさり捕まっちゃいました…、おかしいな、最近ステルスヒッキーがしっかり機能してない気がする。比企谷八幡よ、お前の力はそんなものじゃないはずだぞ…。

 

俺を捕まえたアンツィオ校の三人は何やらひそひそと相談中である、どうやら俺の処遇についてどうするか話してるようだ。

 

…落ち着け、まだ慌てる時間じゃない。俺が大洗のスパイだとバレた訳じゃないし、ここは口八丁で乗り切るしかない。

 

「あー、えと?安斉さん」

 

とりあえずたまたま迷いこんだ観光客でも装って適当に話しつける事にしようと向こう隊長さんに声をかける。

 

「私の名前はーーーいや、待て!何で私の名前を知っている?」

 

「あ、いや…」

 

言われてみれば確かに…、事前に河嶋さんから名前聞いてしまってたのが良くなかったか。

 

…となれば、これを誤魔化す手は。

 

「えと、すいません、安斉さんのファンなんで、つい…一目会いたくて」

 

この人はスカウトが来るくらい有名な選手らしいが、我ながら苦しい言い訳だとは思う。これで誤魔化すのはやっぱり無理か?

 

「え?わ、私のファン…だと?そ、そうなのか?西住流でも島田流でもなく、私にか?」

 

あれ?めっちゃ通じてるんだけど…、ひょっとしてチョロい感じでいけそうか?

 

「えっと…、まぁ」

 

「そ、そうか、男のファンは珍しいな…、さ、サインとか書いた方がいいのか?」

 

「ドゥーチェ…、落ち着いて下さい」

 

おろおろとしている安斉さんを副隊長の一人が宥める、よし、この調子なら上手く誤魔化せるだろ。

 

「私のファンなのはわかった!だが、ここでは私の呼び名は他にあるだろ、そっちで呼べ!!」

 

呼び名ってそんなのわかる訳が…、いや待てよ?そういやここに来る前にそれっぽい名前を聞いたぞ。

 

「あぁ、えっと…、チョビ子さん」

 

ふふ…完璧だな、確かうちの会長がこの人の事をこう言っていたのをしっかり覚えている。

 

「………」

 

あ、あれ?なんだか安斉さんの様子がおかしいぞー?

 

「…私の事をそう呼ぶ奴に心当たりは一人しか居ない、大洗学園生徒会長の角谷だな」

 

ちょっとうちの会長、なんて情報をくれたの?ガセ情報どころか特定余裕だったんだけど…、いや、迂闊に使った俺が悪いんだけどさ。

 

「大洗学園って…たかちゃんの居る」

 

「二回戦の相手じゃないッスか!なんでうちに?あ!観光ッスか?」

 

「馬鹿、そんな訳あるか!これはスパイだぞ!!」

 

マジヤバくね?どれぐらいヤバいっていうと…、えと、うん、マジヤバくね?

 

「はー、うちにスパイなんて初めてなんで、なんか新鮮ッスねー」

 

「そうだな、うちも有名になったもんだ、…って、違う!!」

 

「ドゥーチェ…どうしましょうか?」

 

「どうもこうもない、せっかく来たんだ、存分にもてなしてやろうじゃないか?」

 

安斉さんはムチを手に不敵に微笑むと俺の前までやって来た。

 

これってもしかしてあれかな?薄い本が厚くなっちゃう展開かな、目が腐った奴の薄い本とか誰が得すんのよ?

 

とりあえず、『くっ…、殺せ』とか言った方がいいんだろうか…、俺の場合、本気で殺されそうだけど。

 

「それから私はチョビ子じゃない、ドゥーチェアンチョビだ!覚えとけ!!」

 

それにしても聖グロリアーナもそうだけど彼女達のソウルネームに対するこだわりはいったいなんなのだろう?

 

いっそのこと大洗でもお互いソウルネームで呼び合ってみたらどうかな?歴女チームとか大歓喜だよ。


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