やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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たまにはこういうちょっとした日常の話も書きたくなる、普段あまり出番の無いキャラも出せますし。
試合前の寄り道ですがこれも彼女達を早めに登場させる大事な伏線です、下手したらこの小説全体の一番大事な伏線にもなりうるはずかも。
もちろんあまり本編からそれないよう長くは書かず、次か次くらいで終わらせれる思うので二回戦はそれからスタートです、気長に待ってて下さい。

え?サブタイ?何も問題は無いはずです。


*前話のラストの継続さん達の場面、少しですが書き直しました、結果だけ見れば展開に変わりは無いですが、あまりに直接的だったので少し描写を簿かしてみました。
もう一度見て貰えたら嬉しいです。


比企谷八幡はSAO(戦車・アタック・オンライン)をプレイしている。

「オンラインの…戦車ゲーム?」

 

「はい!日本戦車道連盟も監修をしている、とてもハイクオリティな戦車ゲームなんですよ!!」

 

戦車道全国大会の二回戦を間近に控えた今日この頃、俺と秋山は練習が終わった後、西住に声をかけていた。

 

「えっと…、私ゲームとかあんまりやらないからよくわからないんだけど、どんなゲームなの?」

 

「簡単に言えば戦車を使って相手チームとオンラインで戦車戦を行うゲームです、対戦ルールは戦車道とあまり変わらないですね」

 

「そんなゲームがあったんだ…」

 

実はあったんですよ、このオンラインゲーム、秋山も言っていたがなかなかの高クオリティで戦車好きなら誰もが納得する仕上がりになっている、そこら辺さすがは戦車道連盟が監修してると言うべきか。

 

たぶんマイナーになりつつある戦車道という武芸を盛り上げる為、日本戦車道連盟がとった苦肉の策の一つなのだろう、それだけに気合いの入り方が違う。

 

そんな本格派戦車ゲームだ、秋山でなくても戦車好きならプレイしていて当然である、つーか俺もやっている。

 

「なんて名前のゲームなの?」

 

「SAOです!!」

 

「…えと、私の聞き間違いかな?なんて名前のゲームなの?」

 

「正式名称は『戦車・アタック・オンライン』ですから、皆さんSAOと呼んでますね」

 

「…大丈夫かな?その名前」

 

「『戦車・アタック・オンライン』だから通称SAOだ、何の問題もない」

 

全く…西住は何に怯えているのか、え?ソード?アート?ちょっと何言ってるかわからないなぁ…。

 

「それでそのSAOには公式のランキング戦があるんですが…、ちょっと困った事になっていまして」

 

「困った事?」

 

「はい、ランキング戦は5チームと5チームで別れて戦うチーム戦で一チームにプレイヤーは五人、つまり25両対25両の戦車戦なんですが」

 

「相手チームにめちゃくちゃ上手いプレイヤーが三人居る、前に戦った時はこっちの25両の半分以上がそいつらにやられた」

 

「えぇっ!?さ、三両で半分以上!!」

 

西住の驚き具合がハンパない、というか西住の場合は現実での戦車道の試合で考えてるんじゃないのか。

 

「落ち着け、あくまでゲームの話だぞ」

 

「そ、そうだよね、ゲームの話だよね…」

 

実際にそんな奴がいたら化け物クラスだろうなぁ…。

 

「それで次のランキング戦、我々のチームはまたその御三方と戦う事になったんで、ここはやはり西住殿に助っ人をお願いしようかと!!」

 

「えと…、私?」

 

「もちろんです!西住殿は戦車道の達人ですから!!」

 

そんな訳で俺と秋山のとった作戦は『助けてみほえもん、なんか作戦だして』と某のびのび君もびっくりな情けないものだった。

 

俺は冗談半分のつもりで言ったんだけどね、なんか秋山がやたらノリノリだ、こいつの場合はたぶん西住と一緒にゲームしたいだけな気もする。

 

「む、無理だよ…、私ゲームとかあんまりやった事ないし」

 

とはいえ、西住がゲーム自体あんまりやった事がないというのは驚きだ、西住の家って戦車道の家元でお嬢様だし、そういうの厳しいのかもしれない。

 

「そんな…、我が軍はもうおしまいです…」

 

悲しそうに項垂れる秋山、いや、絶対西住と一緒にゲーム出来ないのが悲しいんでしょ?

 

「まぁ仕方ないな、嫌がってるの無理に誘うのもアレだし」

 

「そうですね…、すいません西住殿」

 

「えっと…、嫌じゃなくてね、やった事ないから足引っ張っちゃうかなって」

 

「…良いのか?」

 

「うん!お友達と一緒にゲームするのってなんだか楽しそうだし、私、頑張ってみるね!!」

 

お友達かぁ…、最近のゲームってやたらとそういう仕様の奴が多いよね?

 

ゲームなんて本来、一人でやるものだと思うんだけど、そんな仕様いる?いらないよね?

 

村からとびだせないうちの動物達の村なんか最近過疎化が進んで廃村になったし、コレクションするトモダチの居ない俺のマンションは無事に取り壊しが決定した。

 

あと全く関係ない話になってくるが、俺に桃鉄をプレゼントした親父サンタは絶対許さない、クリスマスの日の朝、目が覚めた俺が子供心にどれだけ絶望したか。

 

後に99年モードでCPU相手に戦い抜いた俺の強メンタルを誉めてやりたい、何気にきちんとエンジョイしてんじゃねーか、いや、あれはあれで楽しかったんだよ。

 

「楽しそうにしている所悪いが西住、これはゲームであっても遊びじゃない」

 

「八幡君…いつか怒られるよ?」

 

いや、これはどっちかっていうとアレだから、『遊びでやってるんじゃないんだよぉ!!』的な意味だから、…それも怒られそうだな。

 

しかし頼みの綱だった西住がまさかゲーム自体、あんまりやった事ないとなるとさすがに不安だ。

 

…一応、保険はかけておくか。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

そんな訳で後日、俺達三人は生徒会から許可を取って学校のパソコンルームを使わせてもらっている。

 

「とりあえずログインは完了だな、…ユーザー名はそれで良かったのか?」

 

西住のユーザー名だが、なんの捻りもなく武部が付けたあだ名の『みぽりん』である、これ、知ってる人にはすぐ特定されそうだけど。

 

「私、こういうの考えるの苦手だし…」

 

まぁランキング戦を一回やるくらいなら別に大丈夫か、本名を使ってる訳でもないし。

 

「最初はどうすればいいの?」

 

「とりあえずこの中から初期戦車を選んで下さい、最初なんで選べる戦車は少ないですが」

 

「うーん…、あっ!Ⅱ号戦車もあるんだ、…これにしようかな」

 

「さすがは西住殿、装甲の厚さに頼らない、玄人好みのチョイスですね!!」

 

「えと…そうじゃなくてね、私の好きな戦車だから」

 

「Ⅱ号戦車が好きなのか?」

 

なんか意外なチョイスだな…、これって軽戦車だし。

 

「うん…、小さい頃、お姉ちゃんが運転してくれてよく乗ってたから」

 

昔を懐かしむようにパソコンの画面に映し出されたⅡ号戦車を西住が見る、姉住さんとの思い出の戦車…か。

 

前々から思ってはいたけど西住も結構シスコンだよな、お姉ちゃんのこと大好きだろ、まぁお兄ちゃん好き的にはうちの小町には敵わないと思うけどね。だよね?小町ちゃん。

 

ん?あれ?小さい頃っていつの時代?姉住さんってその頃からもう戦車動かしてたの?

 

…道路交通法、どーこーほーさんは仕事しなかったのかな?

 

「最初は一番簡単なステージから行きましょうか」

 

とりあえず秋山が初心者向けのステージを選ぶ、俺と秋山もサポートの為に一緒にそのステージに入った。

 

「わぁ…、最近のゲームってすごいんだね!!」

 

西住が驚くのも当然だ、このSAOは戦車はもちろんだがフィールドの再現率も素晴らしい、なにしろ生えている草一つ一つもしっかり再現してあるのだから。

 

「それで…どうすればいいのかな?」

 

「操作の前に一度、他のチームメンバーと合流しましょう、ランキング戦では一緒に戦う仲間ですし」

 

ランキング戦は五人のプレイヤーで一つのチームを作らねばならない、鬼畜ルールを採用している、基本的に良いゲームだと思うけどそこら辺クソゲーだよな。

 

今はまだ俺と秋山と西住の三人だけなのでランキング戦に出るにはあと二人足りないのだ。

 

「…どんな人が来るのかな?あんまり知らない人とゲームするのって緊張するけど」

 

「実は私も知らないんですよ、比企谷殿がダメ元で声をかけたらしいんですが…」

 

「ん、まぁ一応二人共知ってる奴だから安心してくれ」

 

「私達の知ってる人…、誰だろ?」

 

つーか二人が知らない奴を俺が知ってる訳ないでしょ、俺のフレンド数の少なさを知らないな?

 

「…お、来たか」

 

「あぁ!あれはファイアフライ!シャーマン・ファイアフライじゃないですか!!」

 

合流の為にこのステージにログインして来たのは一回戦、サンダース戦において我々大洗を散々悩ませたシャーマン・ファイアフライである。

 

「私達の知ってる人で…ファイアフライ、って事は」

 

「ナオミ殿が!これはとんでもない助っ人ですよ!西住殿!!」

 

あー…うん、盛り上がってる二人にはすごく申し訳ないんですけどね。

 

「…悪かったわね!ナオミじゃなくて私で!!」

 

「え、えーと…誰ですか?」

 

「アリサよ!なんでナオミは覚えてて、私は覚えてないのよ!!」

 

はい、そんな訳でサンダース校からネットの海を越えてはるばる駆けつけてくれたアリサさんです、せっかく来てくれたんだから、そんな邪険にしないであげて。

 

「アリサさん?」

 

そういや西住も秋山もまともに会話したことなかったな、軽く紹介してやるか。

 

「サンダース戦で盗聴してた奴だ」

 

「ちょっと!その紹介には悪意しか感じられないんだけど…」

 

いや…だって事実ですし、西住も秋山も『あー…』って感じで誰だかわかったみたいだし。

 

「そもそもナオミはこの手のゲームなんてしないんだから、ゲームならナオミより私の方がずっと上よ、感謝すると良いわ!!」

 

「はい!ありがとうございます、アリサさん!!」

 

「…なんか調子狂うわね、あなた本当に西住流なの?」

 

「えと…、はい」

 

「お礼はいいわよ、私は借り返しに来ただけだから」

 

「借り…ですか?」

 

「…通信傍受の件は、その、わ、わる…、な、なんでもないわ!やっぱり感謝しなさい!!」

 

何?こいつもツンデレなの?新たな属性付けてまだたかし君を狙ってるんだろうか?

 

「サンダースからアリサ殿が…、という事はもう一人はもしかしては聖グロリアーナからですか!!」

 

秋山の奴、なかなか鋭いな、しかし残念ながら外れだ。

 

いや、ダメ元で声をかけたら意外にも渋々だが承諾してくれた奴が居たんで、思いの外アリサも合わせてあっさり人数が揃ってしまったのだ、まぁダージリンさん達がこのオンラインゲームやってるのもあんまり想像出来ないけど。

 

新たにもう一人、このステージに戦車がログインしてくる、実際半信半疑だったが本当に来てくれるとは。

 

「紹介しよう…、ユーザー名、『ブラックフォレスト』さんだ」

 

「…よろしく」

 

ログインして来た戦車は『ティーガーⅡ』、現在のSAOでは最高ランクの強戦車である。

 

「…えぇっと、誰ですか?」

 

「…誰よ?」

 

「誰なの…かな?」

 

「ブラックフォレストさんだ」

 

「いや、だから誰よ!!」

 

本人の希望で本名は伏せておくが、ブラックフォレストさん、いったい何処の逸なんとかさんなんだ…?

 

そんな訳でまさかまさかのブラックフォレストさんの参戦である、むしろこいつがこんなオンラインのネットゲームやってる事に驚きだが。

 

「まぁ俺達は本名で呼びあってるがこういうゲームは本来、ユーザー名で呼び合うのがマナーだしな」

 

しかしブラックフォレストって…、もうちょっと他に何かなかったのかね。

 

「そういえばその向こうのチームの強い三人はなんて名前なの?」

 

「ねこにゃー、ももがー、ぴよたん」

 

「…えっと、ごめんね、八幡君、もう一回言ってくれない?」

 

「…ねこにゃー、ももがー、ぴよたん」

 

つーか何度も言わせないで、恥ずかしいんだから。

 

かくしてただ今ランキング戦を騒がせているランキング上位の強プレイヤーに挑む、我等が急造チームの完成である。

 

【チームリーダー】西住 みほ:使用戦車『Ⅱ号戦車(初期型)』

秋山 優花里:使用戦車『ナヒュール中戦車』

アリサ:使用戦車『シャーマン・ファイアフライ』

ブラックフォレストさん(逸):使用戦車『ティーガーⅡ』

比企谷 八幡:使用戦車『Ⅲ号突撃砲G型』

 

あぁ…自分で集めといて言うのもなんだが、これはもう駄目な気がする。

 


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