やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
そこ、エリカさんと西住殿が作中一度しか会話してない所をつっこむのはNG。
なのでせっかくの機会なんで今後もいろんなキャラを交流させたいです、むしろ八幡関係無しに(笑)
皆さんはどのカップリングが好きですかね?
さて、いよいよ始まりました。第63回戦車道全国大会、二回戦。
今回のフィールドは山岳と荒れ地、そして森、天候は晴天と絶好の戦車道日和となりました今日この頃、大洗学園VSアンツィオ高校の試合をお送りします。
実況は前回に引き続いて私比企谷 八幡、解説にはなんと聖グロリアーナ女学院隊長のダージリン選手とサンダース大学付属高校から隊長のケイ選手と豪華な方々を迎えています。
「試合はまだですの!早くしないとお紅茶が冷めてしまいますわ!!」
あー、もううっさい、予想はしていたがやっぱりこうなったか。
まだ試合も始まってすらいないのにローズヒップは早くもそわそわと落ち着きがない。
「…ペコ、紅茶を」
「はい、ローズヒップさん、淹れたてです」
アッサムさんに言われてオレンジペコがローズヒップに紅茶を渡す、この二人も日頃からローズヒップの行動に手を焼いているのか、中々慣れた様子で。
「まったく…、これを飲んで少しは落ち着きなさい」
なるほど、とりあえず紅茶飲ましといて大人しくさせるのね、熱々の紅茶を飲んでる間ならこいつも静かになるだろう。
「はい!ありがとうございます、オレンジペコさん!!」
そう思っていたらローズヒップは渡された紅茶をグビッとイッキ飲みしやがった、まるでビールでも飲んでるみたいだ。
「ぷふぁッ!うまい!さすがはオレンジペコさんの淹れた紅茶ですわ!!」
おおよそ味が本当にわかっているのかも怪しい感想と共に空になったカップを置く。
「どうして一気に飲んでしまうのですか…」
「えと、紅茶は熱い内に飲めとアッサム様が…」
「確かにそれは言いましたが、一気に飲めとは言ってません!!」
「どうぞローズヒップさん、こちらにスコーンを用意しました!!」
続いてオレンジペコが出してきたスコーン、これもたぶん、食べてる間はローズヒップも大人しくなると考えてのことだろうが…。
「ありがとうございます、いただきます!!」
ローズヒップはむしゃこらむしゃこら、オレンジペコの出したスコーンをすぐに平らげてしまった、なかなかの食べっぷり、今度五十鈴と勝負してみたらどうだろうか?
食べ終わったらまた騒ぎだすし、本当になんで連れて来ちゃったのこの子。
仕方ない、このまま騒がれては試合観戦どころじゃないし、アッサムさんもオレンジペコも心労がハンパなさそうだ。
「ケイさん、ポップコーン貰えます?なるべく大きめのサイズのやつ」
「ん?良いけど、うち基準だと大きめのサイズだと本当に大きいわよ、Sサイズでも他のLLくらいだから」
なんだそりゃ、食べ物の大きさまでアメリカンスタイルなの?少食の人はどうするんだろう?
「いや、むしろその方が都合がいいかもしれないので」
「?、よくわからないけどいいわよ、アリサ」
「はい、…後で後悔しても知らないわよ」
そう言ってアリサはどこから持ち出したのか、大きめのバケツくらいのカップに山盛りに積まれたポップコーンを取り出した。
「…は?」
なんだこれ?誰が『そんな事よりバケツいっぱい食べたいな』とか言ったの?そりゃ大きめのサイズでいいとは言いましたけど、こんな量のポップコーン見た事ないぞ。
「だから言ったでしょ、サイズの基準が違うって」
それにしたってこれはやり過ぎだろう、こんな量を俺はとても食べきれない。
いやー、食べるのが俺じゃなくてよかった。
「ほれ、ローズヒップ、ポップコーンだ、おかわりもたくさんあるからじゃんじゃん食え」
俺はもらったキングサイズのポップコーンをそのまま横に流してローズヒップに渡す。
「こんなにたくさん…、ぜ、全部私がいただいてもよろしいんですの?」
「もちろんだ」
むしろ全部食ってくれ、見てるだけで夢にポップコーンが出てきそう。
「やったでございますわ!ありがとうございます、マックスさん!サンダースの皆様!!」
ローズヒップは嬉しそうにバケツを膝の上に乗せてぱくぱくとポップコーンの山への挑戦を始める、やれやれ、これで少しは静かになるな。
「あのローズヒップさんを静かにさせるなんて…」
「これがマックス…、なるほど、ダージリンの言っていた通りの人ですね」
いや、単純に二人の案に乗っかっただけだし、それに今回はサンダース校の皆さんの物量があってのものだし。
それよりもダージリンさんが普段俺について何言ってるのかが気になるんだけど…、悪口かな?悪口じゃないよね?
「アッハハッ!あなた本当に面白いわね、ちょっとダージリン、こんな面白い子今まで隠してたなんてズルいじゃない!!」
「というか、私の中の聖グロリアーナのイメージが…」
そんなローズヒップの様子にケイさんは爆笑しているがアリサやナオミも唖然としている、こりゃ彼女の紹介は必要なさそうだ。
「ふふっ、可愛いでしょう?我が聖グロリアーナの秘密兵器なの」
その秘密兵器は秘密のままにしておいた方がよかった気がする。
「見ていて優雅さの欠片もないですけどね」
お嬢様学校で通っている聖グロリアーナとして見たらこれで良いのかとは思う。
「聖グロリアーナの戦車道はあくまで優雅に、でもねマックス、それだけでは伝統は守れないのよ」
「はぁ…」
「温故知新という言葉があるわ、ローズヒップは聖グロリアーナの戦車道には無い新たな変化を与えてくれる、それって素敵だとは思わなくて?」
確かにあいつのあのキャラは聖グロ内でも希少だろうが…、強烈すぎて全てをひっくり返しそうまである。
「変化させすぎて伝統もなにもなくならなければいいですけどね」
俺嫌だよ、あのオレンジペコが『紅茶ですわー!!』とか言ってる姿見るの。
「その為に私達が居ますわ、それにあなたもいずれ聖グロリアーナに来てくれるのでしょう?マックス」
「いや、なんでですか…」
行きませんからね?つーかこの人、俺にローズヒップの相手させようって考えてるんじゃないですかね…、俺があの暴走娘を制御できる訳ないでしょ。
「言ったでしょう、伝統というのはただ守るだけではなく、新しい変化も必要なのよ」
それこそ俺なんかが出てきたら変化というかもう別の何かになると思うから止めた方が良いと思うけど、まぁダージリンさんもいろいろ考えているんだろう。
伝統は守る、新しい変化は取り入れる、どちらもやらなくちゃいけないのが隊長のつらい所なのか。
「ところでダージリン、マックスってもしかしてエイトボールの事?」
横からケイさんが声をかけてくる、そうか、マックスってエイトボールの事なのか、つまりこの場に比企谷 八幡という人物は居ないらしい。
「えぇ、マックスコーヒー、私が彼に贈った聖グロリアーナでの名前よ」
「えー、エイトボールの方がクールじゃない?」
クール…クールってなんだ?ひぐらしがなく頃によく使われる言葉かな?
「あら、マックスコーヒーの方が優雅ですわ、ねぇ、マックス」
いや、そこで俺に同意を求められても困るんですが…、マックスコーヒーが優雅なのか知らないし、エイトボールはその場のノリで名乗っただけだし。
「…そういえばケイさん、あなたマックスをご存知なのね」
…そうか、ダージリンさんからすれば俺とケイさんが知り合いなのもそもそも疑問なんだよな。
「もちろんよ、うちに潜入偵察なんて面白い事した子、忘れる訳ないじゃない」
「…潜入偵察?」
「もう一人女の子連れてね、そういえばオットボールはどう?元気してる?」
「えと…まぁ、相変わらず楽しそうにやってますよ」
俺のエイトボールと同じく、ケイさんの中では秋山はオットボールで固定されてるらしい、まぁ秋山の奴は本当に楽しそうに戦車道やってるしな。
それよりも先ほどからダージリンさんの様子が変なんだけど…、ケイさん気付いてないの?
「エイトボール、あなたの事だから今回もアンツィオ校に潜入偵察とかしたんじゃない?」
「まぁ一応は…、今回は生徒会からの命令ですけどね」
「あっはははッ!アンジーも容赦なさそうね、今度潜入偵察するなら私も誘ってね、なんだか楽しそうだし」
「いや、なんでですか…」
この人に潜入偵察とか無理なんじゃないかな…、素で目立ちまくりだし、オーラ的に一発でバレそうだ。
「そ、そうです隊長!潜入偵察なら私の方が向いています、ここは是非とも私に!!」
なんでそこでアリサ、お前が出てくるんだよ、確かにケイさんよりは向いてると思うけど君、別の高校の人だよね?
「待って下さい、潜入なら私に声をかけてもらえませんか?二校の潜入を潜り抜けたその手腕、参考にさせて下さい」
ここで意外な人物が更に立候補してきた、誰だと思ったらアッサムさんだ、え?この人潜入偵察とかするの?
そもそも俺の潜入偵察って二回とも相手側に見つかってるのでとても参考になるようなものではないが。
しかしこれで次の試合の潜入偵察の人員が決まったな、ケイさん、アリサ、アッサムさんだ、もう働かなくて良いんだ、やったぜ!!
「えと…アッサムさん、本気ですか?」
とはいえこの人が潜入偵察に志願するタイプの人とは思えないんだけど…。
「えぇ、一応これでも諜報員も兼ねていますから、変装もやってますよ」
「変装…、じゃああなたも他の学校の制服持ってんですね」
秋山もいろいろ持ってたけどアッサムさんもか、まともに見えたけどやっぱりちょっと変だなこの人も。
「え?えと…ハチマキをして木の枝を頭に付けたりとか、ですがその時は見つかってしまって…」
なにその八つ墓村スタイル、なんか顔を真っ赤にさせてちょっと可愛いんですけど…、潜入するならその目立つリボンとか外した方が良いと思う。
「アッサムはデータ主義なのよ、それよりもマックス?」
カタンと紅茶カップを静かに置いたダージリンさんが俺を見る、その静かな物言いはどこか、俺に対して怒っているように聞こえた。
「え…、はい」
というかどう見ても怒っている、静かに怒られるのって実は一番怖いんだよな、でも今の会話でこの人が怒る所ってあったのか?
「どうして我が聖グロリアーナとの対戦の時には潜入偵察しなかったのかしら?」
「え?いや…、だって練習試合でしたし」
会長が罰ゲームであんこう音頭とか言い出す前は別に負けてもいい、というか負けて当たり前だと思ってたし。
そもそもあの時はまだ潜入偵察とかやっていいの知らなかったのだ、もし知ってればあんこう音頭回避の為にやっていたかもしれないけど。
「あら、なら公式戦で戦うとなれば我が校に来てくれるのね?」
「まぁ…そうかもしれませんけど」
でも聖グロリアーナの戦力ってチャーチルとマチルダとクルセイダーだよね、もしかしてトータスとか隠し持ってたりするの?
「ふふっ、これで決勝戦に向けての楽しみが増えましたわ、その時は歓迎するわよ」
「スパイを歓迎してどうすんですか…」
サンダースでもケイさんに歓迎されたし、アンツィオ校ではご馳走を頂いた、みんなスパイに対して緩すぎない?
まぁうちも継続高校の連中を見逃したし、あまり人の事言えないけど。
「待って下さいダージリン、わざわざ情報を渡してどうするんです」
本当にね、こっちとしたら楽で良いんだけど。
「あらアッサム、帰さなければ問題は何も無いでしょう?」
問題しかねーよ!捕虜にする気満々だこの人!!
やっぱり他の学校ほど甘くはなさそうだ、うん、この人とやり合うのは勘弁したい。
「なるほど…それなら大洗のデータもとれますね、さすがですね、ダージリン」
アッサムさんもノリノリだ…、さすがって、やっぱりこの人も変だ。
「そもそも俺達が決勝までいけるかわかりませんけどね、あぁ、二回戦突破、おめでとうございます」
「えぇ、ありがとうマックス」
聖グロリアーナは俺達より先駆けて二回戦を突破、まぁ順当だな。
次の相手は黒森峰か継続高校となるのだろう、黒森峰はもちろんだが西住の話じゃ継続も相当強敵らしいが、今は他の学校より自分の学校だ。
「そっか…大洗も聖グロリアーナもまだ大会中だもんね、うちはもう負けちゃったし」
「ケイさん…」
…考えてみれば、いや、考えなくてもわかってた事だが、あの試合が三年生であるケイさんには最後の公式試合なんだよな。
「ん?そんな顔しなくていいわよエイトボール、あの試合はとってもエキサイティングで楽しかったわ、お互い全力を出して負けたなら悔いはない、でしょ?」
俺がどんな顔をしていたのか知らないが、ケイさんはそう言って楽しそうに笑う、やっぱりすごいなこの人は。
「あぁ、でも一人だけ消化不良かもね」
横からアリサが口出ししてくる、なんだよアリサ、お前は通信傍受やったり集団に追い回されたり、充分大活躍だったじゃないか。
「ねぇナオミ?」
「…なんだよアリサ」
アリサがさっきの仕返しとでも言うようにニヤニヤと茶化しながら声をかけたのはファイアフライに乗る高校生戦車道でも有数の砲手であるナオミだ。
有数の砲手なのだが…、うん、前回のサンダース戦でうちのバレー部の根性の犠牲になってまともな状況で砲撃させてもらえなかったのが彼女である。
いや確かにあの試合はナオミにとっちゃ消化不良かもしれない、なにしろまともに砲撃さえ出来なかったし。
まったく、誰だよあんな嫌らしい作戦考えた奴は、恥を知れ。…俺だとバレてないよね?
「あらマックス、あれはあなたの作戦勝ちよ、もっと誇りなさい」
「ちょっとダージリンさん、何言ってんですか?」
「なんの事かしら?私はただあなたを誉めただけよ」
いや、絶対確信犯だ、そんなに潜入偵察されなかった事がショックだったのかこの人。
「あんたがあの作戦を考えたのか?」
ナオミがじっと俺を見てくる、正直怖い、こいつはおっぱい付いてるけどイケメンレベルがハンパないよな。
「あー、えと、まぁ…、悪かったよ」
そんな風に睨まれたら思わず謝ってしまう、いや、俺は悪くない…はず。
「いや、あのくらいで取り乱した私のミスだ、あの試合は自分の未熟さを思い知ったよ」
ナオミさんマジイケメン!ヤバい、うっかり惚れて告白してフラれちゃいそうだ…、フラれちゃうよね。
「今度は狙いは外さない、ただ…あぁいう状況に慣れる訓練はしたいな」
「まったくナオミは真面目なんだから…、そんな都合の良い訓練、あるわけないでしょ」
「そんな事はないわ、ナオミさん、それなら私が良い訓練相手を紹介しましょうか?」
おやダージリンさん、そんな都合の良い相手に心当たりがあるんですか?なんだか嫌な予感はするんですけど…。
「本当かい?それならこっちからお願いしたいくらいだけど…」
「ローズヒップ、今日はナオミさんをもてなして上げなさい」
「了ッ解でございますわ!ダージリン様!!」
ダージリンさんが声をかけると、いつの間にか先ほどのポップコーンを食べ終えたローズヒップが元気良く返事を返してシュタッと立ち上がった。
「あなたがナオミさんですか、私はローズヒップと言いますの!今日は一生懸命おもてなしするのでよろしくですわ!!」
「あ…、あぁ、よろしく」
「何か飲みますか?それとも食べますか?あっ!飲み物はマックスコーヒーがオススメですわよ?」
「じゃあそれを…」
「はい、マックスコーヒーですわ!!」
さすがのナオミもこのローズヒップの勢いには押されているみたいだ、つーか…。
「鬼ですか、あんた」
「あら?これは彼女が望んだ事よ」
涼しい顔してなんとまぁ…、体よくローズヒップをナオミに任せてしまうとは恐ろしい。
「まぁナオミも少し堅い所があるから、これを機会に少し柔軟になるのもいいかもね、二人共仲良くね」
「い…イエス、マム」
「なんだかよくわかりませんがイエスマムですわ!!」
なんだか可哀想だが…まぁ仕方ない、そろそろ試合も始まるしな、ナオミにはここでも犠牲になってもらうか。
『それではただ今より、大洗学園とアンツィオ高校の試合を開始します』
「…始まりましたね」
「そうね、最初は私達もチアガールの衣装着て応援しようと思ってたんだけどアリサに止められてねー」
「と、当然です、あんな恥ずかしい衣装着れる訳ないですよ!!」
なんだよアリサ、お前無能だったのかよ、ケイさんのチアガール姿とか最高じゃねーか。
「えー…その方が楽しそうだったのに、ちゃんとあなたの分も用意してたのよ、エイトボール」
【朗報】アリサ有能だった、GJ!俺のチアガール…じゃないな、チアボーイ姿なんて誰が望むのよ。
「それは面白そうね、今度聖グロリアーナでもやってみましょうか?ペコ、アッサム、マックス」
「「「勘弁して下さい…」」」
あと、サラリと俺をカウントしない、あぁでもダージリンさん達三人がやるならこっちとしてはむしろ大歓迎ですけどね。