千雨からロマンス   作:IronWorks

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第14話

――0――

 

 

 

 たなびく髪。

 凜々しい横顔。

 力強い指と、手。

 

「また会えるやろうか~」

 

 強い相手を戦うことでしか楽しみを見いだせなかったウチ。

 そんなウチに、“そんなこと”よりも美しいモノは世界に溢れていると、そう教えてくれたひと。

 

「うふふふ~」

 

 お仕事はさいごまで。

 でも、与えられたお仕事が終わった、その後は?

 

「あんな顔で救われてしもうたら、もう、殿方の顔なんて見ていられまへんわぁ~」

 

 ウチをこんなんにしてしもうた責任は、とってもらわなければなりまへん。

 でもでも、嫌われてしまうのもいやだから、あくまで優しく、柔らかく。

 

「長谷川千雨さん~。ふふふ、またお会いするのを、楽しみにしとりますぇ~」

 

 ほんまに、たのしみや。

 まっとってね、千雨さん~♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千雨からロマンス ~麻帆良学園按摩師旅客譚~ 後編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――1――

 

 

 

 ――完全なる世界。

 

 僕たちの掲げる理想郷。

 僕たちが邁進する未来への道標。

 寿命が尽き、世界が崩壊してしまう前に“完全なる世界”に魂を移す。そのためにずっと行動をしてきた。

 だけどもし、そんな必要も無いほどに確実な代替え案があるのだとしたら?

 

「見極めなければならない」

 

 この行動には、魔法世界全ての命運が握られている。

 明らかに出発よりも“気”を増やしてきた月詠さん。そう、“気”が回復したのではない。“気”の絶対量を増やしてきた。

 これは本来、あり得ないことだ。魔力を回復させる手段だったら、実のところ手段は多い。魔力譲渡(トランスファー)を初めとして、できないことはない。

 だが今、魔法世界はそのエントロピーを縮めていくように、魔力の器そのものが徐々に小さくなっていく。おそらく十年もすれば、魔法世界そのものが消滅してしまうことだろう。

 

 だが、もしも。

 そう、もしも、だ。

 その“器”そのものを大きくする手段があるのだとしたら?

 

 僕の身体は、人形と呼ばれる特殊な器。

 この器にアプローチをかけることが、本当に可能なのだとしたら?

 

 見極めなければならない。

 魔法世界に生きる全ての人間のために。

 魔法世界を救う、我らの悲願のために。

 

 僕は、今日、この場で君を見極めよう。

 

 

 

 

 

 長谷川、千雨――!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――2――

 

 

 

 何が悪かったのか。

 ――昨日、見事に迷子になったから今日は決してはぐれないように、と綾瀬からきつく言われていた。

 何が悪かったのだろうか。

 ――綾瀬と手を引かれてゲームセンターへ移動して、そう、変わったツボーズを見かけて。

 何かが悪かったとしたら。

 ――ちょうど綾瀬がお手洗いに行ったとき、誘われるままにツボーズを追いかけて。

 たぶん、それは、運が悪かったということなのかもしれない。

 ――雑木林の中、一人ぽつんと迷子になった。

 

 

 

 

 

「どっちがさっきのゲームセンターだったかなぁ」

 

 携帯電話は圏外。

 Uターンしてみても、永遠に同じ光景。

 

「どうやったら出られるんだ? いや、そうだ」

 

 落ち着いてよく見てみよう。

 京都の環境は良いのか、麻帆良ほど騒がしいツボーズは居ない。だが全ての木々にツボーズが宿ってはいる。

 だったらそのツボーズに道を聞き出せば、全て解決だ。

 

「えーと……居た」

『うわぁっ!』『捕まった!』『捕まった?』『捕虜だー!』

「おい、人が集まっている方角はどっちだ?」

『北?』『西だよ?』『合わせて?』『北西ー!』

「北西か。まっすぐ行けば良いのか?」

『なんだか様子がおかしいよ』『北西の僕たちに聞いてみて』『北西ー!』

「様子がおかしい? わかった、聞いてみるよ」

 

 ツボーズを解放して、ついでにその木を按摩。

 一部腐りかけていた枝が元気になった。

 それに満足して北西に足を向ける――が、不意にツボーズの気配を感じて足を止めた。

 

「まいったな。僕が到着する前に抜ける手段を講じられるとは思っていなかったよ」

「っ! おまえ――」

 

 白い髪と、感情の乗らない瞳。

 ネギ先生と同じような年頃だとは思うのだが、その雰囲気はどこか老練としたものを感じる。

 そしてなによりも、そのツボーズ。一様に無表情なツボーズが、全て点滅している。明滅を繰り返すツボーズ。それはエヴァンジェリンの身体が薄くなるツボーズと似たような気配がした。

 

「――なん、だ?」

「誰、ではなく、何、か。やはり油断できないね」

 

 明滅?

 エヴァンジェリンは疲労過多で封印状態になっていた。

 ならこの子供は、疲労によって侵食されている? いや、少し違う。

 栄養失調に似た気配だ。そうだ、栄養が足りていない。身体を維持するための何かが、足りていない?

 

「飯、喰ったか? 身体が維持できていないんじゃないか?」

「――へぇ。君の力を見るために魔力を減らして、わざわざ本体できてみたのだけれど、正解みたいだね」

「私に会いたかったのか? なんのために?」

「決まっているじゃないか。君はマッサージ師なのだろう?」

 

 子供はそう言うと、指をぱちんと鳴らす。

 すると土が盛り上がり、一呼吸で寝台が完成した。こいつも魔法使いってやつか。

 

「僕の名前はフェイト。フェイト・アーウェルンクス。さぁ、僕を施術してみてくれ、長谷川千雨――!」

 

 子供――フェイト・アーウェルンクスはそう言うと寝台の上に座る。

 私だって見習いとはいえ施術者の端くれ。ここまで挑発されて乗らないわけには、いかない。

 

「ふん、わかったよ。施術担当、長谷川千雨。押して参る! まずはうつぶせからだ、フェイト!!」

「うつぶせだね、了解したよ」

 

 言われたとおりに俯せになるフェイト。

 その背中には明滅を繰り返すツボーズが、無表情で佇んでいた。

 ――表情をなくすほどの疲労。つまりは、そういうことだ。こいつも今、エヴァンジェリンと一緒で辛い疲労に苦しまされている。

 そんな状態で放置しておいていいのか? 許される、はずがない。

 

「森林浴、か。フェイト、はからずとも、この場所は最高だ」

 

 緑の気配に包まれて、施術を開始する。

 

「“夢想千雨流夢幻の型”」

 

 呼吸に合わせて身体が“ぶれ”る。

 マッサージ師ならば、誰でもできる分身術。私は今まで三人までしか分身できていない。いや、正確には一度だけ五人に分身できたのだが、あれは天使のイリュージョンの補佐があってこそだ。私一人では、難しい。

 こんなに苦しむ患者を前に至らぬ自分が、悔しくて、情けない。

 だが、私は私なりに、その弱点を補う術を編み出した。

 

「最初に、“トライドライブロマンス”」

 

 三人に分身。

 それから、手を横に広げ、身体にマッサージパワーを巡らせる。

 そう、三人にしか分身できないのであれば、一人一人の手を千手観音よろしくその瞬間だけ増やせば良い。

 

「行くぞ!」

 

 さぁ、ツボーズどもよ。

 おまえの命運もここまでだ!!

 

「天牖、翳風、迎香、缼盆、風門、肩井、後星、前星、百会、血海、承泣、愈府、風市」

「完骨、風池、陽白、印堂、惑中、五枢、天柱、瓉竹、清明、身柱、長強、大陵、伏兎、商丘、至陰、曲地、孔融、中衝」

「裏内庭、水突、絲竹空、肓兪、大腸兪、心愈、肺愈、膵愈、魄戸、壇中、神封、郄門、気舎、天枢、承扶、承山、心門」

 

 千に別れた腕から放たれる、夢幻の技。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!! フェイト、わかるか! これがおまえの疲労だ!!」

「なんだこれは……なんだろう、これ。こんな感覚、僕は知らない」

 

 その全てを、たたき込む!!

 

「三陰交! 陰領泉! 陽領泉! 見えた!!」

 

 フェイトのツボーズたちが、明滅が収まりつつある――輝きが強くなる己の身体を見つめる。待ってろよ、フェイト! これでとどめだ!

 

「命の水よ、湧き出でよ――“湧泉”」

 

 私の全力全開、受け止めてみろ!!

 

 

 

「千雨スペシャルVer.10,01――――――“ミリオンハンド/サウザンドレイン”」

「な、なんだこれは、身体が作り替えられていくような感覚は――!?」

 

 

 

 フェイトの身体を、太陽と見まごうほどの光が包み込む。

 フェイトのツボーズたちはその横顔に柔らかな微笑みを浮かべ、肩を抱き合ってマイムマイムを踊っていた。

 

「これが、感情。これが、喜び。まさか僕が枷から解放されるほどの力を得られるとは、思わなかったよ。ああ、そうだ――ありがとう、千雨」

「いや、いい。私は当然のことをしたまでだ」

 

 寝台から起き上がり、微笑みを浮かべて涙を流すフェイト。

 辛い疲労から解放される。その喜びを知って貰えた。私にとって、これ以上のことはない。

 

 “ありがとう”

 この一言のために、この道を選んだのだから。

 

「お礼ついでに、そうだな、連絡手段も欲しいし――ああ、そうだ、この手があった」

 

 フェイトはそう呟くと、自分で納得したのか頷く。

 そして、なにやら地面に手をかざして刻み始めた。

 

「千雨、少し屈んでくれないか? ――陣、は、こうか」

「うん? なんだ? いいけど――?!」

 

 涙を流すフェイトが、不意に、屈んだ私の頬に手を添える。

 

 そして――唇を、合わせた。

 

「【仮契約】」

「?!?!」

 

 な、ななななな、な?

 突如、光が溢れ、私の前にカードが出現した。

 って、いやいやいやいや! そうじゃなくて!

 

「おま、おまえ、おまえ、なにを? なんで?!」

「性急すぎる。僕はなんでこんな気持ちに?」

「はぁ?!」

「ああいや、待ってくれ、事情を説明する」

 

 説明するも何も痴漢のたぐいじゃないのか?!

 くそぅ、ふぁーすときすが……。

 

「君とのキスによる契約で完成したこのカード。このカードがあれば、携帯電話の電波が届かないところでも会話をすることができる。僕との契約は特別製だから、距離も気にしなくて良い」

「で? それがなんだよ」

「その機能を使って、いつか、僕の親のような人と僕の故郷の疲労を、君にとって欲しい」

「!!」

 

 疲労?

 疲労、って、言ったか?

 

「いわばこれは――治療行為の一環なんだよ!!」

「!!!」

 

 そうか、治療行為の一環か。

 按摩だって胸回りのリンパや鼠径部のリンパを初め、きわどい部分の施術は必要だ。だがそれは全ていわば治療行為。

 そこに痴漢だなんだと騒ぐのは、違う。

 

「そうだったのか……すまん、へんに騒いだりして」

「いや、説明をしなかった僕が悪い。気にしないで欲しい。――(まったく気にされないのも、微妙な気持ちだけれどね。ああほんとうに、僕はどうしてしまったんだ?)」

 

 まだ少し顔が火照るが、まぁ、それは仕方が無い。

 そうはいっても中学生だ。やわらけー、とか……いや、忘れよう。うん。

 

「二枚は必要ないから、他の人にこの契約を持ちかけられたら断った方が良いよ。他意のあることだからね」

「お、おう? 忠告、ありがとな」

「それと、来たれ、と唱えてみてくれるかな? そのカードにはアイテムがついてくるんだ」

「あで……【アデアット】」

 

 カードに描かれたアイテムが、私に“装着”される。

 今までかけていた丸めがねがどこかへいき、代わりに、細い眼鏡が装着された。

 

「えーと、説明によると……その眼鏡で見た相手にキーワードを唱えると、幻想世界に引きずり込んでマッサージができるみたいだね。サイズの調整もされる?」

「試してみれば良いか。キーワード、ね」

 

 ツボーズが自己主張している大きな木に視線を合わせる。

 それから、頭に思い浮かんだキーワードを唱えた。

 

「【いらっしゃいませ】」

 

 

 

 

 

 光が溢れ、私と木を包み込む。

 思わず目を閉じて、それからゆっくりと目を開いた。

 

「これは……」

 

 下は板張り。

 周囲はガラスのドームで、その外側は緑に溢れている。

 柔らかな日差しが差し込む中、中心には檜の寝台。その上には、何故か私と同じくらいの背丈になったあの“木”が寝かされていた。

 

「【魅惑のマッサージルーム】――か」

 

 木に、ゆっくりと近づく。

 そして、ツボーズたちに導かれるまま、私は施術を開始した――。

 

 

 

 

 

「――どうだった?」

「え? あ、あれ?」

「時間はそんなに経ってないよ。六分ってところかな」

「十分で一分くらいの扱いなのか。ああいや、すごく良いところだった。ありがとう」

 

 見上げれば、あの木が完全に健康な状態になっていた。

 私はこのアイテムの中にワープしていたわけではなく、精神を飛ばしていたようだ。ううむ、変なところで使うのはやめた方がいいだろうなぁ。

 

「気に入って貰って、なによりだよ。ついでに、僕としては変なことをして君と敵対したくないから、そうだね、君にほぐして貰いたい人が居るのだけれど、連れてきても良いかな? 是非、改心させてあげて欲しい」

「回診? まあ、いいけど……。疲労に苛まれている相手だってんなら、望むところだ」

「そう言ってくれて良かったよ。直ぐ戻るから、待ってて」

 

 フェイトはそう言うと、水たまりの中に消えていった。

 

「嵐のようだったな。って、そういえば」

 

 携帯電話を見る。

 まだ、圏外だ。

 

「綾瀬に連絡、どうしよう」

 

 帰るわけにもいかないし……ううむ、困った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――3――

 

 

 

「な、なんでや、なんであんたが……」

 

 倒れ伏す月詠と小太郎。

 何もできずに追い詰められるウチ。

 新入りの突然の裏切りに、ウチは後ずさりする。

 

 計画は順調だった。

 狙い通りに小娘が封じられ、その小娘を探すために魔法使いどもが右往左往。

 中継地点でことの成り行きを見守っていたウチらは、木乃香お嬢様が護衛と二人きりになるタイミングを見守るだけ。

 護衛を月詠と小太郎に任せてしまえば、あとはちゃっちゃか攫ってリョウメンスクナ大復活祭、というところだったのに。なのに。

 

「【眠りの霧】で眠らせただけだよ。二人とも、気持ちよさそうにしているだろう?」

 

 言われてみれば、月詠も小太郎もノーテンキな顔で寝とる。

 うぬぬ、だが、そんなことは正直どーでもええ。問題はこの新入りが堂々と西洋魔法を使ったことと、裏切ったことや!

 

「スパイ、だったんか、貴様!」

「いや、そういうことではなかったのだけれどね。優先順位が変わったんだよ」

「優先順位?」

「ああ、そうだ。だから貴女にも来て貰うよ。なに――」

「くっ! 【御札さん、御札さん、ウチを――」

「――【眠りの霧】! 苦しいことは、なにもないよ」

「ぐぁっ……あ、ああ」

 

 意識が落ちる。

 立っていられない。

 ああ、ウチ、ウチは、仇を――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物心ついたときから、ウチは術師の一人娘として可愛がられた。

 優しい両親。快い使用人。姉弟こそいなかったが、ウチは幸せだった。

 

『いいかい、千草。君が望むのならば、術師になんてならなくてもいいんだよ』

『えー? でも、あまがさきはどうなるん?』

『分家もあるからね。どうにでもなるよ。そんなことよりも、僕たちはもっと大切なことがあるんだ』

 

 思い返せば、おとんとおかんは、いつもこんなことを言っていた。

 

『せやかて、ウチー』

『良いのよ、千草。私たちには、もっと大事なことがあるの』

『だいじなこと?』

『ああ、そうだよ』

 

 大事なこと。

 大切なこと。

 それは、なんだったのか。

 

 

 

 

 

――『千雨スペシャル』――

 

 

 

 

 

 ああ、そうや。

 たしか……。

 

『僕はね、千草。君にただ――“幸せ”になって欲しいんだ』

『だからね、千草。私たちのことなんか、気にしなくても良いの。私たちは、貴女に笑顔で、いて貰いたいの』

 

 でも、ウチは、木乃香お嬢様を攫おうとしたんやで。

 

『でも、できていないだろう?』

『千草は優しい子だから、きっとやらないと思っていたわ』

 

 ……要領が、悪かっただけや。

 

『それでも、今、千草はまだやり直せるじゃないか』

『お願い、千草。復讐なんて良いから、ただ』

『『“幸せ”になって』』

 

 ああ、そうか。

 ウチは幸せに、なってもええんか。

 

 まだ、やりなおせるんやね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めると、旅館の一室で眠っていた。

 傍には月詠と小太郎も転がっている。

 

「ふわぁ、あれ? 千草さん? 寝過ごしてしまいましたか~」

「まぁ、そうみたいや」

「うーん、西洋魔術師めー、むにゃむにゃ」

「小太郎、は、まだ起きぃひんみたいやな。さて、どうしたもんか」

「千草さん? お仕事は、もうええんですか?」

 

 仕事。

 そうやな。

 まぁええわ。

 

「せっかく失敗したんやし、まぁ、まっとうに生き直すのもわるくあらへんわ」

「そうですねぇ~。ウチも人を斬るのは抵抗がありますし~」

「せや。月詠、あんたはこれからどうするんや?」

「麻帆良学園とやらに通ってみたいんですよね~」

「保護者はおるんか?」

「いませんけど、まぁ、なんとかしますわ~」

「なら、ウチがなったる」

「へ?」

 

 せや。

 悪事に失敗して、もう次のチャンスはない。

 だったら脚洗って生きて、生きて――“幸せ”になるのも、悪くはない。

 

「ふふふふ、ありがとうございますぅ~」

「かまへんわ。別に。それよりも、小太郎引っ張ってこうや。そろそろここもお暇するで」

「はぁ~い」

 

 なぁ、おとん、おかん。

 ウチはまだやり直せる。幸せになって、ついでに拾ったもんも幸せにしたる。

 

 だからどうか、安心して見守っていてくらはいな。

 ウチはもう、大丈夫だから。もう、見失ったりしないから。

 

 

 

 

 

 朝焼けの空。

 とうに隠れたはずの星が二つ、瞬いたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――了――




◇◆◇



「まったく、千雨さん、どこへ行っていたのですか?」
「いや、ちょっと施術をだな」
「うん? このカードはなんですか?」
「ええっと、これは」
「怪しいですね。ネギ先生、これなのですが……」
「はい? ああ、これはパクティオーカードと言って……――?!?!」


『長谷川千雨』
番号――25
徳性――愛
方位――中央
色調――黒と白
星辰性――流星群
称号――万能の癒やし手
アーティファクト――『魅惑のマッサージルーム』


◇◆◇

2018/01/07
誤字修正致しました。
数々のご報告、ありがとうございます。




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